ヤンデレ真秀ちゃんに死ぬほど愛される日常   作:コントラポストは全てを解決する

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最近Twitterを垢移行した。


NOAのあハナノア

「そこで俺は言ってやったのよ。そんなに異性恋愛が嫌ならホモになれば?って」

「まさかその後相馬さんに野球ボールが降り注ぐなんて……」

「イケメンは辛いって事やね」

 

 昼休み。俺は咲姫と一緒に校内の原っぱでおやつを貪っていた。適当に隣のクラスの相馬恋愛議事録を話しながら、俺はポテチのグランドサラダ油味を口に入れる。

 

「まほろさんの話……いつも面白い……。芸人さん目指してる……?」

「俺の周りが笑生招来な空間すぎて勝手にネタのストックが溜まって行くんだ。俺の周りは個性豊かな小林豊さ。でも、咲姫の周りの方も楽しそうじゃないか。筋トレ好きと可愛いもの狂いと活発元気っ子」

「まほろさんが言ってた……性癖が終わってる人も面白そう……」

「絵空は第1級危険物だ。近づいちゃいけない。近寄ったら最後、その権力と俺を思う牙で消される」

「盗聴器を仕掛けた幼なじみさんは……?」

「真秀はまぁ、咲姫なら大丈夫かも?」

 

 絵空はダメだが、真秀なら何とか。俺と付き合う意思がなく、友達でいる分なら真秀は何もしてこないし。ただ、俺を好きになったら真秀はすごい勢いで牙を向いてくる。ハサミか包丁でズドン、だ。咲姫が男なら誰でも好きになる人じゃなくて良かった。

 

「絵空さんも、真秀さんも面白そう……。でも、まほろさんが1番面白い……」

「俺は体験談を話してるだけだけどね。まあ、咲姫に気に入って貰えて良かったよ」

 

 この間咲姫と出会ったばかりだが、随分と懐かれてしまった。廊下ですれ違えばそのまま談笑に入るし、たまに時間を見つけては遊びに来てくれる。

 咲姫と話をして分かったが、どうやら音楽の道を行く人らしかった。もうユニットもありパフォーマンスもしているらしい。なんでも芸能プロダクションが絡んでいるとか何とか。有名人なのかな。まあ、咲姫が何者であれ、俺たち宇宙友達の絆が揺らぐことはないが。

 

 

「あ、咲姫ちゃん!こんなところにいた!」

 

 

 俺が咲姫と話している最中、校舎の方から薄黄色の髪色をした女子がやってきた。咲姫のクラスメイトだろうか。

 

「ノアさん……。どうしたんですか?」

「もう、今日はメイデンの皆で集まって今後の話し合いをするって言ったでしょう」

「今いい所だったのに……」

「いい所って…………咲姫ちゃん、この男は…………──そう、この男が」

 

 今まで俺の事が眼中になかったようだが、咲姫の一言で黄色髪がこっちに気づく。なんだろう、めんどくさい匂いがする。こいつ、さては何か内なる狂気を隠してるな?病み病み少女達を相手にしてきた俺にはわかる。こいつは面倒なやつだと。いざこざに巻き込まれる前にさっさと撤退しよう。

 

「咲姫のお知り合いも来たし、俺は教室に戻ろうかね」

「まほろさん……行っちゃうの……?」

「え?」

 

 え、何その目。そんな捨てられた子犬みたいな目しないでよ。抱きしめたくなるだろ。まったく、男にそんな目を向けたら何されるか分からないぞ。ハイエースされたって文句は言えない。だから咲姫は俺が護ります。

 

「咲姫、この人とメイデン会議?とか言うのがあるんだろ。行ってやれよ」

「まだ、まほろさんと一緒にいたい……。昼休みも始まったばっかり……」

「別に永遠の別れってわけじゃないんだから。ほら、行っておいで。俺は教室で待ってるから」

「…………分かった……」

 

 咲姫は渋々と言った様子で立ち上がり、黄色髪の方に向かって行った。

 

「行こ、咲姫ちゃん。もう、うちの事務所は恋愛禁止なんだから男には近づくなっていつも言ってるでしょ?」

「まほろさんはそういう人じゃ……」

「良いからほら、行くわよ」

「はい……」

 

 咲姫もどうやら苦労しているようだ。アイドル事務所は恋愛に厳しいと聞くが本当だったらしい。まあ、俺と咲姫は宇宙友達。恋愛なんて言う甘ったれた関係などではない。まあ、あの黄色髪はそこを理解出来てないようだけど。だいたい、俺を好きになる人なんて…………思い当たる節がいくつかあるが、まあ、ここを卒業する頃には俺への熱も冷めてるだろう。

