ラストスタリオン   作:水月一人

149 / 384
それぞれのレベルアップ

----------------------------

鳳白

STR 15        DEX 15

AGI 15        VIT 20

INT 20        CHA 15

 

BONUS 20

 

LEVEL 99     EXP/NEXT 591/999999

HP/MP 1843/999  AC 10  PL 0  PIE 5  SAN 10

JOB ALCHEMIST

 

PER/ALI GOOD/DARK   BT C

----------------------------

 

 鳳の新たなステータスを見たギヨームは開口一番こう言った。

 

「なんつーか……お前らしいの一言だな。華がないっつーか、見栄えがしないつーか、フラットっつーか、ボーナスを使い切らず、保険をきっちり残してるとこが、また何とも言えん味を出してる。いや、凄いんだけど」

「なんだよう、人のステータスにケチつけやがって」

「何もご丁寧に5刻みにする必要はないんじゃないか」

「いやあ、バランス良くって考えてたら、なんかこうなっちゃったんだよね」

「INTやMPが高いのは分かるが、VITも高いのはどうしてだ?」

「それは痛いのが嫌だから」

「……まあ、高いにこしたこと無いからいいけどよ。ところでお前、得物はライフルなんだから、STRやAGIを上げる必要はなかったんじゃないか?」

 

 鳳はブンブンと首を振って、

 

「いや、俺は別にライフルが得意ってわけじゃないぞ。元の世界じゃ銃は規制されていたから、使い方を覚えたのだってこっちの世界に来てからなんだ」

「ああ、そう言えばそうだったか」

「元々、ゲームの世界では杖を使っていたんだよ。魔法の威力を高めるためと、不意打ちを食らった時に近接も出来るように。一応、神技だって使えるんだぞ?」

 

 ギヨームはゲェっと吐き気をもよおしたと言わんばかりに、げんなりとしたジェスチャーをしてみせた。

 

「マニだけじゃなく、お前まで神技使えるようになっちまったのかよ。まるで神人のバーゲンセールだな」

「因みに得意技は振り逃げダイナミックです」

「なんじゃそりゃ……まあ、実際、このステータスは近接としても破格だから、強い前衛が入ってくれるのは有り難いけどよ」

「うちのパーティーは後衛に偏ってたからね。マニが加わってくれたことで、バランスは良くなったけど、今度はジャンヌが戦闘スタイルを変えたいって言うから、俺も前線に出れたほうが何かと都合が良いと思ってさ」

「そう言えばそうだったな……」

 

----------------------------

†ジャンヌ☆ダルク†

 

STR 14       DEX 20

AGI 21       VIT 12

INT 10       CHA 15

 

BONUS 10

 

LEVEL 102     EXP/NEXT 186124/999999

HP/MP 3252/300  AC 10  PL 0  PIE 5  SAN 10

JOB KNIGHT

 

PER/ALI GOOD/NEUTRAL   BT C

----------------------------

 

 ジャンヌのステータスは見ての通り、これまでのSTR・VIT型の脳筋スタイルから、AGI・DEX型のテクニカルな剣士系に変わっていた。今までは高いSTRとVITで、敵の攻撃を受け止めてから反撃していたのを、今度からは高いAGIを武器に、交わしてカウンターを決めるというスタイルだろうか。

 

 高DEXであるから、まず敵の急所を外すことがなく、手数も増えるから、実は以前のスタイルよりも殲滅速度は上がるだろう。それにしても思い切った路線変更にどうしたんだろうと尋ねてみたら、

 

「だって、高STR高VITって、可愛くないじゃない。せっかく、こうして華奢な体を手に入れたんだから、戦闘スタイルもそれに合わせるべきよ」

 

 などと(のたま)った。

 

「いや、別に高STRだからって、見た目がガチムチになるわけじゃないだろう。メアリーだってかなりの高ステータスだけど、見た目は華奢じゃないか」

「でもメアリーちゃんのステータスはずっと変わらないじゃない。私は変化するんだから、見た目も変わるかも知れないわ。もし腹筋ついたらどうするのよ?」

「腹筋ならついてもいいんじゃないの?」

「シックスパックなのよ!?」

「う、うーん……それは確かに嫌かも知れないが……」

 

 鳳がなんだか勢いに押されて納得しかけていると、それを横で聞いていたギヨームが、

 

「いや、しかし! 戦闘スタイルを変えるって言ったって、これまでに染み付いた動きっつーものがあるだろう。こんな簡単に変えて、大丈夫なのか?」

「それなら平気よ。あっちの世界でもセカンドキャラは回避型だったから。このスタイルでの戦い方にも、ある程度慣れているわ」

「セカンドキャラ……?」

 

