ラストスタリオン   作:水月一人

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ハンターズハイ

 ある日のことだった。いつものように深夜に釣り糸を垂らしていたら、河川敷にものすごい爆音を響かせて、バイクに乗った集団がやってきた。それは深夜のツーリングというわけではなく、見るからに暴走族と言った感じであった。この時代にもなって、まだこんな連中がいるんだなと呆れつつ、魚が逃げてしまうじゃないかと不満に思っていたら、連中は思わぬ行動に出た。

 

 一台のバイクがブオンブオンとエンジンを吹かしながら、おっさんのテントに突っ込んで行ったのだ。あっという間になぎ倒されたテントから、おっさんが命からがら出てきては、取るものも取り敢えず一目散に逃げようとした。それを見た他の連中が面白がっておっさんを追いかける。バイクと徒歩では相手にならず、おっさんはあっという間に捕まって、バイクに引きずり倒された。

 

 鳳の隣でそれを見ていた爺さんは、ひぃっと怯えた声を上げてその場に伏せた。彼はブルブルと震えていて、完全に見て見ぬ振りを決め込んだようだった。その行動は正しかっただろう。普通、こんなことに首を突っ込む馬鹿はいない。しかし、鳳は特にこれといった感情を抱かずに、ただ、放ってはおけないなと思っていた。河川敷に来てから、だいぶ世話になった。彼にはおっさんを助ける義理があったのだ。

 

 鳳は爺さんの隣にしゃがむと、真っ暗な地面を手探りで、手頃な石を探した。出来るだけ硬くて尖っている燧石を見つけると、それを手にこそこそと男たちの方へと近寄っていった。

 

 三人の男がバイクから降りて、襲われているおっさんを見ながらゲラゲラと笑い声を上げている。彼はその背後へ忍び寄ると、一切の躊躇を見せずに後頭部に石を振り下ろした。というか、躊躇をすれば失敗するのは目に見えていたから、殺すつもりでやった。だから一人目の男は自分が殴られたことにも気づかず意識を失っただろう。二人目も同じように昏倒した。三人目だけは仲間が倒れたのに気づいて、ぎょっとして振り返る時間があったが、その時にはもう迫りくる石を避ける間もなく、彼もあっけなく沈んだ。

 

 頭から血をピューピューと噴き出して三人の男が寝転がっている。死ぬかも知れないし死なないかも知れない。確実に仕留めるべきだろうか。いや、これは狩りではないのだから、とどめを刺す必要はないだろう。

 

「てめえっ!! なにしてやがんだっ!?」

 

 そんなことをぼんやりと考えていたら、おっさんを追い掛けていた連中が、仲間がやられたことに気づいて怒鳴り声を上げた。鳳は自分に注意が向いたことに気がつくと、手にした石を投げ捨て背後を振り返り、川へ向かって駆け出した。バイクの音がすぐ背後まで迫ってくる。彼はこの間におっさんが逃げてくれたら良いなと思いながら、川の中へとダイブした。

 

 連中はバイクに乗っているから、どうせ川の中までは追い掛けてこないだろう。案の定、エンジン音は川岸でUターンし、代わりに悔しそうな怒鳴り声が響いている。鳳はそれを背後に聞きながら、わざとバシャバシャと音を立てて川を泳いで渡り切った。ヘッドライトで照らされながら対岸へ上陸すると、そのまま生い茂る茂みの中へと身を隠してから背後を振り返った。

 

 こちらからは丸見えだったが、あちらからは茂みに潜んでいる彼が見えないようだった。ずぶ濡れになった服を絞っていると、連中は対岸を指差しながら何かをごちゃごちゃ喋ったあと、数台のバイクが川沿いを土手の方へと走りだした。恐らく、橋を渡って追い掛けてくるつもりだろう。地の利はこっちにあると言うのに馬鹿な奴らだ。鳳は連中がこちらへ渡って来る前に、不法投棄されているゴミの山へと向かった。そして中から鉄筋が飛び出しているコンクリート片を引っ張り出すと、今度はまた別の茂みの中へと隠れた。

