ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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この世界はこんなに美しいのに、どうして俺の前だけが世紀末なんだ

 俺の喧嘩歴見る?年中の時俺を取り合って喧嘩してた女の子達の仲裁に入ったら、偶然両者のクロスカウンターの間に入ってしまい両頬に青あざができた。小学校3,4は基本ガキ大将のサンドバック。中学は暴力はなかったけど下駄箱とか机にアンチラブレターが入ってて言葉で殴られた。スタンドよろしく真秀はずっと俺の代わりに殴りあってたし。

 こんな感じで俺は暴力を振るったことが無い。というか振るう力がない。だから喧嘩なんてできないんだ。なのに俺はこれから殴り合いに行こうとしている。心の弱さで強くなれないだろうか。負けたら真秀を盗られる。助けて。

 

「真秀を賭けた決闘まであと20分なんですけどどうすればいいですか衣舞紀先輩。お告げを……お告げをください」

「私に言われても……」

「衣舞紀先輩強そうじゃないですか。片手で腕立て伏せできますし。つよつよパンチの仕方教えてください」

「私、ビンタしかしたことないわよ?」

 

 聖人衣舞紀先輩にビンタさせるって相手は何したんだ。タケル殿に死ねって言われるようなもんだぞ。

 

「負けると真秀を盗られちゃうんです。でも俺に勝ち目がない」

「話し合って解決できない?」

「無理です」

「じゃあ、ダンス勝負にするとか」

「相手サッカー部なんすよ」

 

 蹴りの威力ヤバそう。横から膝に貰ったら俺の骨なんて1発で折れる。何とか俺だけ武器ありで勝負できないだろうか。この間みいこスタンガンの予備を貰ったから武器ありなら勝ち確なんだけど。

 

「そもそもなんで決闘なんてすることになったの?」

「俺と相手が真秀を好きで、相手が決闘で真秀の彼氏枠を決めようって果たし状を渡してきて」

「真秀ちゃんを巡ってなんだったら真秀ちゃんの意思に従わないとダメじゃない?」

「そうなんですけど、真秀が振ったからはい諦めますってならないのが男でして」

「男の子って聞き分けがないのね……」

 

 割と女の子も聞き分けないぞ。ソースは俺の周り。でも多分男の方が聞き分けない。男っていつまで経っても心が子供だし。トランザムにワクワクするだろ?そういうとこだよ。

 

「代わりに私が行こうか?」

「代役はなんか負けた気がするのです」

「じゃあ、そうねぇ……パンチは腰の回転が命だと思うわよ」

「腰の回転」

 

 あんまり腰を捻るとギクっと行きそうだが。パンチは腰の回転が命。いい事聞けた。ちょっとだけ殴り合いもできそうな気がしてきたぜ。行ける、行けるぞ俺。

 

「あ、いけない。お茶会の時間だ。衣舞紀先輩、ありがとうございました」

「大したアドバイス出来なかったけどね。行ってらっしゃい」

 

 絶対勝って真秀とウエディングケーキ食べるんだ。人生で初めての殴り合い、行ってきます。

 

 

 

 

 

 ────────

 

 

 

 

 時は夕暮れ場は陽葉屋上。観客ゼロ。俺は決戦の地に来ていた。目の前には相馬がブラックコーヒー缶を飲みながら佇んでいる。

 

「来たね。境」

「来ないとろくでもない未来が訪れるんでな」

 

 なんだろう、相馬からダグバ味を感じる。これがラスボスのオーラか。

 

「決戦前に1つだけ聞くんだけど、勝負内容は殴り合いで良いんか?ラップバトルに変更なら喜んでお受けするぞ」

「君も男だろ?なら、答えは1つ」

「どうしてもダメ?事は穏便に済ませたい主義なんだけど」

「ダメだよ。俺は君に勝つ手段がこれしかないから」

 

 イケメンなんだからもっと爽やかに対応してよ。しょうがないからこっちが合わせるけどさ。

 

「よぉしそれじゃあ行くぞ!Go!」

「え、ちょっ──」

 

 いきなりジャブが飛んできた。え、何この人、カズマさんかよ。突拍子もなく殴ってきやがった。血の気が盛ん。今更だがこんな暴力的なやつに真秀を渡したくない。絶対なんかトラブルに巻き込まれるじゃん。

 

「ほら、境も殴って来いよ。決闘なんだから」

「無理たん!パンチなんてした事ないんだぞ!」

 

