ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった 生徒会長生存ルート 作:キラトマト
第1話 ココから始まる物語
この俺、如月優也はある人物に恋をしている。いや、恋とは言っても3次元ではない。2次元の、しかもゲームのキャラ、それの中でもかなりマイナーなギャルゲーのマイナーなキャラ。
『ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった』に出てくる生徒会長キャラである九条静香。彼女はほぼ全てのルートで死んでしまう。
しかし、この物語では1番の常識人であり、しかも俺の好きなツンデレって部類に入るキャラだ。
そして俺は、ついに発売されたハーレム天国……通称、はんもっくのBluRayBOXを買いにアニメショップへと訪れていた。
「楽しみ……」
そう呟きながら信号を渡ろうとする俺。だが……
「あ、危ないぞ少年!!」
背後から声が聞こえる。横を見るとそこにはトラックが……。
(もう、ダメじゃね?)
今までの思い出がフラッシュバックする。走馬灯というやつだろう、静香さんの死んでいる姿、静香さんの声、リアタイで見ていた時の高揚感、それら全てが俺を包み込む。
特典の全キャラのドラマCDとか、聞きたかったなぁ……。俺はもうダメだと思いながら目を瞑る。
だが、いつまで経っても衝撃は伝わってこなかった。
────おかしい。夢だろうか? 俺が目を開けると、そこは学校、しかもテレビのスクリーンで見ていたあの想い人がいる、津守高校であった。しかも放課後の、3年の教室の前に俺は立っていた。扉が開けられる。
「あら、如月くんじゃない。どうしたのこんなところで」
目の前に立っていたのは九条静香その人であった。あぁ、神様、感謝しますっ! こんな体験、死の間際にさせてくれるなんて! 俺はもう、どうせすぐ死ぬから、と告白……というか愛の言葉を静香さんに放つことにした。
「静香さんっ、俺、あなたのことが好きです! 真っ直ぐなところとか、でも帰りに今川焼き買って食べてるところとか、困っている子がいたら相談に乗ってあげるところとか、あげたらキリがないくらい、好きです!」
ありったけの言葉、まだ足りないくらいだが。
「……? ?!」
目の前の静香さんは止まったまま動かない。もっと言って欲しいのだろうか?
「生徒会長だから早く学校に来て仕事終わらせたり、そんな真面目なところも好きで、でも偶に疲れてふにゃってなってるとこも、全部全部大好きです! だから、付き合ってください! 絶対に幸せにします!」
「え? あ、ちょ」
夢だろうから今すぐに返事を貰わないと、俺はそう思って静香さんに返答を迫る。
「返事、お願いします!」
別に振られてもいい……いや、かなり、死ぬほど傷つくが、でも静香さんと話せたってだけで天寿をまっとうできたと思っている。
「少し……考えさせてもらってもいいかしら」
あぁ~、これ最悪の返答かも。もしこれが現実ならいくらでも、10年でも20年でも待てるのだが、ここは多分夢だろうから、今答えて欲しい。でも彼女に、夢の中とはいえ嫌な思いはして欲しくないし……うーん。
「……」
俺が考え込んでいると静香さんが口を開く。
「……じゃあ、後でUnite送るから……それで返すから、それまで、待ってて?」
そんな言葉を上目遣いで言われて、否定できる男はいないだろう。ちなみにUniteというのはこっちで言うLINEみたいなものだ。
「う、うん。じゃあ!」
俺は逃げるように帰った。
────その時の優也は気づいていなかった。ある3人の少女たちがこの光景を見ていたことを……。
(優也さん、あの悪魔に騙されて……)
(ユウくんったら、あんな奴にかまけちゃって……)
(優也は、私が守る……)
────本当は、早く家に帰って返事を聞きたかっただけなのだが。なので俺は、家に帰ってスマホのある引き出しをすぐに開ける。だが、まだ送られていなかった。まぁ流石に早すぎるか……。
「ふわぁ~」
やべ。眠くなってきた。まだ起きて連絡待たないといけないのに、だ。しかも運悪く眠気覚まし等は持っていないのでどうにもならない、自分の気合でしか。
「っと、あぶないあぶない……」
寝かけたところで寸前で目を覚ますが、また目が勝手に閉じてしまう。そして俺は、夢の世界へと入ってしまう。
俺は、最悪な夢を見た。ゲームでは文章とCGでしか、アニメでは音声でしか表現されてこなかった陽佳による生徒会メンバー虐殺の一部始終を見てしまったのだ。
聴覚に視覚……更には嗅覚まで攻めてきた。そして、陽佳がバットで俺を殴り殺そうとする瞬間、夢は覚めた。
「ハッ……。……夢か」
「って、あれ?」
辺りを見渡してみると、景色が変わっていないことに気がつく。自分はトラックに轢かれて死ぬはず、なのになぜ……。
「ま、いっか」
俺は考えを放棄する。そんなこと考えても無駄だし、今は静香さんと一緒にいられる時間が増えるということを喜ばないと。
「さて、連絡は来てるかな……」
スマホを確認するが、返事はまだ来ていなかった。ただ、«もう少し待ってもらえるかしら»とは来ていたので、その時が楽しみだ。第一、ここが夢の世界でないのならいくらでも待てるしね。
ってことで、俺は静香さんと登校時間を被らせるために早めに家を出た。ストーカーではない……と、思う。
「静香さんっ、おはようございますっ!」
この天気と同じように元気一杯挨拶をする。
「あ……」
だが静香さんは俺の姿を見ると顔を赤くしてそそくさと学校へと行ってしまった。一体、何が恥ずかしいというのか。
「はぁ……」
俺がため息をついていると、後ろから声がかけられる。
「ため息をついているところ悪いが、話、いいかな? 少年」
振り返ると、スーツ姿の男性が立っていた。
(あれ……? 違くね?)
少なくともアニメ版やゲーム版の工藤刑事とは全然違っていた。
「あの、まずお名前を伺ってもいいでしょうか?」
「お、礼儀がいいな、少年。俺は明神隼人、気軽に隼人とでも呼んでくれ」
(明神、隼人……?)
俺の記憶違いでもなければ、こんな人登場しなかったはず。まぁ、刑事だしいくらいても不思議じゃないけど。
「少年?」
「ん? あぁ、すみません。で、何の話でしょうか?」
「そうそう。今日はあの事件について聞きたいことがあったんだ」
例の事件……あぁ、アレか。事件とはこの物語の芯になる部分物語が動くキーとなる、ある殺人事件だ。
この事件には静香さんは関わっていないので詳しいことは忘れたけど。とりあえず知っていることを全て話した。
「そうか。助かった、少年」
……すごくどうでもいいんだけど、なんで少年、って言うんだろ……。それを質問する暇もなく隼人さんは向こうに行ってしまった。
学校に行くので追いかける訳にもいかず、俺はそのまま学校へと足を運んだ。
ちなみにあの明神刑事以外は前の章との繋がりはありません。完全に別作品と割り切ってください。
新しいヤンデレ地獄、これの続きとして書くか(これとの繋がりはない)、新規に書き始めるか。
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新規
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続き