女性好きのド変態がRX団に入団したようです   作:鈴木颯手

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第四話「ねことろーき」

-1-

「RX団の皆さん。お待たせ致しました。試作型怪人第一号がようやっと完成しました!」

 

 この日、科学者サンから招集を受けたRX団の面々は彼女を研究室に来ていた。RX団最初の怪人が完成したからである。これにはボスやブラックジェネラルなどワクワクと言った感じで見ている。“男”も「ようやく悪の組織っぽくなって来たな」と笑みを浮かべているが視線は科学者サンの胸に固定されている。ここに来てもブレない“男”だった。

 

「ではご覧いただきましょう!これぞ!試作型怪猫(・・)一号、ペケくんです!」

 

 姿を現したのは一匹の黒猫だった。どう見てもただの猫にしか見えずこれにはボスやブラックジェネラルだけでなく誰もが疑問の表情をしている。

 

「この猫が、試作型?」

「そうですとも」

 

 ボスが恐る恐る尋ねるが科学者サンはそれに返答する。しかし、ボスはまだ納得のいっていない雰囲気を出しておりそれを見た科学者サンはがため息をつく。

 

「……いいですか?人間に他の生物の要素を付与し、人知を超えた力を発現させた存在。それが怪人!ですが勿論その過程には様々な危険が伴います。何事も先ずは人外実験から!これ常識!」

「お、おう……」

 

 科学者サンの勢いにボスは引き気味に答える。実際言っている事は正しいがやっている事は外道でしかないがそれを突っ込む者はいない。むしろ科学者サンの意見は悪として見れば可笑しいと言えるかもしれない。それを突っ込む者もここにはいないが。

 

「このペケ君は人間の知識と身体能力が付与された、スーパーキャットなのです!」

「人間の知識と、身体能力……!」

 

 ボスの呟きにそれを証明するかのようにタイミングよく猫が直立(・・)した。後ろの二本足でしっかりと立つ姿はまさに人間と変わらないものに見えた。これにはボスや戦闘員トリオなどは驚くが急にやられたため恐怖の感情の方が強かった。

 そんな男たちを無視して猫は周囲を見渡す。

 

「あれ?意外とおとなしいな……」

「ホーレ、こっちこーい」

「……」

 

 大人しいペケくんに1号が手を伸ばす。するとペケくんはその手を見つめた後、唾を吹きかけ土をかけた。まさかの対応に固まるトリオ。それを見ていた科学者サンが補足をする。

 

「能力は付与されても中身は猫のまま。つまり世の中の猫が人間に抱いている気持ちって大体こんなもんよ」

「知りたくなかったわ」

 

 科学者サンの補足に1号が突っ込みを入れる。因みに“男”は怪人には興味あったが猫だち知ってから一気に興味を失い秘書サンとセクハラの交渉を行っていた。

 

「……マスタープリン一個で数十分も行うのは割にあいません。プリンをもっと要求します」

「秘書サン。あくまでこっちがお願いされる側だぞ。俺はマスタープリンを渡す見返り(・・・・・)として胸を揉ませてもらっているのだ。なのにもっと要求するなんて話にならないね」

「元はといえばそちらが先に提案して来た事ではありませんか。初回の様に二個要求します」

「だから却下だ。よって胸揉ませろ」

 

 下品な言い争いをする二人だったがブラックジェネラルと科学者サンが仲裁に入る事で両者は矛を治めた。その時、秘書サンは漸くブラックジェネラルの胸に抱かれている猫に気付き、自分も抱きたいという欲求が生まれた。

 

「あの、私も抱かせていただいても?」

「どうぞどうぞ」

 

 ブラックジェネラルは喜んで渡そうとするが秘書サンの一点を見つめたペケくんが爆弾を投下した。

 

「貧乳イラネ」

 

 まさかの言葉にその場の全員が固まる。特に言われた本人の秘書サンは笑みを浮かべたまま硬直しているが明らかにその笑みには怒りの感情が浮かんでいた。そして、その次に怒っていたのは意外にも“男”だった。こちらはただただ無表情であり偶々“男”の方を見たボスはあまりの恐怖に倒れ込むほどだった。

