ラストスタリオン   作:水月一人

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どこへなりとも立ち去るが良い

 今思えばマニという兎人は、初めからおかしかったのだ。鳳はつい最近まで別の世界で生きていたから、獣人(リカント)という亜人種について何も知らなかった。そのため、そこに転がっている違和感に、全く気づくことが出来なかった。

 

 いや、そもそも、この狼人だらけの集落にあって、たった一人の兎人が、ちょっと変わったことをしていても、それに気づかなかったとしても仕方ないことだろう。狼人と兎人は、生活習慣から死生観に至るまで、まるで別の種族なのだ。それは今回の南部遠征で、兎人に出会ったことでよくわかった。いや、よく分かったからこそ気づけたのだ。マニはどう考えても普通の兎人ではない。

 

 鳳がそのことをはっきり意識したのは、罠猟をしていたマニに避けられて、嫌われちゃったのかなと、がっくり肩を落としたすぐその後のことだった。

 

 鳳はマニに逃げられた後、もはやハチを探す気力もなくなり、さっさと集落に帰ろうと踵を返した。しかし、このまままっすぐ帰ればマニと鉢合わせしてしまい、それも気まずいと思ったので、いつものように道草を食って帰った。

 

 彼からしてみれば、森は宝の山なのだ。南部遠征で色々と摘んできた薬草や種もあるから、せっかくだから育ててみようかななどと思いつつ……ノロノロとした足取りでガルガンチュアの村まで帰り着いた時には、日が暮れそうになっていた。

 

 そう言えば、帰ってきたばかりで食料が厳しい。今日はどうしようか? ガルガンチュアにたかるか、ギルドに行って何か分けてもらおうかしら……などと思いつつ、村の外れに差し掛かった時だった。

 

「ふざけんじゃねえー! バカヤロー!!」

 

 キンキンと脳みそに響くような、甲高い怒鳴り声が鳳の鼓膜を刺激した。大人と子供の丁度中間点くらいの、そんな独特の声色である。小指で耳穴を塞いで目をパチクリさせながら、一体全体どうしたんだろうかと声のする方へと歩いていったら、人だかりが出来て、その中央でハチが暴れていた。

 

 また、あいつが癇癪を起こしたのか……半ば呆れながら、今度の相手は誰だろうかと近寄っていったら、ハチに踏みつけられるように地面に転がっているマニが見えた。

 

「馬鹿にすんな! 馬鹿にすんな!」

「痛いっ! 痛いっ!! やめてよっ、ハチくん! そんなつもりじゃ無いんだ。悪気は無かったんだ」

「ふざけるなっ! おまえは俺を馬鹿にした! 絶対絶対許さない!!」

 

 それは喧嘩なんて呼べるようなものじゃなく、マニが一方的に殴られているだけのようだった。傍目にはポカポカと音を立てるような可愛らしい攻撃にしか見えなかったが、ハチの指先には鋭い爪が生えている。それにざっくりとやられた経験があるから、鳳はこのままじゃまずいと思って飛び出していった。

 

「おいこら! なにやってんだ!? おまえら友達なんだろう?」

 

 ハチは突然飛び出してきた人影に一瞬気を取られてぽかんとしていたが、それが憎き鳳だと気づくと、途端にギラギラとした目つきに切り替わり、ブンッとその爪を振り回してきた。

 

「黙れっ! 黙れぇーっ!!」

 

 鳳はその攻撃を必死に避けながら、周囲でぼーっと見ている大人たちに向かって、

 

「あんたらも見てないで止めないか! このままじゃマニが死んじまう。決闘でもない私闘はご法度だろうがっ!」

 

 彼が叫ぶと、周りを取り囲んでいた村人たちは、ハッと我に返り、それもそうかと慌ててハチを羽交い締めにした。そして、もういいだろう? と言いながら彼のことを引きずっていく。ハチはそれでも離せ離せと大暴れしていたが、大人の力にはかなうはずもなく、声が遠ざかるにつれて、徐々にトーンダウンしていった。

