ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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お久しブリリアントダイアモンド


知ってるか?ティオティオ島ではデカいヘラクレスオオカブトが取れるんだぜ。

 いっけなーい遅刻遅刻ー!あたし、境まほろ!私立陽葉学園に通う高校1年生。趣味はお絵描きと作曲!今日はいつも使ってた目覚まし時計が壊れてて起きたら朝の8時だったの!真秀は日直で先に行っちゃっててさあ大変。今は全速力で学校を目指してる。ピンチだけど、こんな変わった日には素敵な出会いがあるかも?

 

「ふぁー、これだからキャノン製の時計は信用ならないぜ。まったく」

 

 ヒョロガリゼロ筋肉で有名な俺だが、たまに2キロランニングしてるせいでそこそこ体力はある。幸い、このペースならギリギリ学校には間に合うだろう。

 

「あ、まほろ君だ!おはよー!」

「おぉ、誰かと思ったらりんくじゃないか。どうしたこんな時間に」

「寝坊!」

「清々しいな」

 

 住宅街を抜けた交差点でりんくと出会った。りんくも遅刻仕掛けてるらしい。まあ、走りながら雑談でもしよう。

 

「りんくってさー、どこ中?中等部ではいなかった顔なんだよねー」

「私ね、先々週に引っ越してきたの。転校生でね、前はアフリカのティオティオ島ってところにいたんだー」

「ティオティオ島……懐かしい響きだ。確か、昔2泊3日の旅行に行ったな。デカいヘラクレスオオカブトが取れるんだよあそこ。テンションアゲアゲ油揚げだった」

「へー!まほろ君もティオティオ島来たことあるんだー!」

 

 りんくがティオティオ島民だったとは。意外と、1回ぐらいすれ違ってるかも。

 

「まほろ君、なんかティオティオ島での思い出ってあるー?」

「そういえば、現地の女の子と仲良くなったよ。俺の事『まー君』って呼んで来てな、島を案内してくれたり、その子厳選の貝殻くれたりしたんだ。それでさ、お別れの日に、その子が泣いちゃって、再会したら結婚しようって子供じみた約束したんだ。今どうしてるんだろう」

「へー。そういえば私も昔、島に旅行に来た家族の子と仲良くしたなー。その子を『まー君』って呼んでてね、私のお気に入りの貝殻あげたり、ヘラクレスオオカブト取ったりしたんだー。それで、その子とお別れする時に私寂しくて泣いちゃって。そしたらその子が、『将来、再会したら結婚しよう』って言ってくれたんだ。私、その子の事が今でも好きでね」

「わーお、ロマンチックー」

 

 なるほど……その『まー君』って子もだいぶ情熱的……

 

 

 

「「……」」

 

 

 

 あの、いや、これってもしかしなくても……

 

「……ねえ、まほろ君」

「……なんだい、りんく」

「これってさ……」

「まあ、そうだろうな……」

 

 なんだろう、この気まずさ。いや、りんくの話を聞いて薄々もしかしたらって思ったけどさ。え、いや、俺はどうすれば良いの?俺、真秀とも結婚の約束してるよ?え、俺クズ男やん。ヤリチンかよ。もしかして、前に言ったみたいにマジで俺が引っ越さないと皆に平和が訪れない系ですか?辛ぽよ。

 

「まー君……どうしよう……私、真秀ちゃんに消されちゃう……」

「落ち着け、要は真秀にバレなければ良いんだ。大丈夫、りんくの事は守ってみせるから」

「まー君……!」

 

 大丈夫、落ち着け。まだ俺達には未来がある。学校に着いたらいつも通り振る舞うんだ。バレなきゃ犯罪じゃないってニャル子さんも言ってたから平気兵器。仮にバレたら俺の首で何とか許してもらおう。りんくみたいな魅力たっぷりポッキー少女には生きてもらわねば。

 

「とりあえず、俺たちはただの幼なじみ。それ以上でもそれ以下でもない。ということにしよう。約束の事は心の中に留めておいて」

「う、うん。でも、そっか……そうだよね……まー君は真秀ちゃんの恋人さんだもんね……」

「……りんく?」

「な、なんでもない!」

 

 りんく、なんか落ち込んでる。結婚の約束が叶わないってわかったからかな。くっ……日本がハーレム国家だったらりんくも真秀も幸せにできたのに……!許せりんく。俺は無力だ。

