ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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寂しがり屋なむにちゃんパイセン

 俺は自室で思った。客の前で歌って踊ってDJプレイがしたい。毎日毎日マイク相手に歌い続けてそれを編集してネットにあげる生活飽きた。たまには動かないとヘルニアが悪化してしまう。というわけで、パフォーマンスをやろう。

 

 そうと決まればさっそく準備だ。

 

「あ、もしもし根元さん?実は放送部の権力を使って宣伝して欲しい事があって──そうそうパフォーマンス。俺がするの。だから放送中の合間に3秒ぐらいで良いから宣伝して欲しくて──あ、OK?マジで?助かるラスカル。名前?あー、泡沫まほろばで。顔だし?あー、してみようかな、せっかくだし。うんうん、じゃあそんな感じで。マジサンキュ。それじゃ、バイナラー──……よし」

 

 とりあえず放送部とのコネで聴覚的宣伝は成功した。後は俺が作ったPRチラシを学校中に貼り付けときゃ大丈夫だろ。目標はフロア半分を埋めること。目標はデッカク行こう。何歌おうかな。

 

 

 

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 時代は令和。時は翌日の昼過ぎ。我休息の時にて昼飯を食すで候。

 

 

『というわけで、ここで宣伝!なんと、第2回リミックスコンテストでDJくノ一と接戦の後2位を飾ったあのDJ泡沫まほろばが今日の放課後にパフォーマンスをするらしいよ!しかも、なんと顔だし!気になる人は要チェック!』

 

 おうおう、昨日連絡した通りちゃんと宣伝してくれた。しかも1分くらい尺取ってくれてる。でもちょっと持ち上げ過ぎでは。顔だしOKにしちゃったけど、大丈夫だろうか。特別顔が言い訳じゃないし。今更になって心配になってきた。頑張れ俺。

 

「まほろ、さっきから何緊張してんの?」

「久しぶりに俺の力を天下に誇示する時が来た。武者震いだ」

「ふーん。で、その荷物は?」

「俺の鎧」

 

 俺のモビルアーマーは伊達じゃない。ファッション雑誌読みまくって頑張って衣装も作った。多分絶賛はされないけど酷評もされないはずだ。普通が一番。

 

「そういえばさっきの放送で言ってたDJ名……まほろのYouTubeチャンネルがそんな感じの名前だったような……」

「まあ、それはおいおい」

「でも、あの泡沫何とかってDJ大丈夫かしら。今日、別フロアでピキピキのパフォがあるらしいじゃない」

「マジか」

 

 別日にすれば良かったかも。でも俺の気分が今日やりたいって言ってたんだ。だから俺は間違ってない。俺がルールだ。

 ビラは配った。衣装のサイズはバッチリ。セトリも申し分ない。機材も借りた。ダンスの振り付けも基本的なステップを覚えて当たり障りのないようなものにした。ピキピキとライブ日が被った事以外は完璧。

 

「むにはピキピキのパフォ見に行くのか?」

「うーん……犬寄しのぶにDJはDQNの遊びって言っちゃったし、行かない方がいいかもね。泡沫何とかの方に行くわ」

「そうか。腰抜かすなよ」

「?……なんでまほろが言うのよ」

 

 むにの不思議そうな顔が放課後にはびっくり顔になってると思うとワクワクする。そうだ、いい事思いついた。

 

「むににこれあげる」

「なにこれ」

「泡沫まほろばさんステージの最前列スペースの招待券」

「なんでまほろが持ってるのよ?」

「コネ」

「あ、そう……」

 

 本当は真秀に渡そうと思ってたけど、真秀が今日は以前放送室に凸って来たって人とピキピキのパフォーマンスを見に行くと前から決めていたらしいから、余ってしまっていたのだ。ちなみにチケットは2枚あり、もう1枚は麗にあげた。麗は忙しそうだし、来てくれるかな。

 

 ま、放課後に期待だね。

 

 

 

 

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 放課後舞台裏、俺は舞台袖から客席スペースを覗いてみる。まあ、ピキピキもライブやる事だし4分の1埋まってれば上々というところだろう──

 

 

「満員で草」

 

 

 どうした。バグか?NPC増殖バグでも起きてんのか?