 

 鳳はそんなハチのことを冷や汗を垂らしながら見送ると、血だらけになって地面に転がっていたマニの元へと駆け寄っていき、

 

「おい、大丈夫か? ひでえ怪我だな。一体何があったんだよ!?」

 

 しかし、マニはハァハァと息を荒げるだけで何も答えない。鳳はとにかく傷の手当が先決だと思い、彼の体を視診していると、ふと、マニの右手にさっき彼が獲ったウサギの死骸が握られていることに気がついた。

 

 なんでこんな物を後生大事に持ってるんだろうかと疑問に思っていると、

 

「マニがそれを施そうとしたんだ」

 

 騒ぎを遠巻きに眺めていた村人の一人が言った。

 

「ハチは半人前だ。狩りが下手。だから毎日お腹がグーグー鳴ってる」

 

 曰く、ハチの狩猟下手は深刻で、数日に一度食料にありつければ良いような有様だった。大人たちはまだハチに成人は早かったと思って、彼を子供に戻そうかと話し合っているくらいだった。

 

 マニはそんな彼のことを不憫に思い、こっそり獲ってきた獲物を分けてやろうとした。しかし、この村では獲物を取れることこそが大人の証である。なのに、大人であるハチが子供のはずのマニに施しを受けるなど、屈辱以外の何物でもなかった。

 

 故にハチはマニの厚意を侮辱と受け取り激怒した。村人たちはその理由を知っていたから、手を出していいかどうか分からず、遠巻きにそれを眺めていたらしい。マニは殴られても仕方ないことをしたという感覚なのだ。

 

 しかし、腹を空かせているのは確かだろう。武士は食わねど高楊枝と言うが、いくらなんでも闘争心が異常すぎる。例え餓死してでも他人の施しは受けないと言う、それが狼人という種族のプライドなのだろうが、それで助けてやろうとしている友達を拒絶するのでは、この部族の先行きは真っ暗だろう。本当に大丈夫なんだろうかと不安になる。

 

 もしかするとマニもそう思っているのだろう。だから彼は、無理を承知で勇者領へと留学させてくれと言い出したのかも知れない。何しろ彼は狼人ではなく、兎人なのだ。そんな彼に、狼人のようなアホみたいなプライドはないだろうから。

 

 マニは鳳の手を叩くようにして、治療を拒否して去っていった。ずるずると片足を引きずるその背中に、鳳は掛ける言葉が見つからなかった。

 

*********************************

 

 昼間にあんな騒ぎがあったというのに、夜にはもう、集落はいつも通りになっていた。気の荒い村人が多いせいか、小競り合いなど日常茶飯事で誰も気にしないのだ。問題は、殴り合いの喧嘩があったということじゃなくて、ハチが腹を空かせているということなのだが、その点もあんまり深刻には捉えられてはいないようだった。

 

 何しろ、当の本人が拒絶しているのだから、そんな相手に、おまえはまだ半人前だから子供に戻れと言っても、余計な怒りを買うだけだろう。だからもう少し様子をみようというのが、この村の大人たちの大方の意見のようだが……ことが起きてから対策を講じるようでは遅きに失する。だが、大抵の人間はそのことに気づかないものである。

 

 せめて、死なない程度に何か食料を与えられればいいのだが……また以前みたいに適当に騒ぎを起こして宴会でも始まれば、ハチも肉にありつくことが出来るかも知れないが、それでは根本的な解決にはならないだろう。毎日宴会をするわけにもいかないのだし、せめて友達のマニの厚意くらい、素直に受け取ればいいだろうに、どうしてあんなに頑固なのだろうか。

 

 それにしても、マニの方は大したものである。ハチと同い年だと言うのに、もう自分の将来のことを考えて、留学を決意したり、狼人の集落で負けじと自分の狩りの仕方を確立している。

 

