シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!? 作:ボーイS
誤字報告ありがとうございます。
くだらない間違いが多すぎる_(:3 」∠)_
ネフィリムの暴走から早一年。
あんな死にかけだった身体もすっかり良くなり、怪我を負う前までようやく回復しました。まぁ、痕が残る傷は多少ありますがね。でも痛みはありません。何度も言いましたがこの世界の医療技術は凄いですねぇ。
いやはや一年というのは早いようで短かったですよ。それもこれも毎日のようにマリアちゃんたちがお見舞いに来ては身体を休める時間が無いくらい遊んだりしましたからね。看護師の方に何十回注意されたか……百は超えてるか。
新F.I.S.の研究施設も前とは全然違いますよ。
ネフィリムの件で懸念された施設全体に同一のシステムを使うのを廃止したり、壁も以前の物より硬い物質で出来ているようです。その辺りは専門外なので詳しい事は知りませんが。
それに新しく派遣された研究員もかなり入ってきました。一回レセプターチルドレンの子たちに対する教育をしなければならなかったので面倒でしたが、ほとんどの人はキチンと聞いてくれましたよ。優しい人たちで助かりました。
え?「ほとんど」から除かれた人たちはどうなったかって?それが僕が戻って来る頃にはその人たちの姿は無かったんですよね。不思議な事もあるものですね(満面の笑み)
何より一番変わったのは、もう完全に学校というかそういう施設も合わさった区画が設けられた事ですね。広さも大きな学校くらいの広さがありますよ。
もうなんでしょうね。F.I.S.って確か聖遺物を研究する施設のはずなのに小さな子供が遊べる場所や勉強出来る場所が広くあるって……いったい何を目指しているんですかねぇ?
まぁ何はともあれ、ネフィリムの暴走から特に大きな事件もなく平和な時間が過ぎましたよ。セレナちゃんも絶唱によるダメージも癒えて元気でいますしね。相変わらず何故かマリアちゃんと競い合っていますが……あんなに仲の良かった二人が何故争いあっているのでしょうか?
「──おっと、もうこんな時間ですか」
時計を見ると約束していた時間が迫っているのに気付きます。資料の整理もやっていたら中々辞められないものですねぇ。
今日は局長に部屋に来るようにと言伝をもらっています。退院してから目立った失敗や何かやらかした覚えは無いはずですが、何故僕は呼び出されたのでしょうか?
(あれー?何か前にも同じような事があったような……)
とてつもないデジャビュを感じながらも僕は局長のいる部屋に向かいます。
寂しい事に、新しくなったF.I.S.はレセプターチルドレンの子たちのいる区画と研究施設は完全に別々になっているため寄り道しようにも遠回り過ぎるのですよね。その代わり、キチンと整備されているので妙に散らかったりはしないので廊下は綺麗ですがね。それに子供たちの声が無いので寂しいですが静かでもあります。
ちなみにセレナちゃんたち年長組や一部の研究者志望の子は専用のセキュリティカードを持っていて、それがあれば自由に出入りが出来たりします。なのでセレナちゃんたちったら悪用しまくって毎日僕の所に来るのですよ。別に構わないのですが、二人は何が楽しくて毎日僕の所に来るのでしょうか?