 ギヨームはちんぷんかんぷんと言った感じにお手上げのポーズをしていた。ゲームでは、案外みんな、メインで遊ぶキャラの他に、生産職なんかのサブキャラを持っているものだった。因みに、鳳はそのせいで、新規クリエイトしたばかりのキャラデータでこっちの世界に飛ばされてしまったために、苦労したわけだが……

 

「それに復活した時に一緒に持ってきた、この魔剣フィエルボワはレイピアなのよ。叩きつけるような攻撃より、突いたり受け流したりする方が得意だわ。DEXに補正もかかってるし、これを生かさないのは勿体ないと思うの」

「補正?」

 

 ジャンヌは頷いて、

 

「実は、AGIを上げていた時に気づいたんだけど、基本ステータスも20を越えると、ボーナスポイントを2消費するようになってたのよね。好きに上げられるように見えて、これにもやっぱり制限があったの。それで私はAGIを21で止めたんだけど……なんと、この武器を装備していれば、DEXに5の補正がかかるのよ。だから私のDEXは、実質25だと思っていいわ。本来ならボーナスポイントを10使わなきゃ上げられないステータスを、これが肩代わりしてくれるんだから、使わない手はないでしょう?」

 

 それがどれくらい凄いのかはよく分からないが、多分、走ってる馬の上から飛んでる蚊を撃ち抜けるレベルだろう。と言うか、人類最強クラスの高DEXであるギヨームよりもまだ上なのだから、使ったこともないライフルを持たせたとしても、神業のようなスナイプが出来るのは間違いないはずだ。

 

 ギヨームはジャンヌの剣をまじまじと見つめながら、

 

「へえ……大したマジックアイテムだな。ステータスが5も上がるなんて、伝説級なんじゃないか? そんなものまで作り出せてしまうなんて、あの機械はやっぱすげえな。俺も本気で、あの中に入ることを検討したほうが良いんだろうか……」

 

 鳳は腕組みをしているギヨームに向かって尋ねた。

 

「なんかあんま驚いてないみたいだけど、この世界にはこの剣と同じようなのが結構あるのか?」

「ん……? ああ、以前にも言っただろう? 迷宮の中には、こうしたマジックアイテムが隠されていることもあるって。つーか、ヘルメスの遺跡の中にあったあの機械だって、つまるところマジックアイテムじゃねえか」

「そう言えば……そう言うもんか」

 

 高度な科学技術は魔法と見分けがつかないと言うが、正にそんな感じである。

 

「普通の人間はお前らみたいに、ほいほいとステータスが上がるようには出来てないからな。それなりの冒険者には、こういうマジックアイテムを所持してるのもいるらしいぞ。つーか、レオが色々とコレクションしてるはずだから、言えば見せてくれるはずだ」

「なんだよ、あの爺さん。そんなもの持ってるなら、どうして今まで教えてくれなかったんだろう」

「誰でも使えるわけではないからさ。大抵のマジックアイテムは使い手を選ぶんだ。多分、ジャンヌの剣も、こいつ以外には使えないんじゃないか?」

 

 するとジャンヌが頷いて、

 

「そうかも。これは元々、大昔にやったイベントで好成績を収めて、運営からもらった私専用のユニーク武器だったのよ。だからこっちでも私以外に使える人はいないかも知れないわ」

 

 多分、他の人には振り回すことは出来ても、補正は受けられないだろう。すると確かに、高いDEX補正を活かすためにも、スタイル変更は有りかも知れない。ギヨームは腕組みしながら頷くと、

 

「まあ、もう上げちまったものを、ぐちぐち言っても仕方ないか……ちゃんと保険も残してるみたいだしよ。それより、こんだけステータス弄っちまったんだ。今まで使ってた神技はどうなったんだ? ちゃんと使えるのか?」

「ええ、もちろん。キャラクターが変わったわけじゃないから、今まで使えた神技はそのままよ。それどころか、実はこっちに来たときに使えなくなっていた古代呪文も、また使えるようになってるのよ」

 

 ギヨームはまたげんなりとした表情を見せつつ、

 

「なんだって……? おまえまで鳳みたいに万能型になっちまったのか?」

「白ちゃんほど万能ってわけじゃないわよ。私が使える呪文は、エンチャントウェポンとプロテクションの二つだけ。元々、ゲームの世界ではマルチスキルは当たり前だったんだけど……こっちの世界に来たら魔法体系が違うからか、使えなくなってたのよね。いつの間にか職業もプリーストからナイトに戻ってるし、あの機械に入ったことでなんかの制限が解除されたのかしらね」