 狼人と兎人という身体能力の差を子供の頃から突きつけられていたからこそ、そうやって自分のことを考えられるようになったのだろうか。彼には狼人のような狩りは不可能だから、色々考えてあのスタイルを編み出したのだろう。

 

 今は簡単なくくり罠しかやってないようだが……鳳は釣りをするから、いつか機会があったら教えてやろうと思った。考えても見れば、罠を使う獣人なんて居ないのだから、川にウケを仕掛けても、誰かに邪魔される心配もないし、入れ食いなのではなかろうか。早速明日にでも……

 

「罠を使う獣人は居ない?」

 

 鳳は寝転がっていた寝床からグイと上体を跳ね起こした。立て付けの悪い家全体がグラグラと揺れ、隣の部屋で寝ていたジャンヌが、う~んと唸り声を上げる。森の夜は早いから、今はもう深夜と呼べる時間帯だった。どこぞの家からは、野獣共がセックスに勤しむ喘ぎ声が聞こえてくるが、そいつらはともかく、ジャンヌたちを起こさないように静かにしなければならない。

 

 いや、そんなことより、マニである。

 

 昼間見かけた彼は、明らかに罠猟を行っていた。それは力の弱い彼が編み出した最善の策であることは認めよう。そうではなくて問題なのは、罠のような複雑な機能を持つ道具を、獣人である彼が作り出したと言うことだ。

 

 あの南部遠征中の夜にレオナルドと話し合った時、人間と獣人の違いについて彼は言った。それは創造性の有無だと。実際、鳳は兎人に散々挿し木の作り方を教えたのだが、彼らは最後までそれを理解することが出来なかった。勇者領で獣人たちが奴隷にされているのも、恐らくガルガンチュアの村の家がどれもこれも粗末なのもそれが原因だ。

 

 ところがマニは、獣人には出来ないはずの複雑な道具を作り出すことが出来るらしい。それは何故だ?

 

 思い返せば、この狼人の村にあって、彼一人だけが流暢に会話をしていた気がする。それは彼だけが兎人だから……きっと兎人というのは、狼人よりもコミュニケーション能力が高いからだと、勝手に勘違いしていたのだが、実際に南部で兎人たちと会った限りでは、全然そんなことはなかった。

 

 明らかに、マニは他と違っている。特別なのだ。

 

 彼は一体、何者なんだ? なんでこの集落に、たった一人で暮らしてるんだ?

 

「きゃあああああああああああーーーーーーーーーっ!!!!!」

 

 鳳がそんなことを考えてる時だった。突然、すぐ近くの家から悲鳴があがった。

 

 人が寝静まった深夜である。その物凄い声に飛び上がって驚いていると、同じくその声に起こされたらしきジャンヌとメアリーが、隣の部屋からなんだなんだ? とやってきた。

 

「どうしたの? なにかあったの?」「わからん。いきなり悲鳴が上がって」「どっちの方角かしら?」「あっちは……まさかガルガンチュアの家か?」「大変! 族長のところへ急ぎましょう」

 

 眠ってるところを無理やり起こされたからか、半覚醒状態のジャンヌがふらつきながら腰のものを取って立ち上がる。鳳たちはメアリーに家で待ってるように言って外へ出た。彼女はあまり興味がなかったらしく、すぐに自分の寝床に戻っていった。

 

 鳳たちが駆けつけた時にはもうガルガンチュアの家の周りには人垣が出来ていた。彼らがその輪の中に入った後からも、次から次へと村人たちが駆けつけてくる。ぎゅうぎゅうと押し出されそうになるのに抵抗しながら、どうにかこうにか前方を見やると、ガルガンチュアの家の前で複数の人影がもつれ合っているのが見えた。

 

「ごめんなさい! ごめんなさい!」

 

 キャンキャンと、子犬の鳴き声のような、誰かの謝罪の言葉と、

 

「駄目だ! おまえを絶対に許さない!」

 

