主人公はあの人の娘!?苦難多き少女のヒーローアカデミア 作:ユリアンヌ
とっても便利!!
第14話のはじまりです♪
翌日 ───…。
AM5:30。
「さてと…そろそろ起きなきゃ…」
起床した友里絵はゆっくりと体を起こした。
少し身体の怠さはあったが動くには支障はなかったので学校に行く支度をし制服に着替えると部屋を出る。
下に降りると緑谷の姿があった。
「あれ、デクくんもう起きてたんだ。おはよう」
「あ…おはよう成切さん…」
お互いに挨拶を交わす友里絵と緑谷。
どこにでもあるごく普通の光景だ。
だがひとつだけその普通の光景とはかけ離れたことがあった。
「……またずいぶん頑張ったみたいだけど、まさか徹夜……?」
「う…ううん、徹夜はしてないよ……ちょっとやり過ぎちゃったけど…」
そう、緑谷は自主トレのし過ぎで全身ボロボロ状態になっていた。さすがに徹夜はしていないようだが、かなりやつれた様子だった。
「もう……無理はしないでって言ったのに…。何か進展はあったの?」
「そ…それがまだ…。成切さんが言ってた"水道の蛇口"の意味も理解出来なかったから結局練習することに集中しちゃって……」
「そりゃあ簡単にわからない様に言ったんだし、水道の蛇口ですぐに解ける方が逆にすごいよ。まぁ焦らずに落ち着いて考えてみて。きっとワン・フォー・オールをコントロールするヒントになると思うからさ」
トレーニングの成果を聞かれるが、特に好転せず進展もなかった。ただ顔に傷を作るだけだった。
しかも考える時間が惜しいと友里絵のアドバイスを後回しにしてしまい考えれていない。その申し訳なさもあって緑谷の表情は雲っていた。
友里絵はそんな緑谷に対し、あえて難しいヒントにしているのだからと怒ることはせずただただ声援を送っていた。
「う…うん…わかった…そうするよ。
ところで成切さん今日は学校行くんだよね?」
「そうだよ?だからこうして制服着てるでしょ?」
「けど成切さん何かまた顔色が良くないよ…?もしかして体調がぶり返したんじゃ…」
「微熱程度と多少気だるさが残ってるけど大丈夫、問題ないよ」
友里絵の顔色に気付き心配そうに声をかけるが友里絵はまたしても大丈夫だと答えるだけだった。
「だ…ダメだよそんなの!万が一学校行く途中で倒れたりでもしたら…!」
「心配し過ぎだって。私そんな柔じゃないし自分の身体だもん、大丈夫かそうじゃないかの分別はちゃんと出来るよ。学校もヒーロー科じゃなく普通科だからデクくんみたいに訓練することもないし、いざとなったらリカバリーガール先生のとこに行くからさ」
「だけど絶対大丈夫って保証はないし、やっぱりちゃんと休むべきだよ!」
昨日と同じ様にまた両者どちらも引かない意見の言い合いが始まった。
「そうかもしれないけど昨日だって休んでるのに今日まで休むわけにはいかないよ。動けない程じゃないんだし、何より2日も休んで昨日みたいにトシおじさんからまた何十件もメールとかされたらたまんない…。
今朝スマホの電源つけてみたらびっくりしたよ……」
「そ…そのまま行っても同じだと思うけど…。
(何十件も来てたんだ……。ていうか成切さんが学校休みたくない本当の理由ってまさかそれなんじゃ…?)」
「どうせ休んでも休まなくても心配されるんだったら私は学校に行く方を選ぶ。こんなことで休みたくない」
そんなやり取りが続く中、友里絵が急に真剣な表情でハッキリそう言い切った。
「…わかった。成切さんがそこまで言うなら信じるよ…。けど絶対に無理はしないようにね…」
「ふふ、何か昨日とは逆になっちゃったね。わかった、約束する」
その熱意が伝わったのか、緑谷もそう聞かされた以上、折れるしかなく無理をしないことを条件に承諾することにした。
友里絵もその条件を呑み、こうして二人の二度目の言い合いは案外あっさりと幕を閉じるのだった。
──ちょっと心配だけど成切さんの言うように学校にはリカバリーガールがいるし他の先生達やオールマイトまでいるんだ…。きっと大丈夫だろう。成切さんも無理はしないって約束したし…。
それに体調不良でもちゃんと学校に行こうとするなんて成切さんは立派だな…。そういう頑張ろうっていう気があることはすごいと思う…。
つい応援したくなる気持ちにさせられる。
「んじゃ、急いで準備を…」
「え…ちょ…待って待って。成切さん何やってるの?」
──なんて考えていたのも束の間、今度は朝食の準備をすると言い出し制服の上からエプロンをかけ始めた。
「何って朝食の準備だけど」
「そうじゃなくて!何で朝食の準備し始めてるの!?」
「?だって朝食食べるでしょ?」
「食べるけど!朝食の準備は僕がするから成切さんは体調不良なんだから学校に行くまで休んでて……!」
緑谷の問いかけに首を傾げながら普段に答える友里絵。いくら元気そうに見えても病人は病人。黙って見過ごすわけにもいかず、当然のごとく全力で阻止しようとする。
「あ…じゃあお言葉に甘えてお願いしていいかな?
