皇帝が言うにはここ300年間で、この迷宮に挑んで帰ってきたのはレオナルドただ一人であるらしい。彼女はそんな場所に本気で挑むのか? と不安がっていたが、一行はそれを聞いて信憑性が増したと、俄然やる気になっていた。
彼らはレオナルドが実際に禁呪を使っていたことを知っていたので、その彼しか踏破したことがないような高難度の迷宮を攻略出来れば、自分たちも禁呪を習得できる可能性が高いと考えたのだ。
そんなわけで、ゆっくりと移動した彼らが迷宮にたどり着いたということは、あれから5日経っても、まだ鳳は行方を晦ましたままと言うことだった。ここまで音沙汰ないのは、やはり退っ引きならない何かがあったのだろう。
鳳はサバイバルスキルが高いから簡単に死ぬようなことはないだろうが、もし未だに迷宮に閉じ込められているなら話は変わる。いくら生き残っていても、そこから抜け出せないのであれば、考えようによっては死ぬより悪い結果かも知れない。だから出来るだけ早く、あそこに戻らなければならないのだが……ルーシーのそんな話を聞いて、4人はぶっつけ本番で迷宮に入る決断をした。
ルーシーはこれまで二つの迷宮に入った経験があるが、この占星術師の迷宮は今までとは全然毛色が違った。寧ろ、今までのが特殊と言った方が正しくて、本来、こういうものの方が迷宮と呼ぶに相応しいのではなかろうか。その中は、大量の魔物が行く手を阻む、ダンジョンになっていた。
迷宮は、帝都近郊の小高い山の側面にある何の変哲もない洞穴の中にあり、薄暗い洞窟を進んでいくと、やがて大きな広場にたどり着き、その奥に石レンガのゲートが見えた。そのゲートをくぐり抜けると、中は同じような石レンガと石畳の、画一的な作りの通路が続いており、どことなく大昔の神殿のような雰囲気を漂わせていた。
ネウロイの迷宮とは違って、室内なのに明るいというようなこともなく、松明の灯りだけが頼りだった。通路は非常に正確に測量されているのか、一寸の狂いもなくまっすぐ伸びている感じで、曲がり角もきっちり90度折れ曲がっている。
そんな画一的な通路が規則性もなく、縦横無尽に伸びていて、一つの迷路を作り上げているようだった。ジャンヌは、まるで昔の3Dダンジョンゲームでも攻略しているような印象を持って懐かしく思ったが、その手のゲームを知らない3人は困惑気味に、
「こんな同じような道が続いてたら、どこを歩いてるのかすぐにわからなくなっちゃうよ」
「大丈夫、私この手のマッピングは得意なのよ。ちゃんと脳内に保存してあるから、安心して進みましょう」
「本当か? 流石ジャンヌ、お前は本当に凄いやつだな」
「あら、褒めてくれるのは嬉しいけれど……それより、来たみたいよ!」
ジャンヌが剣を抜くと、通路の先の暗がりから、複数体の魔物が飛び出してきた。巨大な昆虫に、爬虫類のような見た目の化け物、そしてゴブリンの姿もある。低レベルの冒険者が間違って入ってしまったらひとたまりも無いだろうが、流石にこの程度の魔物に遅れを取るような勇者パーティーではなかった。
「ファイヤーボール!」
メアリーの先制攻撃がゴブリンに直撃すると、炎が上がって一瞬だけ迷宮内を明るく照らした。その明かりを頼りに、ジャンヌとサムソンの前衛二人がモンスターの群れに飛び込んでいく。
ルーシーは、二人に次々となぎ倒されるモンスターの向こうに、一瞬だけファイヤーボールに照らされて見えた矢をつがえるゴブリンを発見し、咄嗟に手にした杖をかざした。
後衛を狙っていたその矢は、術者であるメアリーに向かっていたが、ルーシーの魔法具で軌道が逸らされて明後日の方向に飛んでいった。メアリーは彼女にお礼を言うと、もう一発のファイヤーボールをそのゴブリンにお見舞いしてやった。
