ONEPIECE FILM NIGHTMARE OF JOKER ピエロの見せた悪夢   作:鈴見悠晴

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真打ち

“飛び六砲”

カイドウの配下でも実行部隊とも言える6人の幹部達は遊撃の任を大看板“キング”から与えられていた。

 

「どうせならジャックが死んでくれたら良いんだが」

彼らのうちの一人フーズ・フーと名乗る赤い仮面をつけたカイドウの部下はやる気なさげにつぶやいた。それに反応して同じ飛び六砲のササキが釘を刺す。

「あんまりそういうことを言うべきじゃぁ無いと思うがね」

自らもその野心を隠すことがないササキは頬を掻きながら一応の釘を刺す。

 

「……もし、ジャックが死んじまったらよ……次の大看板誰だと思う?」

何の気なしに問われたような言葉だったが、そこには確かに込められているモノがあった。

「……何だ、あんたこの場で決めときたいのかい」

互いに下克上を狙うもの同士、しっかりと序列を決めるかと互いが殺気を放ち始め、同僚は肩をすくめ、部下達が静かに距離を取り出したとき、

 

「チッ、こっちは外れか」

 

圧倒的な覇気が二人を、その後ろにいた部下達を襲った。

大看板と比較しても一切見劣りしないその覇気を放つ男は葉巻を一度吹かすと覇気を納めた。

「お前らじゃ、相手にもならん。大看板はどこだ?」

 

それは反射的なモノだった。フーズ・フー、ササキ両名が能力を使い巨大化して襲いかかろうとした。

「そうか、残念だ」

戦う姿勢を見せた二人に対してさっき叩き付けられた覇気よりも鋭い覇気がその身を貫く。

「俺と戦うんなら、最低は空ぐらいは飛んでもらわないと話にならん」

巨大なトリケラトプスもサーベルタイガーも彼らの部下達も砂に足を取られて、一瞬のうちに声を出すことさえできないように全身拘束されていた。

「お前らのように負けたやつの下で醜く争う負け犬と俺は違う。この覇気も能力も鍛え上げ、磨き上げている。」

「この大地は全て俺の領域(テリトリー)だ」

身動き一つ取れない彼らを前にその右腕を高く上げて

砂漠の宝刀(デザートスパーダ)

振り下ろされた。

 

七武海の一角“砂漠の王”クロコダイルと彼の率いるバロックワークス。彼らはカイドウと戦っている今回の同盟の中でトップクラスの諜報、潜入工作の能力を保有している。

もちろん高い戦闘能力を保有しているメンバーも数名いるが、トータルバウンティでいえば同盟内で最も低い。それでもこの同盟でバロックワークスが軽んじられることはない。それは彼らの活動の重要性が加味されているわけではない。その要因の最も大きいところ、それはトップであるクロコダイルの強さである。誰もあえて口には出さないが、それでも全員が理解している、

   

タイマン最強

 

ドフラミンゴもテゾーロも、モリアも理解していた。

純粋な一対一の舞台に持ち込んだとして、この懸賞金僅か8100万の男に誰も勝てないと言うことを。

能力、覇気、経験値、全てにおいて研ぎ澄まされたクロコダイルの強さは一度は敗北した白ひげに迫ろうとしていた。

その同盟最強戦力はその姿をワノ国の都に向けて消していった。遊撃の網を食い破った鰐はその姿を消して、バロックワークスとともに風景に溶け込んでいった。

 

 

 

鈴後で戦うゲッコー・モリア、花の都に身を潜めたサー・クロコダイル、兎丼に向かうギルド・テゾーロ、希美から姿を消したドンキホーテ・ドフラミンゴ。

敵地で戦力を分散して、手薄になった同盟の拠点に災害が訪れた。

 

座礁した漆黒の蒸気船、船員一人の気配もしない場所にカイドウが大きな酒樽を持って入っていった。

傾いてしまっている船を奥へ、奥へ……船長室に勝手知ったる様子で入っていくとJOKERが椅子に座って待っていた。

「ウォロロロロ、変わんねぇな。お前は」

酒樽を口元に運び一気に煽るカイドウを見て、愉快そうに嗤い始めたJOKERだったがその笑い声は突然終わる。咳き込み始め、最後には

「HAHAHAh、……ゴホっ」

口元からおびただしい血を吐き出した。

「……もう、もたねぇんだな」

その血を口元への血化粧へと変えていくJOKERを見たカイドウの口から出た言葉には間違いなく哀れみの意味合いが込められており、それは彼への侮辱以外の何でもなかった。

そんな哀れみの視線を食い殺すような強烈な視線が、存在感が、カイドウの全身を叩いた。

「ハァ、もたないぃ、何的外れなこと言ってやがる。俺は今、この瞬間に生きているのさ。くだらないことを言うなよカイドウ!! 俺の人生のハイライト!!全ての総決算!!あの頃の喧嘩からだ、全てにけりをつけようじゃないか。

なぁ、カイドウ!!

爛々と輝くその瞳は間違いなく生きていた。魂を、その存在を燃やしながら、進むこの男にカイドウは白ひげとも、ビッグマムとも違う脅威を感じていた。

この男は生き延びることを考えていない。死ぬことを前提で戦っている。自分の存在を火種にしようとしている。この世界を、時代を作ったあのゴール・D・ロジャーのように!!

「ウォロロロロ、ウォロロロロ!!いいだろう、元ロックス海賊団見習い、現百獣海賊団の船長カイドウとして、お前を敵だと認めてやる!!……さらばだ我が友よ」

「これで最後だ、兄弟」

カイドウは酒樽を、JOKERはシェリー酒の酒瓶を一気に飲み干し、叩き付けた。

一気に爆音が響き渡る。カイドウが能力を発動して甲板をぶち抜いて空に飛び立っていった。

 

次相まみえるのは戦場で

 

けじめはつけた、もうここから先は仲間じゃない。友でもない。

“宿敵”

最初で最後の下克上。遅ればせながら主役が舞台に上がる。

 

 

ああ、偉大なりし我が友よ、我が戦友よ、我が戦いの師よ、そして偉大なりしわが宿敵よ、

我が旅路はすぐに終わるだろう。

だが心配はいらない。もう既に火はついた、燃え上がった。

世界は混乱に、平和は戦乱に、民は兵士に、王は奴隷に、

君の待ち望んだ世界が来る。楽しみたまえ、大いにな。

 

楽しめるんならな、HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA

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