ラストスタリオン   作:水月一人

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帝都のP99

 神父と別れたジャンヌとサムソンの二人は、進路を変え、一路北へ進んだ。

 

 プリムローズ領のあるヘルメス東部は、長く続いた戦争のせいで人口が少なく、帝都に繋がるまともな街道も無いことから、今のところ帝国へ行くにはコンパスを頼りに原野を突っ切っていくのが一番早かった。

 

 ヘルメス戦争の置き土産で、帝国が作った軍用路もあるにはあったが、やはり他国の人が整備しただけあって道が不案内なのと、そこを通る商人を狙って野盗が出没するそうだから、結局道なき道を進んだ方が利口らしかった。

 

 そんなわけで二人は要らぬ騒動を避けて原野を進んだ。別に野盗なんか恐れることもないのだが……しかし、野盗を見つけたら退治するしかないが、それを憲兵なり冒険者ギルドなりに連れて行くのが億劫だったのである。

 

 原野は人が全然居ないせいか野生動物の楽園になっており、鳳がいたらきっと食うには困らなかったろうが、二人とも動物の解体が出来ないので、指をくわえて見ているしかなかった。

 

 頼りなのは、孤児院で分けてもらった糧食だけで、それが尽きれば食べ物に困ってしまうから、必然的に先を急がねばならなかった。おまけに夜にはその野生動物の襲撃を警戒しなくてはならなかったから、彼らにとってこの原野は、高難度のダンジョンみたいなものだった。

 

 大森林でもそうだったが、環境に左右されずに生き残れる能力こそが、冒険者に最も重要なスキルなのかも知れない。数字に現れることはないが、低レベルながらAランク冒険者にまで上り詰めた鳳は伊達ではないのだろう。尤も、そのレベルも今となってはジャンヌも追い抜かれてしまっているのだろうが……

 

 そんな具合に昼は馬を走らせ、夜は交代で見張りをしながら、二人は先を進んだ。

 

 サムソンはそんな忙しい道程の中でも、暇を見つけては神父から学んだ修行を熱心に続けていた。型を繰り返し、呼吸を整え、それをゆっくりした動きで見直している。

 

 ジャンヌも時間があれば付き合うこともあったが、そんな時は実戦形式の試合を行った。サムソンは別人かと思うくらいにこれまでの戦法を変えていたが、そのせいか以前よりも弱くなっており、ジャンヌはそれをオブラートに包んで知らせてみたが、彼はそれすら楽しんでいるようだった。

 

 何でもそうだが、強くなるためには、まず自分を追い込まねばならない。今弱いのは、それだけ伸びしろを持っていると言うことだ。彼はそう言って、めげずに修行を続けていた。

 

 そして二人はそれからおよそ2週間ほどで帝都に到着した。ヘルメス国境を抜けて帝国に入ってからは、街道も整備されていて歩きやすく、あっという間の道のりだった。

 

 帝都は古都と呼ばれるだけあって、復興と開発ラッシュのヘルメスとは違い、数ヶ月前に訪れた時と寸分違わずそのままのようだった。城下町は活気に満ち溢れていたが、そこから少し離れた神人たちの居住区は人通りも少なく、厳粛な空気に包まれていた。

 

 二人はそんな静まり返った通りを抜けて、以前泊まった迎賓館の前を通り過ぎ、皇居までやって来た。電話もない世界だからアポイントのとりようもなく、いきなり来てしまったが大丈夫かと思いながら近づいていくと、皇居を警備していた護帝隊の隊員がジャンヌに気づいて駆け寄ってきた。

 

 ジャンヌのことを覚えていてくれたその隊員に、警備員の詰め所に案内された二人が背中を丸めて待っていると、暫く経って皇帝側近のマッシュ中尉がやって来た。見知った顔にホッとする。彼は来訪者がジャンヌと知って目を丸くすると、

 

