ONEPIECE FILM NIGHTMARE OF JOKER ピエロの見せた悪夢   作:鈴見悠晴

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今年は世界が変わる年

今からおおよそ800年前、世界政府と呼ばれる統治機関が誕生した。この時20の選ばれし王族からアラバスタ王家を除いた19の王家は天竜人としてマリージョアに集まった。これ以来必ず行なわれている一つの催し物がある。

4年に1度、世界中の世界政府加盟国から統治者が集まり、この世界の行く末を語り合う。この会議を“世界会議”と呼び、ここでの会議こそが世界を動かすと言われている。だが、この世界会議にはもう一つ違う意味合いを持つ。それは4年に一度だけ、マリージョアに不特定多数の人間が出入りする唯一のタイミングなのだ。革命軍のメンバーがこれを見逃すことはないと考えられている。現時点までで、これを狙って直接的な行動が起こされたことはない。しかし、今回も何も起こらないという保証はどこにもない。

 

この会議の警備を任されている海軍としては、これがなかなか厳しく。世界中から王族をマリージョアに運んでくるのも海軍なら、その会場で警護を行なうのも海軍なのだが、その主導権は海軍には与えられていない。マリージョアに入った瞬間から全ての海兵がCP0、または天竜人の指揮下に入り、彼らの無理難題に答えないといけない海兵のストレスは凄まじい。毎回この世界会議の後には決まって退職希望者が何人もでる。今年もそうなることが分かりきっている以上対策しないわけにもいかない。

そこで海軍元帥のセンゴクはマリンフォードを中心に、最近ほかの島にも足を運び出した、とある私塾を営む盟友の元に足を運んだ。

「そういうことで頼む。何とかマリージョア警備に人を貸してくれんか?」

「別にかまわんぞ、若いときから経験を積ませるべきだと最近は考えていてなぁ。もしお前が来なければこちらの方から声をかけようと思っていた」

「本当か!!」

そう言って土下座の姿勢から顔を上げたセンゴクは明らかにほっとしたような顔を見せる。それもそのはず、この私塾では元海兵、それも元中将や大佐などがゴロゴロ指導員としている上に、退職した海兵も多くはここに身を寄せている。それにただの生徒であってもその腕は確かで、この塾出身の海兵が既に海軍本部には多くおり、ここで学んだ海兵は現場からの評判も高い。そんな彼らが協力してくれるなら何とかなるかもしれない。希望を見つけたセンゴクには今、目の前で畳の上で足を崩して茶をすするゼファーに後光が差して見えた。

「ただし、生徒達は必ず講師と一緒に配属してくれ。それが無理なら悪いが今回の件はなかったことにしてくれぇ」

そう言って条件を提示してきたゼファーだが、それぐらいならなんてことは無い。元帥の権力でねじ込める範囲内だ。もとより普段は使わない無駄に膨れ上がった肩書きだ。こういったときに使わないでいつ使うのか。

「ああ、わかった。任せてくれ、しかしこれで助かったよ。お鶴ちゃんは助けてくれているが、ガープは役に立たないし、大将はこういったことが苦手な連中ばかりだ」

「今上に立っている連中は全員現場たたき上げだぁ。ある程度は仕方ないだろう」

「ああ、だがお前が参加するとなると青雉のやつも少しは積極的になるかもしれん。そうなってくれるとうれしいんだが……」

最近頭を悩ませていた厄介ごとに解決のめどが立ち、ほっとしたのかセンゴクの口が軽くなる。

いつしか飲んでいたものが茶から酒に変わり、最後酔い潰れるまでセンゴクの愚痴が止まることはなかった。

 

酔い潰れたセンゴクを迎えに来た彼の部下に引き渡し、家に帰ると、そこに泊まり込んでいる講師の一人に声をかける。

「明日はシャボンディ諸島に向かう。皆にそう伝えろ」

そう言ったゼファーの表情は先ほどまでセンゴクとはなしていたときの好々爺然としたモノとは全く違う、戦士の表情を浮かべていた。

 

 

その頃シャボンディ諸島。

「レディースアンドジェントルマン、楽しむ準備はできあがっているかな?これから始まるのは最高のエンターテインメンツ。今この瞬間は全てを忘れて心ゆくまで楽しんでほしい。さぁイッツ、ショウタイム!!」

背後から派手に爆炎を上げる演出と同時に舞台裏に引っ込んだ仮面の男は、客席の方を見ると満足したのか一つうなずき、役目は終えたとこの巨大なテント裏にもうけてある別のプライベート用テントに入る。

そこにあるのは椅子に机、電伝虫がたった一つの外からの見た目よりも狭い空間。その分、防音に気を遣われたその空間で仮面の男は受話器を取る。

 

「俺だ、話は聞いてるが少し遅れると伝えてほしい。明日はヒューマンショップが開かれる、そちらでやれることをやってから合流させて貰う」

「了解だ。先生にはそう伝えておく。だが、お前はそれでいいのか?明日参加すればもう後には引けないぞ」

「愚問だよ、そいつは。それに俺がいないと連中とのパイプ役がいなくなるだろう?どうするつもりだ」

お堅い話し方をする男に仮面の男は苦笑しながら答える。仮面を外したその下からは一年ほど前まではよく見受けられた“黄金帝”の手配書と同じ顔があった。

「先生はお前に普通に生活してほしいと願っているようだ。それに我々は彼らの協力がなくても目的を成し遂げる」

「それがお前らの正義だからか?それともお前達のこれまでの正義では救えなかった男だからか?……入り口が何であれ俺も犯罪者だ最後まで利用するだけ利用すれば良い」

「……だが君にはあの子供達がいるだろう?」

「そういうことなら心配はいらない。俺がいなくても回るようになって居る。なぁ、もし後ろめたさを感じてるんなら、覚えておいてくれ。俺は俺の信念の元にあんたらに協力するし、俺は俺の復讐を果たす」

