ラストスタリオン   作:水月一人

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彼と彼の事情

 リブレンナ川の決戦を経て、戦争もいよいよ本格的になってきた……かと思いきや、鳳たちの滞在するここヴィンチ村は、至って平和な日々が続いているのであった。

 

 首都に近いこの村は、戦場から遠すぎて戦火に見舞われることもないので、まるで実感が湧いてこないのだ。初めてオークが現れた時の大騒ぎも今は昔、何が原因だったのかはわからないが、たまたまだったと結論して、村は平常に戻っていた。

 

 そんなぬるま湯につかったような日々の中で、鳳パーティーは経験値が入らず、停滞感が否めなかった。このままじゃ無為に時間が過ぎていくだけであると考えた各人は、そんなわけで、それぞれ自分なりのスキルアップを始めていた。

 

 例えばジャンヌは近所の道場に出稽古に行くようになり、ギヨームは村の牧場でバイトをしていた。意外にも彼は将来牧場経営をしたいらしく、今から経営を学んでいるのだそうだ。

 

 メアリーはルーシーと共に、レオナルドの授業を受けていた。老人に言わせれば、彼女はルーシーと違って極めて真面目な生徒のようだが、残念ながら現代魔法の才能はなかったらしい。天は二物を与えないのかと思いもするが、考えても見ればメアリーは神人であり、古代呪文はガンガン使えるのだから別にいいのだろう。

 

 マニは鍛冶屋に正式に弟子入りした。最初こそ、獣人に鍛冶仕事なんて出来ないと渋っていた親方であったが、マニの吸収の早さを目の当たりにし、今ではすっかり気分を良くしているらしい。もう暫くしたらキャラバンと共に別の土地へ行ってしまうそうだが、それまでは出来る限り仕事を教えてくれるそうである。

 

 他にも、夜になるとギヨームから文字を教わったり、レオナルドからは解剖学の講義を受けたりと、充実した毎日を送っているようだ。人の世界に留学したいと言っても、最初はどうなることかと思っていたが、ガルガンチュアに彼のことを頼まれていた鳳はホッとした。きっと里帰りした彼を見れば、ガルガンチュアも喜んでくれるだろう。

 

 因みにその鳳はと言うと……だいたい毎日猫人と遊んでいる。用水路に釣り糸を垂らして魚釣りしたり、ガラスを溶かしてレンズを作ったり、火口用のチャークロスを作ったり、馬糞を固めて燃料にしたり。それらを使って火をおこし、バーベキューしたり……だいたい、そんな毎日である。

 

 鳳としてはいつ何があっても困らないように、サバイバル技術を磨いているつもりだったが、村人たちからはすっかり変わり者扱いされていた。とは言え、軽んじられているわけではなく、レオナルドの客人のくせに話しかけやすいから、割りとどこへ行っても良くしてもらえた。バーベキューをしていると、勝手に食材が集まってくるような、そんなポジションである。

 

 お陰で非常に充実した毎日を送っていたのであるが……それで経験値が入るわけでもなく、メアリーの夢の実現には程遠かった。と言うか、次は自分に経験値を入れてみようと思っていたのに、うっかりルーシーにあげてしまったから、鳳のレベルはまだ6のままである。

 

 そんなわけで、このままじゃいけないと思った鳳は、ある日の朝食後、パーティーのみんなが集まっているのを見計らって言うのだった。

 

「あのさあ、提案なんだけど、ちょっと首都の冒険者ギルドまで行ってみないか?」

 

 鳳の突然の提案に、出掛ける準備をしようと席を立ちかけていたジャンヌが答える。

 

「あら、どうしたの、突然?」

「うん。この村での生活も慣れてきたし、みんなそれぞれやること見つけて充実してるのはいいんだけど、俺達って冒険者じゃん? このままじゃレベルも上がらないし、一度原点に帰って、冒険者らしく依頼をこなしたほうがいいと思うんだ。ほら、ここに来てから、全然、共有経験値を得られてないじゃん?」

