シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!?   作:ボーイS

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ギャグさんが息をしていない件について


十二話 逃れられない運命(さだめ)ってか?

 あれから僕は僕の考えられるネフィリムの対策をギリギリまでやりました。

 避難経路の確認やレセプターチルドレンの子たちが付近の区画に立ち入らないように話したり、信頼出来る研究員たちに念のため避難できる用意をするように慣れない命令を出したりと色々やりましたよ。

 本当は一日でも早くネフィリムが輸送されて来たら少しでも妨害出来る様に小細工をしようと思ったのですがかなり機密な実験らしく、まさかの当日に到着してそのまま起動実験を行うとか、ほんとバッカじゃないですかねぇ?仮にネフィリムが危険性の無い聖遺物だったとしてももう少し考えて欲しいものですよ……クソッタレが。

 

「ドクター。顔色が優れないようですが……」

「ん?ああ、なんでもありませんよ。貴方も集中してくださいね」

 

 いけないいけない、不安が顔に出ていましたか。ポーカーフェイスのつもりでしたが、今回の実験のメンバーは皆僕がウェル博士になってから同じ研究をしたり、レセプターチルドレンの子たちの面倒を見たりした親しい人たちだ。僕の僅かな変化も見逃さない。

 

 ……本当は彼らにはここに来てほしくなかった。いや、可能ならこんな馬鹿みたいな起動実験を決定したお偉いさん方以外、ここにいてほしく無い。みんな良い人たちだからね。

 彼らをメンバーに選んだのは、彼らならきっと無茶な事をせずに慎重に事を進めてくれると信じているからです。ネフィリムの起動するかしないかのラインギリギリを見極めてくれるでしょう。

 

 まぁ、それは置いておいて。

 

「……なんで貴女たちがいるのですか、マリア、セレナ?」

「シンフォギア以外の聖遺物を見てみたかったので!」

「私はセレナが暴走しないように見張り役よ」

 

 僕は少し頭が痛くなりながら後ろを振り向く。そこには場に似合わない少し背伸びした格好をしたマリアちゃんとセレナちゃんが立っていた。うん、この付近の区画に来たらダメって言ったはずなんですけどねぇ。それにセレナちゃんってこんなにテンション高い子でしたっけ?

 

「私が許可を出しました」

「ナスターシャが?」

 

 マリアちゃんとセレナちゃんの後ろからナスターシャが現れる。実験開始は間も無くというのに遅れているとは思いましたが、二人を連れて来ていたからでしょうね。まぁ、一応上司である僕になんの話も無かったのは気になりますが。

 

「(上からの指示です。今回は国の重鎮もいるため装者を護衛の一つにするよう命令がありました。マリアはセレナの精神を少しでも安定させるために同行するのを許可しました)」

「(なるほど。上の連中は馬鹿ばかりのようですね)」

 

 耳打ちして来たナスターシャの言葉を聞いて僕はこめかみに血管が浮き出しそうになるのを我慢する。うーん、最近キレそうになる事が多いですねぇ。もう少しカルシウムも取るべきですかね。

 

 今僕たちがいるのはネフィリムが仰々しく装置に置かれている部屋から強化ガラスを挟んだ部屋にいます。そこから遠隔で装置を操作する仕組みです。まぁ有事の際にすぐさま行動出来るように装置のある部屋にも数人研究員が配置されています。……この後どうなるのか知ってる僕からしたらその人たちも離れていて欲しいのですが僕にはその決定権はありません。出来るのなら生き残って欲しいものです。

 そして今強化ガラスの前でネフィリムの起動実験を今か今かと待つすっっっっっごく邪魔な人たちが国の重鎮の人たちです。お気楽ムードなのが腹立たしいですが僕が何を言おうとも聞かないでしょうね。クソッタレが。

 

「──各部機材チェック……全て問題なし」

「──ネフィリム、特に反応無し」

「──エネルギーバイパス接続完了。いつでもいけます」

「分かりました。マリア、セレナ。大人しくしていてくださいね」

「はい!」

「分かったわ」

 

