最初はゆるい百合をこうと思ってたのですが・・・どうしてかこうなったのか・・・『あなたの理想のヒロイン』がもしもアニメ虹ヶ咲の世界で生まれるなら・・・という妄想が膨らんでしまいました。少し読みづらい部分があるかもしれませんが、多目に見て下さいm(__)m
ゆるい百合?ありのしずかすです。時系列的にはアニメ虹ヶ咲の13話の少し後でしょうか。よければ読んでみてください。ちなみに、本編を読む前に白いマーガレットの花言葉を調べておくといいかも・・・?
それでは本編へどうぞ
皆さんこんにちは、桜坂しずくです。最近、私には2つの悩みがあります。1つは私自身のことで、もう1つはとある『彼女』のせいというかおかげというか・・・そして今、私はその『彼女』と待ち合わせをしているわけなんですが
「遅いな・・・」
もう待ち合わせの時間から30分も経っているけど、連絡は一向に無い。
もしかして、私との約束忘れてる?ううん、流石にそれは無いはず、昨日だって「また明日」って言って別れたんだもん。
それとも、楽しみにしてたの私だけだったのかな・・・今朝だって楽しみで早くに目が覚めて、服だって1時間かけて頑張ってお洒落してきたのに・・・それともまさか何かトラブル・・・?
そんなことをぐるぐる考えていると、後ろからとっても聞きなれた声が聞こえてきた。
「しず子~!ごめん~!」
あーもう、やっときた・・・こっちに走って来る『彼女』こと中須かすみさんが見えて、疲労感やら安心感やらが押し寄せてくる。何はともあれまずはお説教を
「はあ・・・はあ・・・ごめん、服選ぶのに時間かかっちゃって・・・」
・・・ふーん、そんなに時間をかけてお洒落を・・・確かに今日のかすみさんは可愛いな・・・ってダメダメ、今私は怒ってるんだから。
「しず子~・・・」
うう、可愛い・・・かすみさんめ・・・
涙目+上目遣い(多分わざと)で見られると怒るに怒れない・・・はあ・・・でも
「もー・・・次同じことしたら怒るからね?」
「流石しず子~!信じてたよ~!」
「うんうん、じゃあお昼ご飯奢ってね♪」
「しず子!?」
やっぱり慌ててるかすみさんの方が可愛いよね♪
◆◆◆◆◆
「ね~しず子~機嫌直してよ~」
「・・・別に怒ってないよ?」
ほんとに怒ってるわけじゃない。
ただ、近頃かすみさんの側にいると、なぜだかわからないけど緊張してしまうのだ。
そのせいか、最近の私とかすみさんの距離感は時々微妙だったりする。それが今の悩みの1つ。
こうなったのはやっぱり・・・「あの時」のせいだよね。
『私は!!桜坂しずくのことが大好きだから!!』
「あの時」がフラッシュバックして胸がドキッと跳ねる。
かすみさんは塞ぎ込んでた私を励まそうとしてくれただけなのに・・・私はなぜだか変に意識してしまうのだ。
そしてそれは、かすみさんも同じなんじゃないかなって思う。
今だって、普段のかすみさんならこんな風に顔色をうかがったりなんてしない。ガバーっと抱き付いて、許してくれるまでおねだりするのがいつものかすみさんだ。けれど彼女は今、控えめに私の裾をちょこんとつまみながら私の後ろを付いてきている。
「ほんとに~?」
「もう、だから本当だって言っ・・・」
思わず振り向くと、至近距離にかすみさんの顔。
「・・・」
「・・・」
何とも言えない空気が流れる。
「・・・」
「・・・」
「・・・どこ行こっか?」
「・・・え、あ、えーっと、しず子は行きたいとこある?」
「私は特に・・・」
「じゃあさ、ちょっと私行きたい所あるんだけど、いい?」
「うん、いいよ。どこ行くの?」
「ふっふっふ~それ着いてからのお楽しみ~」
「む~」
◆◆◆◆◆
「じゃじゃーん!ここです!」
「・・・アクセサリーショップ?」
「そう!・・・前にしず子にヘアピン貰ったじゃん?それのお返しがしたいというか・・・」
「そんな!あれは相談にのってくれたお礼だから・・・別にお返しなんて」
「そ、そうだけど!・・・私もしず子に私が選んだのを着けて欲しいというか・・・」
「かすみさん?」
「とにかく!かすみんが選んであげるって言ってるんだからいいの!」
「ちょっ、わかったから押さないで!」
かすみさんに押されてお店の中に入ると、たくさんの綺麗なアクセサリーが目に飛び込んできた。
「わあ・・・すごい・・・」
「でしょ~?かすみんのお気に入りの場所なんだ ~」