 

「ガキがぁ! 出てこいやぁ! おらぁーっ!!」

 

 暫くすると爆音を響かせて、また数台のバイクが河川敷へと侵入してきた。隠れている鳳をあぶり出すためだろう、そんな怒鳴り声を上げていたが、それで出ていく馬鹿はいない。正直、もう隠れているだけでもやり過ごせそうだったが、鳳は彼らを追撃するつもりで茂みの中に伏せていた。何故なら、彼らの次の行動が手にとるようにわかったからだ。

 

 バイクは速くて馬力もあるが、オフロードでもない限り、茂みの中を走ればタイヤを取られて速度が出せない。だから連中は知らずしらずのうちに茂みを避けて、走りやすいあぜ道を走ろうとするだろう。そしてその道は普段から河川敷で暮らしている鳳は全て把握済みだった。彼はその中でも最も走りやすいランニングコースにもなっている遊歩道の脇に隠れると、獲物がやって来るのをじっと待った。

 

 対岸まで鳳を追ってきた連中は、しばらくの間誰もいない茂みに向かって馬鹿みたいに叫んでいたが、やがてバラバラにバイクを走らせて、河川敷を虱潰しに探し始めた。諦めて帰るという選択肢は無かったようだ。ならばと待ち構えていると、そのうちの一台が鳳の潜む遊歩道へやってきた。走りづらい河川敷を走っていたせいでフラストレーションが溜まっていたのか、そのバイクは走りやすい遊歩道を見つけると、うっぷんを晴らすかのようにスロットルを回した。

 

 鳳はバイクが速度を上げて近づいてくるのを見計らって、コンクリート片から突き出した鉄筋を握り、ハンマー投げの要領でぐるぐると回転しながら遊歩道へ飛び出した。バイクは突然飛び出してきた人影に驚いたようだが後の祭りである。

 

 ドッと重い衝撃が腕に伝わり、コンクリート片の直撃を受けた男がバイクから投げ出されて転がっていった。悲鳴を上げなかったのは、当たった瞬間に気絶したからだろう。暗くて当たりどころは分からなかったが、まあ、死んでも死ななくてもどっちでも構わなかった。倒れたバイクは遊歩道を滑るように転がっていって、10数メートル先でエンジン音ごと止まった。

 

 仲間が事故ったことに気がついた連中から「大丈夫か?」という声が聞こえてきた。鳳はその声に「大丈夫!」と元気よく返事をしてから、倒れているバイクへと走った。普通なら気づきそうなものだが、バイクの音が煩いのと、この暗がりでは分からなかったのだろう。連中は特に怪しむこと無く、また鳳を探して走り始めた。

 

 鳳はまんまと事故ったバイクを奪うと、それを起こしてエンジンを回した。バイクは頑丈で事故の衝撃にもびくともせず、どこも壊れていないようだった。気絶したライダーが起き出してくると面倒くさいので、さっさと行動したほうが良いだろう。鳳はバイクに跨ると、周囲を見渡して次の獲物を探した。すると事故った仲間を心配して、まだこちらの方を見て立ち止まっているバイクがいる。彼はそれに突っ込むつもりで躊躇なくバイクを走らせた。

 

 きっと仲間が無事を知らせるために近づいてきてるのだと思っていたのだろう。ものすごい速度で近づいてくるにも関わらず、立ち止まっているライダーは最後まで回避行動を取ろうとしなかった。

 

「ぎゃああああああーーーっっ!!!」

 

 仲間のバイクに横から思い切り追突された男が、バイクごと吹っ飛んでいった。彼はバイクに跨ったまま、かなりの勢いで地面に叩きつけられ、バイクと地面に挟まれた足がおかしな方向に曲がっていた。大腿骨でも折れたのだろうか、ものすごい悲鳴が河川敷に轟いて、その瞬間、走っていた残りのバイクが急ブレーキをかけた。残りは二台。どう料理するか……