「油断するな! お次の団体さんがお出ましだ」
第一陣を片付けてホッとしたのもつかの間、すぐにサムソンの声が迷宮に響き渡った。それに呼応してジャンヌがすかさず後ろに怒鳴った。
「ここは私たちだけでも、まだなんとかなるわ! メアリーはMP温存も考慮して!」
その言葉に、今まさに魔法を使おうとしていたメアリーの体がびくっと震える。ルーシーはそんな彼女に鳳から預かったウエストポーチを預けると、
「中に鳳くんがMP回復に使ってたクスリが入ってるよ。いざとなったら使って」
「わかったわ」
前衛の二人は、狭い空間であるにも関わらず、後衛の二人を守って器用に連携しながら戦っていた。ルーシー達はそんな二人の邪魔をしないように、敵から距離を取ろうとして一歩退いた。と、その時、後退する彼女らを追って数匹の魔物が前衛二人の間を突破してきた。
「スタンクラウド!」
しかし、そんな前衛と後衛の間に出来たスペースに、メアリーがクラウド魔法を設置することで、それ以上の接近を防いだ。いつもならここにギヨームが陣取り、敵の突破を許さないのだが……
ルーシーは、今のままじゃ自分は足手まといにしかならないと思い、何か出来ないかと考えて、杖をかざして目を閉じた。
「ららら~、戦う~君の流す汗と血潮~、素敵~わたーしの心~ときめかすー、強い強さー、力があふれーるみんなの元気~、仲間ーがいるから頑張れる~のよ~、るるるー」
何を歌ってやがるんだあの女は……? 戦闘の最中に、突然のんきな歌声が聞こえてきて、ルーシー以外の3人は思わず脱力しかけた。ところが、実際には脱力するどころか、何故か力がみなぎってきて、彼らは今なら何でも出来るような、物凄いやる気に満ち溢れるのであった。
特に前衛二人の動きは見違えるように良くなり、ギアが一段も二段も上がったような切れ味鋭い動きで、バッタバッタと敵を屠りだした。ジャンヌの動きは速すぎて、この暗がりでは目で追えないほどだった。
サムソンは急に体が軽くなり、自分の体重が消えてしまったかのような、不思議な感覚を覚えた。そして今ならば師父の言っていた功夫を実践出来るのではないかと思い、戦いの中で彼の教えを反芻しながら戦ってみようと考えた。
回転し続ける独楽のように、決して止まらず、常に次の動きをイメージして、丹田に意識を集中しながら動き続けるのだ……すると突然、体の中心から外に向かって何かが走り抜けるような感覚がして……次の瞬間、彼の打ち出した拳から信じられない力が発揮された。
その時、魔物を捕らえたサムソンの拳には、反動が全く感じられなかったのである。まるで雲でも叩いているかのようだった……なのに、叩かれた魔物の方は、ダンプカーでも衝突したかのように、信じられない速度でギュンと加速しながら飛んでいったのである。
まるでビリヤードの玉みたいに、周りの敵を巻き込みながら、壁に叩きつけられた魔物が絶命する。
自分がやったことが信じられず、サムソンは動きを止めて自分の拳を凝視した。するとまた、ずしりとした体の重さが戻ってきてしまい、彼はしまったと顔を歪めた。どうやら集中力が途切れてしまったようだ。
せっかく掴みかけていたのに勿体ない……彼はフーっと大きく深呼吸してから丹田に意識を集中すると、また今の動きを再現しようと、魔物の群れの中で戯れる独楽のようにクルクルと回り始めた。
その糸をひくような滑らかな動きは、傍目には緩慢にしか見えなかったが、彼が魔物の群れの中でゆっくりと移動する度に、襲いかかろうとした魔物が面白いようにどこかへ吹き飛んでいく。