数えきれないほどたくさんの色や形をしたアクセサリーがあって、しばらく眺めている内に、結構な時間が経っていた。
ふと気がつくと、かすみさんがなにやら店員さんと話し込んでいるのが見えた。
「・・・はい、それで花言葉は・・・」
「・・・です!これにします!」
「あ、でも色によって意味も変わっ・・・」
「しず子~!」
店員さんはまだ何か言おうとしてたけどかすみさんは気づかずに私の所へやってきた。
「これ!いいと思わない?」
かすみさんが差し出したのは、白い花のヘアピン。シンプルだけどよく作り込まれていて、とても綺麗だった。
「綺麗・・・」
「でしょ!ちょっと着けてみて!」
「うん・・・はい」
「うん!やっぱり白似合う!しず子っぽい!」
「・・・私っぽい、か・・・」
「しず子?」
「ううん、なんでもない・・・でも本当に貰っていいの?」
「あったり前じゃん!このかすみんが選んだんだから、貰ってくれないと、コッペパンの刑だから!」
「ふふ・・・なにそれ・・・じゃあ貰うね」
ヘアピンを受け取り、感謝の気持ちを伝えようと、改めて笑顔とお礼の言葉を向ける。
「かすみさん、ありがとう」
「っ・・・!しず子、ほんとそういうとこ・・・!」
「え?」
「なんでもない!次どこ行『ぐ~』」
「・・・ぷっ・・・お腹すいたね、お昼にしようか?」
「今笑ったでしょ!?」
「ふふふっ、笑ってないよ?」
「思いっきり笑ってるじゃん!・・・だって、今日朝ごはん食べてる時間無かったし・・・」
「ごめんごめん、それで、何食べる?」
「ん~なんか甘いもの食べたい気分」
「あ、じゃあさ、前行ったパンケーキ屋さん行かない?」
「いいね!それじゃ、レッツゴ~!」
「そういえばかすみさん、これ何の花なの?」
「さっき笑ったから教えない~」
「え~?」
◆◆◆◆◆
「やっぱりいいお店だね、かすみさんは何頼む?」
「かすみんは~かすみんらしく~どびっきりキュートなパンケーキ頼んじゃおっかな~?」
「・・・らしく・・・」
「しず子?」
「え、あ、なに?」
かすみさんは私の顔をジーっと見つめると小さく溜め息をついた。
「ねえしず子、なにか悩み事あるんでしょ」
「・・・わかるの?」
「そりゃあかすみんとしず子の仲だし、それにしず子、『あの時』と同じ顔してたもん」
「そっか・・・でも大丈夫だよ、そんな大したことじゃないし、かすみさんが心配するほどの、痛っ」
言い終わらない内にデコピンされた。
「隠すのは無しって言ったじゃん」
「ごめん・・・」
「分かればいいの、それで、どうしたの?」
「・・・かすみさんは、『自分らしさ』って何だと思う?」
「自分らしさ?」
「うん、私ね、かすみさんや同好会の皆に背中を押して貰って、もっと本当の自分を見せよう、見せたいって思うようになったの・・・でもね、『演じる』ことをしてない本当の私の魅力・・・本当の『自分らしさ』って何なのかが分からなくなっちゃって・・・『演じる』ことがスクールアイドルとしての私の魅力になってたんだとしたら、本当の私を見せようとするのは、今までのスクールアイドルとしての『自分らしさ』を失くすことになるんじゃないか、ステージで輝けなくなるんじゃないかって・・・ううん、違う」
一度口にしてしまうと、堰を切ったように感情が溢れて言葉が止まらない。
「きっと、どれだけ上手に『演じる』ことが出来ても、それはどこまでいっても[[rb:偽物 > フェイク]] で、[[rb:本物 > リアル]]には遠く及ばない・・・私が今まで思ってた『自分らしさ』は本当の『自分らしさ』じゃなかったんだよ。かすみさんやせつ菜さん、同好会の皆は、ありのままの自分を全力でさらけ出してて・・・だからステージでとっても輝やいて見えて・・・それが『自分らしさ』なんだって・・・だから、私も偽物じゃない、本物の『自分らしさ』を」
「しず子」
静かだけど、力強い声が私の言葉を遮る。かすみさんを見ると、真剣な表情で私を見ている。そして、ゆっくりと言葉を紡ぎ出すように話し始めた。
「・・・しず子の言ってること、全部は分からないけど・・・なんとなく分かる。きっと、しず子はスクールアイドルとしての自分と役者としての自分の間で悩んでるんだと思う」
「役者としての自分・・・?」