 

 はぁ……。俺も恋、したいなぁ……。

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 結局、昼休み中に咲姫は戻って来なかった。メイデン会議というのが長引いたのだろう。放課後も1時間待ったが特に音沙汰はなし。また明日ってことだね。

 さてと、スマホの充電も少ないしそろそろ帰りますか。今日も母さん父さんは仕事で帰って来ないし、コンビニのおにぎり1個買って帰ろう。

 

 

「境まほろ、ちょっと待ちなさい」

 

 

 俺が教室を出ておいとこさ下駄箱にやってくると、待ち伏せしていたかのように昼の黄色髪が現れた。うわ、めんどくさい匂いがぷるんぷるんする。昼も今も俺の本能がこいつには関わるなって言ってるんだよ。

 

「そんな嫌そうな顔しないでくれる?私だって貴方に話しかけるのすっっっごく嫌なんだからね」

「じゃあ今日はもうお開きで。ごめん、愛する妻と子供が家で待ってるんだ」

「あなた高一でしょ。はぁ……ふざける癖があるって言うのは本当のようね」

「おちゃらかすのは場を和ませるのにちょうど良いんだ。マドモアゼルもご一緒にどう?」

「遠慮しとくわ。あなたみたいにはなりたくないもの」

「手厳しい」

 

 初手安定の嫌われ。咲姫の知り合いらしいし、なんなら同じ事務所なのは昼休みに分かったけど、恋愛禁止だっけ?俺と熱愛報道されるのが嫌で早く別れたいのかな。まあ、俺もこのめんどくさそうな人とデキてる報道されるのは嫌だね。ていうか嫌なら最初から近づくなよ。

 

「で、お団子黄色ちゃんは俺に何用ですかい。愛の告発ならまた今度にしてくれ。弁護士が準備できてない」

「貴方に言いたい事があって来たの。咲姫ちゃんに関することよ」

「咲姫に何かあったの?」

 

 咲姫……もしかして俺と咲姫の宇宙友達の関係が何か気に食わないのだろうか。あ、仲間になりたいのかな。なら黄色髪ちゃんも宇宙を持てば良いよ。愛する心、大切なものを想う心、その気持ちをビッグバンさせれば宇宙になる。まあ、黄色髪ちゃんは仲間になりたそうな目はしてないけど。

 

 

「単刀直入に言うわ。もう咲姫ちゃんに近づかないで」

 

 

 咲姫ちゃん近づかないで……咲姫ちゃんとあなたが一緒にいるのを見るとモヤモヤするの……咲姫ちゃんは私の…………という事だろうか。もしかして俺は恋路の邪魔をして……いやーガチレズに会うとは思わなかった。でもこいつ、ガチレズにしては怖い顔してんな。今の黄色髪ちゃんには女すらも近寄らなそう。

 

「咲姫と俺を引き剥がしても、宇宙友達のコズミックエナジーが誘引し合って巡り会うよ。やめとけ、俺と咲姫の宇宙的運命糸には何人たりとも抗えない」

「なっがいおふざけをありがとう。クソムカつくわね」

「それで、真意を聞いても?」

 

 この女、敵を見る目をしてやがる。真秀としのぶが決闘した時と同じ目だ。

 

「貴方と咲姫ちゃんが出会ってから、咲姫ちゃんは変わった。昼休みになれば颯爽とウキウキしながらどこかへ行くし、放課後一緒に帰っている時もいつもニコニコして上の空。たまに屋上で貴方の作った音楽を聞いて勉強し、レッスンは以前の2倍動くようになった。全部あなたのせい。咲姫ちゃんはまるで恋する乙女のようになってしまった」

「割といい事尽くしじゃん。やることやってるし見守れば?」

「うちの事務所は恋愛禁止なの。わかる?」

「バレなきゃ犯罪じゃないって言葉を知ってるかいレディ?」

「その言葉を聞いて余計貴方に咲姫ちゃんを任せられなくなったわ」

 

 おー怖い。俺と咲姫は宇宙友達だって咲姫から聞いていないのだろうか。恋人とかいう器に入り切らないほど宇宙友達というのは深い絆で結ばれてるんだぞ。

 