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 学校到着。何とか遅刻は間逃れた。俺はりんくと別れて自分の教室に向かう。今日は絵空と鉢合わせないようにしよう。しのぶは大丈夫だろうか。絵空に消されてないといいんだけど。まあ、ピキピキのこともあるし大丈夫だと信じよう。

 

「ねえ、まほろ」

「どうしたむに」

「こないだ会ったりんくって子、覚えてる?」

「りんくとは友達だけど」

 

 教室に着いて早々、むにがりんくの話題を持ちかけて来た。まさか、俺とりんくが幼なじみなのがバレたのだろうか。許して。真秀にはバラさないで。俺の命を差し出すのでどうか。

 

「実はあたし、りんくと幼なじみなの」

「唐突に幼なじみ設定生えて来ますね。りんくは知ってるの?」

「まだ気づいてないんじゃないかしら」

「じゃあ、これからネタばらしに行く?」

 

 りんく、幼なじみ多くない?コミュ力たっか。高すぎて鷹の爪団だわ。

 

「まほろ、前にあたしが『また大切な人と離れ離れになるのは嫌』って言ったの覚えてる?」

「ああ。その大切な人がりんく?だったら早く正体明かした方が良いんじゃない?そっちの方がハッピーエンドだろ」

「その……」

 

 むには煮え切らない反応をしていた。何か心につっかえるものがあるんだろうか。そういう心の障害物は早く乗り越えないと、またお別れが来た時に後悔することになるぞ。だからむにには是非りんくと仲を取り戻して欲しい。

 

「何か言えない理由があるのか?」

「その……りんくに嫌われてないかなって……」

「嫌われるような事したの?」

 

 むにが人の嫌がる事をする想像が出来ないけど。むには陰湿な子じゃないし、こんなに可愛いし、一緒に絵を描いて来てここが嫌いという点は特にない良い子だ。不意打ちでキスしてくるけど。

 

「あたしね、小学生の頃、よくりんくと遊んでたの。それで、りんくが引っ越す事になって、離れても手紙を送りあおうって約束したの。でも、りんくが引っ越して2ヶ月ぐらい経ってからね、あたし、手紙を送らなくなった。あたしは約束を破ったの」

「手紙に書くネタがなくなったの?ちゃんと話せば分かってくれるんじゃない?」

「そうじゃないわ。あたしね、りんくから手紙が届く度に、りんくが遠くに行っちゃったんだって思って、寂しくなったの。それで寂しい思いをしたくなくてりんくに手紙を送らなくなった」

 

 まあ、むには寂しがり屋だし、そうなるのも納得できるけど。なんだろう、むにが落ち込むほどりんくは気にしてない気がする。りんく、人を嫌いになるタイプじゃないし。

 

「むには、りんくとまた仲良くしたいって思う?」

「したい……けど、まだ勇気が出ない……」

 

 むには意外とチキンハートだから、このまま行ったらずっとりんくに正体を明かさないだろう。そういう形でもいいんだろうけど、手紙のやり取りをするほど仲が良かったんだし、よりを戻してあげたい。そっちの方が幸せだと俺は思う。仮に俺と真秀が同じ様な状況になって、俺がむにみたいなことをしたら、ちゃんと事情を話して仲直りしようと…………なんだろう、俺もむにと同じ状態になる気がする。俺らチキンハート同盟。

 

「おっしゃ、まほろちゃんが人肌脱いでやる。今日ネタばらししに行くぞ」

「こ、心の準備が……」

「俺はむにと同じチキンハートだからわかる。その心の準備はずっと整わない」

「うっ……」

「大丈夫、俺も一緒に行く。怖いなら俺の手を握ってれば良い」

「まほろ……」

 

 出血大サービス。保護者まほろさんが同伴してあげよう。初回サービスでタダだ。可愛い可愛いむに様のため、そして錆びてしまった友情を再び輝かせるため。人肌脱ごう。俺の勘が言っている、りんくとむには一緒にいた方が良いと。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「まほろ君って、あのまー君だったんだよね」

 

 昼休み。私、愛本りんくは教室でお昼ご飯を食べていた。なんだか今日は胸がモヤモヤしておにぎりが半分しか喉を通らない。

 

「でも、まー君は真秀ちゃんの恋人さんだもんね」

 

 小さい頃に出会ったまー君。結婚の約束をした仲だ。まあ、当時のまー君は、きっと泣いてた私を落ち着かせるために約束をしたんだと思うけど。でも私は今まで、正直にその約束を真に受けてしまっていた。