「うん、だってステージで『演じる』ことができるのは役者であるしず子だからこそなんだよ。かすみんにはそんなことできなくて、いつも全力でぶつかるだけ・・・だから、そうやって悩めることができるのは、正直、羨ましい」
「かすみさん・・・」
「しず子は『演じる』ことは嫌い?」
「そんなことない!・・・でも、スクールアイドルとして・・・」
「もし、かすみんやせつ菜先輩が輝いて見えるんだとしたら・・・それは、自分の好きなものを、見てくれる皆に、世界中に届けたいって気持ちが強いから、だと思う。かすみんは『可愛い』が大好きで、もちろんかすみんだって可愛くなりたいし、見てくれる人全員に『可愛い』を届けたい!・・・それが出来るのがスクールアイドルだってかすみんは信じてる。だから、好きなものは我慢しなくていいし、好きだって思う気持ちの強さが、きっと、しず子の言う『自分らしさ』になるんだよ」
「・・・確かに、かすみさんの言う通りかも・・・」
「ていうか!しず子だってステージの上ですっごい輝いてるし!清楚だし可愛いし・・・とにかくすっごい魅力的なんだから!・・・かすみんの次に、だけど!」
かすみさんは両手で私の顔を挟んでにひっと笑った。
「ぷっ・・・ふふっ・・・あはははははっ!」
そっか、そうだよね、ずっと身近にあって、けれどいつの間にか忘れてしまっていたこと。
私は、スクールアイドルもお芝居も、どっちも大好き。
[[rb:本物 > リアル]]か[[rb:偽物 >フェイク]]かなんて関係ない。
だって、私のこの気持ちは世界にたった1つだけだから。
「すいませーん!マウンテンパンケーキください!」
「ええ!?しず子!?」
「好きなものは、我慢しなくていいんだよね?」
「そうだけど!そうじゃない~!」
「いざ!かかれ~♪」
「しず子ぉぉ~~~!!」
「流石に2人は無理があったね・・・気持ち悪い・・・」
「でも完食した・・・かすみん大勝利・・・」
「・・・かすみさん、今日はありがとう」
「別に、私としず子の仲じゃん・・・ちょっ、しず子重い・・・後、恥ずかしい」
「私とかすみさんの仲でしょ?」
「・・・ちょっとだけだからね」
◆◆◆◆◆
私は、『演じる』ことが好きだ。
なんでもない普通の私が、なんにだってなることができる。
そして、たくさんの人に夢を、理想を届けることができる。
だから、これからも届けていこう。
私の歌で、私だけの、[[rb:偽物 > リアル]]で。
「しずくさーーーん!!ファイトーーーー!!」
「しずくちゃーーーん!頑張ってーーーー!」
さあ、幕が上がる。
この歌は、未来に向けた私の決意。
「しず子ーーー!!頑張れーーー!!」
そして、私の特別な『あなた』へのーーーーー
「聞いてください、『あなたの理想のヒロイン』」
◆◆◆◆◆
「しずくちゃん!もう最っっ高だったよ~!」
「あ、侑さん」
「今日のしずくちゃん、いつもよりもキラキラしてて、すっごい輝いてた!」
「ふふ、ありがとうごさいます」
「ってあれ、しずくちゃんそのヘアピン・・・」
「ええ、かすみさんから貰って」
「綺麗だね~この花は・・・マーガレット?」
「そうなんですか?かすみさん、結局教えてくれなくて」
「これは・・・かすみちゃん知ってるのかな・・・」
「?」
「あら?どうしたの?」
「果林さん!」
「しずくちゃんお疲れ様。とってもいいステージだったわ」
「ありがとうございます」
「あら、そのヘアピン・・・マーガレットかしら?マーガレットには色によっていくつか花言葉があったはず・・・一般的な花言葉は『信頼』ね。そして、確か白いマーガレットはーーー」
「あっ、ちょっ、果林さ・・・」
「しず子~!お疲れ様!すっごいよかったよ~!・・・ってなんで逃げるの!?」
「これは・・・悪いことしちゃったかしら・・・」
「果林先輩、どういうことですか~!?」
「かすみちゃん、しずくちゃんにヘアピンあげたんだよね?」
「侑先輩!そうなんです~!かすみんがとびっきりキュートなヘアピンを選んであげて・・・」
「ちなみに、白いマーガレットの花言葉って知ってる?」
「へ?もちろん知ってますよ!『信頼』ですよね!・・・えへへ、ちょっと恥ずかしいんですけどね」
「一般的にはそうなんだけど・・・マーガレットは色によって意味が違ってね?かすみちゃんの選んだ白いマーガレットの花言葉はーーー」
その後、私とかすみさんが普通に話せるようになるには1週間ほどかかりました。