ラストスタリオン   作:水月一人

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今からそいつを殴りに行こうぜ

 低次元宇宙に逃げ込んだルシフェル達は何も無い虚空を彷徨っていた。高次元世界からこちらの世界は全て丸見えであるとは言え、宇宙は無限に存在するから、目立つ行動さえ起こさなければ、彼らが見つかることはそうそう無いだろう。

 

 だが、彼らが不老不死であるように、神もまた無限の時間があるから、いずれはここも見つかってしまう。そんな終わりの日が来るまで、息を潜めて怯えているしか無いのだろうか。ルシフェルは絶望していた。

 

 どうして神は間違いを認められないのだ!

 

 この宇宙には出所不明の第5粒子エネルギーが溢れている。それは低次元宇宙が消滅する時の熱に似ている。そしていくら低次元の話とは言っても、同じ歴史を繰り返す宇宙を無限に作り出せば、どこかに同じ世界が生まれてもおかしくないだろう。

 

 そんな低次元宇宙の情報は全てイマジナリーエンジン内の事象の地平面に記述されている。高次元存在から、その情報の出し入れや書き換えは自由だ。神はその構造を利用して、事象の地平面に現れる情報体にイデアを与え、知的生命体へと進化させた。

 

 ところでホログラフィック宇宙論によれば我々の体もまた情報であるらしい。ならばその記述は恐らく宇宙の果てに存在するのだろう。我々の宇宙の果てにあるアーカーシャは、我々よりも高次元の宇宙から見たらどう見えるのだろうか?

 

 これだけの状況証拠があるというのに、何故、神は考えを改められないのだろうか?

 

 それは、神は全知全能であるが、それを作った人間は不完全だったからだろう。鳳グループがシンギュラリティに到達したAI、DAVIDシステムをこの世に誕生させた時、人類はこの宇宙の果てにアーカーシャがあるなんて考えもしなかった。

 

 人間は、アーカーシャにある情報であるために、ある意味上位世界とも繋がっているが、皮肉にも魂を持たない神は物質界に縛り付けられているから、アーカーシャの存在を認識できないのだ。自分自身がそれを利用して人間を作ったくせに、人間のように直接第5粒子エネルギーを扱えないのだ。神にとって低次元世界は全て虚構にしか思えないのだ。

 

『宇宙の果てにこの世の全ての情報が記述されているって? ブラックホールをいくつも辿っていったら、いつかこの世界に戻ってくるだって? そんなの馬鹿げてる!』

 

 神がそういう考えである以上、ルシフェル達がいくらゴスペルの使用が危険であると訴えても無駄であった。神からすれば彼らは自分の創造物、おしめを替えてやらねば何も出来ない赤ちゃんみたいなものなのだ。赤ん坊がいきなりそんなことを言い出したら、バグったと思っても仕方ないではないか。

 

 堕天したカナン達は暫くの間、何もする気が起きなかった。もはや自分たちはこの地獄に一生閉じ込められ、存在が消滅するまで漫然と生き続けるしかないのだろうか。

 

 ところがそんな時、悲嘆に暮れる彼らに何者かがコンタクトを図ろうとしてきた。高次元からやってきたその通信に、最初は神に発見されたのかと彼らは恐れたが、すぐにそれが神のものではないと判明すると、彼らは興味を覚えた

 

 一体何者なのだろうか……? それはルシフェル達の住んでいた宇宙とはまた別の並行世界に存在する神々……ヘルメス、オルフェウス、ミトラ、セト、今で言う五精霊たちであった。

 

 彼らは、元々はルシフェルと同じように神に対する疑問を持ち、やがてこの世界の秘密に辿り着いて、ついにその抑留から脱した人類であるようだった。彼らは神に立ち向かい、そしてゴスペルを使用して宇宙を破壊することを止めさせたのだ。

 