「だいたい、咲姫は俺をそういう目で見てないさ」

「じゃあ、咲姫ちゃんのこの変化はなんなのよ」

「特別な人が見つかった喜んでるだけだ。宇宙が見えるのって珍しいらしくてさ。それではしゃいでるんだよ」

「結局、恋と変わらないじゃない」

「はー、これだからトーシロは」

「あ゛?」

 

 うわ、女の子から出ちゃいけない声が出た。ガチギレだ……と思ったら、黄色髪はぷりぷり怒りながらおもむろにポッケから手帳を取り出した。

 

「境まほろ、貴方の事について調べさせて貰ったわ。まず、色んな女の子を侍らせているようね。毎日毎日違う女の子とお楽しみしてるそうじゃない。最っ低」

「6月の新特撮番組リーク情報並に信憑性が薄い情報をありがとう。俺はただ遊びに来た女の子と遊んでるだけ。そこにふしだらなものは一切ない。OK?」

「あなたを好きな女の子がいつも戦っているそうね。咲姫ちゃんも巻き込むつもり?」

「は?死んでも守るが」

 

 咲姫は興味本位でむに真秀煽り合戦やしの真秀決闘に近づいて行きそうだが、そこは俺が制御するので任せて貰いたい。

 

「貴方のライブ映像を見せて貰ったけど、まあ酷いものだったわね。自分の顔の良さを利用して甘い言葉をかけて、会場の女子から黄色い歓声を浴びて。承認欲求を満たすだけのライブは楽しかった?」

「あのライブは楽しかったよ。いつもパソコンとにらめっこしてたからああやってステージではしゃぐの良い発散になった。承認欲求はYouTubeで満たされてるからなー……あのステージで欲求満たしたかと言うと」

「幼なじみがあんなに貴方を愛しているのに、貴方は他の女とイチャコラと。神経大丈夫?」

「俺も真秀を愛してるからお相子だね」

「そうやって色んな女の子に愛してるって言ってるのも情報通りね。クソホストが」

 

 ホストに大金持ち逃げでもされたのだろうか。黄色髪ちゃんが人には見せられない顔をしている。

 

「黄色髪ちゃん、もしかして男嫌い?」

「ええそうね。男は嫌いよ。ゴツイし、声は野太いし、ろくな奴がいないし、無駄に騒ぐし、不真面目だし、何より、可愛くない」

「あー……もしかして、咲姫が言ってた可愛いもの狂いの福島ノア先輩?」

「名前呼ばないで。気色悪い」

 

 憎悪に満ちた顔してんなぁ……。男をよく思ってないし、その中でも俺を特に嫌ってるらしい。

 ノア先輩は俺に憎らしい視線を送りながら、今さっきまで持ってた手帳をしまった。そして語りだした。

 

「私もね、出来れば咲姫ちゃんの恋は応援したい。なんなら影でこっそり付き合うぐらうなら良いかなって思ってた。だけど、まさか相手が貴方みたいな人だったなんて。私は認めないわよ。だから、これ以上咲姫ちゃんが道を間違えないためにも貴方には咲姫ちゃんに近づかないで欲しい」

「俺と咲姫が離れるのはもう無理だと思うぞ。出会っちまったからな。忘れもしませぬ、あれは拙僧が咲姫殿に声をかけられた時の事──」

「ふざけてると殴るわよ」

「せめてそこはビンタにしよう?」

 

 この女、ちと暴力的ではなかろうか。咲姫に近づくなとか、間違えだらけの俺の情報を使った暴言とか、人として終わってる。咲姫を守るためなら何してもいいとか思ってそう。

 

「咲姫が俺に惚れてるとして、それが俺に近づく理由なんだったら1ついい方法があるぞ」

「一応聞いてあげる」

「何、早い話だ。俺とノア先輩が付き合えば良い」

「…………はぁ!?!?」

 

 うっわ、めっちゃ嫌そうな顔してる。こんなに嫌そうな顔は真秀がお化け屋敷に行く時以来に見るな。いや、嫌そうというより……単純に驚いてる?