 簡潔だが、それだけに胸に突き刺さるような重低音が耳朶を打つ。

 

 ぶるぶると空気を震わせているかのように、腹の底にズシンと響くような声が、その声の主の怒りの程を表しているようだった。狼人とはそもそも存在自体がオオカミそのものなのだ。聞いているだけで恐怖を覚えるようなその声に尻込みしつつ、一体何が起きているのか状況を確認しようと、鳳が人をかき分けて前に出ると、騒ぎの中心に居たのはなんとハチとガルガンチュアだった。

 

 族長のガルガンチュアが、物凄い形相で、まだあどけなさの残るハチのことを睨みつけている。問題児のハチが何かしたのは明白だったが、それよりも驚いたのは、普段の彼からは想像出来ないほど興奮し、怒りを顕にしているガルガンチュアの姿だった。

 

 あの2メートルを優に超える巨躯が容赦なしにハチのことを、鋭い爪で切りつけ、殴りつけ、蹴り上げる。その度にキャインキャインと情けない悲鳴が上がって、周囲を取り囲んだ人々が、ビクリと肩を震わせている。

 

 ガルガンチュアの攻撃は熾烈を極め、一振りごとに血しぶきが舞うほどだった。このままじゃハチが死んでしまうのは誰に目にも明らかだったが、族長が怖くて誰も止められないようだった。

 

「ぞ、族長さん! そこまでよ。それ以上やったら、彼、死んじゃうわ」

 

 それでも勇気を振り絞って、ジャンヌは一歩前に踏み出ると、興奮して手がつけられなくなっているガルガンチュアの腕を掴んで、彼のことを止めようとした。

 

 獣王は一度はその手を振りほどいて、再度ハチを殴りつけようとしたが、すぐにハッと我に返ると、彼を止めようと必死に腕を引っ張っているジャンヌの方を見て、次第に落ち着きを取り戻していった。

 

 多分、自分と同等以上の力を持つジャンヌだから出来たことだろう。きっと鳳や、他の村人たちが彼を止めても、こうはならなかったに違いない。周囲を取り囲む村人たちから、安堵のため息が漏れる。

 

 そんな空気の中で恐る恐るとジャンヌはガルガンチュアに尋ねた。

 

「それで一体、これは何の騒ぎ? 普段のあなたからは想像できないわ」

 

 ガルガンチュアは、グルルルーーーー……っと、大型犬の唸り声のような声を暫く上げた後、一言一言、絞り出すように言った。

 

「ハチが、俺の家に忍び込み、女に手を出そうとしたのだ」

「……え? 女……?」

 

 女とは、ガルガンチュアの複数いる嫁のことだろうか。子供が居ないからあまり目立たないが、族長の彼には何人もの妻がいる。簡単に言えばハーレムを形成しているわけだが……

 

「俺のフリをして、女に手をだそうとしていたのだ。妻帯が認められてない男が、子供を作るのは駄目だ。俺たちの村では、絶対に許されない行為。ハチは掟を破った」

 

 つまりハチが夜這いをかけたということか……つい最近まで子供だった彼に、うっかり寝取られかけたと考えれば、その怒りも分からなくもないが。それにしても、あの普段はどっしりと構えているガルガンチュアからは想像も出来ないほどの怒りようである。未遂だったんだし、なにもそこまで怒らなくても……と鳳は思ったのだが、

 

「なんだと!?」「ハチのやつめっ!」「やはり、こいつに成人は早すぎたのだ!」「そんなことはどうでもいい、死刑だ!」「殺せ! 殺せ!」「生かしておいては沽券に関わる、ガルガンチュア、やってしまえ!」「生かすな、殺せ!!」

 

 理由を知った瞬間、周囲の人垣から湧き上がった怒号に、鳳は面食らってしまった。獣人はセックスばっかりやってるイメージがあったから、夜這いを程度は頓着しないと思っていたが、大間違いだったらしい。どうやら、この集落で強姦は死罪に値する重罪のようだ。