「これはこれは勇者ジャンヌ。お久しぶりです。今日はどうしてこちらに? ヘルメス卿のお使いでしょうか?」

「いいえ、今日はメアリーちゃんの友人として、プライベートで会いに来たのよ。ちょっとお願いしたいこともあって」

「そうでしたか。真祖様でしたら、今は禁裏にお住まいになっておいでです。すぐにご案内して差し上げたいところですが、勇者様といえども入るには手続きが必要でして……申し訳ございませんが、今暫くそのままお待ちいただけませんか?」

「ええ、わかったわ。突然押しかけちゃってごめんなさいね」

 

 マッシュ中尉は申し訳無さそうに皇居内へ戻っていったが、彼が言うほど待つことはなかった。それから暫くして、メアリーの方からこっちに会いに来てくれたからだ。

 

 間もなく皇居の通用門が開くと、中からひょっこり運動着のようなラフな格好をしたメアリーが現れた。彼女は詰め所にジャンヌを見つけると、嬉しそうにスコップを持った手を振って、お付きの隊員の制止も聞かずに駆けてきた。

 

 彼女は詰め所の前に出て待っていたジャンヌに飛びつくように抱きつくと、

 

「ジャンヌ! 久しぶりね! 会いに来てくれて嬉しいわ!」

「きゃー! メアリーちゃん! 私も会えて嬉しいわ。元気してたかしら?」

「元気元気。ジャンヌはまだ私のことをメアリーと呼んでくれるのね」

「いけない、そう言えばもうソフィアだったわね。つい今までの癖が抜けなくて……」

「別にどっちだっていいわ。今となってはあなた達とゲームしていた頃よりも、メアリーでいた時間の方がずっと長いもの」

 

 二人はまるで女子高生みたいにキャッキャウフフと抱擁しあっている。そんな微笑ましい光景をサムソンが見守っていると、やれやれといった表情で、真祖付きの隊員……確かフェザー中尉という名前の男が、苦笑気味に会釈をしてきた。

 

 結局、中に入れないなら自分が外にいくと言って聞かない真祖のわがままに押される格好で、手続きは簡略化されて、二人はすぐに禁裏への入場を許可された。

 

 彼女に引っ張られて禁裏へ入ると、皇帝の寝所の片隅に以前は無かった彼女の部屋が設けられていて、二人はそこへ案内された。和風模様が描かれた折り鶴が飾られた寝台のすぐ横には、ちゃぶ台みたいなローテーブルが置かれており、すました顔の侍女がお茶を入れると音も立てずに去っていった。

 

 メアリーは、狭苦しいところだけどと、定型句みたいな言葉を口にしながらクッションを勧めると、自分も靴下を脱いでその上にぴょんと正座した。ジャンヌもそのクッションに腰を下ろすと、皇居には似合わない運動着みたいな服を来ているメアリーに向かって、

 

「元気そうで安心したわ。ところで、その格好はどうしたの? 皇居って言うから、きっといつも綺麗なドレスを着てるんだと思ってたのに」

「これ? 庭の植物や昆虫を観察してたのよ。ドレスなんか着てたら、すぐに泥だらけになっちゃうし、こっちの方が動きやすいわ」

「まあ、そうだったの」

「ここは退屈で庭いじりくらいしかすることが無いのよ。かと言って、外に行きたいって言うと止められるし。大森林が恋しいわ。あそこにはいくらでも楽しみがあったもの」

 

 そう言って彼女はため息を吐きつつ、

 

「でも以前は300年間も狭い空間に閉じ込められていたんだから、それに比べればずっとマシよね。って、いけない……こんな話をしていたら空気が悪くなるわ。そんなことより、ジャンヌはここへ何しに? 私に会いに来ただけってことはないでしょう?」

「うん……実はそのことなんだけど……」

 

 ジャンヌは魔王化が進んでいる鳳に起きた出来事を話した。彼はそれを食い止めるべく、大森林を越えてネウロイに向かったようだが、

 