 元気よく頷くセレナちゃんと淡々としながらも少しワクワクしているのがバレバレなマリアちゃん。いつもなら微笑ましいのですが、今の僕にそんな余裕はない。

 

「いいですか。少しでもネフィリムに不可解な反応があれば即座に知らせてください。場合によっては個々の判断で操作を中断する事を許可します」

 

 可能ならコアが動き出す直前、最悪あの大型になる前、原作でシンフォギアの主人公であるビッキーたちが初めて出会ったあの小型サイズのネフィリムになるかならないかくらいの弱い状態ならセレナちゃんでもなんとか出来るかもしれない。最悪マリアちゃんがガングニールを使って援護という方法もありますが、それならまだ僕が重火器を持って援護した方が安全だ。

 とにかく、ギリギリを見定めないと。

 

「では、実験を開始します。エネルギーの出力を一%ずつ慎重に上げてください」

「分かりました」

 

 僕の指示でネフィリムのコアに聖遺物から抽出された特異なエネルギーを少しずつ送る。まぁ、これくらいならネフィリムが起動する事はないでしょう。最初は、ですが。

 

 それからも少しずつ少しずつ、瞬きを忘れて目が痛くなるほどネフィリムのコアを見つめ、少しでも何か反応があればすぐに対応出来るように慎重に観察をする。それはナスターシャを含めた他の研究員の人たちも同じで自分の持ち場に何か不明な反応が無いか緊張しながら真剣にチェックしている。

 

「……何も変化が無いではないか」

「ほんと、地味ですわねぇ」

 

 エネルギー注入率がおよそ二〇%くらいに来た時、お偉いさん方が口を開き始めた。また嫌な予感がしますが、お願いだから静かにしていてください。もうこの時点で吐きそうなくらい緊張しているのですから余計な事を言うのは無しでお願いしますよ。

 

(ネフィリムに依然異常なし。ですが油断出来ませんねぇ)

 

 いつ動き出すか分からないネフィリムに神経質になり過ぎている気はしますが、ですがこの後起こるかもしれない悲劇を考えればそうなるのは当たり前でしょう。仮にここにいるのが僕で無くとも知っているのならきっとそうなるはずだ。

 

「おい君。もっとエネルギーを送る事は出来ないのかね?」

 

 ほら来た。

 

「大変申し訳ないですがこの聖遺物の情報は何も無いため慎重に行動しなければなりません。下手な事をやって皆様を危険な目に合わせるのは私共めも望む事ではありませんので」

「だがあれは聖遺物の欠片だ。完全な物ならいざ知らず、あの程度でこの施設まるごとどうにかなる訳があるまい」

(それがなるから慎重になってるんですよ!!!)

 

 ネフィリムが暴走したらそれこそ風鳴弦十郎を呼ばないといけないだろう。爆撃……はクリスちゃんのミサイル受けてピンピンしてたはずなので期待は薄い。核なんて落とされたら最悪だ。しかも下手したら核爆発すら耐える可能性がありますし、なんなら核エネルギーを吸収するなんて事もあり得ます。そこまでの耐久力があるかは不明ですが、最終的にネフィリム・ノヴァという、地表に落ちたら大変な事になる形態まで進化するのです。あり得ない話ではない。

 

「しかし、当方にも責任というものが……」

「ええい!いいからもっとエネルギーを送れ!これは命令だ」

 

 んー殴っていいですかね?いいですよね?誰か鈍器持ってましたっけ?え、拳?嫌ですよ。もし痛めたりでもしたらセレナちゃんたちの頭を撫でられなくなるじゃないですか。

 

「(ドクター。ここは穏便に)」

「(…………分かりました)」

 

 近くにいたナスターシャに小声で言われて僕は渋々お偉い方の命令を聞いてエネルギー注入量を一%から一.五%ずつに上げた。三秒毎に一%だったのが二秒毎に一%になるだけで僕の心臓に悪い。

 

 あれから少しずつゆっくりと心臓に悪い時間が進み、ネフィリムへのエネルギーの注入率が四〇%を超えました。ですが意外な事にまだネフィリムに変化はありません。

 

(……もしかして僕がこの世界に来たせいで何かが狂ったのか?ゲームで並行世界なんてものがあったんです。もしかしたらこの世界はネフィリムが目覚めない世界の可能性があるのではないでしょうか?)

