パワポケSS断片集 作:艶 紫苑
レッド×和那 寝取られ注意です
「ある方と戦って、負けたんや」
彼女は、なぜか嬉しそうにそう言った。
「ボコボコにされて、ウチは最近暴走気味やったなって反省したわ。あの方に楯突くなんて、ほんまアホやった」
ボコボコにされたというわりには、うっとりとした表情で語っている。
頬は赤に染まり、大きな体をもじもじとくねらせて、まるで大好きな人のことを考えて悶える乙女のようだ。
「ボコボコにされたのに、なんでそんなに嬉しそうなんだ」
「暴走を止めてもらえたから、かな?おかげで目が覚めた。それに、強い人にめぐりあえて、拳を交えることができたのも嬉しい。体をぶつけあって、胸を借りて…結果はボコボコやけど…なのに、なんでこんなに嬉しいやろ?アカン、これじゃウチ、ボコボコにされて喜ぶ変態みたいやん!…自分でもようわからんわ」
彼女はごまかすように笑った。
「あ、そうや、これ見て」
変身と、ヒーローらしい台詞とともに彼女の体が黒いものに包まれた。
漆黒のヘルメット。漆黒のスーツ。
「わがまま言って、ちょっとデザインを変更してもらったんや。どう?似合う?」
「ヒーローっぽくていいんじゃないかな」
素直な感想を言う。
「これで、レッド様とおそろい♥角は耐久性だかなんだかの問題でつけれんかったけど、ないほうがええかな。レッド様に人間に戻してもらった証っちゅうことで♥ああ、もう、身も心もセイバイされてもうたわぁ♥ウチも結局女やったんやなぁ」
何を言っているのか、さっぱりだった。
「タフでクールなナイスガイと改心した鬼、この二人が組めば敵なしやね」
彼女はにやりと笑った。
こちらは完全に置いてきぼりだ
「ウチとレッド様の戦いが終わりかけたとき、漁夫の利狙いの敵が出てきたんや。そいつはどうやらウチをつけてたらしい。そいつが出てこんかったらウチはまだ悪あがきを続けてたやろうなぁ。
戦いを中断して、二人で敵を倒すことにした。ウチはボロボロで動けんかったのに、レッド様はぴんぴんしてた。きっとウチには手加減してたんやね。もうちょっとで勝てるかもなんて思ってた自分が恥ずかしなったわ。
真剣勝負のはずやったのに、手加減されてたっちゅうのはちょっとイラッとしたけど、それはウチの実力不足のせいやし。もっと強くなって、いつかレッド様と本気で手合わせしてみたいなぁ♥
で、漁夫の利狙いの敵は、ほぼほぼレッド様ひとりで戦って……あれは共闘とは言えん、完全にレッド様に護ってもらった形や。あの大きな背中、卑怯な敵を一喝して、必殺技を決める姿。ああ、もうキュンキュンしたわ。」
彼女がちらりとこちらを見る。
冷笑に見えて、ゾクッと背筋に冷たいものが走る。
「ウチもいちおう女の子やし、護るより、護ってもらえる方が嬉しいわぁ♥」
ヒーローの姿でも思い浮かべているのだろうか。
とろけそうな笑顔で虚空をみつめている。
なにも言い返せない。
レッド様、レッド様、と彼女の口から甘い声がこぼれる。
「なんだよ、レッド様、レッド様って…。俺じゃダメなのか」
「あんたはウチの暴走を止めてくれんかったやん」
「それは…」
「あんたがウチを護れるとも思えんなぁ」
「そんなことはない!」
「じゃあ、いまからウチとやってみる?」
「なっ…」
「あ、やるいうても、あれちゃうよ。」
彼女が艶やかな笑みを浮かべる。
いつからこんな大人びた表情をするようになったんだろうかと、びっくりする。
「喧嘩。やってみる?」
「なんで喧嘩することになるんだ」
「確かめるんや。ウチと喧嘩して負けるようなやつがウチを護れるはずがないやろ。どうする?やるか?」
青年はプロ野球選手、体にだって自信はある。
だが、青年よりも高い身長、死線をくぐり鍛え抜かれた肉体、さらには超能力まで持っている彼女に勝つ自信はなかった。
「なーんてな。冗談や。」
「待て!ここまで言われてひきさがれるか!」
「え?ほんまにやるん?ええけど、レッド様がウチにしてくれたみたいに上手に手加減できるかなぁ」
「なに!?」
「たぶん無理やわ。野球もしばらくできへんようになるかもしれんから、覚悟してな」
「くっ…」