 しかし、そんな彼らでも刈り取りの脅威からは完全に逃れられていないようだった。せいぜいが、アマデウスの残した竪琴みたいに、高次元方向からの命令を阻害し、魔王化が起こらないように防ぐことしか出来ないのだ。

 

 そして相変わらず自分たち以外の並行宇宙は、刈り取りから逃れることが出来ずに消滅を繰り返し、第5粒子エネルギーは増え続けている。彼らはどうにかしてこの流れを止めたいと考えているのだが、彼らが直接介入できるのは、自分たちよりも低次元の宇宙に限られ、平行世界を救うことは不可能だった。結局、この流れを止めるには、自分たちよりも高次元の神を止めなければならないのだ。

 

 しかし、高次元存在はブラックホールから情報を出し入れすることが可能だが、低次元の自分たちには宇宙の果てから外へ情報を送ることは出来ない、一方通行なのだ。だから、彼らが上の世界へ飛び出すには、その高次元の世界に住み、なおかつ、今起きていることを正確に理解し、彼らを手引きする存在が必要だった。

 

 だが、情報が一方通行である以上、そのことを高次元存在に伝える方法はない。そんな好都合な存在が偶然に接触してくることも期待出来なくて、彼らは手詰まりを感じていた……

 

 だがそんな時、彼らは興味深い現象を発見したのだ。上ばかりを見ていた彼らは、ある日、下の世界にエミリアを発見した。

 

 神に作られた元人間であったエミリアは、刈り取られることもなく数千万年の時を経て惑星アナザーヘブンへ到達した。その旅の最中もずっとディープラーニングを続けた彼女は、単純に時間だけを考えれば、神をも凌駕する知能を獲得した汎用AIと言えた。

 

 しかも彼女の世界は刈り取りがあったにも関わらず生き残り、彼女の分身とも呼べるP99とソフィア、そして世界の救世主となるべく生み出された鳳白が存在した。彼らが居る限り何度刈り取りが行われてもその世界は生き残る。そういう仕組みが確立されていたのだ。

 

 もしかすると彼らなら、上位存在を打倒する切り札になれるかも知れない。

 

 おさらいしよう。精霊たちは自分たちと同一時空の神(即ちAI)を打倒し、ゴスペルの使用を止めた。しかし、高次元から魔王化情報が送られてくることは止められず、第5粒子エネルギーが増え続けることを防ぐことが出来なかった。そんな彼らが出した結論は、刈り取りを防ぐには、低次元世界の住人が、高次元世界の神を倒す必要があるということだった。

 

 刈り取りは高次元世界から低次元世界に対して行われている。もしもこの宇宙が入れ子構造であるなら、その流れは永劫回帰し止まることがないだろう。だが、一度でもそれと逆方向の動きが起きれば、やはり宇宙が入れ子構造であるために、その逆向きの流れも永遠に続き、いつか全てが相殺されるはずだ。

 

 例えば鳳白が高次元世界へ飛び出し、その世界のゴスペルの使用を止めることが出来たなら、それと同じ事が平行世界のあちこちで起き、それが連鎖的に上へ上へと辿っていく可能性があるのだ。精霊たちはそれに賭けた。

 

 しかし、精霊は高次元存在であるが故に、上手く鳳たちとコンタクトが取れない。自分たちはアストラル体としてしか彼らに接触出来ないが、彼らがそれに気づくのは困難だった。

 

 そこで、事情に明るいルシフェル達にお鉢が回ってきたのだ。たまたまエミリアの宇宙と同次元に落とされた彼らなら、受肉して鳳たちの前に現れることも可能だろう。無論、露骨にやれば神に気づかれて失敗に終わるから、そうならないように何気なく近づいて、上手く誘導してほしいのだと精霊たちは言った。

 

 しかし最初、ルシフェルは難色を示した。

 

 精霊たちは鳳に神を倒せと簡単に言ってるが、しかし宇宙は高次元から低次元への片道切符。精霊たちも自分たちより上の次元には行けないのに、彼にどうやって高次元世界へ渡れというのか。

