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「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
「(うるせぇ……)」
RX団のアジトにて“男”の絶叫が響いた。そして近くにいたボスはその声に耳を半分やられつつ心の中で呟いた。
今日はバレンタインでありリア充による憎むべき行事である。町では女子が好きな男子にチョコを配り貰えた者は喜び、期待していたのに貰えなかった
「そんなに嬉しいのか?」
「当たり前だろ!?最後に貰えたのなんて大学一年の時に付き合っていた彼女が最後だったんだぞ……!それから早数年!久しぶりのチョコだぁ!」
「結構最近まで貰ってんじゃねーか」
“男”の言葉にボスが突っ込みを入れた。因みに“男”は顔の良さから学生時代はモテていたが変態の部分が露見するとあっという間に異性どころか同性の友人もいなくなっていた。唯一残ったのは今“男”の会社で働く者のみだ。
「秘書サンありがとう!義理でも嬉しいよ!」
「あ、義理っていうのは理解しているんですね」
「当たり前でしょ?こんなやつに本命のチョコ渡す奴がいる訳ないじゃん」
「(自分で言うのか……)」
ボスは“男”の「何当たり前のことを言っているんですか?」と言っている真顔にイラっとくる。何故分かっていながら変態行動を取り続けるのかと思ったがこういうやつだしな、と一人納得して思考を切り上げる。何時までも“男”の事で書で考えていたくはなかったからだ。
「よし!次は科学者サンの所に行くか!それではボス!秘書サン!」
そう言って“男”は出ていき会議室にはボスと秘書サンが残された。因みにブラックジェネラルとトリオ達は出撃している。今頃切りチョコをトリオに配り悲しい過去を背負った野良怪人にチョコを奪われているだろう。
「全く、あの調子だとジェネラルさんにも貰おうとするだろうなー」
「……ボス」
呆れたように“男”が出て行った扉を見ていると少し顔を赤くした秘書サンがボスに話しかける。両腕を後ろで組み少しもじもじとした様子の秘書サンにボスはドキリとする。
そして秘書サンが両腕を前に持ってくる。そこには先ほど“男”に上げたチョコとは違い小袋に入っているチョコがあった。
「ボスにもあげます。……も、勿論義理ですよ」
「あ、ありがとう……」
顔を赤くした秘書サンからチョコを受け取るボスは少し照れくさそうに感謝の言葉を零す。暫くそのまま固まる両者であったがやがて秘書サンが慌てたように言葉を出す。
「で、ではボス!私は今日は上がります!」
「う、うん!お疲れ様」
まるでバイト終わりのような事を言いながら部屋を出ていく秘書サン。一人残されたボスは秘書サンが出て行った扉を見てから手元のチョコに目を向けると中身を見る。そこには星形に模られたチョコが三つ入ってあった。バニラ、チョコ、ストロベリーの三つのチョコを食べながらボスはにやける顔を見られまいと仮面を抑えながら秘書サンが作ってくれたチョコをじっくりと味わって食べていくのだった。
-1After-
「科学者サン!チョコ頂戴!」
「ん?“男”くんか?丁度良かった。これを食べてくれ」
科学者サンの部屋に突入した“男”は一つのチョコを手渡された。
「……これは?」
「食べてからのお楽しみだよ」
「いや、これどう見てもやばい奴……」
先ほどまでの勢いは消え失せ“男”は手渡されたチョコを見ながら顔を真っ青にする。何せチョコは明らかに可笑しかった。紫とも緑ともとれる色をし“男”の手の平野上で何やらグニグニと動いており今にも何かが誕生しそうな雰囲気を醸し出していたのだから。
「大丈夫大丈夫。人体に影響が出ない、と思う成分を盛り込んであるから」
「と思う、と言っている時点で信用できないのですが?」
「まぁ、安全かは君の様子を見て決めるから早く食べて」
「それって私で人体実験するってことですよね!?そんなの言われて食べる訳ないじゃないですか!?」
「大丈夫大丈夫」
結局“男”は科学者サンに押し切られそのチョコを食べる事となった。この後一週間の間下痢と腹痛に悩まされる事になりアジトはいつもより静かになったという。
-2-
「さぁ!ペケくん!準備はいいか!?」
「おう!」
“男”は現在、ペケくんと共に町に繰り出していた。因みにこの二人が一緒に行動するのはまずない。理由に初対面時の脅しがありあれ以来ペケくんは“男”にトラウマを持っていたのだ。その為これまでは“男”の近くには絶対に近寄らず“男”がアジトにいる間は外に出ていたりしていた。
ではなぜ二人が一緒に行動しているのかというとペケくんに課せられた労働が原因であった。RX団の資金面は基本的に“男”が行っているがそれまでは秘書サンが一手に行っていた。というより無駄遣いを頻繁にするボスや一般隊員のトリオに任せる訳にはいかない上にブラックジェネラルは基本的に出撃組な上にRX団きっての問題児とされていた(今は断然“男”の方が上)。その為必然的に秘書サンの担当に落ち着いていたのだ。そんな彼女は今でも資金運用に関して“男”と話す時がある。