と言ってもそろそろ出ないといけないからゆっくりしてる時間はないけど…」
「え、もう行くの?ていうか成切さんこそ朝食は?」
「私はコンビニでおにぎりでも買って食べるよ。トリノおじさんが起きて来たら私は学校行ったって言っておいて。それと朝食にたい焼きは絶対出さないでね」
「う…うん…?(あ…成切さんバンダナに変わってる)
たい焼き……?」
時計を見ると時刻は6時15分。友里絵はせっせと頭にバンダナを巻くと鞄を持ち緑谷に後のことを頼むと同時にたい焼きは出すなと伝言を伝えた。
その際、フードからバンダナに変わっていたことに気づくが、たい焼きという謎のワードに何故たい焼きなんだ?と疑問に思い曖昧な返事をしていた。
「お願いね。行ってきます」
「あ…い…行ってらっしゃい…」
そんなことは気にも止めずに出て行く友里絵を緑谷はただ見送った。
よ……よくわからないけど何とか成切さんが朝食を作るのだけは阻止できた……。
頑張ろうとするのはいいんだけどちょっと無茶し過ぎなんだよな…。昨日も掃除したり僕の自主トレを見に来たり……。
オールマイトといた時もあんな風だったのかな……。
そう考えるとなんかオールマイトが成切さんを心配する気持ちがわかった気がする……。
「…あれ、ちょっと待てよ?
だとしたら無理をしないっていう成切さんの言葉も何か怪しいぞ……。ど…どうしよう、やっぱり学校に行かせたのまずかったかも……」
緑オールマイトが友里絵の心配する気持ちが何となくわかったような気がしたのと同時に学校へ行かせてしまったことを今になって後悔し始めた。
それから2時間後、起きて来たグラントリノからもボロボロになっていることについて聞かれることになる。
「おはよう。そして!どうした!?」
「昨日ちょっと自主トレしてたら夢中になってしまい…。成切さんからもらったアドバイスはまだよくわからなかったのでグラントリノさんに言われたこと咀嚼(そしゃく)して実践してみたんですけど…先はめちゃくちゃ長いです…」
「友里絵から?何て言われたんだ?」
「ワン・フォー・オールを水道の蛇口だと思って考えろと……」
自主トレ中に友里絵から言われたことをそのままグラントリノに伝えた。
「全くアイツめ…。病人のくせに何やってんだ…。だがヒントが水道の蛇口とはまたベタなアドバイスをしたもんだな」
「え…?」
「それはまぁ良いとして、初めてのチャレンジならそりゃそうだ。仕方あるまいて。ああいった発想はオールマイトからは出にくい。奴は初期から普通に扱えていた為、指導方針が違ったからな。奴は体だけは出来上がっていた」
「オールマイトの学生時代…!!どんな感じだったんですか!?」
「ん?ああ…ひたすら実践訓練よ。
ゲロ吐かせてやったわ」
「(それであんなに恐れてたのか!!)」
貴重なオールマイトの学生時代の話に俄然興味がありその様子をグラントリノに詳しく聞いてみるが、その内容は期待していたのとは全く異なりなものだった。
グラントリノとの実践訓練でオールマイトはボコボコに殴られゲロを吐かされたらしい。
そりゃあ彼が恐れるわけだ。
「生半可な扱いは出来なかった。
「え…オールマイトの先代…お亡くなりになっていたんですか?」
「んあ……?」
オールマイトの先代が亡くなっていたことを初めて知り驚く緑谷。
しかし聞き返そうとした時玄関のインターホンが鳴った。
ピンポーン
「宅配でーす」
「あ…僕受け取って来ます!」
七代目のこと言ってないのか俊典………。
グラントリノもオールマイトから既に聞いていたと思っていたらしく意外な反応をしていた。
「お疲れ様でした。
グラントリノさん、荷物受け取って来ました。ここに置いていいですか?」
「ああ…。
おい小僧。ちょっと聞くが友里絵の母親のことはオールマイトから何か聞いてるのか?」
「え…成切さんのですか?いえ…オールマイトにとってとても大切な方だったとは聞いてますがそれ以外は…」
不意に友里絵の母親について聞かれたが以前オールマイトからはその様に聞かされただけで詳しくは知らないと答えた。
──やはり七代目のことはまだ言ってないらしいな……。友里絵の母親についても…。
「そうか………。
で、友里絵は学校に行ったのか?」
「あ、はい。まだ体調は良くないみたいでしたが昨日休んだから今日は休みたくないと言って……」
「何?まだ良くなってないのに行ったのか。あのおてんば娘め…」
「はは……」
体調不良のまま学校に行ったと聞きグラントリノは呆れながら呟き緑谷も苦笑いを浮かべた。
「まぁ…何かあればすぐ雄英の教師が何とかするだろ。つーことで小僧、今届いた荷物の箱開けろ」
「は…はい!」
グラントリノに言われて急いで荷物を開封した。
「電子レンジ…!?」
「昨日
「(ガチなのかオトボケなのか…!)」
中身は電子レンジだったが、グラントリノは昨日実践形式の戦闘で自分で踏んづけて壊したことを覚えていないのか、それともあれで壊れないとでも思っていたのか、電子レンジが何故か壊れたと言っていた。
これには緑谷もガチなのか、わざとなのかわからず困惑した。
「よし小僧、昨日買った冷凍たい焼き食うぞ。用意だ!!」
「朝食たい焼きですか!?
