ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった 生徒会長生存ルート   作:キラトマト

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凶行

 僕を取り巻く状況がどんどんおかしくなっていく。

 

 それでも、学校にはちゃんと行こうと思った。僕を心配してくれる人がいるのだから。

 

 昨日生徒会長と仲良くなったんだし、さっさと準備して早く出よう。

 

「あら、今日も早いのね」

 

「まぁ、会長が心配になったんで」

 

「あら、私の事そんなに想ってくれていたなんてね」

 

「な、なんですか!? 急に!?」

 

「冗談よ。まさか図星だった?」

 

 小悪魔のように笑みを作る会長。

 

「そっそんなことないですよ!」

 

「あら、そう」

 

「そ、それよりも! 会長の名前ってなんですか? そういえば聞いてませんでしたよね?」

 

「九条静香よ」

 

「あの、これから名前呼びにしていいですか?」

 

「いいけど、二人きりの時だけにしてよね」

 

「なんでですか?」

 

「生徒会長があの郷土研の男子と付き合ってるなんて噂されたら、文化祭の時に不正したって言われても言い訳出来ないからよ」

 

「あ、そういう事ですか。分かりました。それって僕を嫌いになったって事ではないですよね?」

 

 僕は少し意地悪な質問を投げる。

 

「そんなわけないじゃない。あなたは命の恩人だもの」

 

 そう話していると、後ろから声をかけられる

 

「おや、彼女連れかい?」

 

 刑事さん、僕をおちょくってるのか? 

 

「違いますよ!」

 

「まぁいい。今は君に聞きたいことがあってね」

 

「なんですか?」

 

 僕は敵意むき出しでそう答える

 

「おやおや、そんなに怒っているのかい?」

 

「違います! とにかく、今日は急用があるんです! 事情聴取はまた今度にしてくれませんか?」

 

「そんなに急いでいるとは仕方がない。また放課後出直すことにするよ」

 

 そう言って刑事さんは帰って行った

 

「ところであなたが言っていた刑事さんってあの人?」

 

「そうですけど……何かあるんですか?」

 

「いえ、なんでもないわ。さぁ 行きましょう」

 

「は、はい」

 

 どうしたんだろう静香さん。あの刑事さんと何かあったのかな? 

 

 そうして学校に着くとまぁ誰も居ない。そうして佐優理さんが変わってしまった理由を考えていると、昼休みになった。悪い予感はするが、逃げるともっと悪い事がおきそうな予感がする。

 

 そう考えた直後だった。

 

「銀色の悪魔が襲ってくる~♪ テスラ波を撒き散らしながら~♪」

 

 歌声とともに佐優理さんがやってきた。

 

 歌いながらという時点でおかしいが、歌詞がその不気味さをさらに引き上げている。

 

 クラスメイトたちも、流石におかしいことに気づいたのか、ひそひそと言葉を交わし合う。

 

「ユウヤさん、お昼をご一緒しませんか?」

 

「あーいいや、今日は購買でパン買ってきたし」

 

 こんなこともあろうかと休み時間のうちに買っておいたパンを見せつける。

 

 佐優理さんは料理は上手いが、以前、睡眠薬を入れられたんだ。安心して食べられるわけが無い。

 

「どうして、せっかくユウヤさんのために作ってきたのに……」

 

「今日はそういう気分なんですよ。すみませんね」

 

 僕は申し訳程度に謝罪する。するとまたおかしなことを言い出した

 

「昨日までは食べてくれたのに……また悪魔の仕業なんですね……」

 

「悪魔なんてこの世にはいませんよ。何言ってるんですか、佐優理さん」

 

「いいえ、私は知っています。きっと、ユウヤさんは騙されているんです」

 

「悪魔は狡猾で、いつもつけ入る隙を探しているんですから」

 

 さっきから悪魔悪魔ってうるせえんだよ! 悪魔はお前じゃねえか! なんて言いたいところだ。

 

「もう、これからは近づかないでくださいね」

 

 そういうと佐優理さんはブツブツと呟きながら行ってしまった。

 

 やっぱり佐優理さんはまともな精神状態じゃない。

 

 なんとかしたい。なんとかして佐優理さんの凶行を止めたい。でもあの引き出しのハサミのトラップをいつしかけたかわからない以上、止めようがないんだよな……。

 

 とにかく今は佐優理さんを追いかけないとみんな殺されちゃう! 

 

 ということで僕は追いかけることにした。

 

 探していると静香さんと出くわした。そういえばみんなの前では名前呼びダメって言ってたな.

