主人公はあの人の娘!?苦難多き少女のヒーローアカデミア 作:ユリアンヌ
初投稿の第1話です。よろしくお願いしますm(_ _)m
5月某日。
ヒーローを数多く排出する名門の雄英高校ではこの日、ビックイベントである体育祭が行われていた。
「…ワン・フォー・オールの調整……。出来たのは結局騎馬戦の時とトーナメントで轟くんと闘って一撃入れた時だけ……。あとは余裕もなくボロボロになって敗退しちゃったし、オールマイトはああってくれたけど、いつまでもこんな風じゃダメだよな…」
その体育祭終了後 、1年A組ヒーロー科の生徒、緑谷出久は体育祭の反省をしながら一人廊下を歩いていた。
オールマイトは今年の春から雄英教師に就任した人気ナンバー1のプロヒーロー。名実共に誰もが憧れ認める"平和の象徴"であり、緑谷はそんな彼とは師弟関係にある。
というのも、オールマイトが持つ"個性"を引き継いだことがきっかけだ。
この世界には"個性"と呼ばれる何らかの超常能力が存在し、世界総人口の8割が"個性"を持っている。
事の始まりは中国・軽慶市にて発光する子供が生まれたというニュース。以後、世界各地で同じような現象が報告され超常は日常へと変化。
"個性"の出現により犯罪や事故が爆発的に増加する中でそれらに対処すべく生まれたのが、ヒーローという職業。
誰もが一度は空想し憧れたことがあるだろう。
緑谷もそんなヒーローに憧れた一人だ。
特にNo.1ヒーローのオールマイトの熱狂的なファンで幼いころから彼のようになりたいと将来の為に様々なヒーローをノートに書いてまとめてきた。
しかしそんな超人社会となった現代に何の力も持たない"無個性"として生まれてしまった緑谷。
ヒーローを目指すには致命的であり、周りからはバカにされ、いじめられるなど辛い日々を送る毎日。
それでもヒーローになりたいという夢を諦めきれずにいた。
そんな時、オールマイトと運命的な出会いを果たし人生が一変。
彼が持つワン・フォー・オールという"個性"を譲渡されることになり今では立派なヒーローになるため、そして彼の期待に応えるため日々頑張っているというわけだ。
しかし、彼との関係やワン・フォー・オールについては誰にも言ってはいけない秘密。
「………やっぱり教室に行く前にもう一度オールマイトに……わ!?」
「きゃ…っ」
オールマイトの元に行こうと思い立った緑谷の足が早足になる。
と、廊下の角に差し掛かったその時フードを被った人物が現れ、すれ違いにぶつかってしまい相手はバランスを崩し尻餅をつく。
「あ…っご…ごめんなさい、僕ぶつかっちゃって……!!ケガしてませんか…!?」
緑谷はあたふたしながら相手の人物に謝る。
フードを被っていて顔は見えなかったがスカートを履いてる。どうやら女子生徒のようだ。
「は…はい…大丈……
……!」
顔を上げた女子生徒の様子が変わる。
「あ…あの……?」
「な……何でもありません…私なら大丈夫です。私の方こそすみませんでした…。それじゃあ…っ」
「あ……」
その女子生徒は緑谷に謝るとフードを押さえながらスッと立ち上がり早々に立ち去った。
「………行っちゃった。何だったんだろあの人……」
フニ…ッ
「ん…?何か踏んで……
って、うわ!これオールマイト仕様のマスコットだ!何でこんなところに……っ?
……あ!もしかしてさっきの人が落として行ったんじゃ…っ
ていうかヤバいどうしよう、踏んじゃった!壊れてないかな…!?」
足元を見るとそこにはオールマイト風のポンチョを纏ったテディベアのマスコットがあった。
先程の女子生徒が落として行ったのだろうか?とにかく慌てて拾い上げ踏んでしまったところを手でパッパッと払いながら破損していないかを確かめた。
「よかった…壊れてはないみたいだ…。
にしてもすごいなこれ…。こんなのあったんだ……。だいぶ年期が入ってるみたいだけど昔売られてたコラボ商品とかかな…?どこで買ったんだろ……?まだあれば僕も欲しいけど今でも取り扱ってるかな…?」
元々年期が入っていたようで薄汚れてはいるが幸い破損はなくホッとする。
と、同時にオールマイト仕様ということもあってヒーローオタクである緑谷の中でついオタクスイッチが入ってしまい、興味津々でマスコットを見ながらブツブツと呟き始めた。
────って、こんなこと考えている場合じゃない!早くさっきの人に返してあげないと…!