「言われてみれば、そうねえ……でも、どうして首都なの? 依頼なら、村のギルドでも受けられるじゃない」

 

 すると鳳はもちろん分かっていると頷いてから、

 

「冒険者ギルドが情報を共有しているのは知ってるよ。遠くで出された依頼もいずれこの村までやってくることも分かってる。でも、やっぱりタイムラグがあるじゃないか。例えばこの村にいる間に、大森林やヘルメス領の依頼を見かけることはなかっただろう? やっぱり、その土地の依頼は、その土地に住む冒険者に片付けられてしまって、中々こっちまでは回ってこないんだ。

 

 ここは比較的、首都に近くて多くの情報が集まりやすいが、でもやっぱり首都とは情報の量が違う。具体的に言えば、情報は一度首都に集まってから、周辺の村に流れていくわけだから、美味しい依頼は首都で片付けられちゃってて、こっちまで回ってきてないんじゃないかって思うんだよね」

「そうね……そうかも知れないわ」

「中には大森林で受けた南部遠征みたいな依頼もあるかも知れない。そういう高難度のクエストなら、今の俺達が受けても経験値が得られるかも知れないから、出来ればそういうのを探してきたいと思ってるんだ」

「なるほど、いいんじゃないか」

 

 鳳の提案を、コーヒーを飲みながら黙って聞いていたギヨームが言う。

 

「だが、依頼を受けるだけなら全員でゾロゾロ行く必要もないだろう。誰か代表して受けてくればいい」

「まあ、そうだな。言い出しっぺの俺は行くとして……ジャンヌ、お前は?」

「うーん……残念だけど、いきなりは無理ね。明日以降なら、日にちを決めてくれれば先生にお願いして休ませて貰うけど」

「そうか……ギヨームも忙しいようだし、ルーシーもマニも……まあ、駄目だよな。仕方ない、それじゃメアリー、二人で行こうか」

「私は嫌よ」

 

 鳳の言葉を、メアリーは即座に却下した。どうしてだろうと思いきや、

 

「首都って人が多いんでしょう? 私、知らなかったけど、神人って珍しいのね。この村ですらジロジロ見られるのに、都会なんかに行ったら参ってしまうわ」

「なんだ、そんなの気にしてるのか?」

「ツクモは自分のことじゃないからわからないのよ。よく知らない人からジロジロ見られるのって、かなりの苦痛なのよ。何考えてるか分かんないのに、こっちから話しかけるわけにもいかないし」

「そういうもんか……仕方ない。じゃあ、一人で行ってくるか。おまえら、俺がどんな依頼を受けてきても、文句言うなよ?」

 

 鳳がふてくされるようにそう宣言すると、それまで黙って聞いていたルーシーが、

 

「あー! そう言えば、ミーさんが今日はお休みで暇してるって言ってたよ! 暇つぶしに付き合ってって言われたんだけど、忙しいから断っちゃったんだ。きっと鳳くんが誘って上げたら喜んでくれると思うよ!」

「そうなの? 休みなんて聞いてなかったけどなあ……」

 

 昨日もギルドには顔を出したのに……鳳が首を捻っていると、ルーシーが畳み掛けるように、

 

「ミーさん、地元民だから詳しいよ! ギルドの場所だけじゃなくて、色んなところ案内してくれると思うけど」

「ああ、そういや首都出身だって言ってたな」

「せっかく勇者領に帰ってきたのに、まだ里帰り出来てないって嘆いてたから、連れて行ってあげなよ。可哀想だよ」

「そうか……それじゃ後でギルドに寄ることにするかな」

 

 鳳がそう呟くように言って、話し合いは終わった。

 

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 朝食後、ルーシーはレオナルドの講義をサボって、コソコソ館内を移動していた。壁に背を当てて慎重に足音を消しながら、周囲を歩き回る使用人たちに見つからないように、わざわざ認識阻害の魔法まで使っている。

 

