主人公はあの人の娘!?苦難多き少女のヒーローアカデミア 作:ユリアンヌ
朝食を済ませた二人はその後、話し合った通り、別々に移動を開始する。
「じゃあ気をつけて来るんだぞ?知らない人には絶対ついていかないように」
「……小さい子供じゃあるまいし強調しなくてもついてくわけないでしょ。おじさんこそ
互いに強調し合う二人。
なんとも虚しい争いなこと。
「はは、気をつけるよ。
また学校で会おう!」
マッスルフォームに変身したオールマイトは一足先に雄英へ。
一人残され友里絵も手を振り最後まで見送った後……。
「…よし………」
と、小さく呟きゆっくりと歩き始めた。
「…来ちゃった……」
が、友里絵が向かった先は雄英ではなく保須市の総合病院だった。
例のヒーロー殺しと戦いで怪我を負った緑谷がいる病院である。
目的はもちろん緑谷のお見舞い。
一人で行きたいと言ったのも全てこの為である。オールマイトと一緒ではまず来ることは出来ず、許してすら貰えないだろう。
行動を控えるように言われた手前、行きたいとも言い出せず、そこで別々に行動するという手段に出た。オールマイトを先に行かせることで自由に動けるようにしたというわけだ。
…トシおじさんからは心配するなって言われたけどやっぱり心配なものは心配もんね……。
ていうか、まず人として心配しないとか普通に
無理。
あり得ない、不可能。
たとえ自分が傷心状態であっても。
そもそも、「見舞いに行くな」とは言われなかったし。(※ただの屁理屈です)
と、誰が聞いても自分に都合の良い解釈にしか聞こえないが緑谷のお見舞いに行けるなら言い訳だろうと何だろうと構わなかった。
学校をそっちのけにしたこと、遅刻してしまうことにもちろん負い目は感じている。けれどあのまま普通に行っていても集中出来なかっただろう。
心配を取り除くには直接緑谷に会って無事を確かめるしかないのだ。
「一応学校には連絡してちゃんと遅刻の許可はもらってるし、おじさんに怒られる覚悟は出来てるもん。とにかく中へ……」
このままずっと立ち往生していても仕方がないので病院に入る。
まずは受付で緑谷の病室を確認。
オールマイトのおかげで病院はわかってもどこの病室までかはわからないので、こればかりは受付で聞かなければどうしようもなかった。
「──わかりました。ありがとうございます」
確認出来たらあとは向かうだけ。受付の人に頭を下げ足を進めた。
「…今のは…友里絵……?」
その姿をある人物に見られていたとも知らずに………。
友里絵が病室に向かっている間、その姿を目撃していた人物が病院の公衆電話から電話をかけていた。
《♪でーんーわーがーきたー!でーんーわーがーきたー!
ピッ》
「はい、もしもし」
「(相変わらず嫌な着信だな……)」
電話の相手は雄英にいるオールマイトだった。
またも悪趣味…もとい、独特な着信音が鳴り響き、オールマイトは普通に電話に出ていたがすぐ向かいのデスクにいた相澤とプレゼント・マイクもドン引きしていた。
「せっ先生!!」
電話の主の声にオールマイトは立ち上がる。
「緑谷出久!まったく!
おかげで減給と半年間の教育権剥奪だ。まァけっこうな情状酌量あってのこの結果だがな。とりあえず体が動いちまうようなとこはお前そっくりだよ俊典!」
「申し訳ございません。私の教育が至らぬばかりで……。
先生には多大なるご迷惑をおかけしましていやはや……なんとも…」
主の正体はグラントリノ。
オールマイトはダラダラと滝のように汗を流し目を泳がせながら喋る。やはりかつての自分の先生だった相手には頭が上がらないらしい。
電話でもペコペコし、そのまま場所を移すように職員室から出て行く。
「まァ教育権なんざ今更どうでもいい。"先代"…志村との約束…。お前を育てる為だけに取った資格だからな…」
「その節は本当にお世話になりました。あなたの教えがあって今の私があるというものです」
「その割にはちっとも顔見せんな。
忘れとったろ」
「いっいえいえ!新しい教師生活が忙しく!