 

「……そうですね。大事なことを忘れるところでした」

 

 秘書サンはそう言って物が置いてある箱をあさると一つの道具を取り出す。巨大なプライやをガチンと音を植ながら見せつける。

 

「猫を飼うときはまず去勢しないとですよね?」

「申し訳ございませんでした」

 

 本能で恐怖を感じたペケくんは鮮やかな土下座を見せ許しを請う。男たちは秘書サンの行動に自身の股間を抑えて縮こまっている。そんな中ペケくんの頭を誰かが掴み持ち上げた。

 

「おい、クソネコ」

 

 ペケくんを持ち上げた“男”は目を据わらせながら顔を近づけていった。

 

「次秘書サンを貧乳とか馬鹿にして見ろ?二度とそんな口をきけないように舌抜き取って玉を潰してやるからな?分かったか?」

「……もう二度といたしません。許してください」

 

 これ以降ペケくんの尊大な態度は鳴りを潜め“男”と秘書サンがいる前ではいつも大人しくなるのだった。

 

 

 

 

 

-2-

「こんな感じで良いんじゃないでしょうか?」

 

 “男”はそういうと手元の紙、RX団の募集ポスターを皆に見せる。“男”の手書きで書かれたそれは悪の秘密結社らしい雰囲気を出しながらも見やすい工夫がされており目に入ればだれもが一度は目にすると予想できる完成度だった。

 

「うん、これは確かに良いね!」

 

 ボスも満足げに頷く。ヘビメタのライブポスターやその辺の求人広告のようなものにはならずこれなら団員も増えてくれるかもしれないと妄想する。

 

「早速これを印刷して町中に「待ってください」え?」

「これはまだ完成していません。大事なことを書いていないのですから」

「だ、大事な事?」

 

 ボスは一体何なんだ?と思いつつ女性に関する事か?とか予想をたてる。そして“男”は真剣な表情でこう言った。

 

「日給を書いていません」

「……ふぇ?」

「だから日給です」

「え?なんで」

 

 まさかの言葉に困惑するボス。だが“男”はそのまま答える。

 

「まさかただで入団させる訳ではないですよね?そんなのブラック企業も真っ青ですよ?」

「いや、だってうち会社じゃないし……」

「この辺の事はきちんと決めて置き予め対応して行いと労基に訴えられますよ?そうなればそれだけでイメージは悪くなり最悪経営が立ちいかなくなります」

「まって、別にそんな生生しい話はどうでもいいんだよ」

「よくありません!私だって経営の第一戦にいた頃は苦労したんですよ?隙を見せれば労基に訴えるのを得意とする奴がいて手が出せないように最善を尽くすので倒れかけたのですから」

「だから態々言わなくていいって。そもそも日給出せるほどうちに余裕ないし」

 

 現状、“男”のポケットマネーでRX団は回っているようなものだった。もし“男”がいなくなれば資金面的に呆気なく破産するだろう。それだけ今のRX団は“男”の金に依存していた。その為給金を払う事など出来なかったのだ。

 それは資金面を管理する“男”が良く分かっていた事なので言葉に詰まる。……やがいて息を吐く諦めたように話し始めた。

 

「……わかりました。給金に関しては書かずにこのまま印刷しますね」

「う、うん。よろしくね」

 

 そう言ってボスは印刷するために近所のコンビニに向かう“男”を見送る。その背中を見ながら心の中で呟いた。

 

「(アイツあんな性格だけどきちんと経営者としてやることはやっていたんだな。というか労基ってそんなに怖いのか……)」

 

 意外と知らない部分を思わぬ形で知る事となったボスはなるべく気を付けようと心に誓うのだった。

 

男にヒロインを付けるなら誰がいい?※あくまで参考でアンケート通りになるとは限りません

  • 秘書サン
  • ブラックジェネラル
  • 科学者サン
  • GGちゃん
  • 薔薇姫
  • 鉄子ちゃん
  • インパクト
  • え?ヒロインなんていらないでしょ
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