あ…そういえば成切さんがたい焼きは絶対出すなって…」
「俺は甘いのが好きなんだ!アイツが何て言おうが黙ってりゃ関係ねぇ。良いからさっさと準備しろ」
「わ…わかりました…!
(ごめん成切さん………)」
友里絵がああ言っていた理由がわかるも、結局たい焼きを準備することになり心の中で謝った。
たい焼きを大きなお皿に移し電子レンジに入れて温めている間、レンジの前で緑谷はまたワン・フォー・オールについて考えていた。
そのすぐそばのテーブルにはグラントリノが手をパタパタさせ、たい焼きが温まるのをワクワクと待っている。
呼吸をするようにワン・フォー・オールを扱う……。冷静に考えれば皆が15年間つちかってきた感覚に追いつかなきゃいけないってことだ。
時間は待ってくれない。これじゃあ5%の力を引き出す為に身体を作る年月と変わらない。
「うひょーこれよこれ!時代はアツアツよ!!」
「時間は限られてる…。どうすれば…」
たい焼きが温まりテンションが上がるグラントリノ。
一方の緑谷はブツブツと悩み続けながらも手は動かし取り皿とフォークを準備する。
「浮かない顔をしてるな。今はとりあえずアツアツたいを食って…
冷たい!!!」
「え!?」
そう言ってたい焼きにかぶりつくグラントリノだったが、たい焼きはまだ解凍出来ていなかったのかガキッと鈍い音がし大きく叫んだ。
「ウソ!?ちゃんと解凍モードでチンしたんですけど…!」
「バッカおまえ!!これ……でかい皿でそのまま突っ込んだな!?無理に入れると中で回転しねぇから一部しか熱くならんのだ!!!チンしたことないのか!!」
どうやら温め方に問題があったらしく、グラントリノはすごい剣幕で緑谷に怒鳴った。
たい焼きのことになると必死だ。
「あっ…ウチの回転しないタイプだったんで…ごめんなさ………
………!」
ここで緑谷があることに気づく。
「あああ、わかった!!グっグラントリノさん!!これが…このたい焼きが僕っ…です!!」
「違うぞ。大丈夫か!?」
「あ、いや違くて…っ!その…っわかったんです!」
たい焼きを手にしそう言い出す緑谷。
グラントリノに「こいつは何を言ってるんだ」という表情でガチにツッコミを入れられるも話を続ける。
「僕は今までワン・フォー・オールを「使う」ってことに固執してた。必要な時に…必要な箇所に!スイッチを切り替えて…。でもそれだと二手目三手目で反応に遅れが出てくる…!!
なら初めからスイッチを全てつけておけばよかったんだ!!一部にしか伝わってなかった熱が……万遍なく伝わるイメージ…!!」
そして成切さんが言っていたワン・フォー・オールを水道の蛇口に思えっていう言葉の意味……。あれも電子レンジのたい焼きと同じだ!
水道は必要な時に蛇口を捻って水を出すけど、出しっぱなしにしていつでも使えるようにするって意味だったんだ…!
去り際に甘い物を勧めて来たのも、最初は僕を気遣っての行動だと思っていたけどそうじゃない!重要なのはその後の「疲れた身体に染み渡る」っていう言葉だったんだ……!
"ワン・フォー・オールを全身に浸透させる!"
成切さんはあの時既にそのことを教えてくれていたんだ!
もっと早く気づいていれば………!
力を込め、ワン・フォー・オールを脚から徐々に全身へと行き渡らせていく。その際に友里絵の言葉の意味も理解したようで申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
──辿り着くまでにずいぶん早かったな。
「全身……
「イメージが電子レンジのたい焼きて、えらい地味だがいいのかソレ」
「そこはオールマイトの…っお墨付きですっ…!」
全身に力が行き渡ると緑谷の身体はバリバリと稲妻のような緑色の閃光を纏った状態になった。
これがワン・フォー・オール5%の力をコントロールした姿だ。
「その状態で動けるか?」
「わかっ…りません!」
「試してみるか?」
「はい…!お願いします!」
持っていた杖を放り投げグラントリノは戦闘体勢に入る。
今の状態を維持しつつ動けるかを聞かれるが緑谷にもわからない。それはもう実際に試して確かめるしかないのだ。
その為緑谷も手合わせ望み身構える。
さぁ第二戦目の始まりだ!
友里絵の水道に例えろ発言はBLEACHネタから引っ張って来てます。一護と石田が初めてメノスと遭遇した場面のです。
他にいいアドバイスが思い付かなかったというのもありますが(^_^;)
閲覧ありがとうございました。
次回は友里絵視点になります。