「私はそっちよりも、ここにあるP99って機械のほうが怪しいんじゃないかって思うのよ。それで、皇帝陛下にお願いして、調べさせて貰えないかなって思って……」

 

 するとメアリーはある程度理解を示しつつも難しい顔をしながら、

 

「ふーん……でも、それは望み薄かも知れないわ」

「あら、やっぱり、外部の人間が触るのは難しいのかしら」

 

 彼女は違うと首を振って、

 

「ううん。そうじゃなくって……私はこの世界に来てから、なんやかんや、700年近くもあの機械をいじってたのよ。300年前からは、エミリアたち学者も一緒になって、合計千年も魔王について調べていたけど、帝国は今まで何も見つけられなかったの。確かにあれは、私たちにはわからないテクノロジーの塊だから、全てを調べ尽くしたとは言えないけど……それでも魔王化に関する何かがあるなら、何も見つからないってことはなかったと思うわ」

「そう……そう言われてみると、確かにそうね……」

 

 ジャンヌがしょんぼりした顔を見せると、メアリーは慌てて首を振って、

 

「でも、だからってすぐ諦めることもないわね。もしかすると、あなたの視点でなら気がつくこともあるかも知れないから、調べるだけは調べてみましょう。エミリアに頼んでみるからちょっと待ってて。ああ見えて、あの子も皇帝だから忙しいのよ」

「ごめんなさいね、私のわがままに付き合わせちゃって」

 

**********************************

 

 帝国において真祖ソフィアの存在は絶対だから、ジャンヌのお願いはすぐに受け入れられたのだが、『神の揺り籠』の使用には皇帝の立ち会いがどうしても必要らしく、結局彼女の手が空く夜遅くまで機械に近づくことは出来なかった。

 

 と言っても、それを焦れながら待っていたわけでもなく、なんやかんや旧交を温めたり、サムソンと一緒に型の練習をしたり、お風呂に入ったり晩御飯を食べたりで、楽しい時間はあっという間に過ぎていき、急いで公務を切り上げてきた皇帝が僻みっぽく見守る前で、ジャンヌはようやく機械に触れることが出来たのであった。

 

 システムの調査はジャンヌ主体ではなく、元々操作に慣れているメアリーが行ったが、彼女が昼間言っていた通り、その中に目当てのものは見つかりそうもなかった。

 

 帝国によるシステムの解析は思ったよりも進んでいて、メアリーはこの中にある人類の歴史データベースや、生物の遺伝子データベース、それから量子化された神人のデータが大体どこにあるのかを既に突き止めていた。

 

 しかし、どこにあるか分かったところで、量子化データは人間に理解が出来るものではなく……ただでさえ膨大な上に、いわゆるバイナリデータとして存在しているわけだから、結局、そこにおかしなものが紛れ込んでいたところで、お手上げ状態だったのだ。

 

「それに、この中にある量子化データは、私が遺伝子データベースから作成した神人のものしかないはずなのよ。でも、魔王は普通、ネウロイに住んでる魔族がなるものでしょう? 魔族のデータはこの中のどこにも無いんだから、魔王化を引き起こしている物もここには無いと考えるのが打倒でしょう」

「確かにそうね……それじゃ魔王化は、どこかの機械の中で情報が書き換えられたりしてるってわけじゃないのね」

「うん。一応、私もなったことがあるから言うんだけど、それは頭の中が直接刺激されるような、一方的で抗えない力なのよ。それをDAVIDが引き起こしている可能性は高いけど、だとしてもその機械があるのは、この惑星ではないかも知れない」

「つまり、地球……って可能性が高いわけね」

「うん。私たちがどうしてこの惑星に来てしまったのかはわからないけど、ここに地球の歴史を記述したデータベースがある限り、それは無視できないわ」

「うーん……」

 

 ジャンヌは唸り声を上げた。ソフィアの言う通り、もしも魔王化を引き起こしているのが地球からの命令だとしたら、地球に行く手段がない限り、鳳の魔王化はもうどうしようもないのではないか。

 