経営者というせいかこういう面は真面目になる“男”は「資金すべてを一人で管理するのはいろいろと問題がある」として秘書サンにも手伝ってもらっていたのだ。そしてRX団は“男”の支援があるとはいえ資金面で余裕があるわけではない。ボスですらバイトを掛け持ちして資金を得ようとしているがペケくんだけは猫という事でまともな仕事がなかった。
それを問題視した秘書サンによって働く様に言われるが猫という事でバイトは出来ない。雑用をやろうにもアジトの周囲はゴミの山であるため掃除の意味がない。肩もみなどのマッサージは生産性がなく出来ない。つまり役に立たないマスコット的な存在でしかなかったのだ。
そこで“男”は自らの仕事を手伝わせることにしたのだ。何も出来ないペケくんはこれに飛びつき二人は早速町に出ていたのだ。
「……で?オイラは何をすればいいんだ?」
「なに、簡単な事だよ」
ベンチに座りペケくんは普通の猫の様にしながら“男”に聞く。手伝うと言ったがそもそも“男”が資金運用以外で何をしているのか分からなかったからだ。
「私たちのやる事はこうして人を見る事だよ」
「……さぼりか?」
「ンなわけあるかい。野良怪人を見つけたり怪人化に興味がある人を探すんだよ」
現在RX団にはGGちゃんを除けばペケくんくらいしか怪人はいない。そのペケくんですら試作型であるため戦闘力はない。つまり現状GGちゃんしかいなかった。そこで“男”はこうして町に出ては怪人化に興味がある人を探していたのだ。
「でもどうやって見つけるんだ?チラシでも配るのか?」
「ああ、それは前にジェネラルちゃんがやって警察に職質されたらしい。だからやらない」
「えぇ……」
まさかの職質にペケくんは何も言えなくなる。と同時にこんな街中で呼びかければ職質もされるかと納得する。ではどうやって見つけるのかと言えば簡単だった。
「見つける方法はまず覇気がないというか今の自分に満足してないような奴だな」
「分かりづれーよ」
「そうか?結構簡単だぞ?例えば……」
“男”はそう言って立ち上がる。そしてある人物の下に向かう。そしてその人物に声をかけた。
「ちょっとすいません。お時間宜しいですか?」
「え?僕ですか?」
“男”が声をかけたのは細い体をした人だった。そして明らかに落ち込んでいるように見えるその人物は突然声をかけられた事で困惑していた。
「私実は怪人になりたい人を募集してまして」
「怪人……。つまり貴方は悪の人だと?」
「まぁ、そう言う事になりますね。で?どうですか?興味、ありませんか?」
「……」
“男”の言葉にその人物は悩んでいる。“男”は一気に畳みかけるのが吉と判断し更に言葉を放つ。
「当ててみましょうか?あなたは自分の姿、おそらく肉体的な面でコンプレックスを持っている」
「!?」
「それをどうやって変えていいのか分からない。そんなところじゃないですか?」
「す、すごい……。そうです。僕はもっと力が欲しいんです!ですが、どうしても筋肉がつかなくて……」
「それなら丁度良かった。実は最近ライオンのサンプルを手に入れたんですよ。つまり今なら獅子の怪人になれるという事です」
「……ライオン」
「そうです。百獣の王であり名前を聞いただけで凄いパワーを持っていると認識されるあのライオンです。うちの博士は腕がいいです。きっとあなたが満足できる力を与えてくれると思いますよ?」
「……受けます。是非!お願いします!」
「ありがとうございます。では明日の14時にここでお待ちしています」
“男”はそう言うと一枚のチラシを渡す。チラシには怪人化の募集とアジトの地図と住所が書かれていた。その人物との取引を終えた“男”はベンチで一部始終を見ていたペケくんの元に戻った。
「な?簡単だったろ?」
「ごめんなさい。オイラには無理です」
“男”の人間観察力にペケくんはギブアップを宣言するのだった。
ペケくんはこの後トリオの元に預けられマスコットとしての地位を盤石にします(つまり原作通りジェネラルさんに嫉妬される事に)。科学者サンの実験に関してはバレンタインで“男”に代わりに受けてもらいました
男にヒロインを付けるなら誰がいい?※あくまで参考でアンケート通りになるとは限りません
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秘書サン
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ブラックジェネラル
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科学者サン
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GGちゃん
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薔薇姫
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鉄子ちゃん
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インパクト
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え?ヒロインなんていらないでしょ