「あれ、ドクター・ウェル?」
「ん?」
僕は今やっているリンカーの改良案やセレナちゃんとマリアちゃんの訓練案、それに切歌ちゃんと調ちゃんが近々シンフォギアを纏えるか否かの定期検査など、まだまだやる事が沢山ある中で予定を立てていると目の前から一人の女性研究員が近づいてきます。一年前のネフィリムの暴走の時、負傷したナスターシャを抱えて避難した人です。なんか前よりガタイが良くなっている気が……
「お久しぶりです。今日は何処へ?」
「いえ、ちょっと局長に呼ばれてね」
「……また何かやったんですか?」
「君も失礼ですねぇ……」
一応僕の方が地位は上なんですがね。何故かみんな気安く接して来るんですよ。僕個人はそれでも構わないんですが許可も出した覚えはないんですがねぇ。
「そういえば聞きましたか?」
「何をです?」
「日本で新たな装者が見つかった事ですよ」
「ッ!」
その言葉に絶句してしまいます。まぁた結構大事ですよ。
普通の研究員からしたら興味を抱く対象でありますが、僕にとって意味合いが違って来ます。なんせ日本で天羽々斬の後のシンフォギアといえばガングニールのみ。
そしてガングニールの初代装者といえば、その瞳に怒りを携えて血反吐を吐いてノイズを打ち倒す力を手に入れ、翼さんと共にアーティストとして世界的に有名になり、主人公であるビッキーに事故のような形ではありますがガングニールを託す役で、彼女がいなければ翼さんもあそこまで強くならなかっただろうし、ビッキーもガングニールを手に入れなかったであろう、物語の結構重大な役割を持った少女。天羽奏に他ならない。
(そうか、奏さんの両親はもう……)
一年近く入院していたし、時期も分からなかったから仕方がないとはいえ亡くなると分かっている人を救えないのは中々キツイものがあります……
「まだ中学生くらいの歳のようですがリンカーを、しかも旧式も旧式な古い型のリンカーで無理矢理適合者になったようです」
「……よく耐えられましたね」
「詳しい事は分かりませんが家族をノイズによって……」
「そう、ですか」
知っていますよ。櫻井了子、というよりフィーネが発掘チームが見つけた神獣鏡を横取りするためにノイズを召喚して襲わせたんでしたっけね。そして奏さんは唯一の生存者。
ああ。レセプターチルドレンの事といい奏さんの事といい、そして今後起きるであろう出来事を考えたら全部無駄でエンキの想いを知らないからってフィーネって擁護出来ますかね?正直一発殴りたいのですが。
「何かあればこちらに話が回って来るでしょう。その時は力を貸してあげなさい。レセプターチルドレンでは無いとはいえその子も被害者なのですから」
「はい」
真剣な顔で頷く女性研究員。ガタイの良さも相まってすごい信頼出来ますね。僕も少し鍛えようかな。
それにしても、この人少し機嫌が良いな。地味に鼻歌が僕の耳に入って……この世界に何故プリ◯ュアの曲がある?いや、偶然似ているだけか?
「何やら機嫌がよろしいようですね」
「えっ!あ、いえ!その……」
顔を赤くして俯いてしまいます。これはまさか僕に?
「じ、実は昨日結婚の約束をしまして……」
どうやら僕では無いらしい。べ、別にガッカリなんてしてないんだからね!いや、本当に強がりじゃなくて何故か結婚願望がないんですよ。これも研究一筋のウェル博士のせいなんですかねぇ?
「ほほぉ、それは盛大に祝わないといけませんね。式はいつですかね?」
僕の口座にはレセプターチルドレンの子たち全員の結婚資金にしても余裕で余るくらいの額があるので、研究仲間に振る舞っても全く問題ないのです。なのでここで無理矢理にでも大金を積んで盛大にしなくてはいけませんね。
彼女の相手がどんな人か知らないですが、ナスターシャを救ってくれたのでお礼代わりに僕も祝ってあげようと思うのですが……何故焦って目を逸らすんですかね?
「えっと……五年後、です……」
「……なんですって?」(真顔)
んん、空耳かな?今この人なんて言いましたか?何かあり得ないような言葉が聞こえたような気がしますが……気のせいですよね?誰か気のせいと言ってください。言え!
「も、勿論清い関係ですよ!……チューくらいはしましたが」
「そうですかそうですか警備員!ここに変態がいます!!!」
「待ってください!?」
いいや待たないね!!!この辺りの結婚可能年齢は男女共に確か十八歳以上のはず。それなのに五年後。その情報だけでもう裁判から逃げられませんよ!仮に目の前の彼女が五年後に結婚可能な年齢だとしても裁判は免れない!