決してそのようなことは!!むしろ記憶を封印していたといいますか……」
「オイ」
グラントリノが怖くて避けていたことは口が裂けても言えないが、焦っていたせいか少し本音を漏らしてしまっていた。
「まァ今回電話したのは他でもない、ヒーロー殺しの件だ。実際に相見えた時間は数分もないがそれでも戦慄させられた」
「グラントリノともあろう者を戦慄させるとは…。しかしもうお縄になったのに何が…」
グラントリノはヒーロー殺しとは直接の戦闘は行わなかったものの対峙はしており、その件について電話をしてきたらしい。オールマイトは通話はしたまま、いつもの仮眠室にやって来て周りに誰もいないことを確認してから中へと入った。
「俺が気圧されたのは恐らく強い思想…あるいは強迫観念から来る威圧感だ。誉めそやす訳じゃねぇが俊典、お前が持つ"平和の象徴観念"と同質のソレだよ」
「同質…」
「早い話「カリスマ」っつー奴だ。今後取調べが進めば思想、主張がネットニュース・テレビ・雑誌…あらゆるメディアで垂れ流される。今の時代、善くも悪くも抑圧された時代だ。必ず感化される人間は現れる」
「確かに感化される輩は出てくるんでしょうがそれは散発的なもの…。
個々が現れたところで今回のようにヒーローが……」
「そこで"
構わず話を続けるグラントリノ。
ちなみに彼の言う敵連合とはその名の通り敵による団体組織。
個性を使って罪を犯した者、独自の思想を持つ者、現在の社会に反感や恨みを持つ者など、いわゆるアウトローと呼ばれる存在によって形成されている。
以前オールマイトを殺すという目的で雄英に攻めて来たことがあり一度戦っていた。
「保須事件でステインと連合のつながりが示唆された…。この時点の連合は「雄英を襲って返り討ちにあったチーマーの集まり」から"そういう
「!」
ここでオールマイトもハッとし何かに気づいた。
「個々の悪意は小さくとも…一つの意志の下集まることで何倍にも何十倍にも膨れ上がる。ハナからこの流れを想定してたとしたら…敵の大将はよくやるぜ。着実に外堀を埋めて己の思惑通りに状況を動かそうというやり方」
「…塚内くんから脳無に複数の"個性"が与えられていると聞き、やな予感はしていましたが…」
「ああ。俺の盟友でありお前の師…。
更に友里絵の祖母"先代ワン・フォー・オール所有者志村"を殺しお前の腹に穴をあけ、そして友里絵の心に深い傷を負わせた男……"オール・フォー・ワン"が再び動き始めたとみていい」
「あの怪我でよもや生きていたとは…信じたくない事実です…」
オール・フォー・ワンと聞き険しい顔をで拳を握りしめるオールマイト。
友里絵と昨日話していたのはオール・フォー・ワンのことだった。オール・フォー・ワンは一言で言えば悪の塊。オールマイトの先代のワン・フォー・オール継承者であり師だったという志村という人物も死に追いやっていた。しかも友里絵はその志村の孫だという。
先代の死…。
オールマイトが重傷を負うこととなる6年前の事件……。
友里絵のトラウマのきっかけ……。
これら全てがオール・フォー・ワンによるもの。
倒したはずの最悪の敵。昨日の段階ではまだ確信が持てなかったが、今回の件ではっきりとわかった。
「お前のことを健気に憧れているあの子にも折りを見てしっかり話しといた方がいいぞ。お前とワン・フォー・オールにまつわる全てを」
「はい…」
「それと友里絵のこともだ。お前まだ友里絵についてほとんど話してないそうだな。あの子も友里絵のことを気にしとったし"個性"については特に知りたがっとった…。俺からは何も言わなかったが、お前に聞くように言っといたから恐らく職場経験が終わればお前に言って来るだろう。いい加減教えてやれ」
「そうでしたか……。
ではそれも折りを見て彼に話すことにします…」
グラントリノに言われ、オールマイトは少し迷った後そう返事を返した。
「ああ、あとわかっとるとは思うが友里絵のことをちゃんと気遣ってやれ。
「ご…ご存じでしたか……。
そういえば先生は友里絵の面倒をずっと見てくれていたとか……。お礼がまだでしたので今言わせてもらいます…。本当にありがとうございます…」
以前、友里絵と口論したことがグラントリノにバレておりギクッとはなったものの、自分の代わりにこれまで友里絵の側で面倒を見ていてくれたことへの感謝の気持ちを伝えた。
