シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!?   作:ボーイS

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なんか登録者急に増えたなぁと思ったら日間ランキング二位を取っていてお茶を吹き出して危うくスマホが水没するところでした……みなさんウェル博士が好きですねぇ!

誤字報告ありがとうございます。小さなミスが多すぎますね_(:3 」∠)_


十三話 未来は変えられないのか……

 最悪だ。

 

 最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ!!!

 

 くそ!こうならないように出来るだけの準備をしていたのに!やっぱり足りなかった!時間があまりにも少なすぎだ!僕になんの恨みがあるっていうんだよ!?アニメと違ってこちとら百人単位で子供救ってるんだぞ!?なのにこの仕打ちかよ!なんでここで最悪なカードを引いてしまうんだ!!!

 

(ッだめだ!冷静になれ。冷静に)

 

 焦りと自分の不甲斐なさに冷静さを失いかけますがギリギリのところで踏み留まる。正直誰かに殴って欲しいほど自分が許せませんが、今はそれどころでは無い。

 周りを見れば皆ネフィリムの咆哮によって圧倒され固まってしまっています。まぁ、それも無理が無い事ですね。なんせノイズ以上の化物が強化ガラス越しに目の前にいるようなものなんですから。

 

「何をぼさっとしているのですか!早く避難の準備を!」

 

 いち早く正気に戻った僕の号令で研究員の皆も我に帰り、前日に連絡していた通り素早く行動を開始する。お偉い方さんたちも我先にと待機していた研究員を突き飛ばしながら逃げていきます。こんな時は見事と思えるほど逃げ足が速いのは腹が立ちますが、今はそんな事どうでもいい。

 

「レセプターチルドレンたちと他の区画の研究員に報告して避難の手助けをしてください!それと少しでも時間が稼げるように隔壁を全て降ろして!」

「ドクター!主電源をONにしてもシステムが回復しません!」

 

 おそらくネフィリムがまだ聖遺物からのエネルギーを得るためにシステムに介入しているのでしょう。アニメでフロンティアのコアと融合する事でフロンティアのシステムを操っていたはずですから、年代の単純なシステムではネフィリムの介入を阻止する術はありません。

 

「なら非常用電源に切り替えて再度行ってください!それでも無理なら諦めて早く避難を!」

 

 念の為とは思いましたが元々隔壁もあまり意味を成さないとも思っています。現にネフィリムのいる実験室の壁は実験中に何が起こってもいいように特殊な金属で出来ており、ダイナマイトでも傷一つ付かないような硬度があるはずだった。

 それが今ではネフィリムの振り下ろした巨腕によって脆い鉄板のように大きく歪んでいる。このままでは壁も破壊されてしまうでしょう。その前に早く安全な場所に避難せねば。

 

「きゃっ!?」

 

 そう焦っていると今度は大きな爆発音と共に部屋が揺れてセレナちゃんが倒れかけますがギリギリで肩を持ってあげて倒れないように支えてあげる。今の爆発、かなり近いですねぇ。

 

「今度はどうしたんですか!?」

「ね、ネフィリムのエネルギー吸収がシステムの限界を大きく超えてなお続行中!そのせいでシステムがオーバーロードを起こして施設全体の電子機器に過負荷がかかっています!各区画でも火災が発生中!」

「なんですって!?」

 

 嫌な事は立て続けに起こるものですねぇ!やってられませんよ!

 

 現在ネフィリムが施設の限界以上の力で聖遺物のエネルギーを保管している場所から取り込んだ機材を通して無理矢理吸収しています。その吸収速度に施設のシステムは耐え切れずに過負荷によってショートしていくつもの区画で小規模な爆発や火災が起こっているようです。先程の爆発音と揺れもこの場所に近い何処かの配線がショートして起こったのでしょう。

 僕も急いで近くのモニターから現在の被害状況を確認したら本当に施設全体のシステムが異常を起こしていました。あまりゆっくりしていられる時間はありませんね。

 

「手遅れになる前に貴方たちも早く避難を!それから」

「ドクター!」

「ッ!?」

 

 ナスターシャの叫びに僕はハッとして強化ガラスの先にあるネフィリムに目を向ける。すると僕の視界に映ってのはもういつ崩れてもおかしくない研究室の真ん中で、取り込んでいない機材を片手に持ち、その巨腕を持って全力で僕に向かって投擲しようとしているネフィリムの姿がありました。

 ネフィリムはそのまま機材を投擲。それは前世で僕の命を奪ったトラックとは比にならず、最早スペースデブリと呼んでも過言では無い速度だった。

 気付くのが遅れた僕は恐怖で身がすくんでしまい、このままでは直撃してしまう。

 

 ですが、そうはなりませんでした。

 

 ネフィリムが投擲したのに少し遅れて僕は肩を強く押されて横に飛ばされてしまいます。そしてその際に僕の目に映ったのは。

 

「な、ナスターシャ!?」

 

 ナスターシャが必死な顔でいる姿でした。

 その直後、ネフィリムの投擲した機材は強化ガラスに直撃。僅かに勢いを殺せましたが完全に殺し切ることは出来ませんでした。

 強化ガラスを突き破った機材はバラバラになりながら部屋に侵入し、その破片のいくつかがナスターシャに当たって吹き飛ばされてしまいました!

