ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常 作:コントラポストは全てを解決する
ピキピキからではなくしのぶ個人から直々に呼び出しを貰った。絵空がいないなら行っても良いかなって思い、集合場所の第2音響室に入った次第だ。
「なあ、まほろ。お前さ、響子を振ったじゃん?」
「うん」
「絵空も振ったじゃん?」
「うん」
絵空には拉致されたし、響子にはいつの間にか膝枕されてた。2人とも振ったけどそれがどうしたのだろうか。
「なんでアタシは何も無しなんだ」
「自然消滅したのかと」
「してねぇよ!アタシの扱い雑過ぎんだろ!」
「まあそう怒るなって。ほら、クッキー作って来たから1つお食べ」
しのぶにクッキーを譲渡して落ち着かせる。さすがに自然消滅は冗談だけど、俺もいつ挨拶に行こうか迷ってた感じだ。しのぶにとっちゃ気分の良い話じゃないし。
「はぁ……お前はいつもそうだ……。アタシが近づけば厄介そうな顔をして、キスをねだれば明石真秀がいるからと拒み、セックスを持ちかければアタシを巴投げする。どうせアタシなんて有象無象の女の1人程度としか思ってないんだろ?そうだろ?あっ゛?」
「恋人でもない人とキスやセックスをするわけないだろ。俺がそんな常識の欠けた事するとでも?」
「付き合ってもない女達とキスした挙句、交際関係のない明石真秀とセックスしたくせに」
「それは……半分事故というか」
どちらかと言うと俺は被害者だし……。
「結局のところ、しのぶはどう対応されれば満足なんだ?思いっきり振ればいいのか?」
「キスとセックス」
「無理です」
「響子とはしたくせに」
「セックスはしてないです」
響子は不意打ちキスだし。俺悪くないアルよ。無実アル。しのぶもそんなカッカしないで欲しい。恋敵手にリードを取られたからと言って焦るな。こういう時こそ落ち着くんだ。ほら、ラマーズ呼吸法して。
「明石真秀はもう新しい男がいるんだぞ。さっさと諦めてアタシと付き合えよ」
「実は昨日真秀に会って全ての誤解を解いて来たんだ」
「は?」
「あと婚約指輪を買って真秀と婚約し直して来た」
「は?」
しのぶの眉がピクピク動いてた。めっちゃ怒ってる。
「お前はほんと……。なんでそんなにアタシの気持ちを無視するかなぁ……」
「しのぶだって俺の気持ち無視するしお相子だよ。これに懲りたら次の恋では相手の気持ちを尊重するんだぞ。俺もこれからはしのぶの気持ち尊重するから」
「じゃあ、付き合えよ」
「真正なる審査の結果今回はお見送りを」
「アタシが本気になればお前を組み伏せて犯す事もできるんだぞ」
「しのぶさ、好きでもない異性にレイプされる想像したことあるか?」
「ない」
「俺はある」
過去数百に渡り絵空やしのぶ、みいこやむににレイプされる想像を俺はした。バチくそに怖かったし1回夢に見ておしっこちびった事もある。
「なんだよ……アタシはただ、好きな男と結ばれたかっただけで……」
「そのためならどんな手段も厭わないってのは間違ってると思うぞ。しのぶの敗因は強引と強情だ。引くことを覚えろ」
恋の狩猟者としては途中から斧持って振り回してただけで標的の事を何も考えてなかった。響子はちゃんと引く時は引くし、攻めるときは攻める。男を惹きつける可愛さも持ってた。しのぶにはそれがない。俺の味方としては心強かったけど恋愛対象としてはちょっと。
「しのぶさ、俺と真秀がヤってからずっと焦ってたじゃん。少し落ち着いて引き目に見たらどうだ?」
「どうやればいいんだよ。アタシは主観で見ることしか知らない」
「頭使えとしか。あとは実戦で覚えていくしかない。俺も手伝うから一緒に恋の仕方学ぼ?」
「アタシはまほろ以外と付き合う気はない」
「初恋は?小学校であっただろ。運動とか勉強出来るやつに何となく好意持ったり」
「初恋はまほろだが?」
俺に性癖歪められたってこと?
「じゃあ、次の恋を探そう。それでこの話はお終いだ」
「勝手に終わらすな。お前には話したいことが山ほど──」
雑にしのぶを振りたくないから話聞くけど、一応襲われないよう警戒はしておこう。しのぶもなんだかんだ良い奴なのはずっと一貫してたし、俺が真秀とヤらなければ狂う事もなかった。なんか加害者っぽく扱ってたがしのぶも被害者なんだよな。俺も責任持ってしのぶの恋愛人生に付き合おう。
◇
まほろが真秀に指輪を送ったらしい。いつもの思わせぶりかと思ったらなんと婚約指輪だという。真秀のやつ、あたしを差し置いて指輪を貰うなんて。あたしもそれくらい愛してくれる相手が欲しいわね。
「真秀ちゃん、さっきからずっと指輪を見ながらニコニコしてるね」
「かれこれ30分はあの様子ですね」
「まほろから婚約を誓われて、その上指輪まで貰ったんだからああなるのも当然と言えば当然だけど」
指輪を見ながら嬉しそうに顔を赤らめて。あたしもまほろから婚約指輪を貰ったら真秀みたいになると思うから強くは言えない。
「まほろさん、あんな大胆な事をするんですね」
「誰かに惚れたらあとは一直線。相手が真秀だからってのもあると思うけど」
「真秀ちゃん良いなー。ねえねえむにちゃん、私達も指輪買おうよー」
「りんくは娘だって言ったでしょ」
だいたい指輪なんていくらすると……まほろはどうやってあの指輪を買ったのかしら。バイトでどうにかなる額じゃないだろうし、指輪は給料3ヶ月分なんて噂もある高価なもの。事前に資金を準備するとしたら高校生のまほろなんて働き詰めになって学校どころではないはず。指輪が買えるほど貯金とか収支があったと。もしかしてあたし、かなりの優良物件を仕留め損ねた?