 まー君と真秀ちゃんはきっとラブラブなカップルなんだ。邪魔しちゃいけない。まー君は何故か真秀ちゃん以外の女の子とキスしてたけど、何か事情があったんだろう。私は黙ってまー君の行く末を見守るだけ。

 

「まー君が幸せになってくれたら、それで良いよね」

 

 女の子と簡単に結婚の約束をしちゃうまー君もちょっと心配だけど、まー君のその純粋さがあれば幸せになれるはず。真秀ちゃんもまー君と結婚の約束をしてるらしいし、2人は両想いなんだろう。私の入る余地なんて最初からなかった。だから、これで私の初恋はお終い。

 

「愛本さん、隣のクラスの境君が来たよ?愛本さんに話があるんだって」

「分かった!ありがとう!」

 

 私はクラスメイトに教えて貰った通り、廊下に出た。そしたらまー君がいた。その隣には、この間まー君とキスしてた子がいる。

 

「まー君、どうしたの?」

「ああ、ちょっと用があってな。と言っても、むにの事なんだけど。ほらむに、ガツンと言っちゃえ」

「あの……その……」

「?」

 

 まー君の隣にいる子は、口をゴニョゴニョさせながら目を泳がせて、何かを言おうとしている。でもこの子の顔、見覚えがある。昔……引っ越す前に一緒にいた私の幼なじみに顔が似てて……

 

「りんく……その……あたしの事……覚えてる……?」

 

 そういったこの子は、まー君の手をしっかり強く握りながら、私にそう言った。

 この声、懐かしい……。やっぱりこの子……

 

 

「……むにちゃん?」

 

 

 私が名前を呼ぶと、むにちゃんは大きく目を見開いた。やっぱり、むにちゃんだったんだ。

 

「わー!むにちゃんだー!久しぶりー!」

「ひ、久しぶり……」

 

 思わずむにちゃんに抱きついてしまった。むにちゃん、おっきくなったなー。昔はあんなに小さかったのに。それに、まー君とキスしちゃうほど大胆な女の子に成長して。むにちゃんも恋して、立派な女の子に育ってくれて良かった。

 

「りんく……その……今まで会いに行けなくてごめんね……。勇気が出なかったの……」

「でも、むにちゃんはこうして会ってくれた。だから大丈夫!」

 

 むにちゃんとまた会えた。手紙も送ってくれなくなったからどうしたのかなって心配だったけど、ちゃんと元気してた。私はそれが嬉しい。

 

「まー君、ありがとう!むにちゃんを連れてきてくれて」

「どういたしまして。いやぁ、それにしても驚いたよ。まさかりんくとむにが幼なじみだったなんて」

「隠すつもりはなかったんだー。私もまー君とむにちゃんが知り合いだとは思わなくて。まー君はいつむにちゃんと出会ったの?」

「中等部1年の頃。絵を描いてるむにを見つけて、俺が声かけたんだ」

「むにちゃん今でも絵描いてるんだー」

「おう。立派な神絵師になってるぞ」

 

 かみえし?がなんだか分からないけど、むにちゃんは絵が上手になったんだね。昔から絵を描くのが大好きで、私にもよく見せてくれた。懐かしいなぁ。

 

「なんだかすごいなー。むにちゃんとまー君が私の幼なじみで、1度は離れ離れになっちゃったけど、またこうして出会えた。奇跡だね」

「めぐり巡ってるって事さ」

「なんだか嬉しい!く〜!ハッピ〜アラウンド〜!」

 

 楽しい事嬉しい事は、巡り巡って私に返ってくる。この気持ちをもっと共有したい。まー君もむにちゃんも一緒に回ろう。

 

「……りんくとまほろって、幼なじみなの?」

「アフリカでちょっとな」

「ふーん…………りんくはまほろの事好きなの?」

「ふぇ?べ、別に、まー君とはただの幼なじみだし、それ以下でもそれ以上でも……」

「怪しい……」

 

 おかしい、幼なじみとの再会を喜んでただけなのに、恋愛マスターのむにちゃんがジト目になっちゃった。ち、違うのむにちゃん。私とまー君は、別にそういう関係じゃ……。

 