 

「「マム!」」

 

 マリアとセレナが急いで吹き飛ばされたナスターシャに近寄って行きます。僕も行こうとしましたが肩に痛みが走り倒れそうになりました。どうやら僕も少し掠っていたようです。ナスターシャよりは軽傷ですが。

 

「あ、貴女たち、……怪我はないで、う、カハッ!」

「「マム!?」」

 

 喋ろうとしたナスターシャがいきなり吐血して苦しそうに悶えて始めます。

 

(……命に別状はない。ですが呼吸が不規則。吐血もしている事から内臓が出血した可能性がありますか!)

 

 医師免許なんて無いので僕の全く頼りない知識からの判断ですが、どのみち軽傷では無いのは明らかでした。

 立ち上がって周りを見る。どうやらナスターシャだけでなく、先程のネフィリムが投擲した機材の破片は他の研究員にも当たってしまっているようで怪我人が出てしまっていた。そして少なからず死者も出てしまっています。……あの方は気さくで優しい方だったのに……

 

「くっ、誰か手の空いている人は急いでナスターシャを連れて行ってください!他の方も怪我人に手を貸して避難を急いで!」

「分かりました!」

 

 最近身体を鍛える事にハマっている女性研究員がナスターシャを優しく抱き上げるとすぐさま研究室から出ていきます。あの方ならナスターシャを治療できる人の所まで連れて行ってくれるでしょう。

 怪我人が出たせいで避難は遅れています。お偉いさん方はとうの昔に姿は見えませんがね。

 それにさっきの機材の投擲によってこの部屋のコンピューターが破損してしまい、ほとんどのシステムが停止してしまったようでただのガラクタになってしまった。もうここから出来る事は何も無い。

 

「僕たちも早く避難しますよ!」

「わ、分かったわ!セレナも早く!…………セレナ?」

 

 急いで避難しようとした僕とマリアちゃんでしたが、セレナちゃんだけは破損した強化ガラス越しにいまだ暴れるネフィリムの方に身体を向けたままこちらに来る気配が全くない。

 

「……ドクターと姉さんは行ってください。私はここで時間を稼ぎます」

 

 そう言ってセレナちゃんは首にかけていたギアペンダントを取り出す。その顔は死ぬ覚悟が決まったかのように真剣であった。雰囲気だけで僕が何を言っても止められないと分かってしまうほどに。

 

「な、何を言っているの!?あんな化物に敵うはすがないじゃ無い!」

「でもネフィリムをまともに相手に出来るのは私だけ。倒す事は出来なくても時間稼ぎぐらいは出来るよ」

「で、でも!」

 

 マリアちゃんもセレナちゃんを止めようと必死だが、肝心のセレナちゃんはマリアちゃんに微笑んだままで辞めようという気配は無い。

 

「ギアを纏う力は私が望んだものじゃないけど、この力でみんなを守りたいと思ったのは私なんだから。それに失敗しても姉さんやドクター、F.I.S.の人たちがいるからきっとなんとかしてくれるって信じてるから」

 

 胸が痛くなる。

 まだ十三歳になったばかりの女の子が何故そんな事を言うのか。

 僕に、僕たちに力が無いからセレナちゃんが仕方なく戦う。それなら僕は自分の弱さに憤慨すればいいだけの話だ。それに説得次第では一緒に避難をする道もあったでしょう。

 でもセレナちゃんは、仮に自分よりも強い人が近くにいてもきっとネフィリムに立ち向かうでしょう。僕たちを守るために。そこには仕方ない、なんて感情はなくセレナちゃん自身が決めた事だ。それを止められるはずがない。

 

「ッセレナ!」

 

 マリアちゃんはネフィリムに立ち向かおうとしているセレナちゃんに手を伸ばす。だがその手が届く事はなかった。

 

 ──Seilien coffin airget-lamh tron──

 

 セレナちゃんがシンフォギアを纏うための合言葉である聖詠を歌う。するとセレナちゃんの身体を思わず目を覆い隠してしまうほどの白銀の光が包み込む。そして光が止む頃にはアガートラームを纏ったセレナちゃんが立っていた。