 

 希望的な観測だと分かっていても今のネフィリムの具合を見るとそう考えてしまうのも仕方がないです。既に四八%と半分に近いくらい聖遺物のエネルギーが注入されているのに何も起こらないのですから。

 

「……あれ?」「……あら?」

 

 このまま何事もなく終わって欲しいと心の中で願っているとセレナちゃんが声を上げたのが聞こえて振り向きます。セレナちゃんもマリアちゃんもネフィリムのコアを見つめたまま固まっていました。

 

「どうかしましたか二人とも」

「い、いえ。気のせいかもしれませんが……こう、一瞬光ったような気がして」

「ええ。あの赤い部分が点滅したように見えたわ」

「ふむ……エネルギー注入量を減らしてください」

「分かりました」

 

 身長差か注視する所が違っていたのか二人は僕や他の研究員でも気が付かなかった何かに気づいたようでした。

 本当なら子供の言う事、と無視するのでしょうがそう言うわけにはいかない。それに気のせいなら気のせいで笑い話になるんですから。

 

 ですが、僕もあれだけ注意していたのに「もしかしたらネフィリムが目覚めない世界かもしれない」と言う楽観的な気持ちから油断していたために気づくのが遅れてしまった。

 

「……!?エネルギー注入量が減らない!?」

 

 研究員のその言葉に僕の嫌な予感は急激な勢いで膨れ上がり、そして頭の中で警告音が鳴り響き出した。

 

「ッ今すぐにエネルギー注入を停止してください!」

「そ、それがシステムが言う事を聞きません!」

「なら主電源事落としてシステムを停止しなさい!」

「ダメです!主電源を落としてもエネルギーが勝手にネフィリムに注入されて行きます!」

「いや、これはネフィリムが吸っているのか!?」

 

 遅かった。気付くのが遅かった。

 ネフィリムはまだ起動していなかったんじゃない。既に起動していたんだ!エネルギーを効率的に得るためにあえて仮死状態になり、自分で吸い上げられるようになるまで待っていたんだ!

 

(人を欺く程度の知能はあるって言うのか!)

 

 ネフィリムのエネルギー注入率がどんどん上がっていく。その速度は蛇口でコップに水を入れるが如くの速度だ。そしてそのような速さなら必然的にネフィリムが完全に起動するまでのエネルギーを得るのにかかる時間は極めて短いものとなる。

 

 つまりに、何が言いたいかと言うと。

 

「ッ!?ネフィリムが!!!」

 

 誰かの悲鳴にも近い叫びに僕はネフィリムのコアに目を向ける。そしてそこに映ったのは、コアを中心に触手のような管が周囲の機材を引き寄せ、自身に接触した機材から順にスライムのような液状に変形させたかと思うと少しずつエイリアンのような人型の形を形成していく姿だった。

 その人型は少しずつ、最初は人間の子供くらいの大きさだったが徐々に人間の大人くらいになり、二メートルを超え、三メートルを超え、なおも大きくなり最終的には研究室の天井付近まで大きくなってしまう。その姿まさしく化物や怪獣という名が相応しいだろう。

 

『──────!!!』

 

 強化ガラス越しの僕の心臓を握りつぶす程の圧が乗ったネフィリムの雄叫びが僕の耳を貫いた。

 




F.I.Sがホワイトになったためマリアちゃん、セレナちゃんへの対応というか接し方がみんな完全に親戚の子に接するあれなので……そのうち下心無しで服とか日常品を送る輩が……
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