 

 ボロボロになったハチが村人たちに引きずり出される。このままじゃ本当にリンチで死んでしまうと思った鳳は、慌てて彼らの間に入ろうと駆け寄ると、同じことを考えていたらしきマニが別の方向から駆け寄ってきて、彼に覆いかぶさるようにして村人たちに向かって言った。

 

「待って下さい! 死刑はいくらなんでもやりすぎです!」

「黙れマニ! そこをどけ!」「何故死刑囚を庇うんだ」「掟を守らぬなら、おまえも同罪だ!」

 

 しかし興奮する村人たちは聞く耳を持たない。ハチを守ろうと覆いかぶさるマニのことをグイグイと引き剥がそうとしている。鳳はそんな興奮する人々の間に割って入ると、

 

「まあまあ、ちょっと落ち着きましょうよ。死刑にするというのなら、その前に何があったのか、ちゃんと本人の弁明を聞いておかなきゃ不公平じゃないですか。それに、聞く限りでは、彼は手を出そうとしたところ拒否されて、事が露見したんでしょう? ってことは、まだ未遂じゃないですか。それなのに死刑にするってのは、流石にちょっと行き過ぎなのでは?」

「うるさい! 小難しいことをべらべらと。よそ者は引っ込んでろ!」

「いやいや、俺も妻帯を許された村の仲間でしょう? 意見するくらいはいいじゃないですか」

「なんだとっ!!?」

 

 鳳の言葉も興奮する村人たちには届かなかったらしく、彼らは小生意気な鳳にギラギラとした視線を向けてきた。どうやら怒りの矛先がこっちに向いてしまったっぽい。あ、こりゃやばい……と思った鳳は、かくなる上はジャンヌに頼ろうと目配せをしようとした時だった。

 

「静まれ! 静まれ! 戦士たちよ!!」

 

 キーーン! っと耳をつんざくような大喝が辺りにこだました。キンキンとする耳を指で塞いで、声のする方を見れば、ガルガンチュアと一緒に村の長老が口をフガフガさせながら立っていた。

 

 興奮していた村人たちは長老の姿を見ると、毒気を抜かれたかのようにシュンと項垂れ、今正に掴みかからんとしていた鳳をどんと突き飛ばして一歩引いた。長老は村人たちが静まって、自分に注目しているのを見計らうと、

 

「話は聞いた。ハチは村の掟を破った。強姦は死罪だが、ツクモの言う通り、ハチはまだやってない。だから殺さず、追放処分とする」

 

 長老がそう宣言すると、村人たちは互いに顔を見合いながら、それが妥当かどうか話し合っていた。やがて、長老の提案が受け入れられると、周囲のざわつきは収まっていき、人々の視線が今度は族長のガルガンチュアへと向いた。

 

 彼は村人たちの視線を受けて一歩踏み出すと、

 

狼人(ウェアウルフ)ハチよ。おまえはもう俺の子供じゃない。俺たちの仲間でもない。この村はおまえを受け入れない。どこへなりとも立ち去るが良い」

 

 ガルガンチュアのその言葉を受けて、マニに覆いかぶさられていたハチは、邪魔な友達をドンと突き飛ばし、怯えるような視線を周囲に投げかけてから、四つん這いになって、まるで本物のオオカミみたいに駆けていった。

 

 彼が通り過ぎたあとには血がボタボタとたれていて、そのままでは死んでしまうと思った鳳は、なんとか彼に追いつけやしないかとその後を追った。しかし血痕は森まで続いていて、夜の暗闇の中では、それ以上追うことは出来なかった。

 

 ガサリと木の葉を踏む音がして振り返ると、彼と同じくハチを追いかけてきたマニがいた。二人は森の中へ目を凝らしながら、周囲が明るくなるまで、じっと横に並んで佇んでいたが、ハチが帰ってくることはもう二度と無かった。

 


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