 落ちけつ俺。きっとピキピキのパフォが始まるまで暇つぶしで来てくれたんだ。そうに違いない。

 あ、そうだ。むにと麗は……普通に来てる。最前列にいる。よっしゃ。今日はあの2人を驚かすつもりでやろ。よし、緊張ほぐれた。

 

 

 境まほろ!ダブルオーフリーダム(オリジナル機体)行きます!!!!!(カタパルト射出音)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからステージに立って、むにと麗に視線を送っておいた。めっちゃ驚いた顔してる。ようこそ、俺たちのステージへ。

 ところで観客達が持ってる見たこと無い色のサイリウムは何。それ何色?めっちゃ怪しい色してるんだけど。特注ですか?一体俺がどんなパフォーマンスすると思ってるんだ。普通に青とかで良かったのに。

 まあいいや。歌お。今日は日々部屋にこもって創作してた陰気なストレスを全部ぶちまけるんだ。

 

 

 この後めっちゃ歌った。楽しかった。

 

 

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 ライブ終了。見に来てくれたお客さんと世間話してたらライブから1時間経ってた。さてと、帰るか。

 

「まほろ」

「おー、むに。おつかれー」

「説明して」

「何を」

「言わなきゃわかんない?」

「あ、はい」

 

 俺がステージに立ったのがそれほど嫌だったのか、むにはどこか不機嫌そうだ。もしかして、俺がストレス解消でパフォーマンスしたことがバレたのだろうか。待ってくれむに、お客さんを楽しませたいという心もあったんだ。許して。

 

「まず前提として、俺陰キャじゃん?」

「そうね」

「たまに輝きたいっていう衝動が湧くのよ」

「で、こんな奇行に出たと」

「そうだね。俺は奇行種になった」

 

 奇行って言われちゃったよ。許してむにママ。ほら、陰キャならたまにするじゃん。学校にテロリストがやってきてそれをかっこよく退治する妄想と、自分がアイドルになってキャーキャー言われる妄想。俺はストレスを発散させたかっただけだが結果的に歓声を貰ってしまった。

 

「むに、もしかして楽しくなかった?盛り上がりにかけてたかな……。何かあったなら意見が欲しい」

「別に、周りの人は楽しんでたんだから良いんじゃない」

「むには?」

「さあ、どうでしょうね」

 

 厳しい。むにはこういうイベントが嫌いだったのだろうか。だとしたら悪いことをした。謝罪とお詫びの駅前人気クレープを奢るので許して欲しい。まほろちゃんはむにママに嫌われたら生きていけない。

 

「甘いものでも食べに行く?奢るよ?」

「食べ物で釣る気?まほろも堕ちたわね。考えが甘いのよ」

「手厳しい」

 

 むにがライブ嫌いだったのもそうだが、俺がやったパフォーマンスが相当酷かったのだろう。だからむには機嫌を損ねて、俺に苦情を言いに来た。俺はなんて無力なんだ。もっと力をつけなければ。山篭りだ。ごめんねむに様おんりぃ様。俺は肉体的にも精神的にも非力みたいです。

 

「次からもっと精進するのでどうか許して。嫌わないで」

「別に、嫌ってなんかないわよ」

「じゃあなんでずっとジト目なの。俺への好感度が下がってる証拠でしょ?」

「あたしがなんでこんな顔してるかわかる?」

「分かんないです」

 

 不機嫌極まってる顔でむには俺に聞いてきた。俺にはなんでむにがこんな顔をしているのかも、むにの心もわからなかった。人の気持ちを汲み取るなんて難しい事、俺にはできない。

 

「あ、今日はジト目ウィークとか。普段酷使しているまぶたをジト目によって休ませる。俺天才だね。バカデミー賞取れるよ」

「ふざけてんの?」

「ごめんなさい」

「はぁ……。もういいわ、教えてあげる」

 

 むにのガチめな「ふざけてんの?」と呆れたため息が聞こえる。なんだろう、この上司に叱られてる感じ。むには俺の上司だったのだろうか。まあ、上下関係で言ったらむにの方が俺より上だけど。男は一生女の上には立てない。財布の紐を握られて終わる運命なのだ。俺もいつかむにに財布の紐握られるのかな。まあ、今はむにの話を聞こう。

 

「困るのよ」

「何が?」

「まほろにこれ以上人気になられると困るの!」

「俺って人気なの?」

「気づいてないの?」

 

 え、初耳なんだけど。俺って人気者だったんだ。皆に人気な陰キャとか、オタクに優しいギャルぐらい希少な存在だろ。てか、なんでむには俺が人気になると困るんだ?