 彼女を連れてこいと言われたメイドのアビゲイルが、キョロキョロしながら目の前を通り過ぎていく。ルーシーはその背中を見送ると、ニヤリとした笑みを漏らし、抜き足差し足しながら玄関の方へと向かっていった。

 

「おい、こら」

「ひゃっ!」

 

 しかし、そんな背中にぞんざいな声が浴びせられる。彼女は一瞬、レオナルドに見つかってしまったかと思い、背筋をピンと伸ばして振り返ったが、

 

「なんだ、ギヨーム君か。ここで何してるの?」

「なんだじゃねえよ。おまえこそ何してんだ? またレオの授業サボって逃げ出してきたのかよ」

「えへへへ~」

 

 ルーシーは悪びれもせずに笑っている。ギヨームはそんな屈託のない笑顔を見て、はぁ~っとため息を吐きながら、

 

「まあ、嫌がってるのを無理矢理やらすのもどうかと思うから黙ってるけどよ。館の外に出るつもりか?」

「うん、ちょっと村でやらなきゃなんないことが出来ちゃってね」

 

 ギヨームはそんな事を言うルーシーに向かって探りを入れるように、

 

「ふーん……やらなきゃいけないことって、ギルドに行くつもりか?」

「え? うん、そうだよ」

「やっぱりか……前々から思ってたけど、おまえ、鳳とミーティアをくっつけようとしてんだろう?」

 

 ルーシーは我が意を得たりと言った感じの笑みを見せながら、

 

「分かる?」

「まあな。普段からの行動を見てれば、なんとなく。でもおまえ、あんまやり過ぎんなよ?」

「え? ギヨーム君は反対なの?? 二人がくっついたら素敵だと思いませんか?」

 

 ギヨームはやれやれと肩を竦めて首を振りながら、

 

「思いませんねえ」

「どうして?」

「だっておまえ、そうなったらジャンヌが可哀想じゃねえか」

 

 ルーシーはその言葉に一瞬虚を突かれたような表情を見せたが、すぐに難しい顔をして腕組みしながら、

 

「……やっぱり、ジャンヌさんって鳳くんのこと好きなの?」

「じゃなきゃ、こんなパーティーに居るわけないだろ。見てりゃわかるじゃねえか、あいつが気にかけているのは、いつも鳳のことだけだろ」

「うーん……うん」

「なのにおまえ、鳳が女を作ってイチャイチャし始めてみろ、居心地が悪くなって、下手したらあいつパーティーから抜けちまうぞ。そしたらどうすんだよ、おまえ、ろくな前衛が居なけりゃ、俺達みたいなパーティーはおしまいだぞ。おまえみたいのをサークルクラッシャーっつーんだ、サークルクラッシャーと」

 

 それはちょっと意味が違うんじゃないかなと思いつつも、ルーシーもギヨームの言ってることはわかった。実際、鳳とジャンヌの間には、長年付き合い続けた夫婦みたいな、余人は理解し難い信頼関係みたいなものが存在する。それをちょっとした思いつきで壊してしまうのは、いけないことのような気がする。

 

 彼女はため息を吐きながら、

 

「うーん……そっか。そう言われちゃうと、そうだなあ~……」

「周りがとやかく口出しすんなよ、デリケートな問題なんだから。あいつらのことは、放っておいてやれ」

「でも、ちょっと残念だなあ。ミーさんと鳳くんがお付き合いしたら、きっとお似合いだと思うんだよね」

「あら、いいじゃない。私も賛成よ」

 

 二人がそんな会話を交わしていたら、背後から野太いゴリラのような声が聞こえてきた。驚いて振り返ると、そこにジャンヌが立っていた。どうやら二人が会話に夢中になってる間に、いつの間にか近くまで来ていたらしい。

 

「わわっ! ジャンヌさん……私達はその~……別に陰口とか、そんなつもりはなくって……」

 

 まるで陰口を叩くような格好になってしまった二人は、バツが悪くなって小さくなった。しかし、ルーシーは言い訳しながらも、たった今、ジャンヌが言ったセリフが気になって、