 試しに1発ヘナヘナパンチを打ってみたが普通に受け止められた。ペちって音がした。よっわ、俺のパンチよっわ。俺ってこんなに暴力が振るえない人間だったのか。どうりでパワフルレディー達に抵抗できないわけだ。

 最初からわかってたけど、これ勝ち目ないじゃん。最初から詰んでる。DJ勝負とかに変えて貰えば良かった。どうせ勝負内容の変更申請しても受け入れて貰えないけどさ。

 

「俺はただ、真秀を幸せにしたいだけなんだ。お願いだ相馬、折れてくれ。俺はお前と戦いたくない」

「残念ながらそれは出来ないよ。俺も明石さんを幸せにしたいから!」

 

 さっきからずっと相馬のマジパンチを避けてるけど、反撃しないと俺の体力が尽きる。

 

「サッカー部なんだからシュート勝負とかで良かったじゃん。なんで殴り合いなん」

「愛する人との未来をこの手で掴み取りたくなったから」

「その足で掴み取る方向で良かったじゃん。正直俺は殴り合いを平気でするようなやつに真秀を渡したくない」

「まだ明石さんは君のものじゃない!」

「幼なじみとしての家族心だよ!わかれ!!!」

 

 俺が何年真秀を愛して来たと思ってる。今年で16年目だぞ。ベビー時代からの付き合いなんだ。離乳食おすそ分けもしたんだぞ。年少の頃には真秀は何かと良くしてくれた。D4fesも一緒に見た。小学校高学年から中学は一緒にDJをやって笑いあってた。なんで俺たちの平和な時間を邪魔する。愛する者達の間を邪魔したいNTR性癖持ちか?

 

「幼なじみだからって明石さんがずっと傍にいてくれるだなんて思わないことだな」

「幼なじみカップルを邪魔する不届き者め!恥を知れ恥を!」

「だからまだ明石さんは君のものじゃないって言ってるだろ!!!」

 

 相馬パンチを1発受け止める。打たれた拳から一瞬……一瞬だけ伝わって来た。相馬が真秀を好きな気持ちが。確かに相馬は真秀が好きだ。俺の愛情とも張り合える良い純度。本気で真秀を欲している。幸せにしたい感情もあった。NTR性癖持ちじゃなくてとりあえず安心。

 

「始まりは……ハピアラのライブか。楽しそうにDJしてる真秀を見て一目惚れしちゃったんだな」

「そうだよ。初めてだった。自分から誰かを好きになったのは」

「ただ、ちょっとアピールが急ぎすぎじゃないか?こういうのは1年くらい掛けてもっとゆっくりとだな」

「うるさいなぁ!仕方ないだろ!恋したのなんて初めてなんだから!」

 

 アオハルかよ。これだからサッカー部エースのモテモテイケメン男は。心が純情なんだよ。惚れたら一直線なのは皆と似てるか。

 

「でも、1つだけ言わせてくれ」

「なんだい?」

「真秀の胸に欲情するのやめてくれないか?」

「……はぁ!?」

 

 真秀を性的に見るのはギルティ。惚れるならまずは真秀を1人の人間として見れるようになってからだな。女の子として見るのはいいけど、異性として発情するのはダメ。真秀はあんまりがっつかれるの好きじゃないから。

 

「真秀の胸、好きだろ?ていうか性格もスタイル含めて全部タイプだろお前」

「そ、それの何が悪い!」

「はぁ〜、良いか、真秀の身体に積極的に欲情するのはナンセンス。真秀がムードを出して、襲ってきた時に初めて興奮するぐらいじゃないと真秀には見向きもされないぞ」

「それは君の主観だろ!?俺は俺のやり方で明石さんと向き合って行くんだ!」

 

 真秀が攻められるのは解釈違いなんだけど。いや、俺も昔はかっこよくリードしてぇなぁとか考えてたけどさ。真秀との初夜からそういうこだわりが一切合切なくなった。

 

「真秀は性欲エグいぞ。最低5発は出ないと話にならん」

「……君、明石さんとヤったのか!?」

「襲われた」

「明石さんがそんな事するわけないだろ!明石さんは大人しくて、可憐で、とっても乙女な人なんだ!」

「真秀が大人しくて可憐で乙女……???」

 

 こいつ、真秀の何を見てきたんだ?真秀はガッツキ大胆ヤンデレ野獣ガールだぞ。他所では猫被ってるかもしれないけど、惚れた相手にはエグい攻め方する。俺のファーストキスと童貞奪った女が大人しいわけないだろ。

 