 

「姉さん、ドクター。今までありがとうございました。

 

 

 

 

 さようなら」

「ッ!?」

 

 最後に聞こえたセレナの言葉を僕はハッキリと聞こえた。それは戦闘の心得なんてまったく無いはずの僕でも分かるくらいの決死の覚悟を持った声だ。

 

「ダメ……ダメよセレナ!待って! !!」

 

 マリアちゃんも嫌な予感を感じて届かなかった手をもう一度伸ばす。ですがセレナちゃんは胸が苦しくなるような寂しい笑みを僕とマリアちゃんに向けたかと思うとネフィリムの投擲によって空いた強化ガラスの穴からネフィリムに向かって跳びたって行ってしまった。

 直後に大きな鈍い音が研究室内に鳴り響く。急いで強化ガラスの近くに向かいネフィリムを見れば、その近くでセレナちゃんがアガートラームのアームドギアである短刀を手に持って対峙していた。

 

 そしてネフィリムはというと……おそらくセレナちゃんが先程の飛び出た勢いを使って飛び蹴りでも放ったのか、ネフィリムはバランスを大きく崩して壁に腕をついていた。ですが見たところ目立ったダメージは無い。

 

(やはり現時点ではネフィリムを倒すのは……)

 

 セレナちゃんの動き自体は日々の訓練のおかげでネフィリムも捉え切れないほど俊敏なんですが、予想した通り今のセレナちゃんではネフィリムの硬い体表を貫くには圧倒的に火力が足りない。

 それにネフィリムはとても巨大ですがまだ産まれたてのようなもの。という事は成長もする可能性も十分ある。その成長速度によっては……

 

「セレナ!」

「な、待ちなさいマリア!」

 

 完全に油断していた僕の横を抜けてマリアは壊された壁の隙間から瓦礫をつたって一階に降りようとしていた。 

 僕は急いでマリアの通った壁の隙間を……狭いな。ウェルが元々細身だったからよかったのですがそれでもギリギリですね。

 

「ドクター!何処へ!?」

「マリアを追います!貴方たちは早く避難を!」

 

 早く避難をしろと命令をしているのにみんなも最後まで残っていて……まったくお人好しですね。でも彼らならきっと安全に避難してくれると信じていますので大丈夫なはず。それよりも今は早くマリアを!

 

 崩れそうな瓦礫をつたってマリアを追いかけ、なんとか一階に降り立つ事ができました。地味に先程機材が吹き飛ばされた時の破片が掠って出来た傷が少し痛みましたがまだ耐えられないほどでも無い。

 僕はすぐさまマリアを探そうと痛む身体に鞭打って歩き出そうと思ったのですが、そう思った直後大きな衝撃音と共に近くの壁に何かがぶつかる音が耳に入って来ます。

 

「あ、ぐうう……」

「ッ!?セレナ!」

 

 音が聞こえた方向を見れば壁に叩きつけられたのか、壁に深くめり込んで苦しそうにうめき声をあげるセレナちゃんの姿があった。しかも今のでかなりダメージを受けたのかギアの装甲がボロボロな上に額から血が流れていた。

 

(くっ、やはりネフィリムも成長している!これでは……)

 

 というよりもアニメよりも酷い状況だ。結局は死んでしまうが、ここまでセレナちゃんがボロボロにならなかったはず。

 ですがその理由は知っている。

 

 

 僕はセレナちゃんに絶唱の事を教えていない。

 

 

 確かアガートラームの絶唱はエネルギーのベクトル操作に長けていたはず。アニメの台詞的にセレナちゃんはアガートラームの絶唱特性を知っていたからネフィリムを止める事が出来た。でもその際のバックファイアで動けなくなり、そのまま崩落に巻き込まれて死んでしまった。

 なら絶唱自体を知らなければセレナちゃんはネフィリムに勝てる手段は無く、戦う選択肢をしないと思っていたんだ。だから絶唱の存在を隠していました。

 その結果、よりセレナちゃんを苦しめる事になってしまっている。ほんと自分の浅はかさには呆れるしかない。

 

「セレナ、セレナァ!」

 

 声が聞こえた方を見ればマリアが必死でセレナを名前を呼んでいる。ですが火災によって広がった炎で道を塞がれてその先に行けずにいた。炎の勢い的に立っている場所も安全ではない。

 

「マリアそこから離れなさい!」

「ドクター!?お願い、セレナを助けて!」

「それは……」

 

 僕に気づいたマリアちゃんは僕の服にしがみついて涙を流しながらセレナちゃんを助けて欲しいと頭を下げてくる。アニメでも見た事が無いほど必死で今にでも崩れて落ちてしまいそうだ。