「ま、まー君はほら!真秀ちゃんの恋人さんだから!だから私はなんとも!」

「りんく、違うわよ。明石真秀はまほろと付き合ってる妄想をしてるだけ。まほろと付き合ってるのはあたしなの。りんくだって、あたしとまほろがキスするの見たでしょ?」

「で、でも真秀ちゃんはまー君と結婚の約束をしてるって……」

「まほろはもう覚えてないから、そんな約束自然消滅しちゃったらしいわよ」

「そ、そうなんだ……」

 

 むにちゃんから残酷な事実が告げられる。まー君、真秀ちゃんとの結婚の約束忘れちゃったんだ……。真秀ちゃん可哀想だな……。まー君、私との約束は覚えててくれたのに。真秀ちゃんとした約束が昔すぎたのかな。

 

「いや、普通に覚えてるが。勝手に捏造するのやめてくれないか。俺は誰とも付き合ってないし、真秀との約束も、りんくとの約束だって覚えてる」

「りんくとの約束って何よ」

「再会したら結婚するっていうそれはそれは感動的で嶺麗約束をだな──」

「まー君!それは言っちゃダメ!」

「あ、やべ」

「りんく、どういうこと?」

「ひぇ……」

 

 むにちゃんが怖くなってしまった。まー君助けて。今のむにちゃん、私を殺しそう。むにちゃんの目がこの間の殺意に目覚めた真秀ちゃんみたいになってる。怖いよ……。

 

「むにちゃん違うの!まー君、別れる時に泣いてた私を慰めようとして……。まー君に私と結婚する意思はないの!」

「いや、あの時の俺は割とマジでりんくと結婚する気で──」

「まほろ?」

「まー君!!!」

「お口チャックモード入りまーす」

 

 まー君、なんで修羅場にしようとするの。そういうの、地雷原でタップダンスするって言うんだよ。

 

「はぁ……。結局、まほろは誰と結婚したいの?りんくと明石真秀とあたしに結婚の約束を取り付けて」

「むにとは約束してないだろ」

「一生一緒にいるって言ってくれたじゃない」

「あれは違くて」

「なに?あれは嘘だったって事?」

「そういうわけでもなくて……」

 

 むにちゃん怖い。完全にまー君を尻に敷いてる。でも、まー君が誰と結婚したいのかは私も気になるなー。真秀ちゃんが好きだと思ってたけど、私の勘違いだったし。

 

「明石真秀と犬寄しのぶと響子って女と、今度はりんくも混ぜて、付き合いたい人にキスするゲームをまたやりましょうか?」

「やめて。あれのせいで真秀としのぶが決闘したんだぞ。絶対ろくな事にならないから」

「じゃあ、誰と一緒にいたいかハッキリさせましょ?もちろん、あたしと一緒にいたいわよね?」

「実質選択肢ないのやめません?」

 

 むにちゃんの威圧は続く。

 まー君って色んな人にモテモテなんだね。犬寄しのぶと響子って……もしかして山手響子ちゃんと犬寄しのぶちゃん?え、まー君ってピキピキと仲良いの?羨ましい。でも、その2人もまー君に堕とされちゃったんだよね。

 

「まー君……実は女たらし……」

「りんく、違うんだ。俺はただ、自分が思うように自由に生きてただけで。それに、俺が愛してるのは真秀だけなんだ。信じてくれ」

「やっぱり真秀ちゃんと付き合ってるの?」

「いや、まだ付き合ってない。ていうか、俺が真秀を好きなのかすら分からない」

「でも愛してるって……」

「真秀を愛してる事しか分かってないんだ。察してくれ」

「わ、分かった……」

 

 まー君の心、難しすぎるよ……。好きじゃないけど愛してるってなに?好きの先に愛があるんじゃないの?まー君の心が特殊なだけ?わかんないよー……。

 

「まほろ、あたしの事だって愛してるわよね?」

「え、むにの事は大切だけど愛してるってわけじゃ……」

愛 し て る わ よ ね ?

「もちろん愛してますとも。俺がマドモアゼルを放っておくわけないだろべいべー」

「よし」

 

 まー君、意思が弱い……。それに、なんでそんなふざけた言い方……。やっぱり、まー君の心はよく分からない。

 

「キスもしたし、愛してるって言ってもらえたし、まほろは完全にあたしのものね」

「うん、そうだね(諦め)」

「うわ……」

 

 うわ……(ドン引き)

 

「あ、待って、真秀から連絡が来た。えっと……『話がある』……?ごめん、むに、りんく。ちょっと行ってくる」

「あたしも行きましょうか?」

「むには真秀を煽るからお留守番」

「明石真秀の煽り耐性が低いのが悪いんじゃない」

「むにが悪いと思います」

 