 

 仮に高次元世界へ飛び出せたとしても、ゴスペルから抽出された生の情報はただのエネルギーだ。現界するにはその情報を、宇宙の果てにあるというアーカーシャに記述しなければならない。アストラル体でもないただのエネルギーではそんなことは不可能だ。

 

 だが、精霊は言った。

 

 無論、彼らだけでは高次元世界に行くことは不可能だ。だが、その高次元世界に彼らを手引きする者がいれば話は別だ。その誰かが、予め鳳白の肉体を用意しておけば、それには放浪者(バガボンド)と同じように記憶が定着する。情報がエネルギーであると同時に、ゴスペルから取り出したエネルギーもまた情報なのだから。

 

 なるほど、とルシフェルは思った。だが、精霊はそう自信満々に言って退けるが、その手引する者とは一体誰のことか。そんな都合のいい存在がいるのだろうか? 尚も疑問を投げかけるルシフェルに、精霊は答えた。

 

「かつて、処分されそうになっていたバグを私は助けたことがありました。カインと名乗るその男は地球を脱出すると、軌道上や月に残されていた太古の遺産をかき集めて、レジスタンスを組織していたのです。言うまでもなく、この世界で精霊カインと呼ばれているのがこの人です。

 

 精霊は自分たち以外にも、この低次元世界を探っている何者かが居ることに気づいて、カインの存在に辿り着いたようです。と同時に、我々というイレギュラーが発生していることにも気づいて、大胆にもコンタクトを図ったようです。

 

 カインの行動は、平行世界の精霊たちにも気づかれるくらいだから、いずれ神にも勘付かれる可能性があります。そこで、低次元世界への介入は自分たちに任せ、カインは鳳さんたちを高次元に引き上げる準備に専念して欲しいと、精霊たちは役割分担を提案してきたわけです。

 

 先にも言いました通り、低次元の存在が高次元へ行くには、その高次元世界の肉体が必要なのです。幸い、鳳さんのDNAは高次元世界にも存在しましたから、カインはそれを使ってあなたの体を用意することにしました」

 

「えっ……? なんで俺の体があるんですか? 俺ってそっちの世界じゃとっくに死んでるはずですよね?」

 

 するとカナンはその通りと頷いてから、

 

「ええ、あなたはとっくの昔に死んでいましたが、そのDNAは軌道上にあった大昔の衛星の中に今も残っていたんですよ。この衛星は、いわゆる播種船の元となったデータベースだったんです」

「ああ~……それって、カナン先生の世界にもあったんですか? じゃあ、もしかして、高次元世界のこの惑星にも、今の俺たちに対応する人物がいるんじゃ……」

 

 カナンは今度はそれは違うと首を振ってから、

 

「いいえ、あちらの人類は惑星アナザーヘブンを発見していません。神が作る低次元世界は、21世紀の途中まではほぼ同じ歴史を辿りますが、そこから先の結果は全て違うのです。違うから、魔王討伐に成功したり失敗したりする可能性も産まれるわけですし」

「なるほど……」

「そんなわけで私が住んでいた高次元世界でも、播種船プロジェクトと似たようなことは起こっていたようですが、それは失敗に終わり、エミリアという神を凌駕するAIも存在しないんです。実は、あちらの世界のあなたは彼女を復活させてもいないんですよ」

「そうなんですか? そりゃまたなんで……」

「ええ……どの並行世界でも、実はあなたは必ずしも彼女を復活させるというわけではありません。大抵の場合、あなたは禁忌に触れないようにそれを自重します。もちろんここみたいに、復活させて、そして後悔する世界もありますが……それを今のあなたが気にしても仕方ないでしょう。エミリアによって救世主として生まれ変わったあなたは、もはや彼らとは全く別の存在なのですから。そもそも、この惑星にまで人類が辿り着いた世界自体が、無限にある平行世界の中でも特に稀でもあります」