なんという冗談は置いといて。
「はぁ、何故それを僕に言うのですが?」
「何故って、それはドクターがあの子たちの父親のような存在ですので親御さんにご報告する義務はあるかなぁ、と」
「その理屈で言うと僕は百を超える結婚報告を受けなければならないのですが?」
そりゃレセプターチルドレンの全員が全員結婚するとは限りませんよ。ですがお年頃の子もいれば僕から見ても青春しているなぁと思うような男女がいますからね。一日開けたらやけに互いに照れながらも距離が近くなった子もいますしねぇ!!!
それに目の前の彼女がヤッてしまった、じゃない。やってしまったので他はいないとは限りません。いつそんな子が出てきても不思議ではない……いや不思議に思わないといけませんけどね!子供に出会いを求めるなよ!?(本音)
「まぁ、とやかくは言いませんが節度あるお付き合いをしなさい。僕は応援しますよ」
「はい!ありがとうございます!お義父様!」
「誰がお義父様ですか」
彼女ってこんなにボケる人でしたっけねぇ。身体を鍛える前は結構痩せていてちゃんと食べているのか心配になるくらいだったのに、今は元気の塊ですよこれ。
結婚(というより婚約?)報告を受けたあと僕と女性研究員の人は別れました。嵐のような人でしたよ……。
その後は黙々と歩いていましたがあっという間に局長のいる部屋にたどり着きます。以前の時よりも扉が質素にはなりましたが、不思議と圧を感じるのは何故でしょうかねぇ。
(さてさて、今日はどんな厄介事ですかねぇ)
何かやらかしたのならともかく、今回僕はそんな記憶はない。その時は大体何か厄介事を持って来た時です。ネフィリムの件がそうでしたからね……
「ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスです」
『入りたまえ』
中から聞き慣れた局長の声が聞こえて来ます。ですが今回は何処か疲れているような、いや、どちらかというとどうすればいいか悩んでいるような感じの声ですね。いったい何が?
そんな疑問を持ちながら部屋に入れば案の定局長は自身の頭を抱えてひどく悩んでいました。あまり考え過ぎているとハゲますよ?既にその兆候があるんですから。
「何か失礼な事を思ったな?」
「キノセイキノセイ」
僕って顔に出やすいんですかね?ナスターシャにもすぐ見破られましたし……もう少しポーカーフェイスの練習をするべきかな。
「それで、今日はどんなご用で?」
「ああ。うむ。実は先日櫻井了子からある物が届いてな」
「ある物、ですか」
「そうだ」
局長が短くて言うと机の下に隠していたのか、アタッシュケースを取り出して机の上に置く。また嫌な予感がしますよ……
「まだ機密情報なのだが、日本でガングニールのシンフォギアの装者が見つかった。いや、作りあげた、と言うべきか」
「そのようですね」
「む、知っていたのかね」
「噂程度でしたがね。今確信を得ましたけど」
そう、確か奏さんのご両親はなんとかっていう遺跡を探索している時にノイズに襲われて亡くなった。ですがそのノイズは僕の記憶が正しければ……
「そしてそれと同時期に新たなシンフォギアを彼女は開発した。その装者を探し出すようにという依頼だ」
アタッシュケースの中にあるのはセレナちゃんたちの持つギアペンダントと同じ赤いクリスタルのペンダント。
そして未来でF.I.S.が保有していたというのは全部で五つ。その最後の一つはG編で初登場し、そしてXV編でとても重大な役割のあったシンフォギア。
「『アガートラーム』『イガリマ』『シュルシャガナ』『ガングニール』に続く新しいシンフォギア。『神獣鏡』だ」
ええ。知ってますとも。何せ僕は何気にシンフォギアの中だと神獣鏡のビジュアルが一番好きでしたからね。特にG編で出てきたあの動きにくそうな脚部の装甲とか結構好きなんですよ。