ジャンヌの目にも留まらぬ素早い動きと、サムソンのゆったりとした動作は対照的であったが、まるでダンスを踊っているかのように、不思議と二人の呼吸はピタリと合っていた。魔物の群れはそんな二人の前に成すすべもなく、次々と打ち倒されていくのだった。
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魔物の襲撃も一段落がついて、迷宮に静寂が戻ってきた。4人は連戦を避けて、一旦、入り口の広場まで戻ってくると、キャンプを張った。
流石に、300年間も冒険者を退け続けただけあって、この迷宮は一筋縄ではいかなそうだ。この中がどのくらい広いのかはまだ見当もつかないが、今度はもっとメアリーの魔法を効率的に使っていかないと、最深部までたどり着くことは出来ないだろう。そんな風に、作戦会議とMP回復休憩を兼ねて焚き火を囲んでいると、サムソンがルーシーのところへ寄ってきて言った。
「さっきのあれは何だ? 現代魔法の一種なのか」
「さっきのって? ……あー、バトルソングのこと?」
「バトルソング? あれが?」
「うん、スカーサハ先生に習ったんだ。それまで強化魔法は、一人にしか掛けられなかったんだけど」
サムソンは、感嘆のため息を吐きながら、
「そうか……スカーサハのバトルソングなら掛けてもらった経験があるが、今日のおまえのは少し違ったな。妙に体の力が抜けるというか、強張っていた体から無駄な力が取れたというか……そう、リラックス出来たんだ」
「そうなの? 私は強くなれーっ! って思いながら歌ってたんだけど。あまり役に立たなかったかな……」
するとサムソンはとんでもないと首を振って、
「いいや、戦いの最中にリラックス出来るというのは凄く重要なことなんだぞ。普通はみんな目の前の敵に集中する余り、こう視野が狭くなっていく……だが、おまえの魔法でリラックス出来たお陰で、今日はずっと全周囲に意識を集中しながら戦い続けることが出来た。常に次に繋がる動きを予測し、先の先を取り続ける。滞ることのない動きが実現出来たのだ」
「そう言えば、サムソンさん途中からなんか凄かったね。いつもと違って動き自体は優しい感じなのに、敵に対しては容赦ないっていうか……まるで重さがないみたいに飛んでっちゃったね」
「うむ、自分でも驚いているのだ……あれが、気の流れというものなのだろう」
「気……?」
ルーシーの視線が胡散臭いものでも見るような目つきに変わっている。サムソンは、おまえには言われたくないと言いたげに苦笑混じりに、
「つい先日、俺は新たな師に教えを受けたのだ。気とは人間誰もが内に秘めたる力のことで、その流れをコントロール出来れば超常の力を発揮することが出来る。師父は、それは功夫を積むことで体現できると言われ、俺に呼吸法と型を伝授してくれた。最近俺は、それにひたすら打ち込んでいたのだが……さっきのあれで、何かを掴めたような気がする。おまえのお陰だ」
「私は特に何もしてないけど……」
「おまえの魔法のお陰で、今までどうしても拭いきれなかった、戦闘中の力みのようなものが消えたのだ。あれが切っ掛けとなって、その後の動きに繋がった。もしかすると……現代魔法と気功は同じ系統の技なのかも知れないな」
サムソンはそう言うと、両手のひらを天に向けてかざし、
「例えば、神人の使う古代呪文は、空気中のマナを体内に取り込んで、溜め込んだマナを一気に放出する感じだろう? そのマナの量がMPという数値に表れている。対して、現代魔法はMPを使わず、人間が内に秘めた力のみによって実現している」
彼はおへその辺りに手を当ててぐるぐる回し、
「気も同じだ。気は、元々人間が体を動かすために使っている力を、丹田に集中することで増幅し、驚異的なパワーを発揮する。丹田から全身に向けて流れる龍脈を通じて気を循環し、例えるならゼンマイを巻くように力を溜め込み、それを一気に放出するのだ。