 

「俺とノア先輩が付き合えば咲姫は諦めて身を引く。俺も長きに渡る恋人戦争に終止符を打てる。win-winだ」

「つ、付き合うって……それは……その……そういう事はするの……?」

「ノア先輩が望むなら、俺はいくらでも応えますが」

「ぴゃっ」

 

 さてはこの人、性関連に羞恥を覚えるタイプだな。顔が真っ赤だ。うちの真秀を見習った方がいいね。こないだなんてまた真秀が俺の手でオナニーしたんだよ。本人はバレてないと思ってるらしいけど、どうにかならんかね。

 

「どうする、咲姫を守るか、咲姫を俺に渡すか。簡単な選択だろ?」

「あの……その……あぅ……」

 

 はぁー、さっきの威勢はどこいった。関西に威勢が出張したか。真秀のハイライトもよく出張するんだよ。出張仲間だね。あ、今度真秀に会う?多分殺害エンドになるけど。真秀にかかればノア先輩なんて片手でひねり潰されるよ。真秀こっわ。

 

「まあ、冗談はここら辺にして」

「じょうだん……冗談だったの!?」

「え、まじだと思ったの?」

「咲姫ちゃんを守るためならって思って……」

 

 ノア先輩、本気で俺と付き合う選択をしようとしてたらしい。どんだけ咲姫を守りたいんだ。いや、大切な人を守りたいのはわかるけど。

 

「咲姫は絶対に俺の事をそういう目で見てないよ。だから、ノア先輩が心配するような事は起きない」

「咲姫ちゃんを汚さないって神に誓える?」

「おう、誓う。もし破ったらノア先輩の舎弟になってやるよ」

 

 誓いを破った時のために覚悟と慰謝料の準備をしておこう。この人なら俺を訴えるぐらいのことはするだろうし。女って怖いな。やっぱホモになるしかないじゃん。

 

「ていうか、ノア先輩の方が咲姫を襲いそうじゃん?あんた、咲姫の事大好きだろ」

「ま、まあ?咲姫ちゃんは可愛いし美少女だし天使だし?この世のものとは思えないほど顔が整ってるし、不意に私にデレるしでも私に反発することもあるけどそういうところも可愛くて──」

「咲姫がノア先輩の事大切だって言ってたぞ」

「ほんと!?!?!?」

 

 うわ、咲姫がノア先輩(及び仲間の皆さん)を大切にしていると伝えた瞬間、ノア先輩の目の色が変わった。さすが可愛い狂いは格が違うなぁ。むにとかしのぶとかに会わせたら発狂して倒れるんじゃなかろうか。その時はしのむにを眺めながら真秀とお茶しよう。

 

「咲姫は皆の事を考えてる。だから、男と付き合うとかいう馬鹿なことはしないし、俺を選ぶなんて言うアホな真似もしないよ。安心しな」

「そう……そうよね。咲姫ちゃんは賢い子だからあんたみたいなクズ男を選ぶわけないわよね」

「でしょでしょ。だからノア先輩は安心して咲姫と百合営業してれば良いんだよ。何も問題はない」

 

 ノア先輩も納得してくれたし俺もそろそろ帰れるかな。ちょっと俺の事誤解してるけど、まあ、いつか疑いは晴れるだろう。俺はさっさと帰りたいから容疑を晴らすのはまた今度だ。

 

「じゃ、俺はこれで。咲姫に俺のクズ男ぶりを教えといてくれ。もしかしたら俺に近寄らなくなるかもしれないぞ」

「!……そうね。咲姫ちゃんは何故か貴方に懐いてけど、これで咲姫ちゃんを解放させてあげられる……!さっそく咲姫ちゃんに連絡を──」

 

 ノア先輩がスマホを取り出す。きっと咲姫に俺のクズ男レジェンド列伝を語ることだろう。そういえばノア先輩、左鼻穴から鼻くそがつっかえてる音がしたなぁ。今度あったらハナノア勧めとこ。福島ノアのハナノアの穴洗浄、激うまギャグ(木枯らしが吹く音)

 

 

 ────

 

 

 帰宅……と言いたいところだが、ちょっと野暮用があって明石家にやってきた。真秀に用があるので真秀の部屋に行くと、何故か真秀が包丁を研いでいた。子供でも食べるのだろうか。山姥かよ。

 

「真秀、何してるの?」

「これから福島ノアを殺しに行くんだよ。止めないで。私は今、冷静さをかこうとしてる」

「もう冷静さ失ってない?ていうかまた盗聴器仕掛けたな?」

「最近はまほろの周りをうろちょろする女が増えたからね。監視のためだよ。それに盗聴器を仕掛けて正解だった。私の敵を見つけられたから」

 

 その敵とは間違いなくノア先輩のことだと思うけど、何が真秀をそこまでさせるんだろう。目がむにを殺す時以上に滾っている。ハイライトもない。だいぶ琴線に来ているようだ。

 