 

「お、おい! なにしてる!?」

 

 バイクに跨りながら、遠巻きに恐る恐るとこちらを見ている残りの二人をちらりと見てから、鳳は姿勢を低くして茂みに入った。その瞬間、怒号が浴びせられバイクが近づいてくる音が聞こえたが、勝手知ったる自分の庭では捕まるはずがなかった。

 

 男たちは鳳が逃げ込んだ茂みの中で、手にしたナイフをメチャクチャに振り回していたが、その鳳は遠くからそれをぼんやりと眺めていた。月明かりに照らされて、それはまるで盆踊りのように見えた。そのうち、すぐ近くでうめき声を上げている仲間を見つけて、残りのうち片方が「もう逃げよう」と提案したが、もう片方は興奮冷めやらない様子で、血走った目で辺り構わずナイフを振り回していた。

 

 鳳は、そんなことをしても草刈りにしかならないのにと思いながら、興奮する男の背後へと回り込み、相手の体力が尽きるのを待った。既にその手には石が握られていたが、ふと思いついて、彼はポケットに入れていた釣り糸を取り出すと、手頃なサイズの輪っかを作った。やがて男が荒い息を吐きながら、膝に手をつくのを見るや否や、彼は音もなくその背後に忍び寄って、男の首に輪っかをかけた。そのまま糸の両端をキュッと引っ張ると首が絞まった。男は咄嗟に背後にいた鳳にナイフを突き刺そうとしたが、ヒヤリとしたのはその一瞬だけで、脳への酸素供給が断たれた彼はすぐに戦意を喪失して、必死にその首に巻き付いた細い糸を解こうとした。だが、首に食い込む糸を掴むことも出来ずに、ものの10秒もしないうちに落ちてしまった。

 

 あーうー、とかおかしなうめき声を上げて白目を剥いている。鳳は、男の手からこぼれ落ちたナイフを拾い上げると、月明かりにかざしてそこに映る自分の目を見た。大丈夫。冷静だ。そこに映った自分の顔が普段通り冷静であることに彼はホッとすると、足元に転がっている男を雑巾でもみるような目つきで見下ろした。

 

 失神ごっこでそのまま死んでしまう子供もいると言うから、案外このまま死んじゃうのかな……などと漠然と考えていると、最後に残った一人と目が合った。

 

「ご、ごめんなさい……許して下さい……ごめんなさい、許して下さいごめんなさい……」

 

 男は目を見開いて、オウムみたいに同じ言葉を繰り返していた。バイクに押しつぶされた仲間を助けようとしていたのか、中腰になって腕はバイクのハンドルを掴んでいる。その下には大腿骨が折れて悲鳴を上げている男がいて、どちらももう戦意を失っているようだった。鳳はそれを確認すると、何も言わずに背を向けてその場を立ち去った。

 

 彼はついさっき渡ってきたばかりの川を、今度は音を立てないようにスイスイと泳いで渡った。岸に上がる際に着ていた服を絞って水を十分に切ってから、茂みに姿を隠しつつ慎重に元いた場所へと戻った。そこにはまだ爺さんがいてブルブルと震えていた。彼は鳳が帰ってきたことに気がつくと震えながら、

 

「だ、駄目だよ……あんなことしちゃ、駄目だよ」

 

 と青ざめた表情で繰り返していた。駄目と言われても、しかし、他にやり方が分からないのだ。

 

 鳳がなんて返事すればいいんだろうと戸惑いながら、ぽりぽりとこめかみの辺りを指で引っ掻いていたら、こちらに残っていた連中の声が聞こえてきた。どうやら頭をかち割ってやった3人を病院に連れていくか、救急車を呼ぶかで揉めているらしい。どっちでも構わなかったが、自分たちがやったことを棚に上げて警察を呼ぼうとか言っているのが聞こえたから、鳳はそれは困ると思って立ち上がると、

 

