ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった 生徒会長生存ルート 作:キラトマト
今日もまた、早めに家を出た。
全然眠れてなかったし、学校で仮眠でもとるかな。
そう思っていると、声がかけられた。
「おや、早いね」
慌ててふりかえったそこには、刑事さんが立っていた。
「!?」
「偶然ここらを歩いていたんだが、君に会えるとは。学校が始まるまで暫くあるだろうし、せっかくだから少し話でもどうかな」
「……いいですけど」
「……でも話すって何をですか? 何も思い出してませんよ」
まさか、思い出すまで続けるのか? そんな事、刑事として許されるものなのか?
「ふむ。そんなはずないと思うだがね」
「何故ですか?」
「刑事のカンってやつかな」
そんな勘で犯人にされたらたまったもんじゃない。
「こんな所で無駄話してないで、仕事を進めた方がいいんじゃないですか?」
「いや、心配はいらない。仕事はきっちりするほうでね」
流石にもう我慢の限界なんだよこっちは! と言いたいところだがそんなこと言ったらもっと酷くなりそうだしやめておいた。
「ああ、そうだ。当日のこと、もう一回最初から聞いてもいいかな」
「いいですよ。あの日は────」
不毛な会話が続く。
結局、僕が学校に着いたのは、普段より少し遅いくらいの時間だった。
廊下をとぼとぼ歩く。なんか気が滅入るなぁ
「あら、昨日で少し持ち直したと思ったのに、暗い顔してるわね」
「あっ……生徒会長。まぁいろいいろありまして」
「彼女達のこと?」
「いや、別件です」
僕の言葉に、生徒会長は表情を曇らせた。
「キミはいろいろと抱え込みすぎるみたいね」
「そうかもしれません……」
「もしかしたら、そっちが相談するかもしれない話なのかしら」
相変わらず察しがいいな。生徒会長さんは
「今のままだと、本当に相談することになりそうです。ただ愚痴を聞いてもらうだけになるかもしれないけど」
「愚痴ね……そうなったら、私の愚痴も聞いてもらうわね」
クスリとイタズラっぽく笑う。 可愛いなぁ、やっぱり。
「ははっ、そうなったらお願いします」
「私も期待しているわ。生徒会も雑用を押し付けられてばかりで、愚痴には事欠かないもの」
「生徒会ってもっとカッコイイ仕事かと思ってましたけど、そうでも無いんですね」
アニメなどで見ると、もっと風紀を乱した者を罰するとかやっていて、かっこいいなと思っていたのだが……。
「現実はこんなものよ」
そうやって話していると、生徒会長の後ろから佐優理さんが来るのが見えた。
普段通り、穏やかそのものだ。まぁ今はそれが逆に怖いんだけどな。
にっこりと佐優理さんが微笑むのが見えた。そしてゆっくりと掲げられたその手にははさみが握られていた。
「ちょっ、マジかよっ!」
僕は咄嗟に生徒会長を引き寄せる。
その瞬間、佐優理さんが持っているハサミが振り下ろされる。
「ちょ何してるんですか?! 佐優理さんっ」
「キャ──ッ」
周囲にいた女子生徒が悲鳴をあげ、その場から離れていった。
「なんだあれ、生徒会長と……」
遠くから注目が集まる。当然だ。
「あ、あなた、何を……!」
「いやほんと……何してんだよ……」
呆れた。人に危害を加えるなんて、見損なったよ。
「助けなきゃ……」
「は?」
何を言っている、人を殺そうとしておいて助けなきゃだと?