「礼なんざいい。
とにかく今はこんな時だ。友里絵に気を配れ。特にオール・フォー・ワンのことは絶対に知られないようにしろ。あいつが知ったらパニックを起こし兼ねないぞ」
「そ…っそれがですね……。昨日塚内くんとそのことで相談をしていた時にその…友里絵が来てしまいまして……」
「何!?まさか聞かれたのか!?」
「は…はい…」
「ったく、何やっとるんだお前は!!」
「も…申し訳ありません!!!!」
既に友里絵が知ってしまったことを恐る恐る伝えると、案の定ものすごい勢いで叱られた。
「──で、それからどうした…?」
「は…はい。先生がおっしゃる通りパニックを起こし、しばらくの間元気をなくしていました。食事もせず、夜も中々寝付けない状態だったのですが側についていてあげたら安心して眠ってくれました。気持ちも今は少し落ち着いている状態です…。まだ無理をしている部分はあるようですが、本人は気持ちを切り替えて頑張ろうとしています…」
「そうか……。
まぁあいつはすぐにやせ我慢するからな。側にいる間はお前がしっかりケアしてやれ」
「はい……」
オールマイトは昨日から今朝までの様子をグラントリノに話した。
ショックを受け今も引きずってはいないかと心配だったが前向きになろうとしていると聞き少しは安心したようで、グラントリノはケアだけは怠らないように伝えた。
「……ところでその友里絵なんだが今日は学校を休んでるのか?」
「え?いえ…そんなことはありませんが何故ですか?」
「いや…さっき病院内であいつを見かけてな……」
「え!!?」
友里絵を保須の病院で見かけたというグラントリノにオールマイトは衝撃を受けた。
それはそうだ。少し前まで一緒に行動していたのだから。
「ま…っ待って下さい!友里絵がそちらにいると…!?まさかそんなはずは……!
今朝も一緒にいましたし普通に学校に行く準備もしてました…!
ただ、友里絵が教師の私とは行く時間が違うからと自宅を出る時は別々に……………あ!!」
そう言いかけたところでオールマイトがハッと気づいた。
「ハァ…どうやら友里絵の口車にまんまと乗せられたな……。
まァ、もし本当にあいつがここに来てるんだとしたら目的はあの小僧だろうな」
「は…はい。恐らくは…。
朝友里絵に事件のことと緑谷少年が怪我をした事を話したのですがかなり心配している様子だったので…。黙っていてもいずれわかることですし、友里絵には無駄だと思い前もって話した次第で……。しかし逆効果だったようです…。一応軽率な行動はしないよう言い聞かせてはおいたのですが……」
「言い聞かせれてねぇじゃねぇか。
大体あいつは自分より相手を優先する奴だぞ。ちょっと言い聞かせたくらいで素直に聞くと思うか。今あいつを一人で出歩かせるのは危険だっつーのにお前が目を光らせていないでどうする」
「お…おっしゃる通りです……。本当…私の不徳の致すところで……」
友里絵の監督が甘いと散々責められるがオールマイトは言い訳も元凶となった友里絵に怒ることもせずにただひたすらペコペコしながら謝っていた。
「だがまァ…あいつの事だから学校に無断では来ないだろうしサボるようなことはしねぇだろ。見舞いが済めば学校に向かうはずだ。だから学校で会ったら今度こそちゃんと言い聞かせて監督しとけ。ただし追い詰めない程度にな」
「もちろんです……。何から何までありがとうございます…」
グラントリノの言葉を胸にしっかりと刻み込み最後まで感謝を述べるのだった。
文字フォント選びが難しいですね…(^_^;)
あと今回書いていて気づきました。
敵連合…オール・フォー・ワン以外全く触れていない!!!Σ( ̄□ ̄;)
27話も話を進めてるのに出たのは今回の敵連合という文字と説明文のみ!
はっきり言って遅すぎですよねぇ(^^;
これまでいくらでも出すチャンスはあったのに散々カットしてしまってましたからね、自業自得です(-_-;)
敵連合の存在が疎かになってしまいすみませんm(_ _)m
以前、後書きに書きましたが今回の話で原作のオール・フォー・ワンの名が出る場面まで届きましたので、今後は名前で表記します。
閲覧ありがとうございました。