 彼女はその事実に打ちのめされながらも、ふと思い立ち、

 

「そう言えば……もしかしてこの中に、白ちゃんの量子化データってあるの? 確かあなたは、この中に残っていたオンラインゲームのセーブデータから、彼を復活させたって言ってたけど」

 

 するとソフィアは半分正解と言った感じに小首をかしげるように頷いて、

 

「うん、そうなんだけど……それは完全な量子化データではないのよ。実は人間の量子化は、ゲーム時代の私の情報を元に開発された技術なんだけど、そのお陰で、ゲーム時代の私たちのセーブデータと、神人の量子化データには上位互換性があるの。でも、セーブデータの方はあくまで情報量の少ない下位互換でしかないから、ツクモのデータを神人の体にそのまま乗せることは出来なかったの」

「え? じゃあ、私たちはどうやってこの世界に再生されたの?」

「それは、迷宮の力を使ったのよ」

「迷宮……P99があった渓谷の遺跡みたいなものね? 死んだ誰かの強い思いが作り出すという」

「うん」

 

 メアリーは今度は正解といった感じに大きく頷いてから、

 

「今となっては、帝都は千年の都だから、これまでに大勢の偉人が生まれては、迷宮を遺して死んでいったのよ。言わば帝都自体が、迷宮の遺跡とも呼べるのね。で、その迷宮を遺した者の中には、レオに匹敵するような天才も居て、私はホーエンハイムと呼ばれた錬金術師の遺した迷宮を使って、人間の体を作り出したのよ」

「あら、凄い! パラケルススね?」

「そう! そう言えば、あなたにもこの手のオタク話は通じたんだっけ……生涯を医学に捧げた彼は、完全なる再生を目指して、人間そのものを作り出す錬成術を遺したの。いわゆる、ホムンクルスってやつね。ただ……錬金術の基本は等価交換だから、人間を作り出すには人間が必要だった……だから私はツクモを再生したあと、この技術を封印するつもりだったんだけど、魔王になってしまったどさくさで流出しちゃったみたいなのよね」

「それが巡り巡ってヘルメスに渡って、たまたまセーブデータが残されていた私たちがこの世界に呼び出されたってわけね」

「ごめんね……こんな事に巻き込んじゃって」

 

 ジャンヌは苦笑気味に首を振った。

 

「そんなの今更ね。私は何も恨んじゃいないわ。それに私は、またメアリーちゃんと再会できて嬉しかったわよ。今度はAIと人ではなく、同じ人間として」

「ジャンヌ……」

 

 メアリーの目は潤んでいる。ジャンヌはそんな彼女の涙に気づいてないふりでモニターを覗き込みながら、

 

「それじゃあ、この中には私のデータも残されてるのね。もしかして、死んだ仲間を生き返らせることも出来るのかしら?」

「うーん……出来るけど、その記憶はサービス終了時点に戻っているはずだわ。彼らはこの世界に来たことも、死んじゃったことも覚えてないはず。それを復活したと呼べるかどうかだけど」

「……違うわね。もしかしたらって思ったけど、もうそっとしといた方が良さそうだわ」

 

 ジャンヌは残念そうに肩を落とすと、ゲームのデータが入っていると言うフォルダの中を見ながら、

 

「あら? こっちのファイルは何かしら。セーブデータとは違って、私にも意味が見て取れるわ」

「ああ、それはモンスターの行動スクリプトね。XMLで記述されてるから、私たちが見ても直感的に分かるわよ」

「また、枯れた技術が出てきたわね。どれどれ……あらやだ、これってジャバウォックの行動パターンじゃない」

 

 何気なくジャンヌが開いたファイルには、ジャバウォックのモンスターIDとモンスター名の他に、各種ステータスや技名、その使用頻度などの行動パターンが乱数として記述されているようだった。何重にも入れ子構造になっている中には、意味が取れない数字がいくつも含まれていたが、それが複雑な動きを実現する鍵となっているのだろう。

 