ハッと我に返り顔を上げるが女子生徒の姿はもう既になかった。
「どうしよう………。さっきの人の名前もクラスもわからないしどうやって返そう…」
女子生徒のことを何一つ知らず、その場で立ち尽くしどうしたものかと困ってしまう緑谷。
「緑谷少年?」
「え…あ、オールマイト…!」
するとそこにガリガリに痩せた骸骨のような男性が緑谷に声をかけながらやって来た。
トゥルーフォーム姿のオールマイトだ。
実はオールマイトはある事件の後遺症によって本来の筋骨隆々とした姿が今の姿になってしまい、活動時間も短くなっている。
なので普段はトゥルーフォームの姿で過ごし必要な時だけ元の姿に戻って活動を行っている。これも世間に公表されていない絶対の秘密。
「体育祭お疲れ。こんなところでどうしたんだい?このあとHRだろう?」
「えと…教室に戻る前にオールマイトにもう一度期待に添えなかったことを謝ろうと思って会いに行こうと……」
「そうだったのか。全く…本当に律儀だな君は。この行動派オタクめ!」
「えへへ……」
笑みを浮かべるオールマイトに緑谷も照れ臭そうに笑った。
「しかしそれなら何故立ち止まっていたんだい?何か困っていた様にも見えたが…」
「あ……実はついさっきここで女の子とぶつかっちゃって…。
多分普通科の人だと思うんですけど、その人がぶつかった時にこれを落として行ったみたいで……」
緑谷はそう答えながらその時に拾ったマスコットを見せた。
「…!これは…!
緑谷少年!このマスコットを落として行ったのは女子だったんだな!!?
どんな子だった!?その子の顔は見たのか…!?」
「え……っいや…あ…あの…っ、その人フード被ってましたし、僕に謝ってすぐ行っちゃったので顔までは…っ
あ、でも髪は黒っぽい藍色でした…!」
マスコットを見た瞬間、オールマイトの態度が一変し緑谷の両肩をガシッと掴んだ。
急な事に緑谷は困惑しながらも、とりあえずぶつかった時に見えた女子生徒の特徴をオールマイトに伝えた。
「…まさか……!いや……しかし…」
「あ…あの…急にどうかしたんですかオールマイト…?このマスコットに何か…?」
「あ…ああ、急に取り乱して済まなかったね…。このマスコットに少し見覚えがあってね…。もしかすると私の知ってる子じゃないかと思っただけだよ…」
よくわからないままそっと尋ねるとオールマイトは女子生徒が知り合いの可能性があると告げた。
「え……じゃ…じゃあ僕がぶつかったのはオールマイトの知り合い…!?」
「まだそうと決まったわけじゃない……が、可能性はある。そこで済まないが緑谷少年、放課後少し付き合ってくれないか?それとそのマスコットも私に預からせてほしい」
「そ…それは構わないですけど、どうするんですか?」
「直接会って確かめたいんだ。
間もなくHRだから、もしその生徒がこのマスコットを落としたことに気付けばきっとまた放課後にここに来るハズだ。それを待ち伏せしてみようと思う」
まだ女子生徒が本当に知り合いであるかはわからない。
それでも確認をせずにはいられず、緑谷に頼み込む。
どうやら女子生徒がマスコットを探しに来るのを狙い待ち伏せるつもりらしい。
「わ…わかりました」
「よし、そうと決まったら君も急いで教室に戻りなさい。放課後またここに来てくれ」
「は…はい」
こうしてオールマイトと共に待ち伏せをすることとなった緑谷。果たして女子生徒は再び現れるのだろうか?
第1話はここまでにします。
スマホのメールで一通り執筆し保存してるのですが、思った以上に長いので分けて載せることにします。