 

「……あれ? ジャンヌさん、いま賛成って言った? 鳳くんがミーさんに取られちゃってもいいの?」

「ええ、そうね。いいんじゃない。取られるってのはちょっと語弊があるけど」

「なんでだよ、おまえ、鳳のこと好きじゃなかったの?」

 

 ジャンヌがあっさりと認めると、彼を慮ってルーシーを止めていたギヨームが、まるで裏切り者でも見るような目つきで言った。ジャンヌはそんなギヨームに向かって、苦笑交じりに、

 

「ええ、もちろん好きよ。でも、好きにも色々あるじゃない」

「どういうこと? 鳳くんのこと、友達として好きだったってこと?」

「違うわよ。私はちゃんと、女として白ちゃんのことが好きだわ」

「いや、女としてって、おまえ男じゃねえか」

「まあ、失礼しちゃうわ! あなた、そんなこと私達の時代の人に言ったら、各方面からお叱りを受けるわよ」

 

 ギヨームもルーシーも、ジャンヌが言っていることが理解できずに混乱しているようだった。でもそれは仕方ないことだろう。彼らはLGBTの概念がないのだ。現代人でさえ、実際その感覚がわからない人のほうが殆どだと言うのに、何も知らない異世界の人たちに理解しろと言っても無理な話だ。

 

 ジャンヌは、混乱して目を回している二人に向かって、苦笑交じりに続けた。

 

「私はちゃんと白ちゃんのことを異性として好きよ。だけど見ての通り、私も彼も男性よね。なのになんで女性として彼のことが好きだなんて言えるかって言えば、私の心と体の性別が違うからなのよ。

 

 科学が発達していた私達の時代は、生きた人間の体の中まで詳細に調べることが出来るようになっていたのよ。科学者が特に興味を示したのは、人間の脳みそがどうなっているのかってこと。彼らは生きた人間の脳みそをスキャンし、様々な年齢、性別の人たちの脳を調べたわ。そして分かってきたのは、人間の脳には性別差があったってことなの。

 

 人間の脳ってのは大雑把に言うと、左右二つに分かれているの。左右それぞれの脳は、体を動かす時別々の動作をしている。例えば、左脳は体の右半身を動かす時に使われ、右脳はその逆って感じね。それが脳梁と呼ばれる部分で繋がってるんだけど……

 

 男性はこの脳梁が狭くて、比較的左右の脳が独立しているのね。だから、男性は体を動かす時と同じように、左右で別々のことを考えるような傾向があるの。例えば右脳が音楽や運動などの感覚的な分野を司るのに対し、左脳は主に論理的な思考に使用されるという感じね。

 

 それに対して、女性は脳梁が太くて左右の繋がりが密接なの。だから、男性と違って左右で区切って考えること無く、脳全体を使って物事を考える。そのお陰で、女性はパッパカパッパカ思考を切り替えることが得意だったり、男性よりコミュニケーション能力に優れていると言われているわ。その代わり、突然のアクシデントに見舞われると、パニックになりやすい傾向があるそうね。

 

 他にも男性と女性の脳には違いがあるけど、とにかく言えることは、脳を見ても男性と女性は違う生き物だったってことね。

 

 ところで、この脳の違いはいつ生じるのかしら?

 

 植物や動物と同じく、人間も精子と卵子が結びついて、一つの受精卵からその生命が始まるわ。最初は胚細胞と呼ばれるたった一つの細胞が、二つに分裂し、四つに分裂しと増えていって、最終的に60兆を超える細胞を形成し、私達の体は作られる。

 

 私たち人間は母親のお腹の中に十月十日、これは数えだから、9ヶ月と10日、およそ280日間いるんだけど、その大体6週~8週頃に、私たちの体は男性か女性かに変わっていくそうよ。

 