 

「あっ、生徒会長!」

 

「あら、何をしているの?」

 

 僕が口をつぐむ

 

「……何かあったの?」

 

「佐優理さんを見ませんでしたか?」

 

「私は見てないけど……」

 

「彼女がどうかしたの?」

 

「それが一度僕のクラスに来たんですけど、それからどっかに行っちゃって、様子がおかしかったから探してるんです」

 

「そうだったの……私も探した方がいいかしら」

 

「生徒会長は自分の身を守っててください 出くわしたら会長に何するか分からないんで」

 

「あなた、私の事心配してるけど、あなたは大丈夫なの?」

 

「えっなn──」

 

 僕が口に出そうとした瞬間だった。

 

 静香さんに向かってキラリと光るものが落ちてくるのが見えた。

 

「会長、危ない!!」

 

 危険に気付いた静香さんが避けると同時にそれは床に落ちた。

 

 頬に掠めたようで、うっすら血が浮かんでいる。

 

「会長!!」

 

「だ、大丈夫……ほんのちょっと掠めただけだから……」

 

 落ちてきたものはハサミだった。避けるのがあと少し送れたらと考えると……いや、想像もしたくない。

 

 そしてハサミといえば……。

 

「おいおいおいマジかよ。このハサミって……」

 

「こういうことをする人だって思いたくないけど」

 

 驚いているものの静香さんは冷静だった。キッと上の階を睨みつけ。階段を上っていく。

 

 それに続いて僕も上っていく。すると、やはりと言うべきか、佐優理さんがいた。

 

「今の行動について、説明してもらえるかしら?」

 

「すみません、手が滑ってしまいました」

 

「へえ……じゃあこんな場所で、ハサミを使うような用事があったのかしら」

 

「はい♪」

 

 佐優理さんはにっこりと頷いた。

 

 言葉の全てが白々しいのに、まるで戸惑う様子がない。

 

「じゃあ、教えて貰える? あなたはなにをしていたの?」

 

「言う必要はありません」

 

「こっちはね、貴方の落としたハサミで怪我をしているの。説明を求めるだけの理由はあるわ」

 

「しつこいですね……」

 

 佐優理さんの目がスっと冷たくなった。だがぼくはもう我慢の限界だ。

 

「おい佐優理、あんた自分が何をしたかわかってんのか!」

 

「ユウヤさん……」

 

 再び佐優理さんの表情が変わる。しかし、今度は困った様子だった。

 

「僕たちのことを気遣ってくれた生徒会長を傷つけるってのは、一番やっちゃいけないことなんだよ!」

 

「それに私になんでも出来るってわけじゃないけど、それでも生徒のみんなの助けになりたいとは思っているわ」

 

「ほら、佐優理さん」

 

「…………」

 

「……はぁ。仕方ありませんね」

 

 ふわりと雰囲気が柔らかくなった。

 

「どうもすみませんでした」

 

「……分かってくれたならいいわ。ただ、少しお話を聞きたいところだけど」

 

「人気のないところでお願いしてもいいですか?」

 

「そうね。だったら、生徒会室で」

 

 そう言って静香さんは佐優理さんに背を向ける。

 

「あっ……」

 

 僕は見た。その時、佐優理さんの口が、笑みを形作っていたのを。

 

「マジかよ!?」

 

 僕は走った。

 

「ん? 優也くん?」

 

 静香さんが後ろを振り向いた時だった

 

「……なっ!」

 

「静香さんッ!!」

 

 絶対助けてみせる! 

 

 突き飛ばされた静香さんを、何とか受け止める。

 

 命を助けるためならこんな重さなど何ともなかった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「え、ええ」

 

「何やってんだよアンタは!」

 

「あらぁ、ダメじゃないですか、ユウヤさん」

 

「えっ……」

 

「いくら優しいからって、悪魔を助けては行けません。悪魔は、敵なんですから」

 

「こんな時にも悪魔悪魔って、もし僕が受け止めていなかったら、大惨事になっていたところだぞ!」

 

「ふふふ……うふふふ」

 

「……」

 

 何も言えない僕たちを横目に佐優理さんは悠々とどこかへ行ってしまった。

 

 騒ぎがあったと聞きつけた生徒たちが集まってくる。特に静香さんのクラスの人が多いように感じた。

 

「とりあえず場所を移動しましょう。会長」

 

「そうね……」

 

 

 

「それにしても、参ったわね……」

 

「すみませんでした! こんなことになるって思わなくて……」

 

「ええ、それは私も同じよ。でもこれって、本当に私たちにはどうしようもないんじゃないかしら?」

 

「……」

 

 気丈に振る舞う静香さんだが、その身体は細かく震えていた。

 

 僕は、何も言えなかった。

 

 

 

 そういや、刑事さん放課後来るって言ってたな。忘れてたらいいのだが。

 

 そうして下校していると刑事さんが家の前で待ち構えていた。

 

「あの、なんですか?」

 

「朝言ったろう? キミに聞きたいことがあるって」

 

「なんですか、聞きたいことって」

 

「それがな、宮主佐優理のことなんだが」

 

 僕はグッと表情が強ばる

 

「どうしたんだい? 彼女と何かあったのか?」

 

「それが……」

 

 今日あったことを全て話した

 

「そんなことがあったのか……大変だったな……」

 

「はい、お気遣い感謝します」

 

「しかし困ったなぁ……今日話したかったのはその事だったのだが……」

 

「そうなんですか……じゃあもういいですよね? 刑事さん」

 

「ああ」

 

 やっと解放された……。

 

 今日はもう疲れたしもう寝ようか……。




明日は生徒会長に危機が訪れる日だ!早く学校行かなきゃ!間に合って!如月優也! 次回 ヤンデレ地獄 第四話 悲劇の序章
読んでくれてありがとうございます 感想やご意見があればどんどん書いてください!

新しいヤンデレ地獄、これの続きとして書くか(これとの繋がりはない)、新規に書き始めるか。

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