赤、赤、赤、あか、あか、アか、あカ、アか、あカ、アカ。
目の前に広がる赤い血……。耳をつんざく悲鳴……。消えてゆく命。
「何も出来なかった……。あたしは…………。」
自分の力の無さに絶望しうなだれる少女に鋭い爪が襲いかかろうとしたその時、重い金属音が響き、爪は少女に届く前に勢いを失った。
「民間人は全員逃げたんじゃねぇのかよ?ちっ……俺だ……逃げ遅れた民間人を発見した。今から帰投する。」
少女が顔を上げると、そこには黒い神機を持った男と男が倒したと思われる荒神が横たわっていた。
「おい!お前立てるか?」
少女は立ち上がろうとするが足に力が入らない。
「ちっ……ほら。手ぇ貸せ。」
男は少女の手を掴み立ち上がらせた。
「今からアナグラに帰投する。俺から離れるなよ。」
男とアナグラに向かう途中、少女は色々な光景を見た……。
「あたし……何も出来なかった……。皆無くなっちゃった……」
「…………。仕方ねぇよ。民間人がどうこうできる相手じゃねぇからな……」
男は少し悲しい顔をして少女に言う。
少女がぽつりと男に聞く。
「あたし……あんたみたいになればあいつら殺せるかな?」
「あ?お前……ゴッドイーターになりてぇのか?……止めとけ。お前は死んだ奴らの分まで生きろ。わざわざ死に行くような事するな!」
そう言うと男は怖い顔になりアナグラに着くまで少女と話すことはなかった…………
・・・・アナグラ内部・・・・
少女と男がアナグラに着くと研究員のような人達がアナグラの奥へと連れて行く。
「あたし、諦めないから!絶対ゴッドイーターになってやる!」
それだけ言うと少女は研究員と一緒に消えていった。
「おぉ……元気な少女だこと。あの子が居住区の生き残りかい?クラウズ君?」
ミッションを終え、帰投したリンドウが声をかける。
「お疲れさまです。……そうですよ。あのガキ……ゴッドイーターになるなんて言いやがって……」
「ふっ……楽しみな少女だねぇ。その時は頼むよ、クラウズ君?」
ポンとクラウズの肩を叩くとリンドウは自室に帰っていった。
リンドウがいなくなった後クラウズは自身の口がにやけているのに気づいた。
「君の名前はなんて言うんだい?」
研究員に通された部屋にいた科学者は少女に訪ねた。
「キョウ……。おじさんは?」
「キョウちゃんか……私はサカキというただの科学者だよ。これから君には少し検査を受けてもらうけど構わないかい?」
キョウが小さく頷くと、研究員に誘導されキョウは医務室に連れて行かれた。
医務室に着くと研究員はキョウの腕に注射器を差し血液を少量採集した。
検査が終わりキョウはぐっすりと眠りについてしまった。
後日、サカキ博士がキョウの元を訪れた。
「キョウちゃん。君は神機使いに興味があるかい?」
「えっ?……なんで?あたしに?」
「君の細胞が適合する神機があってね。最近は神機使いも減ってきてね……少しでも適合する人間がいたらこうして声をかけているんだよ。」
サカキは少し気まずそうにキョウに言う。
「まだ気持ちの整理がつかないと思うけど答えが決まったら聞かせてくれないかな?」
そう言うとサカキは医務室から出て行こうとする……
「あたし……なりたいです!ゴッドイーターになりたい!」
キョウはサカキの背中に自分の気持ちを伝えた。
するとサカキは振り返り笑顔を向け
「ありがとう。キョウちゃんいや……キョウ君。……ただここは医務室だからもう少し声を抑えてね。なら精密なメディカルチェックを済ませたあと、神機との結合テストをしようか。」
サカキはキョウに簡単な説明をし、医務室から出ていった。
「あたしがゴッドイーターになれるんだ……これでやっと奴らを……」
キョウはまだ見ぬ神機に心を踊らせた。
・・・・数日後・・・・
「うん。メディカルチェックの結果も良好だ。キョウ君いよいよ今日だね。」
「そうですね。お世話になりました。今日やっとあたしもゴッドイーターになれるんですね」
キョウは喜びの顔を隠せずいた。
サカキに案内されキョウは神機の適合所に来ていた。
「ここで君は神機使いになる。しかし危険もある。確認しているとはいえ、偏食因子との適合に少しでもずれがあれば君は偏食因子に捕食される。さらに偏食因子を体内に取り込むということは君はもうただの人間には戻れない。それでも構わないかい?」
「構いません。あたしは……荒神を殺したい!」
キョウの鋭い目がサカキを見据える。
「そうか……君の気持ちは分かった!ならばこの先に進みなさい。この先に君の神機がある」
冷たい部屋の中にベッドと巨大な機械がポツンとあった。
『そのベッドに横になり、右腕を機械に乗せてくれ』
サカキの声に従いキョウは機械に腕を乗せた。
『ではこれから君に偏食因子を適合させる。痛みを伴うが頑張ってくれ。』
サカキがそう言うと機械が右腕に腕輪を付けた。
「ギャャャアァァァァァァ!!」
鋭い痛み。手首の表面全体を太い針で刺されたような痛み。意識が飛びそうになりながらもキョウはこらえた。
痛みが徐々になくなると手に確かな感触。
金属のような……だが暖かい。
目を開けると槍のような巨大な神機がそこにあった。
赤黒い光るその神機を見ていると不思議と気持ちが高揚していく……
キョウは神機を横になぎ払うと
「これが……あたしの神機……奴らを貫いて殺してやる!」
キョウはにやりと笑みを浮かべた…………
キョウ初の任務そして再開。
「てめぇら……喰らってやるよぉ?」