ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった 生徒会長生存ルート 作:キラトマト
変化の始まり
はぁ……憂鬱だが、学校に行くとしよう。休んでもいられないしな。断じて会長の顔みたいとかではない。断じて。
刑事さんに会わないようにいつもとは違うルートで学校に行く。
教室に入ると陽佳と佐優理が来る。
「ユウくーん」「ユウヤさん!」
「あぁ、おはよう」
「昨日は来なかったけど、何かあったのか?」
「うーん、ちょっと、ねっ」
二人とも目を泳がせてそう言う。
「それにしてもだが、なんで昨日あんなことがあったのに平気でいられるんだ?」
僕は問う。
「何を言っているの? ユウくんにつく虫がいなくなったんだよ? 祝わなきゃ!」
やっぱり変わらないか……。休まないことで何かが変わると思ったんだが。一時間目が始まるが、授業のことが頭に入らない。生徒会長さんが無事かどうかが気になるが、まずは神無さんに会うことにした。一時間目が終わると三階へ急ぐ。
「ユウヤ!」
神無さんは僕を見ると同時にこちらに駆けてくる。
「あの、神無さんに相談があるんだけど」
ダメだとは思いつつも聞いてみた。
「何?」
「それが、陽佳と佐優理さんの様子がおかしいんです」
「どうおかしいの?」
「それが、まるで香也子さんが死んで僕に着く虫がいなくなったとかなんとか……」
「ふーん……。で、それのどこがおかしいの?」
神無さんも変わりなしか……
「そ、そうだよねっ。じゃ、じゃあバイバイ、神無さん」
僕は不自然ながら神無さんの意見に同調する。
「……私からしたらユウヤの方がおかしいよ」
神無はボソッと独り言を言う
(じゃ、会長の所へ行くか)
僕は生徒会室まで急ぐ。すると、その目的の生徒会室の前で会長が待っていてくれていた。
「あら、来ていたのね」
「まぁ、休む訳にはいかないので」
「あなたも変わっているわね……。で、なんでここに来たの?」
少し残念そうな、でもそれ以上の喜びを感じられる声で会長はそう言った。
「それが……」
「話しにくいならここに入る? 今は誰もいないわよ」
会長の親切を無下にすることはできない、僕はそれに応えることにした。
「あ、ありがとうございます」
そして生徒会室に入り、本題に入る。
「相談っていうのが……」
「あの事件のこと?」
「いえ、いや、まぁ、それも関係あるんですけど……郷土研のことなんです」
「あら、珍しいわね。あなたがあのメンバーのことで私に相談するなんて。で、どんな相談なの?」
「それがですね……」
僕は今日一日の彼女たちの様子を話した。
「それは冗談にしてはやりすぎね……」
「はい、しかも陽佳は僕についた虫が消えたとか言ってたし……」
「ほんと、変わったのかなぁ、なんて」
本当は変わってなんて居ないけど、でも、ほんの一欠片でも可能性があるなら、それにかけてみたいと、僕はそう思った。
「ごめん、少しキツいことを言うかもしれないけど、何も変わってないのかもしれないわね」
「そう、ですよね……。以前から、ちょっと危ういとは思っていましたが……」
「…………」
「でも今回のことはおかしいですよ。カヤ姉の死を……いや、人の死を喜ぶなんて……まるで別人みたいです」
「こんな状況だからこそ気づいたこともあるんじゃない?」
「そ、それは……!」
否定できない。将来、会長を殺してしまうかもしれない人たちなのだ。
「事件が起きたことで気づいたことってのもあるんじゃない? 三人のことをわかっているつもりでわかっていなかったとか。これを機に、少し距離を取ってみるのもいいと思うわよ」
「それも……いいかもしれません」
曖昧な返答しか出来ないのが辛い。
「あなたも疲れているんじゃない? 出来れば今日ぐらいは休んだ方が良かったんじゃない?」
思っていたより僕の顔色は悪いらしい。理由は分からないけど。知っていたのに助けられなかった喪失感か、それとも。
「はい、わかりました」
「あら、聞き分けがいいじゃない」
会長が意外な一言を発した。
「ど、どういうことですか?」
「いえ、いつものあなたならもっと反論すると思ったから。あなたも変わったわね。何か大人になったというか」
「そう、ですか……」
危ない危ない。僕の正体がバレたら一大事になるからな。
「た・だ・し」
「私の事を盲信してもらったら困るから。だから、最終的にはあなた自身で判断するのよ?」
「優しいんですね」
心からの言葉。口が勝手に動いてでてしまった言葉。
「な、何がよ! 私は生徒会長だから生徒の相談は聞かないとと思っているだけよ!」
明らかに動揺する会長。
「あなたもそんなに相談とか聞いてるといつか壊れちゃいます。どこかはけ口を見つけないと。なんなら、僕が会長の悩み事とか聞いてあげましょうか?」
「べ、別にあなたに助けてもらう義理は……」
「今日相談に乗ってもらいました」
僕の言葉にようやく会長は折れたようだ。
「ま、まぁ? ちょっとぐらいなら良いけど?」
「じゃあ、部室に行ってきます。みんな、いると思いますし」
「ええ、頑張りなさい」
応援の言葉を聞き勇気が出た僕は生徒会室を後にした
「おっそーいっ!」
部室に入ると、早速陽佳が向かってきた。部長や佐優理さんもいる。