 そんなデータを興味深く覗き込んでいたら、メアリーが別のファイル……今度はオークキングのデータを見つけ出してきた。

 

「へえ……あのゲーム、こんな風に出来ていたのね。こうしてみると、意外とローテクなのね」

「見た目が凄くっても、ゲームって案外そんなものよ。シンプルじゃなきゃ楽しめないもの」

「そうかも知れないわね……これによると、ジャバウォックは必殺技の目からビーム、しっぽから放たれるソニックブームと、あとは再生が得意な魔物なのね。そうそう、ゲームでもそうだった」

「こっちのオークキングは……特にこれって技がないわ。ゲームでは中ボス扱いだったかしら? 代わりに、取り巻き召喚を無限に行えるみたいだけど。そうやってデコイを巻きながら、パワーでゴリ押すのが、このモンスターの作戦みたいね」

「ん……? それって、こないだ戦った魔王とそっくりじゃない? あのオークキングも、眷属を軍隊かってくらい引き連れて現れたけど……」

「言われてみればそうね……でも、現実の魔王が、ゲームの行動パターンを踏襲するわけないし、おかしいわ。神の揺り籠と、魔王化は関係ないはずなのに……」

「あれ……? これって……」

 

 メアリーが首を捻ってると、その隣でジャンヌがまた別のものに気づいた。彼女が端末を操作してファイルを開くと、そこには見慣れぬモンスターの行動データが記述されていた。

 

「魔王レヴィアタン……魔王ベヒモス……これって、開発当初から存在だけが噂されてて、結局実装されなかったボスのデータじゃない!?」

「ホントだ! ……もしかして、グラフィックはサービス終了までに間に合わなかったけど、行動パターンだけは既に出来ていたのかも」

「そうかも知れないわ。へえ……レヴィアタンはこうしてみると、オークキングと同じ取り巻きを召喚するタイプみたいね。必殺技に定番のタイダルウェイブと、ウォーターボール、噛みつき、ひっかき、髭の鞭なんて攻撃があるみたいね。空中浮遊は、陸地で戦うための苦肉の策かしら。凄く攻撃が多彩そう。自己回復しないのが唯一の救いね」

「ベヒモスの方は……ファイアブレスにアースクエイク、突進、噛みつき、咆哮と攻撃特化みたいね……暴食ってなにこれ? げっ! プレイヤーを食べて回復する攻撃だって。エグいわね。食べられたらやっぱ即死かしら?」

 

 ゲーマーの血が騒ぐのか、二人がデータを見ながら和気あいあいと会話を続けている時だった。この、皇帝以外は入ってきてはいけないはずの聖域に、ドタドタと大きな足音が近づいてきた。

 

「失礼します! 陛下っ!」

 

 二人の会話をこっくりこっくり船を漕ぎながら聞いていた皇帝は、ビクッと目を覚ますとよだれを拭いながら、

 

「な、なんですか? 騒々しい……許可する前の入室はルール違反ですよ」

 

 しかし、皇帝の非難にも関わらず、飛び込んできた人物……マッシュ中尉は、そんなこと重々承知の上といった感じで血相を変えながら、

 

「緊急事態です! たった今、ヘルメス国境を警備していた部隊から入ってきた情報によりますと……先月から国境をうろついていた例のヘルメス軍が、突然反旗を翻し、クーデターを起こしたとのことです!」

「クーデター!? それは……帝国に侵攻してきたということですか?」

「いえ、違います。そっちではなくて、ヘルメスで内戦が勃発したようなのです!」

「内戦……」

 

 皇帝は困惑の表情を浮かべて更に詳しい事情を求めた。たった今まで昔話に花を咲かせていたジャンヌとメアリーも、驚き立ち上がると、その会話に加わるべく歩み寄る。

 

 つい先日、300年近くも断続的に続いた長い戦争に終止符を打ったばかりだと言うのに、ヘルメスはまた自ら戦火に飛び込もうとしていたのだ。

 


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