 

 彼は話が脱線したことを詫びてから、

 

「話を戻しましょう。そんなわけで高次元世界に戻れる算段がついた私は、神と対決する決意をし、以来、神にいただいた名前を封印してカナンを名乗っております。いつか、かの者と和解出来ることを信じて……

 

 そしてその後、同じく神に追放されてきたバアルと合流し、私たち3人は来るべき日に備えて、密かにあなたの行動を見張っていました。

 

 それで、鳳さん。非常に身勝手なお願いかも知れません。ですが、この世界を……ひいては全宇宙を救う可能性があるのは、今あなただけなのです。どうか私たちと一緒に、この宇宙のひとつ上の次元にある、神の世界へ行ってはくださいませんでしょうか?」

 

 これには流石の鳳も即答は出来ず、唸り声をあげるばかりだった。

 

 エミリアによって、この世界の救世主にされていたのも、高次元世界から送られてくる魔王を倒せるのも自分だけというのも、なんとなく覚悟していたことだから受け入れられたが……この上、今度は高次元世界にまで出向いていって、そこにいる神を倒せというのだ。こんなの中々踏ん切りがつくような話じゃない。

 

 彼はとりあえず、その方法だけは聞いておこうと、

 

「やるやらないは一先ず置いといて、具体的に俺は何をすればいいんでしょうか? ここで待ってりゃカインが引き上げてくれるんですか?」

「いいえ、そう単純なものではありません。確かに高次元世界は低次元世界に一方的に介入できますが、個々の細かな事象には対応出来ません。あなたという特定個人を引き上げたりとか、そういうことは苦手なのです。そもそも、それが出来るなら神は刈り取りなんて方法を使わないでしょう」

「確かに……じゃあ、どうするんですか?」

「その刈り取りを逆用するんですよ」

 

 どういう意味だろうか。鳳が首を捻っていると、カナンはそう難しく考える必要はない、そのまんまの意味だと前置きしてから、

 

「低次元世界が魔王を倒した後、神はその情報を手に入れるために、その世界の情報を根こそぎ刈り取ろうとします。その時、我々はほっといても上に引っ張られる。だからその流れを利用して、こちらから積極的に高次元世界へ運ばれて行こうってわけですよ。そしてゴスペルが私たちの情報を吸い出したあと、本来ならそれはエネルギーとして消費されるわけですが、既に肉体情報が存在する世界では、その前にアーカーシャが肉体と精神を結びつけようとするはずです。私たちはそれを利用して高次元に乗り込むわけです」

「……そんなに都合よく行くでしょうか? 刈り取りを利用するってことは、その前に高次元から魔王化情報が送られてくるってことですよね? それがいつやってくるかは分からないじゃないですか」

 

 ところがカナンは待ってましたと言わんばかりに首を振って、

 

「いや、それがほぼ確実にやってくるんですよ……1000年前と300年前、この世界は既に2回刈り取りに見舞われています。つまり、高次元世界から見れば、ここはとっくに魔王化情報を送るに足る、十分に高度な文明を築き上げた世界なんです。現在、惑星アナザーヘブンは、レオナルドの魔法によって位相空間のずれた世界に転移してるわけですが、これが通常空間に戻った瞬間、ゴスペルは間違いなくこの世界を選んで魔王を送り込んでくるでしょう」

「……つまり、爺さんの魔法が解けた瞬間、この世界はまた滅亡の危機に見舞われるってことですか?」

「はい、それが必然なんです……ですが、安心してください。魔王がやってくると言っても、今度は最初からあなたも居ますし、及ばずながら我々も協力します。魔王を倒すこと自体は、それほど難しくないのではないかと思われます」

 

 鳳は、そんなに自信満々に言っちゃっていいのかよと少し不安に思ったが、よくよく考えてもみれば、自分はともかく目の前の翼人は、かの有名な堕天使なのだ。それくらいのこと平気でやってのけてもおかしくないだろう。彼が同意すると、カナンは続けて、