「私がユウヤさんを助けなきゃ……待っててくださいね。すぐお助けしますから……」
「な、何を……言っているの?」
「ユウヤさん、最近悩んでらっしゃいました。そんな時に助けるのは、私たち三人の誰かのはずです……。でもそうなっていません……つまり、ユウヤさんは何か弱みを握られて、仕方なく一緒にいるんです」
「んなの、あなたの思い違いだ! 僕は弱みなんて握られてない! ですよね? 会長?!」
「ユウヤさん……」
哀れみを含んだ目でこちらを見つめる佐優理さん。
「そうよ、私は誓って弱みなんか握っていないわ」
「どうして……どうして相談されるのがあなたなんですか。その役目は、あなたじゃありません。ユウヤさんはいつも私たちと楽しそうに過ごしていました……私のお弁当を、あんなに美味しそうに食べていらっしゃいました」
「私と一緒に食べなかったのに……なのに、生徒会長に貰った物を美味しそうに食べるなんて、間違っています……!」
「絶対何かあるに決まってます!!」
「はぁ……」
生徒会長は大きくため息をついた。
「あなたたちが仲がいいのはよく分かります。それでも、いくらなんでも彼を縛りすぎじゃないでしょうか」
「落ち着いて、世間の常識と自分たちの状況を見つめ直すといいわ」
「世間の常識……? そんなものに意味はありませんよ」
「……まぁいいでしょう。いくら生徒会長が認めなくても、私は私の場所にユウヤさんを取り戻すだけですから」
「落ち着けよ、佐優理さん!」
「ふふっ。私が落ち着いていないように見えますか?」
にっこりと笑う。その笑顔にもっと深い意味があるような。僕はそう思わずにはいられなかった。
「ユウヤさん、生徒会長なんかに頼ることはないんです。全部私に任せてください。それに、今刑事さんに疑われて困っているのでしょう?」
「だとしても……、僕は佐優理さんを頼らない」
「もうちょっとで真相がわかるんですから、来てくださいね? 私たちの大切な部活動なんですから。それとお昼、そちらに伺いますから」
「話を聞いてくれよ……」
そう言っているうちに佐優理さんはどこかへ行ってしまった
「想像以上ね……。流石にこれは、貴方のせいじゃないと思うわ。でもどうしたものかね……」
「この件に関しては僕に任せてくれませんか?」
「でも今は……」
「生徒会長は、自分の身を最優先にしてください。いつ襲ってくるか分からないんですから!」
「優也くん……」
「それにもう身近な人が殺されるのは嫌なんです」
「……仕方ないわね」
渋々だが了承してくれた。
少々キツい言い方をしてしまったが、これも彼女の命のためだ。とにかく生徒会長に佐優理さんの凶刃が向かないように気をつけないと。
「予想外の展開ね……」
「……解決できるように頑張ってみます」
心配する生徒会長に、僕はそう返すしか無かった。
佐優理さんが昼に伺うと言っていたこともあり、午前中はそればかり考えていた。
佐優理さんを突き動かしているものはなんなんだ?
本当に僕への愛だけなのか?
「お待たせしました、ユウヤさん」
「お弁当、ここで食べますか? ユウヤさんのために沢山用意したんですよ」
「いらない」
「第一、僕達関わらないって約束したよな?」
「そっそれは……ユウヤさんのためを思って……」
「ダメだ」
「じゃあ僕は購買で昼ごはん買ってくるんで。佐優理さんは一人で食べててください」
「そんな……これもユウヤさんを惑わす悪魔のせいなんだ 全部アイツが悪いんだ!」
そう言って佐優理さんは三年の教室へ走って行った
「お、おい待て!」
そう言って追いかけようとすると廊下から悲鳴が聞こえる
「う、うわっ!」
廊下を見ると佐優理さんが生徒会長の首にハサミを突きつけていた。
「い、一旦落ち着け」
「わ、わかったから昼飯食べるから、だから生徒会長を離してやってくれ」
「分かりました。一緒に食べてくれるなら最初からそう言ってくれればよかったのに」
先程の形相とは打って変わってすぐに穏やかな表情に戻る佐優理さん。最悪の展開だ……生徒会長が殺されなかっただけマシか……。
「はい、どうぞ♪ 沢山召し上がってくださいね」
ヤバいぞこの弁当、確か睡眠薬入りだったよな? だが食べなかったらまた騒ぎを起こしそうだし……
まぁいい。細かいことは食べてから考えよう。
「いただきます……」
「おいしいですか?」
「ああ、美味しいんだが、ちょっとトイレ行ってきていいか? 少しお腹の調子が……」
「いいですよ♪」
よし、ここは抜け出せた。のはいいのだが……。僕は激しい眠気に襲われた。
(ちょっとだ……あともうちょっとなんだ……眠るな!)