「そんなに遅くなってないと思うけど……。いや、そんなことはいいんだ。突然なんだけど、話があるんだ」
「えーなになに?」
最初に反応したのは陽佳だった
「まぁ、ちょっとな……」
「ユウヤさん?」
「……」
そんな中、部長は無言だった。恐らく察したのであろう。
「────しばらくの間、郷土研を休部にしようと思います」
しんと、静まり返る部室。
全員が信じられないといった顔で僕を見る
「なんで!? なんでなんでなんで!?」
陽佳が取り乱す。
「色々と疲れたしさ、少し考えたいこともあるんだ」
「せっかく戻れたのになんで休部にするんですか!?」
佐優理さんがいつもとは違い語気を強めて発言する
「……今まで通りに戻れるのか、僕には分かりません」
「ユウヤ……私たちのことが嫌いになったの?」
「それは無いです」
本当は将来、生徒会長を殺すであろう陽佳と佐優理さんは殺したいぐらい嫌いなのだが、この場でそんなことを言おうものなら僕が殺されたり生徒会長が殺されるかもしれないので、嘘をつく。
「それなら、休部までしなくても……私たちが邪魔になる部分があるならその部分を改めればいい」
「私もそう思います……ここで一緒にいたいんです」
「ボクだって!」
「みんなには悪いけど……」
「ユウヤさん!」
「すみません。やっぱり時間が必要なんです。身近な人が殺されたんですから気持ちの整理が必要なんです」
カヤ姉の名前を出さなかったからか三人はそこまで悪い反応を示さなかった
「お願いします」
「で、でも、それじゃ……」
「別に教室で会うからいいじゃあないか」
「そうして私だけが蚊帳の外 学年が違うから」
見るからに不機嫌になる神無さん。
「す、すみません」
「で、でも、卒業までには解消されるんじゃないかな」
「部長はそれでいいの!?」
まだ陽佳は取り乱したままだ。
「いいわけない。でも、ユウヤはもう決めてる」
「考え直して下さい!」
「それに、今は気落ちしているかもしれないけどユウヤさんなら立ち直れます!」
よく人の死からそんなに立ち直れるな。まぁ嫌いな人なら当然か、と心の中で毒気づく。
「部長も言っていましたけどもう決めたことなんです」
「で、電話はしていい?」
「いいって言ったらずっとするからダメだ」
「落ち着いて、二人とも」
「長引きそうなら、その時また考えればいい。まずは、ユウヤが落ち着ける状況が必要だと思う」
「…………分かった」
渋々と言った感じだか陽佳も了承してくれた。
「そういうことだから。今日はもう帰るよ」
「はぁ……」
ふとため息をつくもそこまで悪い気分ではない。ゲームをプレイしていてもかなりヤバいやつだったし、第一僕は他人に危害を加えるヤンデレは大っ嫌いだ。
僕が部室を出て少し歩くと、角で会長さんが待っていた。
「話は終わったみたいね」
「生徒会長……聞いていたんですか?」
「いや、あなたを待っていただけよ。アドバイスした手前、どんな結果になったか気になったのよ」
そして、会長は僕の身体を見渡したあと……。
「……うん。刃傷沙汰にはならなかったみたいね」
「さすがにそんな物騒なことにはならないですよ」
「あなたたちを引き離したらそんなことになるもしれない。そう思っただけよ」
「そこまでですか……」
否定は出来ない。今まで色々な結末を見てきたからだ。
「それで、ちゃんと話せたのかしら?」
「はい。お陰様で」
僕の言葉で生徒会長は安堵したように笑った。あえて言おう、可愛いと! まぁ、そんなことは置いておいて、生徒会長の話を聞く。
「さっきも言ったけど、また何か困ったら相談に来なさい」
「はい、わかりました」
「さてと、私は仕事に戻るわね」
「わざわざありがとうござ────」
不意に、冷たい視線を感じた。
振り返っても誰もいない。
「どうかしたの?」
「い、いえ、なんでも、ありません……。でも一応郷土研の三人には気を付けて下さい。もしかしたら気づいているかもしれませんから」
「……わ、分かったわ」
「じゃあ失礼します」
帰り道、僕は一人で帰っていると、また視線を感じる。
「なんだ?」
振り返っても誰もいない
前へ向き歩き出す。するとまた気配のようなものを感じる。
つけられているのか……まったく、モテる男は辛いぜ。なんて軽口を叩いている状況ではない。おそらく佐優理さんだろう。だが、妙な動きをすると怪しまれてしまうので、気にせずに足早に家に帰ることにした。
「ん?」
家に着いてドアを開けると二つ折りになったメモが落ちた。拾い上げて広げる。
『お話を伺いに来たのですが、お留守だったのでまた来ます』
文面は短く、工藤刑事の署名があった。
また来たのか、今日は会っていないのに、僕を犯人だと疑って。
あれから捜査も進んだはずなのに、まだ警察に疑われている。これは由々しき事態だ。
「まぁ、気にせず気楽にいくか」
感想や改善点があれば気軽にお願いします
読んでくれてありがとうございます
新しいヤンデレ地獄、これの続きとして書くか(これとの繋がりはない)、新規に書き始めるか。
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新規
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続き