麦わらの一味は、無人島で偶然出会ったまだ幼い8歳位の幼女ヴァルを保護して海賊船に連れていった。
【メスに抱きかかえられて、先程の不思議なものの所まで連れてこられた。不思議なものからは木の匂いがしてくる。匂いの通りならこの不思議なものは木でできているようだ。メスが水で一杯の場所に連れて来た。無抵抗でいると水を頭からかけられて毛に何かを付けてワシャワシャして洗ってくる。ワシャワシャされてると黒い色のした水が出てきた。何回かワシャワシャ繰り返すと、段々出てくる水が透明になった。目の前にある水面のようなモノに写った自分が綺麗な銀色をしていて光があたってキラキラと光っている。メスはそれを見て目を輝かせた】
「うわぁ!キレーな銀色!凄く光ってる!」
ナミは海賊に入る前はイーストブルーを拠点にして海賊専門の泥棒として財宝を盗んでいた。その為か綺麗な物を見ると目を輝かせる癖を持っている。
【目が凄くキラキラしているのが気になった。メスは自分が見ているのに気が付いて我に帰った。
洗われるとメスが毛を切ってきた。毛を切った時に使ったモノは鋭い切れ味だったから痛くなかった。毛を綺麗にされてからまた別の場所に連れられた。今、自分はメスの着ているモノを着せられている。体の大きさが違い過ぎる為ブカブカだが何とか着れた】
「君の為に作ったんだ。食べてくれるかい?」
「?」
ヴァルの顔を見たサンジは思わず固まり目を見開く。ヴァルはエメラルドグリーンの瞳に銀色の髪、そしてまだ幼いながらも将来は絶世の美女と呼ばれる程に整った顔をしていた。お風呂から上がってタオルで頭を拭いていた時、顔を見たナミも思わず固まってしまった程だ。
【金色のオスが固まったと思ったら表情が崩れた。鼻の下が凄く伸びている。なんだコイツは?】
「なんて素敵な顔立ちなのだろう…まるでここに天使が舞い降りたようだ!」
「「あぁ、始まった…」」
サンジは女好きで仲間達も美人を見た途端アホになるサンジに呆れていた。
サンジがアホになっていると、扉が開いた。ルフィとウソップが虫取りから戻って来たようだ。
「おう、お前ら帰って来たのか。ん?ルフィはどうしたんだ?」
ゾロはルフィのダラーンとした両腕を見て上陸時と違う様子に気づく。ウソップが質問に答えた。
「腹空いたんだってよ」
「んお?あ!飯ー!」
ルフィがヴァルの料理を見つけて飛びかかった。サンジがルフィに向かって足を振りかぶる。
バギッ!
「
「何この子の料理に手ぇ出そうとしてんだ、このクソ野郎!」
「だ、だってー、もう俺腹が減って死にそうなんだよ…」
「だからって食おうとすんな!」
【前から思ったが、鳴き声の中で聴こえるナミやルフィやサンジとかいったものは仲間同士の分け方のようだ。メスがナミ、金色のオスがサンジ、群れのリーダーのオスがルフィ。なるほど、段々この生き物達の言葉がわかるようになってきた。ルフィが腹を盛大に鳴らしている。仕方ない。洗ってくれた礼でもするか】
「ヴァル?どこに行くの?」
「ヴァルちゃんって言うのかぁ…。素敵な名前だぁ!」
「アホか」
【外に出ると群れが後に続いてくる。取り敢えずこの着ているモノ邪魔だ】
「えぇぇ!何で脱ぐの⁈服嫌だったぁ⁈」
「う、うぉぉぉ!何てハレンチな…でも、その大胆さも素敵だぁぁ!!!」
「お前はちょっと黙ってろこの変態が!!」
【騒がしさを無視して体を変化させる。洗われたからか、いつもより確実に快適になった】
「な、なんだコイツ⁈能力者か!」
「おおぅ!狼になった。けど綺麗だぁ!!」
ヴァルはルフィの着ているモノを引っ張る。
【ほら、さっさとこっち来い】
「何ダァ?俺もう腹減って力でねぇぞ?」
