ヴァルが麦わら海賊団の仲間に加わり、島から船が出航する時が来た。
船の名前はゴーイング・メリー号と呼ぶらしい。乗って直ぐに教えられた。
ヴァルは徐々に離れていく島を船の最後尾にある手すりを使って背伸びしながら眺める。物心ついた時から育った故郷とも呼べる島の為か、何処か寂しいそうな表情を浮かべた。仲間達はそんなヴァルを陰ながら様子見していた。
暫く様子見していると、ヴァルがこっちに戻って来た。顔には悲しさは全く無く、無表情に戻っていたが目には新しい道に進む覚悟が込められている。
ゾロがヴァルの表情を見て感心する。
「へー?もう吹っ切たか。良い根性してるじゃねえか」
「テメー…何を上から目線でヴァルちゃんを見てんだ!このクソマリモ頭がぁぁぁ!!!」
「何でお前が切れてんだごらぁぁ!!!」
みんなの元に戻るとサンジとゾロが何故か喧嘩をしていた。この2人はいつも何かに付けて喧嘩をしている為、逆に仲が良いのかとヴァルは思い始めていた。
ナミが目をウルウルさせながらヴァルに抱き着いて頭を撫で始めた。ヴァルは気持ち良さそうに目を閉じる。
「貴女って本当に偉い子なのねぇぇぇ…。私、ヴァルの為だったら何でも協力するから何時でも頼って来てね?」
「……?」
サスサスッ
ヴァルは抱き着いて泣きそうにしているナミを見て、何で弱々しい声を出しているのか分からなかったが、ナミを慰める為に頭を撫でた。
「ゔゔゔ、ヴァル゛ゥゥゥゥ…」
ナミは更に泣きそうになってヴァルを抱きしめた。思っていたのとは違う展開にヴァルはますます頭を悩ませながら頭を撫で続けた。
ルフィとウソップは仲間達の姿を見ていた。
「ほんっと、ヴァルは面白れー奴だなぁ」
「いやそのツッコミはおかしいだろ」
ヴァルと共に出航をして暫くすると
玄関口となるその名はリヴァース・マウンテン。
文字通りの巨大な山だ。この世界は「RED LINE」と呼ばれる物凄く高い赤い大陸によって4つの海域に分断されている。世界をぐるっと一周しているため、海域を行き来する為には「RED LINE」にあるリヴァース・マウンテンを越えて行かねばならない。他にも方法があるが、これが1番安全な航路として数多くの人々に活用されている。
そして、「RED LINE」と丁度対角線を書くようにして存在しているのが
リヴァース・マウンテンに船が近付くと、目の前には巨大な壁のような山が出現した。上を見ても頂上が見えて来ない。
ヴァルは身長が小さい為、見上げると余計に首が痛くなった。島から出て直ぐに初めての経験がわんさか飛び込んでくる。新しい物だらけで混乱しそうになったが、ワクワクが止まらない。
「ウッヒョ―――――!でけーな――――!!」
ルフィが思わず叫んだ。みんなも山を見て呆けている。
「もう山じゃ無くて壁だろこれぇ…」
「あ!あった、入り口!ほらあそこ!」
ナミが何かを見つけてみんなに言って指を刺した。刺された方を見ると、確かに山にポツンと門のような入り口があって海流が山に昇って行っている。
「話には聞いていたが…一体どういう原理だよ」
「ちょっとアンタ達!!いつまでそうしてるの!早く舵を取って!ここからが正念場よ!」
リヴァース・マウンテンの1番の難所は途轍もない海流の力で門にぶつかりそのまま海の底へ沈んでいくことだ。半端な者達ではまず門を潜り抜けることは不可能で、一定以上の技量を持つ者しか越えれない
皆が一斉に動き出して船を操作する準備に入る。ヴァルもナミから指示を貰ってマストの上に上がり、帆を上げ下げして微調整する配置に着いた。全員が協力し、船は上手く門を潜りそのまま真っすぐ山を海流に乗って昇って行く。段々辺りが白くなってきた。ナミから教えて貰ったが、これが雲と呼ばれる物らしい。雲とは空に浮かんでいる物で、今自分達は雲のある高さまで来たのだとナミが言った。
「おお!雲の中に入った―――!」
門を過ぎれば後は流れに乗って行くだけなのでヴァルも上から降りてみんなの元に戻る。船はまだまだ山を昇って行き、雲を抜けると山の頂上が見えた。船から下を覗いて見ると雲が下にあった。ついに雲よりも高い所に出たらしい。頂上付近では海流が他の海から来た海流とぶつかって水しぶきを上げていた。
船が頂上に着くと海流の勢いで一瞬中に浮いた。体にフワっとした感覚が広がり少し怖かったが、すぐに船は海流に着陸して山を下り始めた。
「見えた、あれが
「「「「おおぉぉぉぉぉ!!!」」」」
「………」
グッ!
ヴァルも手を強く握って前方に見える
これから新しい冒険が始まる。