 

「ただでさえまほろは影で女の子に人気があるのに、今日のライブで表向きに人気になっちゃったじゃない……」

「俺って影で女の子にモテてるの?初耳なんだけど」

「あたしも今までなんでまほろがモテてるのか分からなかったけど、やっと分かった。リミコンのDJまほろばがまほろだって気づいた女の子が、影でファンになっていたのよ。まあ、もう影の人気者じゃなくなったけど」

「じゃあ俺は明日からモテモテって事?」

「幼なじみが怖くなるわね」

「急にモテたくなくなった」

 

 一瞬明日にウキウキしたけど、むにの一言で気分が正常に戻った。真秀に監禁される。高卒の資格が。今のうちに麗の家に避難しとこうかな。

 で、むにが不機嫌な理由は俺がモテるのが嫌だからと。なんでだ。女の子にモテるのは男の夢なのに。むには俺の不幸でも願ってるのだろうか。

 

「俺がモテる事で、むににどんな被害が?」

「まほろがモテて、それでいつか誰かと付き合い始めたら、もうあたしに構ってくれなくなるかもしれないじゃない……」

「そんな事しないけど。むにの事は大切に思ってるし」

「実際に事が起こったらどうなるか分からないもん……」

「心配性だなぁ」

「あたしはクラスの友達がまほろしかいないから……まほろがいなくなったら1人ぼっちになっちゃう……」

「大丈夫。俺はむにを1人にはしないって」

 

 むにって以外と寂しがり屋なんだな。そういえば、こないだ俺が転校しようかなって冗談言った時も、寂しそうな顔してたっけ。大事な話があるとか何とか。

 

「それに、また大事な人と離れ離れになっちゃうのもやだし……」

「むにから離れたりしないよ。一生一緒にいるって約束する」

「……言質とったからね」

「もしかして俺ハメられた?」

 

 さっきまでオヨヨオヨヨと悲しそうな顔してたのに。そんなに俺と一緒にいたいとか、俺の事好きすぎかよ。まあ任せとけ。むにとは一生友達でいる気だからな。

 

「まったく。むにも可愛いやつだな。寂しがり屋なうさぎさんめ」

「茶化さないでよ……。真剣だったんだから」

「うんうん。わかってるわかってる。ほら、天下の伝統まほろハグだ」

「ちょっ……抱きつくな……頭撫でるな……」

「じゃあやめる?」

「………………あと5分だけ」

 

 うっわ、むに柔けー。それに細せー。ちょっと力入れたら壊れちゃいそう。まあ、俺には女の子の骨を折るような力はないけど。むにも嫌がってないし、もう少しこのままで──

 

 

 

 

「真秀ちゃんの彼氏さん、別の女の子とハグしてるよー?仲良さそうだね」

「まほろ……私と言うものがありながら……監禁してやる……

 

 

 

 

 何か、教室の入口からヤジが聞こえる。誰だあのオレンジ髪。真秀もいるじゃん。ピキピキのライブ帰りか。やめいやめい、写真を撮るな。週刊文春に叩きつけるつもりか。せめて校内新聞部にして。まだ死にたくない。

 

「あら、明石真秀じゃない。悪いわね、まほろの事貰っちゃったわ」

「お前を殺す」

 

 デデン!テレレレレレレ

 

「相変わらず煽り耐性低いわね。キレやすいのかしら?可哀想に。頭が弱いのね」

「大鳴門さん。早くまほろから離れてくれないかな。嫌な臭いがまほろについちゃうじゃん」

「カップルの証、ペアスメルよ」

「りんく、消臭スプレー貸して」

「そんなの持ってないよー?」

 

 あ、むにの匂いに加え修羅場の匂いがする。逃げなきゃ……むに、ホールドする力が強くない?てかいつの間に抱き返してきたの?逃がさないって意思を感じる。

 

「まほろ、さっきあたしに言った言葉、もう1回言ってくれる?」

「寂しがり屋なうさぎさんめ」

「その前よ」

「むにから離れたりしないよ。一生一緒にいるって約束する」

「──って事よ。明石真秀、残念だったわね」

「まほろはそんな事言わない」

 

 言ったけど。言っちゃったけど。言質まで取られたけど。言えない。むにの言ってることが本当だと言うことを言ったら、真秀に隣のホテルで朝まで語り合おうやされる。

 

「真秀ちゃんの彼氏さん、どこかで見たことあるなー……」

「ところで君は誰?」

「私、愛本りんく!好きな物はドーナッツ!」

「おお、ご丁寧に。俺は境まほろ。好きな物はカロリーメイト。よろしこー」

「よろしこー!」

 

 随分ノリの良い子だ。好きだよ、りんくみたいな子。

 で、俺はいつになったらむにのハグから解放されるんですか。早くしないと真秀が激おこ臨界点を突破してしまう。

 

「まほろ、早く大鳴門さんから離れて」

「いや、離れたくてもむにが離してくれない」

「あら、あたしのせいにするなんて酷いわね」

「まほろ、言い訳は良いから。早く離れてってば」

「むにのこの可愛い顔を見ちゃったら離れるなんてできない」

いい加減にしないと怒るよ?