【フラフラするな。背中に乗せてやるから来い】
「何処かに連れて行きたいの?」
「ワン」
【鳴き声をかけられたから返事をした。群れは不思議そうに首を傾げながら背中に乗ることを決めた。道中険しい山道になる為体をさらに大きくして山を登った。山を登り進めていると住処の洞窟が見えた。目的地に着いたからしゃがんで群れの全員を降ろした】
「おお!肉だぁぁ!!」
ルフィが猪を見て走って近づいた。食べられる物を見つけて元気になったらしい。
「もしかして…ルフィがお腹空かせているの見て、食べ物があるよって教えたかったの?」
「ワン!」
【なんとか通じたらしい。何故だか分からないけど、段々と群れの言葉を何となく理解してきた。言いたいことが伝えられず歯痒い気持ちでいたのがスッキリした。メスが頭を撫でる。気持ちがいい】
「ありがとうヴァル」
「クゥーン」
「ヴァルちゃん、何ていい子なんだ…!」
一味はヴァルが狩りで得た猪を手に入れてヴァルと共に船に戻った。
ヴァルは船に着いてから料理を食べた。最初は慣れない匂いで口にするのを躊躇したが、一口入れるとあまりの美味しさに我を忘れて没頭した。一味はそんなヴァルを見て頬をニッコリとさせた。一部の者はニッコリでは無くデレーンとだったが…。
夜になって一味はヴァルから貰った猪を食べて腹を満たした。ナミの部屋では、ドッグタグが暗い部屋の中鈍く光っていた。今日だけで色々な経験をして疲れたヴァルが布団を被って寝ている。そんな中、麦わらの一味全員がキッチンに集合して会議を開いていた。会議の内容はヴァルのことだった。
「そんであの子どうするんだ?このままって訳にはいかねえしなぁ」
「連れてきたのは良いけど、そうよねぇ…」
「確かに、あの子はまだ幼い子供だ。でも、海賊が育てる訳には…」
一味がヴァルの扱いに悩んでいる中、ルフィが口を開いた。
「俺、アイツ仲間にしたい」
「「「「はぁぁ⁈」」」」
ルフィの言葉に仲間達が驚愕した。
「いやいや聴いてなかったのか?まだあの子は幼い子供だぞ!」
「あのデッケー猪取ってたぞ?ウソップよりは強いだろ」
ウソップは猪の大きさを思い出して、自分では決して捕まえることは不可能だと思った。
「あぁ確かに…ってそうじゃない!」
「そうよルフィ!海賊になるのは良いとして、それであの子に危険が迫ったらどうするのよ!」
ナミはヴァルがもし海賊になって命を落としたらのことを考えた。
「それは俺達が守れば良いだろ」
「俺達にそんな余裕があると思ってるか?
サンジの言う通り、麦わら海賊団はこれから
ルフィはサンジの顔を見て言った。
「でも、アイツのこと気に入っただろ?」
「それは勿論だ!うちに入った暁には、命に代えても守り通す!!」
先程までの反論が台無しになった。
そんな中、口を噤んでいたゾロが言い出した。
「まぁ、アイツの強さは並みの物じゃねえのは確かだ」
「ゾロ!アンタ何言ってんの!」
「お前らも見ただろ、洞窟があったあの崖の傷。あの傷全部がアイツの爪で出来た物だった」
一味は猪の元まで連れて行って貰った光景を思い出した。ヴァルの住んでいた洞窟付近の山は他の生き物の気配が全く無く、崖にはヴァルの爪で出来たであろう傷がそこら中にあった。
「あれはアイツがあの山の主ってことを現してる証拠だ。もしかすると、この島の頂点に立つ者なのかも知れねぇ」
「多分そうだろ。あそこ全然他の動物がよりついてなかったからな」
「…で?結局、ルフィはあの子を仲間にするまでここを出ないつもり?」
ルフィは勢いよく頷いた。ナミはそんなルフィを見て首をカクリと落とす。ヴァルを仲間に引き入れるルフィの意思に負けて、降参と言いながら両手を挙げた。