主人公はあの人の娘!?苦難多き少女のヒーローアカデミア 作:ユリアンヌ
第26話です。
「……友里絵…起きなさい友里絵」
「ふぁ……?」
オールマイトに起こされ本日二回目の起床を迎える。
「朝食が出来て呼びに来たらまさか二度寝してたとはね……。前のこともあるし、やっぱり相当疲れが溜まってるんじゃないのかい?」
「や…っだ……っ大丈夫だよ!顔洗って来るね!」
そう言って恥ずかしそうに顔を赤くさせ慌ただしく出て行った。
その後、身なり(+恥ずかしさによる呼吸の乱れ)を整えた友里絵が戻って来た。テーブルには食パンとサラダ、少し焦げた目玉焼きが置かれていた。
「おじさん料理出来るんだ…。
焦げてるけど……」
「ま…まぁ少しはな。普段は買って済ましたりしてるが今は友里絵もいるから簡単なものを作ったんだ。
ちょっと失敗しちゃったけどね…」
「……さっきおじさん私にコンビニで済ますのは良くないみたいなこと言ってなかった…?」
人に言っておいて自分も同じようなことをしてるオールマイトに友里絵は不満気にボソッと呟いた。
「え、何か言ったかい?」
「何も。いただきます」
どうやら本人には聞こえなかった模様。不思議そうな表情を浮かべていた。話せばまたややこしいことになると考え面倒事を避ける為、スルーして手を合わせ朝食を食べ始めた。
「ところでさっき私に話があるって言ってたけど何なの?」
「……ああ、そうだったな。
このことは私が話さなくてもすぐにわかることなんだが、君には事前に伝えておこうと思ってね……。友里絵もヒーロー殺しのことは知ってるな?」
「え…あ…うん。ヒーローを標的に何人も手にかけてる凶悪犯だよね?そのヒーロー殺しがどうかしたの?
ついに捕まったとか?」
「察しがいいな、その通りだ。昨日保須市にヒーロー殺しが現れその日の内に捕まったらしい」
「そうなんだ。
でもさ、それと私に何の関係が?」
世間を騒がしている犯罪者、ヒーロー殺しが昨日捕まったことを聞かされた友里絵。
捕まったことは喜ばしいことなのだが、それを自分に話す意図がわからず首を傾げた。
「確かにヒーロー殺しが捕まったことと君との直接的な関係性はない。
けどヒーロー殺しが捕まった時、緑谷少年がその場にいたみたいなんだ……」
「え……!?」
朝食を食べ進める手がピタッと止まる。
オールマイトの言葉が何を意味しているのか瞬時に理解した友里絵の顔が少しずつ青ざめていく。
「正確には緑谷少年と彼のクラスメイト二人がなんだけどね。活動中にヒーロー殺しと遭遇してしまい戦闘を行ったそうだ。ヒーロー殺しが捕まったのも実は彼らの功績なんだ」
「そ…っそれでデクくんは……!?巻き込まれた三人はどうなったの…!?」
「大丈夫、三人とも怪我は負ってはいるが命に別状はなく皆無事だよ。今は保須市の総合病院にいるらしい。
ただ、いくら相手が凶悪犯だったとはいえ彼らは資格未取得者が保護管理者の指示なく"個性"を使って危害ををしてはならないという規則違反をしてしまっているからね……。警察から何かしらのお咎めはあるだろう」
「そ…そんな!じゃあデクくんや他の二人は処罰されるってこと!?」
そう、"個性"の発現により使用には厳しい制限がかけられ資格も必要とされている。
場合によっては不問になることもあるが、資格を持たない者による公の場での"個性"使用は基本的に禁止。警察でさえ資格がなければ違反になるケースが多い。
当然、傷つけるなど論外で傷害罪に加えて"個性"の違法使用の罪も問われる。たとえそれが凶悪な犯罪者相手であってもだ。
そして数多く存在するプロヒーロー達は全員がこの資格を持っているからこそ"個性"を使用したヒーロー活動が認められているのだ。
この規則はいわば世の中の人達が平穏に暮らしていくために作られたもの。
故に破った者は敵として認識され処罰は免れない。
問題の緑谷達もヒーローを目指しているとはいえ、まだ何の資格もない子供。ヒーロー殺しとの戦闘も自己判断によるもの。
だからこそ、友里絵は緑谷達が罰せられてしまうと思い心配しているのだ。
「落ち着きなさい。何もそうと決まったわけじゃない。彼らがそうしたのはヒーロー殺しにやられたプロヒーローや仲間を守る為だったそうだから、厳重注意はされるだろうけど悪いようにはしないハズだよ」
「な……なんだ、びっくりした。だったら、始めからそう言ってよ…。規則違反とかお咎めがとか言うからてっきりデクくんや他の二人が処罰されるかと思ったよ…」
説明が不十分だったのと余計な言葉のせいで、大きな勘違いをしてしまった友里絵。小さくため息をつくも何とか三人が罰せられずに済みそうで今度こそ本当に良かったと心から安心していた。