「福島ノアめ……まほろの事をクズ男だのなんだの散々なこと言いやがって……ポッと出のくせに……まほろの事何も知らないくせに……殺してやる……両手の爪1枚ずつ剥いで皮膚もゆっくり剥がした後に硫酸かけてから四肢切断して最後に心臓を──」

 

 えげつないこと考えてるなぁ……。これは早く止めないと真秀がガチめな犯罪者になってしまう。真秀を止められるのは俺しかいない。頑張れ俺、負けるな俺。

 

「真秀、俺は別にクズ男って言われたって良いんだ。悪口陰口ぐらいじゃ俺は傷つかないさ」

「まほろが許しても私が許さない。まほろの悪口を言うやつは消さないといけないんだ」

 

 仮にノア先輩が俺に好意的だったとしても消されてたと思うが、俺を嫌うやつはもっと許さない、そういう事なんだろう。手強い。エアーマン並に手強いな今日の真秀。

 

「はぁ……。真秀、おいで」

「……なに、今の私はまほろのハグ程度じゃ止まらないよ」

「それでも良いから。おいで」

「…………分かった」

 

 真秀を優しく抱きしめて、背中を撫でた。機嫌の悪い子をあやすにはこれが1番効くって俺は幼女真秀ちゃんで学んだんだ。

 

「真秀は、なんのためにノア先輩を殺すの?自分が不快になったから?」

「まほろを守るために殺すんだよ。まほろが嫌な思いをしないように……私の大切なまほろが傷つかないように……」

「ノア先輩もさ、俺が咲姫を汚すかもしれないって心配だっただけなんだ。咲姫を守ろうとしただけ。真秀も聞いてただろ?あの人、咲姫を守るために大嫌いな俺と付き合おうとしたんだ。真秀なら、ノア先輩の気持ちが分かるだろ?」

「……でも、だからってまほろの悪口を言っていいことにはならない」

「それは誤解された俺が悪いだけ。きっといつか分かり合える。この話はそれでお終いなんだ」

 

 ノア先輩も俺が色んな女の子に手をかけてるとか、ライブで女に媚びを売ったとか酷い勘違いをしてたけどきっといつか分かり合える。人類とELSだって分かり合えたんだ。人と人が理解し合う事だってできるはず。

 

「きっと人を殺したら真秀の心は死んじゃうよ。俺は優しい真秀を守りたい。だからやめよう?こんな事。分かり合う道を選ぼうよ」

「……まほろがそこまで言うなら……分かった。拳で対話する方向に変更する」

「まあ、それで良いか」

 

 案外、一発叩いたらブラウン管テレビみたいにノア先輩の思考もマシになるかもしれない。つまりノア先輩は昭和頭。

 さて、真秀とも分かり合えたことだし俺も本来の目的を果たすかね。そろそろハグも解除して良いだろう。

 

「話がまとまったところで。真秀にお願いがあるんだ」

「何?私と交際したいとか?ついに結婚する決心してくれた?」

「実は父さんと母さんにご飯の量が少ないって怒られてさ。ちゃんと食べろとお金を渡されたんだ。でも、ファミレスじゃ量が多いし、かと言ってちょうど良い量のご飯を作ろうにも作れないしなので、真秀に料理を教えわりたい」

「じゃあ、私が作るよ。任せて。まほろのお腹の容量は把握してるから。ギリギリお腹いっぱいになるぐらいのご飯作ってあげる」

 

 いや、俺が作りたいんだけど。真秀と結ばれず永遠に孤独√を辿った時のために、料理を覚えておきたくて真秀に指導をお願いしたのに。これは将来俺に孤独餓死をさせるための真秀の巧妙な罠……。

 

「将来のために俺も料理したいんだけど」

「まほろのご飯は一生私が作るから。任せて!」

 

 真秀の優しそうな笑顔。おいおいおいドキッとしちまったよ俺。プロポーズされちゃった。さっきまで人を殺そうとした人の笑顔とは思えない。一周回って可愛い。いや、真秀は一周回らなくても可愛い。誰か貰ってあげて。俺にはもったいない。

 

「何食べたい?」

「魚が食べたいでござる」

「分かった。冷蔵庫に秋刀魚があったから今日はそれにしよう」

「わーい」

 

 

 この後、真秀の秋刀魚定食を食べた。バチくそ美味かった。嫁力高ぇなー。ほんと、俺が絡まなければ完璧な女の子なのに。どうして人を殺めようとする女の子になってしまったのか…………俺のせいか。泣けるで。

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