 ですが僕にはなんの力もありません。シンフォギアを纏える、なんていうチート能力もなければネフィリムの体液を身体に入れてもいないので戦える手段は何もありません。仮に手元に重火器があったとしてもネフィリム相手には蚊に刺さされたレベル以下です。正直に言えばガングニールを纏えるマリアちゃんの方が戦闘能力的には上かもしれません。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

 

「なっ!?」

 

 僕がマリアちゃんへの返事を悩んでいると僕の耳にあり得ないはずの歌が聞こえて来た。そう、セレナちゃんが知るはずのないシンフォギアの絶唱が。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl

 

(まさか……まさかお前が教えているのか!エンキ!!!)

 

 実際にはアガートラームの中にエンキはいない。ですがアガートラームがエンキの左腕である以上、そしてシンフォギアが人の意思によって力を与えるのならエンキの残留思念か何かが教えた可能性がある。

 勿論そんなのアニメにない内容だし、僕の勝手に考えたものだ。まったく百八十度違う考えかもしれない。むしろエンキも全然関係ない可能性が高い。

 ですがセレナちゃんが絶唱の事を知っている以上誰かの介入は間違いない。そしてこの状況でその可能性があるのはエンキのみ。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

 

(そんなこと考えている暇はない!)

「やめるんだセレナ!その歌を歌うんじゃありません!」

 

 届けと想いを込めて僕は叫びます。セレナちゃんは僕の方に一瞬顔を向けますがこちらが悲しくなるような笑みを浮かべるだけで歌をやめる気配が無かった。

 

Emustolronzen fine el zizzl────」

 

 絶唱の最後の詠唱が終わってしまう。

 その直後、セレナちゃんの身体が眩しく光輝いたかと思うとかなり離れた位置にいる僕たちの所までセレナちゃんを中心に強力な衝撃波がおそってくる。

 僕はマリアちゃんのそばに近寄るととっさに瓦礫の影に隠れてやり過ごしますが、それでも身体が吹き飛ばされてしまいそうになる。怪我も相まって身体に激痛が走りましたが、なんとか耐えました。それでももう倒れそうです。

 

「セレナ!」

 

 僕の腕の中にいたマリアちゃんが炎の中でギアを解除して立っているセレナちゃんに気づいて声をかける。周りにはネフィリムがおらず、マリアちゃんもセレナちゃんが生きていたが嬉しかったのだろう。声に喜びを隠しきれていない。でも、僕は今彼女がどのような状態か知っている。

 

「……よかった……マリア姉さん……ドクター……」

「ッセレ、ナ……!?」

 

 炎の中でゆっくりと振り向いたセレナちゃんはネフィリムとの戦闘で負った額の傷からだけではなく、目や口や耳から血が流れていた。その目は虚で、生気が感じ取れない。

 絶唱によるバックファイアだ。シンフォギアの完全適合者であるセレナちゃんでも戦闘訓練を始めてまだ短期間な上にまだ十三歳の少女が耐えられるものではない。その反動はきっと僕の前世の最期であるトラック事故より上かもしれない。

 

「セレナ、セレナァ!」

「危ない!」

 

 セレナの元に駆け寄ろうとしたマリアの腕を掴み引き寄せる。直後天井から大きな瓦礫が落下してくる。もう少し遅れていればマリアが先に死んでいたかもしれない。

 でも瓦礫の落下のせいで炎が噴き上げられ、更にセレナちゃんに近づくのが困難になってしまった。

 

 セレナちゃんの周りがどんどん火の海になり、天井の崩落も激しくなっていく。もう、残り時間は少ない。

 

「お願い……お願いします……誰か、誰かセレナを助けて……誰かぁ……」

 

 マリアちゃんも本能的にもう無理なんだと分かってしまったのかその場で崩れ落ちてしまう。その後ろ姿を見て僕は燃え盛る炎の中で立つセレナちゃんを助けることの出来ない自分の無力さに絶望する。

 

 結局のところ、僕がどれどけ前世の記憶があるからうまく立ち回って頑張ろうとしても大きな運命の波に逆らう事が出来なかった。多少流れが違うだけでセレナちゃんを救えないのだから笑うしかない。

 ウェルの頭でセレナちゃんを救う方法を考えますが、炎の海と天井が崩落して落下する破片の雨からしてセレナちゃんの元に辿り着くことはほぼ不可能。助ける事が出来ない。

 

 そんな現実に僕は──

 




誰か、誰かお笑い要素を!ギャグさんの心臓が止まってるんだ!

セレナさんも色々覚悟決めすぎぃ!
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