「す…っすまない……。驚かせるつもりはなかったんだ……。まぁ…まだ心が不安定な君にこんな話をすること自体間違いなんだろうけど、ヒーロー殺しが捕まったことはまず報道されるだろうし、さっき言ったように私が話さなかったとしても結局は君に知られてしまうことになるからね……。だったら事前に伝えてしまった方が後から知るより動揺が少なくて済むんじゃないかと思ったんだ……」
「……うんわかってる……。
私ももし自分がこのまま何も知らずにいて後から急に知ったらきっと今みたいに……ううん、今以上に動揺してたって思う……。街中とかですれ違い様に噂話とか聞こえたりなんかしたら尚更パニックになってたかも……」
「だろう?心配するのは決して悪いことじゃない。私だって彼のことは心配だよ。けど今はそれ以上に君のことが心配なんだ…。ただでさえ不安を抱えているのに緑谷少年のことまで気にして抱え込んでいたら君の身が持たないよ……。彼なら大丈夫。だから今だけ緑谷少年のことは考えないで自分のことを第一に考えてほしい…。決して軽率な行動はしないように」
「…わかった……」
オールマイトが全て自分のことを考えて言ってくれているのは理解している。自分でも動揺するだろうという自覚もある。
けれど、緑谷のことを考えないようにというオールマイトの言葉に対しては素直に返事は出来なかった。
トシさんの言いたいことはわかるよ……。
わかるけどさ………。
頭ではわかっていても怪我をした相手を心配しないなど到底無理な話。むしろ心配する思いは強くなる一方だ。
とはいえ、反論することも出来ないのでモヤモヤしたまましばらく朝食を食べ進めた。
と、その途中でふと思い出したかのように友里絵が突然こんなことを言い出した。
「そ……そういえば、今日の朝って私はどうしたら良いの…?もしトシおじさんが良いって言えば私一人で行くけど…」
「え…一人でかい?」
「う…うん。昨日の帰りの時はともかく、朝も一緒だと目立つと言うか人目につきやすいからさすがにヤバイんじゃないかなって……。それ以前にまずトシおじさんは一応教師だから学生の私より早く行かなくちゃいけないんじゃない?
学校に行く前にちょっと寄りたいとこもあるし……」
「それは一理あるが昨日の今日でいきなり一人で行かせるのは……。
そもそも寄りたい所って…。例のこともあるし、あまり一人で出歩かないようにしてほしいんだが…。あと出来れば不要不急な行動も極力控えてほしい…」
友里絵のことをを心配するオールマイトからしたら当然、すぐには賛成出来ず言葉を濁していた。
「ちょっと寄るだけだよ。大丈夫だって。帰りの時と違って明るいんだし、それこそ人通りもあるんだからさ」
「そうかい……?うーん……そこまで言うならじゃあそうするかい?
実は言うと私も今日は朝から会議があって早く行かなければならなくてね……」
「……会議あるのに私に合わせて遅刻する気だったの……?アカンでしょそれは」
「だな……」
それに対し、友里絵も一歩も引こうとせず朝まで一緒に行くことのリスクをひたすら訴えていた。
友里絵がそうまでするのには実は理由がある。
その理由についてはまた後程わかるのでこの場では説明を省くとして、とにかくこんな感じで最初は渋っていたオールマイトもだんだん友里絵のペースに乗せられて行き最終的には完全に押しきられてしまうのであった。
「ごちそうさま。
私洗うから空いた食器もらうね」
「いや、洗うのは私がやるから君はゆっくりしながら学校に行く準備をしておいで」
食器を重ね流しに持って行こうとしたらまたしてもやらなくていいと言われた。
ここまで来ると最早気遣いというレベルではなくただの甘やかし。
そこでついにビシッと言ってやった。
「もう!トシおじさん、いくらなんでも甘過ぎ!気遣ってくれるのは嬉しいけどおじさんはちょっと……かなり度が過ぎなんだよ!怪我してたって洗い物くらい余裕で出来るし!甘やかしてばっかだと為にならないよ!
学校だってもういつでも行ける支度出来てるから!」
「わ……わかった。ならお願いするよ」
友里絵の気迫に負け任せることにしたオールマイト。
こうして友里絵はどんどんしっかり者になって行くのだった。
それではここで今回の話の設定について少しご説明を。
まず保須事件について。オールマイトは電話で塚内から 話を聞いていたってことにしてあります。
普通なら有り得ませんよね(笑)
聞いた詳細も詳し過ぎる。
それから朝の会議。これも次回に繋げる為、友里絵を一人で行動させる為だけに作った設定です。
一人にさせるのは心配と言いながら、会議があるからとあっさり一人で行動させることを承諾するオールマイト。完全に矛盾してますね(^^;
矛盾はまだまだありますがこの辺で。
閲覧ありがとうございました。