ところが、力むとその流れが途切れてしまうから、師父は勝敗に拘泥せず、ひたすら先の先を取り続けろと言ったのだろう。敵に対する恐怖心を捨てて、集中するにはそれも一つの方法だ。だが今日、俺はおまえの魔法のお陰で、知らずしらずの内にリラックスすることが出来た。そのお陰で気の流れを掴むことが出来たようだ」
「なんか分からないけど、役に立ったなら良かったよ」
「ああ、感謝する……ところで、バトルソングというのは、対象者のステータスを向上させるスキルだったはずだが、おまえのは少し毛色が違うな。いや、ステータスもちゃんと上がっていたようだが、それ以上に精神面への効果を強く感じた」
ルーシーとサムソンの会話を横で聞いていたジャンヌが割り込んでくる。
「私もそれは何となく感じていたわ。バトルソングを聞くと、敵に対する恐怖心が薄れるのは同じなんだけど、ルーシーのはちょっと違った。それに……先生のは、もっと荘厳な感じじゃなかったかしら? 聞いているだけで、グイグイ力が湧き出してくるような。そう、オペラみたいな感じね……あなたのは何か、その、脱力系というか、ポエミーよね? あの歌詞はなんだったのかしら。あれも先生が教えてくれたの?」
「違うよ。あれは私が考えたんだ。格好良かったでしょう?」
ルーシーは自信満々に胸を張っている。ジャンヌがなんて言って良いか分からず黙っていると、彼女は親指と人差指で拳銃のような形を作り、それを自分のこめかみに当てながらウンウンと唸って、
「えーっと……おじいちゃんに言わせれば、
「そうだったの?」
「うん。私は最初、おじいちゃんにその方法を教わってたんだけど、座学が苦手で結局最後まで良くわからなかったの。それで、先生に師事するようになってからは、歌を歌う方法に変えていったんだよね。先生が言うには、音楽は生まれつきの才能にかなり左右される分野らしいんだけど、私はそっちの方が向いていたってわけ」
「ふーん……でも、先生に習ったってわりには、先生のとは全然似てないじゃない?」
「習うって言っても、模倣するのとは違って、全く同じことをやっても駄目なんだよ。人には人それぞれのやり方があるんだ」
ルーシーはそう言うと、今度は両方の人差し指を使って自分の目尻を吊り上げながら、
「例えば、こんな風に目を吊り上げて怒ってる人の顔を見ると不安になるでしょう? 逆にこうして目尻を下げて、笑った顔を見てると落ち着く。見た目一つで、他人の心もちょっとはコントロール出来ちゃうんだよ。
現代魔法はそれを強制的に、より強く行うものだから、術者のテンションや他人の精神状態に凄く左右されるの。私が楽しい気持ちでいれば、相手も楽しくなる。バトルソングはみんな強くなれーっ! って気持ちで歌ってるから、その気持ちがみんなに伝わってパワーになるのね。
あの歌はそれを効率よくみんな伝えるために、私が作ったオリジナル曲なんだ。鳳くんとネウロイに行く途中、ずっと暇だったから一生懸命考えたんだよ」
「そ、そうだったんだ……ふーん」
そうして生まれたあんな脱力系ポエムが信じられない効果を発揮するのだから、現代魔法は自分には一生理解出来ない分野だろうとジャンヌは思った。しかし、彼女はルーシーの説明の中から少し納得できない点を見つけ出し、
「あれ? でも……共振魔法が、歌を使って他人の心をコントロールするのはわかったわ。でも、それなら
「うん、これはどっちかと言うと、他人じゃなくて自分にかける魔法なんだよね。なんていうか……ひたすら私は誰にも見えない、音を立てても何も聞こえない、感じ取れない……自分が植物や路傍の石ころになっちゃったみたいに、自己暗示をかける感じ。そう考えると、さっきサムソンさんが言ってた、気と似たようなものかも知れないね」