「まほろ、YouTuberやってるって言ってたけど、もしかして人気配信者なのかしら」
「前に登録者が100万人越えたってまーくんが喜んでたけどそれってすごいことなの?」
「広告収入を入れてるなら食べていくのに困らないくらいね」
「まほろさん、既に家庭を持てるぐらいには収入があるんですね」
「もうただのフリーランスね」
前に投げ銭お題サイトで募集させてみたら最大依頼料金の依頼がたくさん来てたし、それでさらに稼いでると思う。作曲とかDJVJの出演依頼も来てるって言ってたし、ほんとにもう自営業の何でも屋。
「まーくん、なんてプロポーズしたのかな」
「まほろの事だからきっと大層なセリフを吐いたに決まってるわよ」
「まほろさんからプロポーズされるなんて羨ましいです」
「あたし達もプロポーズまがいのジゴロセリフ言われた事あるでしょ。それで我慢しなさい」
「紛い物は紛い物です。本物が貰えるならいただきたい」
あたしは思わせぶりな顔で「むにと絵を描くのが好き」って言われた。麗は「俺、麗と一生ピアノを弾いていたい」って言われたらしい。りんくは結婚の約束。みーんなまほろに狂わされた。ほんと、罪な男。
「真秀さんって、あれからまほろさんと性行為はしたのでしょうか?」
「指輪貰った後に感極まってまほろをラブホに連行くらいはしてそうよね」
「子供ってキスすればできるんじゃないの?」
「女のまんこの中に男がちんこを入れなきゃできないわよ」
「お猿さんの交尾みたい」
「猿の交尾は知っててなんで人間の子作りは知らないのよ……」
りんくの知識、偏りすぎ。りんくがまほろと付き合わなくて良かった。オナニーもしたこと無さそうだし、下手したらセックス依存症になってたかも。
「ライブの練習したいけど、真秀ちゃんに水を差したくないね」
「新曲も完成したし今日くらいは真秀を眺めてていいんじゃない?」
「あんな幸せそうな顔をしてる真秀さんの邪魔をするなんてできません」
以前までだったらあたし達の分の指輪も貰おうとまほろの所にカチコんでたけど、あたしも含めて皆ずいぶんと大人しくなったわね。
「みいこが言ってたけど、一応まほろは他にも嫁を取れるらしいのよね」
「……カチコミます?」
「麗ちゃん落ち着いて……」
まほろがサプライズでハピアラ全員と結婚しようって言ってくれないかしら。
────────
そういえば真秀ってあの相馬とかいう男は振ったのかしら。まあ、何もしなくてもまほろと結婚だから相馬とは自然消滅で良さそうだけど。
「む、むにちゃん!」
「?……ノア先輩。どうしたの?」
「むにちゃんにプレゼントを用意したの。貰って!」
「まあ……くれるなら貰うけど……」
ノア先輩から手のひらに収まるサイズのプレゼントボックスを貰った。中身は──
「……なんでホープウィザードリング?」
「境まほろがむにちゃんにはこれを渡しとけって!絵描きは特撮ネタが好きなんでしょ?」
「まあ、男絵師は好きだと思うけど……なんでこれなの?」
「女の子がそれつけてれば男避けになるって境まほろが」
いや、厄介な特オタ男子呼びそうで嫌なんだけど。まあ、ノア先輩がせっかく選んでくれたし、ないがしろにはしないけど……うーん、ウィザードリングねぇ……。
「これでむにちゃんの隣予約できたかな!?」
「……あんた、まさか婚約指輪のつもりでこれ渡したの?」
「婚約の約束指輪だよ!婚約指輪はちゃんとしたのいつか買うから。今は高くて手が出せないけど……」
「女同士の結婚って指輪いるの?」
「指輪交換したいじゃない!」
ノア先輩、なんでそんなに好意的なの?まほろとキスしてたのに。いや、練習だってことは知ってるけど。おもちゃの指輪で約束なんて子供みたいなことまでして。ノア先輩のあたしが好きって言葉……もしかして本気……?
「ノア先輩、あたしのどこが好きなの?あたし、愛が重くて好きな男に逃げられたくらいにはめんどくさい女なのよ?」
「そういうところも好きだよ!あと絵が上手なところとか、人を煽るけど意外と相手の事考えてるところとか。私、むにちゃんの全部が好き!」
「そ、そう……」
可愛いもの好きだから多分あたし以外にもこういう事を言ってるんだと思うけど、ノア先輩の面倒を見る事も視野に入れとかないと。
ほんと、なんであたしなんかをお熱にしてんだか。