「だいたい、君には沢山女の子がいるじゃないか!それに大鳴門さんだって」

「あれデマだぞ。通ならそれぐらいの情報は仕入れないと。ていうか相馬もたくさん女の子いるじゃん」

「俺は股掛けなんてしてない!」

「俺もしてない」

 

 ちょっと男子、俺が十股してるって噂流すのいい加減やめてよね。いやマジでやめて。絵空とかが男子撲滅機動隊出しちゃうから。

 

「君は良いよな!新人類なんだから!明石さんも他の女の子の心も簡単に射止められて!男達の苦労も知らないで!」

「隣の芝は青いってやつさ。だが忘れるな、お前だって十分青い」

「モテる男は違うね!」

「ブーメラン乙!」

 

 もうヤダこいつ。体力切れかパンチの切れもなくなって来たし、そろそろ帰って良い?自分の事モテないと思ってるハーレム主人公が1番嫌いなんだ。俺も昔は鈍感ハーレム主人公だったけどさ。やっとメインヒロイン√に入ったんだ。あと俺の苦労も知らずに新人類の事語るのやめてください。お前は自分のせいで女の子が切腹未遂とか自殺宣言した時責任取れんのか?

 

「新人類は辛いぞ。女の子絡みのいざこざが絶えない。好きでもない女に貞操狙われた事ある?俺はある」

「なんだよ自慢か?」

「いやマジで、女の子の目がギラついてて怖いんだって。おしっこちびるぞ」

「好かれてるんだから良いじゃないか」

 

 わかってない。お前は何もわかってない。理由の分からない好意が沢山降り注いで来た時の怖さを何もわかってない。

 

「いいか。例えば女の子にたくさん好かれたとするだろ?その中の1人とヤっちゃった時、お前はどうする」

「その子と付き合う」

「付き合おうとすると他の女の子が死のうとする」

「君、さっきからデタラメ言ってないか?」

「全部実際に起こったことだ」

 

 殴るのをやめて俺の話を聞いてくれ。ガードしてた腕がヒリヒリして痛いんじゃ。

 

「お前も女にモテるなら俺の苦しみがわかるだろ?メインヒロインと付き合いたいのに他の女の子がそれを許さない。もうほんと、大変で大変で……」

「人付き合い苦手な口かい?」

「真秀が言うには、みんなに優しくして愛想を振りまいたから俺はこうなったらしい」

「ちゃんと調整しなきゃ拗れるよ?」

 

 調整って何。俺はまっすぐぶつかることしか知らない。人によって付き合い贔屓したり控えたりしろってこと?俺にそんな器用な真似できるとでも?

 

「女の子の意思を尊重したいじゃん」

「自分のことも入れた上でどれくらい尊重するか計算しないと」

「そんなクズ男みたいなこと出来ない」

「君はしょうがないやつだなぁ……」

 

 やっぱり俺って人付き合いの苦手なコミュ障だったのだろうか。陰キャにコミュ力が付き添わないことは当然の理なのだろうか。

 

「女の子の意思は何よりも尊重すべきものだと思う。だからこの殴り合いも正直俺は解釈違いなんだ。真秀の彼氏は真秀が決める。1つ気になったんだが、俺に暴力で勝った蛮族を真秀が愛すと思うか?」

「それは……」

「俺たちは最初から間違ってたんだ。一緒に真秀に告りに行こう?」

 

 勝利をこの手で掴み取りたい思想はわかる。でも決闘は違うと思うんだ。それに真秀は暴力で物事を決める人が嫌いだし。真秀も拳を使うけど、それは俺を守るため。優しさと強さだ。

 

「明石さんがどっちを選んでも恨みっこなしだよ」

「おk。レッツ告りこ坂」

 

 やっと片付いた。力の蛮族の説得に成功したぞ。この腕の痛みにも納得が行くと言うもの。青あざになって来た。家帰ったら手当てしよ。相馬も案外聞き分けいいじゃん。その聞き分けの良さを最初から発揮してくれ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 まほろと相馬君に同時に告白されて人生で1番困惑した。相馬君はやっと私の意思を優先する考えになったようで、まほろを殴ったことを謝ってきた。当然暴力を振るう男なんて論外だし、私はまほろが好きだから相馬君の思いには応えられない。だからもう1回振った。それよりまほろの腕が青あざだらけで大変だ。急いで帰って手当てしなきゃ。

 

 




皆々様のご評価のおかげでこの小説もD4DJ小説総合評価順で2番目に来るようになりました。評価9も20ぴったし。気持ちがいいね。お礼としてこれから身体が発光する薬飲みます。真秀ちゃん……俺のゲーミング発光見てて……。
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