「へえ~……」
彼女の場合、更にそれをパーティーメンバー全員に掛けているのだ。ルーシーとは長い付き合いであるが、今まであまり感じたことは無かったが、もしかして、才能だけならパーティー内でも随一なのかも知れない。
自分は最初から高レベルの上に神技まで使えて、だいぶ下駄を履かせて貰っていたのだ。そう気づき、ジャンヌが舌を巻いていると……そんな二人の会話を黙って聞いていたメアリーが、何かに気づいた感じで、おもむろに言った。
「ねえ、その不可視の魔法って、峡谷の迷宮で野盗に囲まれた時も、使っていたわよね?」
「そうだね」
「ってことは、その魔法はレオが教えてくれたわけよね?」
「うん」
ルーシーが肯定するとメアリーは、ははあ……と、したり顔を作り、
「私、思ったんだけど……この迷宮って敵を倒しちゃいけないんじゃないかしら?」
「え……? どういうこと? 敵を倒さなきゃ、進めないじゃん?」
ルーシー達が首を捻っていると、メアリーはMP回復用の草をクルクルしながら、
「今、私たち、この中に入って早速戦闘したわよね? それが思ったよりも激しくて、ジャンヌとサムソンでも捌くので精一杯で、私なんてすぐにMPが尽きちゃった。だからこうして入り口まで戻ってきたわけだけど……」
「そうね。これだけ敵が多いんじゃ、私たちであっても、よほど計画的に行動しなければ最深部にはたどり着けないはずよ。それを一人で攻略するなんて……流石タイクーン・レオナルドよね」
ジャンヌが感嘆のため息を漏らすと、メアリーはブンブンと首を振って、
「それよ。ちょっと思い出して欲しいんだけど、レオって私たちと一緒に行動していた時、殆ど戦闘に参加してなかったわよね?」
「そうね……ご老人の手を煩わせるのはいけないと思って、積極的に私が倒すようにしてたんだけど……」
「うん、ジャンヌはそう思ったんでしょうけど、そうじゃなくて、実はレオは元々戦闘がそんなに得意じゃないのよ」
「え? そうなの?」
メアリーは頷くと、
「もしもそうなら、少しは戦闘に参加してるでしょう? レオは確かに禁呪を使えるけど、MPを大量消費するからって、普段は古代呪文を使おうとしなかったわ。そして彼の得意な現代魔法は、弟子のルーシーを見てれば分かるけど、直接攻撃を得意とするものは少ない。そう考えると、彼はツクモと同じで、直接戦うんじゃなくて、戦術のアイディアを出す参謀タイプだったのよ」
「言われてみれば……でも、それじゃあ、彼はどうやってこの迷宮を攻略したと言うの?」
「きっと不可視の魔法を使ったのよ」
メアリーの言葉に、その場の全員があっと驚きの声を上げた。そう考えれば、彼がたった一人で迷宮を攻略出来た理由が分かる。
「レオは不可視の魔法を使って、敵に気づかれないように迷宮の奥まで行ったのよ。そしてそこにあったお宝を手に入れて、帰ってきたんじゃないかしら。これは本人に聞いたわけじゃないから正しいかどうかわからないけど……今やれる最善の方法だと思うし、やってみる価値があると思うわ」
「そうね、どうせまともに攻略しようとしても無理そうなんだから、試すだけ試してみましょう。ルーシーにばかり負担をかけることになるけど、いいかしら……?」
ルーシーは、自分が一番足手まといになると思っていたのに、思いがけず仲間に頼りにされたことに気を良くし、
「任せて! 私、おじいちゃんにも、逃げることにかけては天下一品って言われてるんだから!」
褒められてるんだか貶されているんだか良くわからない言葉を口にすると、彼女は満面に笑みを浮かべた。