主人公はあの人の娘!?苦難多き少女のヒーローアカデミア 作:ユリアンヌ
それからオールマイトが友里絵に謝り二人は無事仲直り……………なんてことはなく、保健室で揉めて以降、二人は顔も合わせることなく1日が終了。
というのも、オールマイトが接触を試みるも友里絵の方がそれを避けて会おうとせず、彼からの連絡や呼び出しを恐れてかスマホも電源を切ってカバンにいれっぱなしにしていた。
学校を出て帰路についてからも気分は晴れないままだ。
……トシおじさんのバカ……。ちょっとは私の気持ちも考えてよ……。
だけど……。
本当にバカなのは………。
私自身だ………。
これは私の軽率な行動が招いたこと…。
全部私が悪いのに……。
あの人は嘘なんかつかない……。
事実確認もそうなんだろうけどトシおじさんは本当に私を心配して来てくれただけなのにひどいこと言っちゃった…。
だけどトシおじさんに話してどうこうなるわけじゃないのは事実だし何か変わるわけでもない……。
一生忘れることはない…。
私はこの苦しみからは一生逃れることは出来ないんだ…。
自分の抱える闇を解決する糸口がないことへの絶望感や行き場のない苛立ち、それをオールマイトへ向けてしまったことへの後悔。
様々な思いに押し潰されそうになり気持ちはどんどん暗くなる一方。
そんなに自分に嫌気さえさしていた。
「……きっともう呆れられたよね…。せっかくトシおじさんとまた話せるようになったのにこれでまた振り出しか……。明日からどうしよう……」
こんなこと…デクくんにも言えない…。
和解したのにまた喧嘩したなんて言えるわけがない…。
ため息をつきあのオンボロアパートに入って行く。
「あ、成切さん!お帰り!」
「よお、帰って来たか」
中に入ると相変わらず屋内で戦闘を行っていた二人が友里絵に気付いて手を止めた。
緑谷に至ってはボロボロになっている。
…また屋内でやってたのか……。
机とかひっくり返ってるし……。
屋内でやるなって言いたいけど今は怒る気にもなれない……。
だけど落ち込んでること、トリノおじさん達には悟られないようにしなきゃ……。
「た…ただいま」
「あれ、成切さん足どうかしたの?歩き方が変だけど…。何かちょっと膨らんでるし……」
足を庇って歩いていたのと少し膨らんでいたのに気づいて緑谷が尋ねる。
「どうせ目眩でも起こした何かで転んだんだろ?熱があるくせに学校なんかに行くからだ」
「いや、これただドジって階段から落ちただけだし…」
「か……っ階段から落ちたって転ぶより悪くない!?しかもなんでそんなサラッと…っ!?」
階段から落ちたという事実とあまりにもサラッと答える友里絵に緑谷は驚きの声をあげた。
「だから熱で朦朧としてたからドジったんだろ」
「いいえ、考えて事をしてて踏み外しただけですぅ」
「威張って言うんじゃねぇよバカ」
「ちょ…っ二人とも落ち着いて…」
平然を装ったまま友里絵はグラントリノと言い合いを始め、緑谷は慌て二人をなだめた。
「………で、身体の方はもう大丈夫なのか?」
「あ、うん。もう下がったし平気だよ」
「なら良いがオールマイトの奴はこのことを知ってるのか?」
「……!ま…まぁ一応…」
……あれ?気のせいかな…。今一瞬成切さんの様子がおかしかったような……?