「おい、おっさんのテントに突っ込んだのはどいつだ?」

 

 せめてそれだけは弁償させようと、肩を怒らせて近寄っていったら、連中はそんな鳳の姿を見てぎょっとした表情を見せ、まるでおばけでも見たかのような悲鳴を上げて逃げてしまった。いい年して暴走族なんかしてる連中からすれば、鳳なんてただの華奢な子供でしかなかっただろうが、それでも対岸に向かった仲間たちが静かになってしまった今、追い掛けていったはずの男がナイフを片手に立っている姿は、彼らに相当恐怖を与えたようだった。

 

 頭から血を滴らせた男たちがバイクに乗って逃げていく。鳳はこれ以上深追いしても仕方ないと、諦めてそれを見送った。

 

 それから暫くすると、対岸に救急車と警察車両がやってきた。どうやら向こう岸の連中が助けを呼んだらしい。そのうちこっちに気づいた警官が、彼を補導しにやってくるかも知れない。弱ったぞと思っていると、いつの間にか、連中に追われて逃げていたはずのおっさんが帰ってきていて、興奮気味に言った。

 

「いやあ、兄ちゃん、メチャクチャ強いんだな。でも、本当にメチャクチャだよ。あんなことをしたら、警察だって黙っちゃいられないだろ。きっともう見逃してくれないぞ」

「うん、困ったな。どうしたらいいんだろう」

 

 おっさんはため息を吐くと、何か思いついたように壊されたテントに取って返し、手探りで中からカセットコンロと飯ごうセット、それからいつも彼が背負っていたリュックサックを持ってきて、鳳に手渡した。

 

「ここにいたら警察に捕まえてくれと言ってるようなもんだ。これは餞別にくれてやるから、そのむき出しのナイフをしまってここから離れな。いいかい? もうここには帰ってくるんじゃないよ? 君は俺達とは違うんだから、いつか気が済んだなら、本当に君が帰らなきゃいけない場所に帰るんだ」

 

 顔を上げると、そんな彼を取り囲むようにして、河原中のホームレスたちが並んでいた。鳳は、ここにはこんなに人が居たんだなと思いながら、彼らに頭を下げると、背を向けて河原から離れた。殆どが顔見知りというだけで、せいぜい挨拶を交わすだけの仲だったけれど、これでお別れだと思うとどうしようもなく寂しかった。あの中学も、父親の家も、恋しいとすら思わないのに、ここから去らねばならないということが苦痛だった。いつの間にかここが彼のホームグラウンドになっていたようだった。彼は土手に上がってからもう一度振り返ると、もう一度頭を下げてから、市街地の方へと歩き出した。

 

 とは言え、行くあてなんかどこにも無かった。安心して眠れる場所なんて、水飲み場にしていた公園か、兄さんがオフィス代わりにしていたファストフード店くらいのものだった。だが、そんなところにいつまでもいるわけにはいかないだろう。彼はファストフード店で一夜を明かすと、日が昇ってから新天地を目指して動き出した。

 

 取り敢えず、生きるためには食料の確保が必要だった。すぐに思いつくのは飯場を渡り歩くか、悪いことをするかだったが、幸いにも彼には爺さんから教わったサバイバル術があった。真面目に働くのも悪事を働くのも、どちらも気が進まなかった彼は、当面はそれで食いつなごうと、上流に向けて歩き始めた。

 

 東京に近い山は殆ど綺麗に整備されていて観光客でごった返していたが、それでもほんの少し奥地へ行けば、そこには人が寄り付かない別世界が広がっていた。日本の山は険しく、標高百メートルの山で遭難したという事件もあるくらいだから、鳳が姿を隠しながら生活できるような場所もすぐ見つかった。

 

 彼は取り敢えず手持ちの資金が尽きるまで、そこに潜伏してみようと考えた。警察も暇じゃないから、暴走族同士の喧嘩なんて数日も捜査したらすぐ切り上げるだろう。そうして始めたサバイバル生活だったが、これが思ったよりも快適だった。