「……了解した、同士テゾーロ。すまないが君の存在は私たちにとって、私たちの計画にとって不可欠なモノだ。私は君のその信念に感謝する」

そう言って電話を切ったお堅い男が電伝虫の向こう側で敬礼をしている姿が目に浮かんだテゾーロは少し嗤うも、もう通じていない受話器に声をかけた。

「……君たちの掲げる本当の正義に感謝を」

そう言ったテゾーロは今日の分の儲けを鞄にしまい込むと、それを持ってテントから出て行った。

 

翌日テゾーロはシャボンティ諸島のヒューマンショップにいた。彼はここまでで稼いできた金を使って子供を中心に奴隷を買いあさっていた。

彼に買われた奴隷達は最初の数ヶ月を彼のテントで手伝いとしてすごした後に、三つの行き先を与えられる。一つ目はマリンフォード、ゼファーの私塾に預けられる子供達は海兵になるか、彼の元で講師として経験を積んでいく。二つ目は北の海にある孤児院、戦いに向かず、憎しみを持たない普通の子供達がここに送られる。この場所を正確に知っているのは今は亡きJOKERを除けばマクロ一家のみと言われており、もしも世界中で戦争が起こってもここに人が来ることはないとJOKERが太鼓判を押した場所だ。ここに連れてこられた連中は争いも人間の醜い部分も見ることなく、その生を謳歌する。短くも素晴らしい幸せな人生を……

 

 

奴隷の子供達を連れて興行を終えたテントにいる部下達に預けると、そのまま予定されていた合流地点に向かった。

「……来なくとも良かったんだぞ」

決して仲間だと悟られぬように酒場の指定のテーブル席に座ると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。

「ゼファーさん、あんたならわかってるはずだ。俺の覚悟は変わらない。何よりもうお互い引くことができないところまで来てるだろ?」

「……そうだな、こっちは計画通りに進んだ。例えお前達が動かなくとも我々は実行する」

「了解した」

「まさか俺がお前達のような人間と協力するとは。人生わからんモノだな」

テゾーロは懐から金を机の上に置くと立ち上がって振り向くことなく言った。

「いえ、ゼファーさん。いや、Z。俺はあんたこそが正義の体現者だと思ってる。唯一言えば、正義を掲げた男と悪を掲げた男の目標が同じだったこの世界がイカれてるだけさ」

そう言って立ち去っていくテゾーロを見ることもしなかったゼファーは真っ黒のサングラスをかけて天を仰いだ。

「次の世代に残す世界は、今よりも良いモノに!!……世界政府、お前ら駄目だぁ」

そのゼファーの言葉は小さいがとても力強く、決意に溢れていた。

 

 

テゾーロに買われた子供達彼らが行く最後の選択肢。それは魚人島、魚人街。海底にある街のため、人間はとても限られた区域でのみの生活となるが、ここを選ぶ子供が最も多い。人間に対する強烈な不信感や憎しみを抱えたモノ達がここに送られる。

ここに送られる子供はここで魚人空手を修める。もちろん中には適正のないものもいる、そういう連中は剣や槍といった獲物を扱う。彼らは皆戦士になる、兵士ではない。革命軍に加わるモノもいれば、裏の世界に行くモノもいる。彼らはある程度の力を身につけたタイミングで一人前になったと送り出される。

送り出される子供達は一つの共通点として魚人街を牛耳った男“ホーディー・ジョーンズ”の指導を受ける。熱狂的なJOKERの信者だった彼は同じ魚人でJOKERに心酔しているマクロとはまた違う。

マクロはJOKERに信念の元に生きると言うことを思い出させられた。マクロの信念はあのタイヨウの元に刻まれたまま、魚人として彼に顔向けできないような生き方はしない。それを思い出させただけに過ぎない。マクロにとっては第二のタイヨウのように彼の行く末を示してくれた。だが、ホーディは違う。この残された魚人街は違う。彼らはここまでため込んだよどみがあった。彼らにとってJOKERは待ち望んでいたメシアに他ならなかったのだ。

 

彼は見るモノによってその印象を大きく変える。それは彼が人によって付き合い方を変えていたのか、単純に感じ方の問題なのか……それとも彼自身が彼という人間をもう失ってしまっていたからなのか。もう答えは誰にもわからない。だが、ホーディと彼に指導された戦士達はこう言った。

 

「これは聖戦だ。我々にはメシアがいる。彼が戻ってくる場所を我らの手で切り開くのだ。JOKERは必ず帰ってくる

 


 

 

最近グランドラインで一つの噂が広まっていた。

雲の上を海と島が宙を飛んで、ゆっくりと風に運ばれているというのだ。

それは一部の地域にある怪物の噂や、時たま海賊や冒険者を生み出している空島とは違う。空島は上空の気流などで多少位置を変えるが、主な場所は変わらない(もちろん例外もある)。それに何より空島は下から見えない。空島とは雲なのだ。雲の上に広がる雲の大地こそが空島であり、雲の上を海と島が浮いている時点でそれは空島ではない。

その空島の噂が徐々にマリージョアに迫ってきているのだ。

しかし、ただの噂では海軍は人間を動かせない。強烈な戦力を抱え込んだメルヴィユは徐々にその足音を響かせながら近づいてきた。

DCキャラはあまり登場させないほうがいい?

  • どんどん登場させてほしい
  • 登場させないでほしい
  • どちらでも構わない
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