「そう言えば、哀れなステータスにばかり目が行って忘れちまってたけど、鳳の職業もこの世界じゃ馴染みのないもんだったな」

「失礼なやつだな……まあ、俺もジャンヌも職業レベルがないし、この世界のシステムとは完全に切り離されてるのかも知れないな。そんでもって、多分、俺の影響を受けたっぽいマニも……」

 

----------------------------

ガルガンチュア

STR 16        DEX 16

AGI 18        VIT 17

INT 10        CHA 20

 

LEVEL 71     EXP/NEXT 83277/450000

HP/MP 2718/50  AC 10  PL 0  PIE 5  SAN 10

JOB NINJA

 

PER/ALI NEUTRAL/NEUTRAL   BT C

----------------------------

 

 共有経験値を流し込まれ、ご先祖様の力を継承したマニは、獣人にあるはずのレベルキャップを突破して成長していた。獣人の限界突破自体は、実はルーシーの時に経験済みだったのだが、マニの場合は上がらないはずのVITやCHAが急激に上がった他にも、職業がこの世界にはないユニークなものになっていた。

 

 なんとなく、その戦闘スタイルからそれっぽいと思っていたが、忍者である。

 

 因みに、直接戦ったペルメルとディオゲネスが言っていた通り、彼が使う忍術の正体は神技であるらしく、本来ならば獣人には必要ないはずのMPも彼は持っていた。ただ、本当に少しであるから、あまり技に頼った戦いは続けられないようである。

 

 尤も、その数値を見れば分かる通り、彼のステータスは神人を凌駕するほど高いので、気にするほどではないだろう。おまけに高CHAの影響で、他の獣人たちは彼の命令に従う傾向があるので、集団戦闘で無類の活躍を見せてくれることは請け合いだ。

 

「元々、獣人は身体能力に恵まれているとは言え、こいつは本当に化けたよな。他の獣人も、もしかしてレベルキャップが無ければ、このくらい強くなれるんだろうか……?」

「かもな……でも、マニは賢いから良いけど、ハチみたいのが制限もなく成長し続けたら、そんなのもう魔族と変わらないだろう。レベルキャップがあってホント良かったと思うよ」

 

 彼にはこれから大森林を解放した後に、獣人達を率いる役目を負ってもらうことになるだろうが、性格的にも温厚で、人間との協調性もある彼がリーダー候補になってくれたのは本当に幸いと言えた。大森林にはまだ踏みとどまっている部族もいるだろうが、実力から考えて、いずれマニの傘下に入っていくだろう。

 

 しかし……こうして獣人を一つにまとめる勢力が出てきたのは、もしかしてこれもカリギュラの目論見通りだったのだろうか? 鳳はヴァルトシュタインの言葉を思い出し、ほんの少し嫌な予感がしていた。

 

 ともあれ、戦力アップはこれだけではない。ピサロと戦った時に入った共有経験値が残っている。鳳はギヨームと相談して、それをメアリーに400ポイント、ギヨームとルーシーに200ポイントずつ分けることにした。

 

 メアリーが倍なのは、神人の彼女がレベルアップするには、倍の経験値が必要だからだ。この分配なら、みんなそれぞれ2回ずつレベルアップ出来る計算である。こうして経験値を入れた結果、いまの彼らのステータスは以下の通りである。

 

----------------------------

メアリー・スー

STR 15        DEX 16

AGI 17        VIT 15

INT 16        CHA 18

 

LEVEL 30→40     EXP/NEXT 51211/400000

HP/MP 2200→2400/390→480  AC 10  PL 0  PIE 10  SAN 10

JOB MAGE Lv6→7

 

PER/ALI GOOD/LIGHT   BT B

----------------------------

 

----------------------------

ウィリアム・ヘンリー・ボニー

STR 13        DEX 18→19

AGI 17       VIT 12→13

INT 13        CHA 15

 

LEVEL 64→73     EXP/NEXT 318224/460000

HP/MP 1840→1977/95→100  AC 10  PL 0  PIE 0  SAN 10

JOB Thief Lv6→7

 

PER/ALI NEUTRAL/NEUTRAL   BT A

----------------------------

 

----------------------------

ルーシー

STR 10        DEX 11

AGI 14→15      VIT 12

INT 16→17      CHA 10

 

LEVEL 47→61     EXP/NEXT 1299/310000

HP/MP 842→955/331→408  AC 10  PL 0  PIE 10  SAN 10

JOB MAGE Lv1

 

PER/ALI NEUTRAL/NEUTRAL   BT A

----------------------------

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。