 このタイミングで真秀ちゃんから連絡……なんだろう、嫌な予感がする。けど、まー君に着いて行ったら私が消される……そんな気がしちゃう。ここはまー君の無事を祈りながら、見送る事にしよう。

 

「それじゃ、俺ちょっと行ってくる」

「早めに帰って来なさいよ」

「はーい」

 

 

 こうして、むにちゃんに見送られまー君は去って行った。どうか無事でいますように。

 

 

「さてと、りんく」

「どうしたの、むにちゃん?」

 

 むにちゃんが腕組仁王立ちで私を見る。これ、漫画に載ってたガチギレポーズじゃ……

 

「まほろとの結婚の約束、まほろをどう思ってるか、交際の有無──詳しく聞かせてくれるかしら

「ひぇ……」

 

 

 私もまー君に着いて行った方が良かったかもしれない。ひぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 むにとりんくの感動的な再会を間近で見守り、麗しい2人の友情に感激していたら、真秀に呼び出しを貰ってしまった。いい所だったのに。俺はもっとりんくとむにの素晴らしい友情を見ていたいぞ。いい所で退場しちゃったからもどかしい。ニチアサがゴルフで見れない日ぐらいもどかしい。真秀は俺に何を告げると言うのか。

 

「ねえ、まほろ」

「なんでしょう、真秀さん」

「私ね、今日1日だけお試しでまほろに盗聴器を仕掛けてみたんだ」

「………………ふぁ?」

 

 とうちょうき……盗聴器?あのコンセントの裏に仕掛けられてあると言う伝説の?あの盗聴器?え、いつ仕掛けたの。全然気づかなかった。

 

「いや、待って。じゃあ今日1日の会話全部聞かれてたって事?」

「うん」

「りんくとの事も聞いてた?」

「うん」

「りんくとむにの涙溢れる再会秘話も?」

「うん」

 

 なるほど。りんくとの約束も、むにの尻に敷かれてた俺の事も、全部筒抜けと。初めが肝心詰んだ詰んだ。はーい俺の人生エンドゲーム。俺はこれから真秀の家に監禁されるんだ。二度とシャバの空気は吸えないんだぜ。ふぁっきゅー。何とか情けでりんくだけでも助けて貰えないだろうか。

 

「俺の命を差し出すので、どうかりんくとむにには何もしないで……何卒……何卒……」

「……りんくも大鳴門さんも、私とまほろの仲を脅かす危険分子になるかもしれないよ。今の内に排除しといた方が良いと思わない?」

「2人は絶対そんな事しないから。ね?ね?」

「りんくはともかく、大鳴門さんはもう見過ごせない域に来てるし、良いよね?」

「ダメです」

 

 真秀さんハサミを閉まってください。殺意に目覚めないで。ストファイかよ。

 これは俺が何がなんでもりんくとむにを守らねば。俺が護らねば。りんくとむにの友情を真秀による殺害エンドで終わらせてはいけない(戒め)

 

「俺の事は好きにして良いから……りんくとむには見逃して……。2人とも俺の大切な友達なんだ……お願い……お願い……」

「……ふーん、そっか。2人とは友達なんだ」

「友達です。未来永劫ずっとベストフレンド」

「付き合う気はないってこと?」

「ないです」

「りんくとも結婚しない?」

「しません」

「なら……よし」

 

 真秀が納得してくれた。急展開。

 

「良いよ。大鳴門さんとりんくは見逃してあげる。でも……もしまほろがあの2人のどちらかを好きになったら、私もするべきことをするから」

「絶対2人を好きにならないようにします。なんなら好きな人は作らないようにします。天涯孤独でいます。誓います」

「それはそれで困るけど……」

 

 俺は誓った。甘酸っぱい青春は捨て、生涯1人でいると。真秀と一緒のお墓に入るのが夢だったが、まあ仕方ない。全てはりんむにを守るためだ。

 そういえば、真秀は俺を好意的な目で見ていた気がするが、俺の勘違い?勘違いだよな。真秀はただ病んでるだけで、俺を愛してるわけじゃ…………なんだろう、この悲しい気持ち。また分からない感情が芽生えてしまった。私ったら厨二病なんだから。てへりんこ。

 

 

 俺はりんくとむにを好きにならないという契約の元、2人を守った。まあ、俺が2人を好きになることはないだろう。絶対、多分、おそらく。

 

 

 

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