「ひぇ……」

 

 怒らないで欲しいのだ。ぶたないで欲しいのだ。へけっ!

 むにの顔見てよ。この乙女の顔を。絶対何かに惚れた顔だよこれ。で、むにさんはさっきからなんで俺の顔ジッと見てるの?俺の顔に何かついてる?

 

「まほろから告白して貰ったことだし、あとする事は──」

「むにさん、何艶っぽい目で俺の事見てるの──」

「──ちゅっ♡」

「んむ!?」

 

 なんでか知らんがむににキスされた。おい、昨日も見たぞこの展開。ネタの使い回しはダメってあれほど……このネタも昨日使った。ネタの使い回しはダメってあれほど(無限ループ)

 うわ、真秀の方を見たくない。殺気が、殺気がすごい。

 

「りんく、包丁持ってる?」

「も、持ってないよー……」

「じゃあ、ハサミでいっか」

「ま、真秀ちゃん、何するの?」

「敵の抹殺。大丈夫、戦場では当たり前のことだよ」

 

 ここは学校。戦場ではない。ああ、真秀のカバンからハサミを取り出す音が聞こえる。あ〜ハサミを取り出す音〜。

 むにはいつまでキスしてるの。早く逃げないと殺されるよ?あとそろそろ息がキツい。

 

「──ぷはぁ。まほろのファーストキス?かしら」

「むにからされたのは初めてだし、ファーストキスで良いんじゃないかな……」

「…………そう。じゃあ、上書きファーストキスね♡」

「むにって時々よく分からない概念を持ってくる事があるよね。俺は好きだよ」

「ありがと♡」

 

 むにがめっちゃ女の顔してる。大人になっちまったんだなぁ……。てか、ついノりで好きとか言っちまった。まずい、やらかした。これではむにが恋愛的に好きという意味に聞こえてしまう。激おこ真秀ちゃんに聞かれたら命を消されちゃうね。助けて。俺はまだ死にたくない。

 

殺す……大鳴門むに殺す……

「ま、真秀ちゃん!犯罪者になっちゃダメ!」

 

 フシュ-フシュ-ってバーサーカーみたいな真秀(バーサーカー)がいる。真秀が大鳴門むに絶対殺すマンになってしまった。何とかりんくが後ろから抑えているが、いつりんくの体力が切れて真秀が開放されるか分からない。逃げよ。

 

「りんく!そのまま真秀を抑えといて!むに、逃げるぞ!」

「愛の逃避行ね」

「茶化さないで!俺が言えた義理じゃないけど!」

 

 

 俺とむには荷物をまとめて教室から逃げた。何とかむにを家まで送り帰し俺も自分の家に──え?家に寄ってけ?いえ、あのですねむにさん、俺と貴方は命を狙われてて……え?家に来ないとまたキスする?…………俺で良ければ家に寄らせてください。あ、夕飯はカレーですかそうですか。

 

 この後夕飯を食べお風呂まで上がらせて貰い、俺は大鳴門家から開放された。玄関を出る時、「いってらっしゃい♡」と言う言葉と共にキスを貰った。もしかして俺を大鳴門家の人にしようとしてます?ごめん、俺には真秀が……。

 

 家に帰ったら、玄関に真秀が腕を組んで仁王立ちしていた。安定と信頼のガチギレポーズで草も生えない。そういえば真秀様のハイライトさんはどこへ行きました?俺ちょっと外で探して来ますね。

 

 そして直後、俺は真秀にキスをされた。真秀曰く「今度大鳴門さんとキスしたら、まほろを私の家に監禁するから」とのことらしい。監禁という言葉がお好きなようで。え、今日は夕飯抜き?むにの家で食べて来たから──あ、なんでもないです。自分の部屋に行きます。ではサラダバー。

 

 自分の部屋に着いて、床に寝転んで俺は死んだ。俺の人生、一体どうなるんだろうなぁ……(しじみ)

 

 

 

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