気付かれまいと気丈に振る舞っていた友里絵だったが、グラントリノの口からオールマイトの話が出たことで一瞬動揺してしまい、緑谷はそれを見逃さなかった。
「また大袈裟に騒いだんじゃねぇか?アイツはお前に関しちゃ甘々だが無茶ばかりしてるとその内本当に怒られるぞ?」
「…っっ!!」
何とか必死に耐えていた友里絵だったが「怒られる」というワードにとうとう我慢の限界に達したのか、突然と目から涙が溢れだし止まらなくなってしまった。
「!?」
「え……っな…っ成切さん!?ど…っどうしたの!?」
「…っ」
これには二人ともギョッとし、緑谷が慌てて声をかけるも友里絵は答えずひたすら声を押し殺して泣き続けていた。
「……もしかしてオールマイトと何かあったのか?」
こくん…
「……」
「え…」
泣き続ける友里絵を見て何かを察したグラントリノが問いかける。
泣いたまま小さく頷く友里絵を見て緑谷は動揺を隠せずにいた。
「…すまんが、少し席を外してくれるか小僧。友里絵と二人で話がしたい」
「あ…は…はい……」
わけがわからずにいると、グラントリノからしばらく二人きりにしてほしいと頼まれた。少し迷ったものの、今自分に出来ることは何もなく大人しく外へと出ていった。
「…それで何があったか話せるか?言いたくないことは無理に言わなくて良い。話せる範囲で教えてくれ」
緑谷を外に出させた後グラントリノは友里絵を椅子に座らせなるべく刺激しないようそっと尋ねた。
答えない可能性もあったのだが友里絵は小さく頷いて学校であったことや自分がしてしまったことを素直に話し始めた。
「私……"個性"を消してもらおうとしたの……。デクくんの担任の相澤先生に…。
でも………っ見てる間だけしか消せないって私知らなくて……消してもらえなかった……っ」
「………」
また泣けてきてしまい上手く話すことが出来なかったが、それでもグラントリノはただ黙って聞いていた。
「そしたら相澤先生……職員室で私のこと調べたって……。資料見て他の先生と話してて、私が話した内容までは言わずにいてくれてたみたいだけど……トシおじさんそれ聞いてて……。それで保健室来て凄く聞かれて………っ」
「なるほどな…。あの小僧の担任に"個性"を消してもらおうとしたのを俊典に知られて責められたっつーわけか…」
「どうしよう…私トシおじさんにひどいこと言った……」
約10分程かけてようやく全ての説明が終わり友里絵は泣きながら自分のしたことへの後悔とオールマイトに対する不安を口にする。
「その程度のことでアイツが気にするわけねぇだろ。
にしても俊典もバカだがお前もお前だ。何でそんなバカなマネをした?」
「だ…だって……」
「お前がこの6年ずっと"個性"のことで悩んでいたことも、どうにかしたいと思っていたことも知ってる。だがもうどうにもならねぇってことぐらいお前だってわかってるだろ」
「……」
グラントリノに言われて自分でもバカなことをしたとわかっている。
それでも直接言われてしまうとやはり落ち込んでしまい、また黙り込んでしまう。
最も、"個性"を消すなんてそんな方法があるとすりゃあ一つしかねぇがそれは友里絵が最も避けたいことだからな…。黙っておくか……。
こいつに言うのはあまりにも酷っつーもんだ。
心当たりはあるものの、グラントリノはそれが友里絵にとって決して良くない方法ではないと分かっていた。だから口には出さず黙っておくことにした。
代わりにある一つの提案を持ちかける。
「そこで俺から提案だが俊典にもういっそのこと全部話しちまったらどうだ?」
「え…っ」
「話した所でどうにもならないのはわかってる。だが話すことで気持ちだけでも楽になるだろ。黙ってるから余計に苦しいんだ。愚痴でも良い。辛けりゃ毎日のように俊典に辛いって言っちまえ。愚痴なんて聞かされるのは普通嫌がられるモンだがアイツならちゃんと聞いてくれるハズだ」
「………」
「この提案に乗るかどうかはお前が決めろ。俺は小僧を呼んでくるからお前は部屋に戻ってろ。まずはゆっくり気を落ち着かせてどうするかはそれから考えれば良い」
「……わかった」
友里絵は自室に向かいグラントリノは緑谷を呼びに向かった。
偶然か文章が3000文字ピッタリで終わった(笑)
閲覧ありがとうございました。