 

 時節は正に実りの秋で、山にはいくらでも食べるものがあった。トチや栗、銀杏やドングリ。あけび、サルナシ、柿やスダチなどなど。持ち込んだ業務用米もあるから、あとは湧き水を確保すればそれだけでも十分食べていけそうだった。

 

 無論、釣りにも挑戦した。というか、そのつもりで上流に向かったのだから当然である。しかし、始めは見つからないようにコソコソとやっていたのだが、下流の汽水域とはわけが違って全く釣れないから、結局、遊漁券を買って試行錯誤するはめになった。何が悪いのかさっぱりわからなかったから、釣り人を捕まえて色々教えてもらったら、それからは嘘のように釣れだした。こうして苦労したり工夫したりして、ようやく釣れるのは、また格別の楽しさがあった。

 

 だが、楽しいばかりでもなく、山での生活ではとにかくイノシシに悩まされた。集団で人を恐れず、真っ暗闇の中で動き回るから、一度眠っている時に襲われかけて酷い目に遭った。咄嗟に木に登って事なきを得たが、備蓄していた食料を根こそぎやられて、立ち上がる気力さえ奪われてしまった。

 

 そんなこんなで時は過ぎ、一ヶ月以上が経過した。気がつけば秋も深まり防寒具なしで夜を過ごすには、寒さが厳しい季節になってきた。鳳はいい加減にほとぼりも覚めただろうと思い、一度山から下りることにした。あまりに快適だったから、思った以上に長居してしまったようだ。

 

 久々の人里だったが、特にこれといった混乱もなく、割とあっさり馴染んでしまった。山では殆ど金を使わなかったから、持ち合わせがだいぶ残っており、今更ケチる必要もないから帰りは電車に乗った。

 

 床にリュックをおろし、ドアと長椅子の間の狭い隙間に体をねじ込んで、流れる車窓の風景を眺めていたら、帰ってきたんだなと妙に感傷的な気分になった。なんやかんや、このコンクリートジャングルが自分のホームなのだと、体に染みついているかのようだった。

 

 取り敢えず、これからどうすべきだろうか。金を稼ぐ方法ならいくらかあてはある。それで防寒具を買って、どこかに寝床を見つけねばなるまい。冬になったら流石に野宿は辛いだろう。おっさんのように立派なテントがあれば関係ないだろうが……そう言えば、そのおっさんは今頃どうしているのだろうか。なんとなく彼のことを思い出したのだが……それは多分、虫の知らせだった。

 

 電車を降りた彼は、まずは腹ごしらえと目についたラーメン屋に入った。特に食べたかったわけでもなく、一杯300円という値段に釣られただけだが、考えてもみれば一食に300円も使うのは、今の彼にとっては浪費と言えた。久しぶりに人混みに揉まれて、感覚が麻痺しているのだろうか。そんなことを考えながら、出てきたラーメンに手を付けようとした時だった。

 

 ふと、ラーメン屋の点けっぱなしたテレビの中に気になる文字列が過ぎった。なんだろうか? と顔を上げれば『ホームレス殺人』のテロップが流れている。なんとなく嫌な予感がして画面を見続けていたら、自分が以前住んでいたあの河川敷が映った。リポーターが何かをしゃべりながら、いつも彼が釣り糸を垂らしていた河原を歩いている。

 

 と、その時、見たことのない名前と一緒に、おっさんの顔写真が画面に映った。その2つが頭の中で結びつかなかったからすぐに反応出来なかったが、どうやらそれは殺人事件の被害者であるらしかった。被害者は一月くらい前から、地元の暴走集団に嫌がらせを受けていた。弱い者いじめが趣味みたいな連中だったが、それがどんどんエスカレートして、ついにおっさんをなぶり殺してしまったらしい。容疑者たちは反省の色を見せず、以前にやられたことの報復だと言っている。鳳は300円を机に叩きつけると、ラーメンを食べずに店を出た。

 

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