 具体的には、父親の23番めの染色体がYだった場合、この時期に胎児の体の中で大量の男性ホルモンが分泌されて、体が男性に変わっていくの。実は人間は生まれる前はみんな女だったのよ、だから男性にも必要のない乳首や乳腺が存在するのね。

 

 ところで、こうして最初は女性だった体が男性に変わっていく過程で、なんらかのトラブルが発生して、十分に男性ホルモンが分泌されなかった場合どうなってしまうのか……体は男性なのに、脳みそは女性のままという子供が生まれてくる可能性がある。もしくは逆のパターンもあり得るわ。

 

 これがいわゆるトランスジェンダーと呼ばれる人の正体なのよ」

 

「トランスジェンダー?」

 

「肉体の性別に対する、精神の性別のことね。いま説明した通り、人間にはたまに、体と脳の性別がバラバラの状態で生まれてくる人がいるのよ。こういう人たちが成長するとどうなるかって言うと、体は男だけど心は女性のような気がする……もしくはその逆、といった違和感を持ったまま生活を続けている人たちがいるわけ。

 

 昔はそういう人たちのことをHENTAIの一言で片付けちゃってたわけだけど、科学がそれを証明してからは考えが変わって、私たちの生きていた時代では、肉体の性別のことをセックスというのに対し、精神の性別のことをジェンダーって言うようにしたのよ。

 

 それまで、自分はおかしいんじゃないかって思って悩んでた人たちは、それで救われたわけね。因みに私もそのうちの一人よ。

 

 体は男だけど、心は女だって言えるのは、とても素晴らしいことよ。だから、私は白ちゃんのことを、異性としてはっきり好きだって言えるんだもの。

 

 でも、だからかしら、白ちゃんがノーマルだってことも分かってしまうのよ。私は心と身体がバラバラだったけど、彼はそうじゃない。男性として、普通に女性のことが好きなんだって……

 

 それが分かるから、私は彼に、私のことを好きになってってなんて言えないわ。私の心だけを愛してなんて、虫が良すぎるもの。普通の人達だって、カップルになるのに苦労している。自分はもっと大変だなんてことは、とっくに分かっているじゃない。

 

 で、告白して振られて諦めて、好きな人に幸せになって欲しいって思うまでが、人を好きになるってことなんだから、私は本心から彼が幸せになってくれることを願うわ。ううん、彼は幸せになるべきよ。以前、あんな話を聞いたからこそ、そう思うわ」

 

 ジャンヌの長い話を聞いて、ルーシーは彼が鳳のことをどう思っているのか、今まで以上に良く理解することが出来た。彼は本心から鳳のことを好きだが、それと同時に諦めてもいるのだ。

 

 そして今、ジャンヌが言った通り、鳳が過去の体験から異性に対して苦手意識を持っているということも分かる気がした。彼が正常に戻り、幸せになって欲しいという、ジャンヌの気持ちも。

 

 ルーシーは、なんだか悪いことをしているような気がしてきた。ミーティアと鳳がくっついて欲しいという気持ちに変わりはない。だが、それと同時に、ジャンヌの恋も上手くいって欲しいと、今まで全く思いもよらなかった気持ちが芽生えていたのだ。

 

「ところで……二人とも、こんなところで話し込んじゃったけど、出掛けるところじゃなかった?」

「そうだった! 鳳くんがギルドに行く前に、ミーさんに入れ知恵するつもりだったんだ!」

「……鳳なら、さっきこっちの方ジロジロ見ながら出てったぞ」

「どうしてその時言ってくれないの!」

 

 まあ、それはそれとして、ミーティアの恋を出歯亀したい気持ちも本当だった。

 

 ルーシーは慌てて玄関を飛び出ると、彼女を引き留めようと待ち構えていたメイド長をひらりと交わして、村へと駆けていった。その後を、ギヨームとジャンヌがヤレヤレといいながら、当たり前のように追いかける。結局、なんやかんや、みんな恋バナが好きなのだ。

 

 3人は先に行ってしまった鳳を追い駆けて、冒険者ギルドへと急いだ。

 


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