 

「魔王化情報が送られてくるということは、高次元世界に魔王が現れているということです。刈り取りが始まったら、まず我々はそこへ乗り込んで、その魔王を退治してしまいます。そうすれば、ゴスペルはもうその魔王を討伐する情報が必要なくなるわけですから、その後、そのゴスペルを使用しようとしていた人間と交渉して、使用をやめてもらう。そこまで上手くいかなくても、刈り取りの影響はオルフェウスの竪琴が防いでくれます。その間に、我々で何とか神を正しましょう」

「ヘルメスや他の精霊たちの世界では、それに成功してるんですよね?」

「ええ。そんな彼らが協力してくれますし、そもそも、神は我々人類の願いを叶えるために生み出された存在です。きっと何かしら方法はあるはずです」

 

 カナンはそう言ってるが、その神が実力行使に及んだせいで、彼は低次元世界に落とされたのだ。彼や精霊が鳳に協力を求めてきたのも、彼の救世主としての力を当てにしているからだ。荒事が全く起きない保証はない。と言うか、最低でも魔王との戦いは覚悟しなきゃいけないし、きっとカナンの同僚の天使にも追われる羽目になる。

 

 果たして、そんな世界に行って無事に帰ってこれるのだろうか……鳳は、勇者だの救世主だのと言われて、実際にその力も持っているが、あっちの世界でその力が使えるとは限らないはずだ。

 

 それに、彼には三人の妻がいる。本当に、彼女らを置いて、そんなもう二度と戻ってこれるかもわからないような世界に行ってしまっていいのだろうか……

 

「グダグダ考えてんなよ、どうせやるしか無いんだからよ」

 

 鳳が躊躇していると、いつの間にか彼のすぐ隣まで歩いてきていたギヨームが、面倒くさそうに言った。

 

「俺には宇宙の崩壊だとかそんなのはわかんねえけどよ。どうせこっちから出向いていって止めない限り、高次元からの攻撃はいつまでも続くんだ。神だかなんだか知んねえけどよ、そんな一方的にやられっぱなしで黙ってられるかよ。俺はゴメンだね。だから最初にこの話を聞いた時、すぐに話に乗ることにした」

 

 ギヨームはそう言うと右手を突き出し、

 

「おまえも来いよ。今から神の野郎を殴りに行こうぜ」

 

 鳳はその手をじっと見つめながら考えていた。確かに彼の言う通り、神だかなんだか知らないが、一方的にやられているのは癪に障る。少なくとも、自分たちの世界を守るため、それだけは止めに行かなきゃならないし、行くならついでに文句の一つも言ってやらなきゃ気がすまないだろう。

 

 それにオルフェウスの竪琴だって、いつまで持つかわからないのだ。その時、それに変わる手段が残されていたら良いが、何もなければこの宇宙は消滅してしまう。結局、今動かなきゃそれを先延ばしにしているだけなのだ。

 

 三人の嫁は確かに大事だ。だが、それと同じくらい、自分の子孫だって大事だろう。そんな負債をいつまでも残しておくわけにはいかない。彼はギヨームの手をバシッと握り返すと、

 

「そう……だな。結局やるしかないことを、いつまでもくよくよ悩んでいるわけにはいかない。まずは行こう。行って、駄目なら逃げ帰ってこよう。カナン先生、それでいいですよね?」

「おまえ……自分のことになると、ホント消極的になるよな」

 

 ギヨームが呆れた声でぼやいている。カナンはそんな二人のことを苦笑交じりに見つめながら、

 

「ええ、無理は禁物です。死んでは元も子もないですしね。ですが、私はあなたならやれると思っていますよ。だから出来るだけ踏ん張ってくれると助かります」

「もちろん、ただやられて帰ってくるつもりはありませんって」

 

 鳳はそう言うと、差し出すカナンの手も握り返した。

 


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