そうして歩いていると急に意識が無くなる。
「……丈夫!? しっかりして! 優也くん!」
ん? この声、生徒会長か。ああ、僕、寝ちゃったんだな。
それにしても生徒会長が僕のこと名前で呼ぶなんて、嬉しいな
そうしているとチャイムがなる。
「大丈夫なんですか? 生徒会長。授業遅刻しちゃいますよ?」
「そんなことどうだっていいわよ! あなたが倒れたって聞いて急いできたんだから!」
「まぁ、もうぼくも大丈夫だし、教室に行きましょう」
「本当に大丈夫なの?」
「ほんとですって」
そうして教室へ戻って授業を受けていると外が何やら騒がしい
「宮主さん、なにを.」
「不穏な気配を感じたので、対策をとっているんです」
「これを置いて、結界を張ります。ユウヤさんに手出しはさせません」
「何をしているんですか、宮主さん! そんな所に石を置いて」
「ただの石ではありません。土地神様の力を秘めたパワーストーンです」
「いいから片付けを……」
そうして先生と佐優理さんが言い争いをしていると僕の名前が出たことでみんなの視線がこちらに向けられる。
そんな中、青い顔をした陽佳が立ち上がる。そして教室を出ると、叫ぶ。
「変なことにユウくんを巻き込まないで!!」
「変なこと……?」
「そうだよ! パワーストーンとか悪魔とか意味わかんないよ!」
「わからないなら黙っていてください」
「私は守るんです。行動を始めた悪魔の手から、ユウヤさんを守らなければならないんです!」
「────っ!」
「二人とも生徒指導室へ来なさい。話があります」
「分かりました。でも決してパワーストーンを動かさないでくださいね」
「……来なさい」
佐優理さんも陽佳も連れていかれた。
僕はなぜ授業中にもかかわらずこんなことをしたのか疑問に思った。
放課後が終わったので、僕は予定通り生徒会室へ向かった。
「失礼します……」
「あら、いらっしゃい」
あんなことがあったのに生徒会長はいつも通り迎えてくれた。心が寛大なんだろうな。
「あの、朝のこと、怖い思いさせちゃいましたよね……どうもすみませんでした!」
「どうしてキミが謝るの?」
「だって、それは……」
「もしかして、指示したのは君だったとか?」
「そんなわけないじゃないですか!」
「だったら、謝る必要はないわ。第一、あなたが助けてくれなかったら今頃私はここにはいないからね」
ニッコリと気丈に笑った。なるほど、この人が生徒会長である理由がよくわかる。
「そういえば、午後は大変だったみたいね。噂はこちらにも聞こえてきたわ」
「そうでうね。あれは────」
事のあらましをできる限り説明する。すると生徒会長の表情はみるみる曇っていった。
「気を悪くしないで欲しいのだけど、もう私たちだけで解決出来る範疇を超えてきていないかしら」
「────多分だけど、専門の医者が必要な話だと思うわ」
「そうですね……」
「でも先生が知ったのなら、親にはその話が渡るでしょうね」
でも、あんな行動をおこした人が素直に親の言うことを聞くだろうか。嫌な予感がする。
「まぁもしそうなったら私たちは見ていることしかできないのでしょうね」
「確かに……それくらいしか出来ませんね」
「私も気を付けておくけど、キミも彼女の様子を見て教えてくれる?」
「はい、分かりました」
「後、話は変わるけど」
「なんですか?」
「朝、彼女が言っていた、刑事さんに疑われているというのは……」
「本当です カヤ姉が殺されたことで疑われてて……」
「もちろん、身に覚えはないのね?」
「当たり前ですよ!!!」
「ん……分かったわ。信じる」
あっさりと信じてくれた。
「信じてくれるんですか?」
「キミはそういうことで嘘をつける人間でもないもの」
「ただ、愚痴を聞いてあげる以上のことができるかは、分からないけど……」
「ほんとに、ありがとうございます」
どうでしたでしょうか! 生徒会長がユウヤを呼ぶ時だけ漢字になってます。おわかりいただけましたでしょうか。
感想や改善点などあればどんどん書いてください。
新しいヤンデレ地獄、これの続きとして書くか(これとの繋がりはない)、新規に書き始めるか。
-
新規
-
続き