なんていう現実逃避をしていましたが、やはり僕の知らない内に物語は進んでいるようですね。
「残っているイガリマとシュルシャガナの適合者候補がほぼ決まってやっとあの子たちを解放出来ると思っていたのですが、ここで新たなシンフォギアですか」
「ああ。櫻井了子はあの子たちを道具としか見ていないらしいよ」
ははは。と笑う局長でしたが額に分かりやすく血管が浮いています。そりゃ子供好きな局長もレセプターチルドレンの子たちに色々心を痛めていて、それがもうすぐ終わるかも知れないという時に新たなシンフォギアだ。また一から適合者探しを始めなければならないと思うと僕も嫌になりますよ。
それに神獣鏡は結局のところビッキーの親友である小日向未来さんがリンカーで無理矢理適合者にして、更にウェル博士の作ったダイレクト・フィードバック・システムで初めて起動したようなもの。言わばそれまで適合者は現れないという事です。現れないと分かっている適合者を探すのに無駄な時間をかけると考えると余計に嫌になりますよ……
「君には悪いがこの神獣鏡の適合者を探し出してくれ。これは腹が立つ事だが上からの命令だ」
また上からの命令ですか。フィーネがお偉いさん方を軒並み抱き込んでいるのか、それとも阿呆ばかりなのかは分かりませんがあまりストレスの溜まるような仕事を持って来て欲しくないものですねぇ。
「確約は出来ませんが、出来る限りは頑張りましょう」
「よろしく頼む。……そしてすまないな」
「謝らないでくださいよ。貴方が上を説得してくれなければレセプターチルドレンの子たちはもっと劣悪な環境にいたかもしれないのですから。一介の研究員では出来る事は少ないのでね」
「ふっ。君が一介の研究員なら皆劣等種になるだろうよ」
そんな軽口を互いに叩き合って僅かに和んだ空気のまま僕は神獣鏡のギアペンダントが入ったアタッシュケースを受け取り、急いで部屋から出る。正直空気が重いんですよね。局長の強面な顔も合わさって尋問を受けているようなので耐えられないんですよ。
「とは言うものの、どうしますかねぇ」
アタッシュケースを開いてもう一度神獣鏡のギアペンダントを見る。まぁ、僕からしたら他のギアペンダントと大差ないので違いが分かりませんが。
(……確実にアニメと同じ流れになっている)
実際はセレナちゃんが生きていますし、ウェル博士も僕になって歴史は変わっています。ですがそんなものは誤差です。小さな小川の行き先を変えたところで海に行き着く事には変わりません。セレナちゃんを救った事だって、「ネフィリムが暴走したが、それをセレナちゃんが絶唱を使って再度封印した」という事実は変わっていません。これから起きるであろう数々の大事件と比べたら路傍の石と大差ありません。
つまり、この神獣鏡も流れは変わろうとも未来さんの手に渡り、ビッキーの体内からガングニールの欠片を消し去り、そしてXV編でファウストローブとして再登場するでしょう。
(……本当にそうなるのだろうか)
ふと思うのは僕の存在。
アニメではクズで変顔英雄(笑)メガネと言われていましたが、腐ってもG編、GX編でキーとなるキャラでもありました。彼の迷惑な頑張りの結果が世界を救い、そしてマリアさんたちに安全なリンカーが渡る事になりますが、今のウェル博士は僕です。僕の一存でG編もGX編も敵にならずに最後までマリアちゃんたちの味方になり続けることもできます。
ですが、アニメのウェル博士の行動が世界を揺るがすような一手となっていたら?
僕の勝手な行動によってその大切な一手が狂い、もっと悲惨な未来に繋がってしまったら?
(ゲームの並行世界の話もこんな感じだったのでしょうね)
ただ川に流されるだけの石ころだと思ったらそれが川を止めてしまうような大きな何かに繋がっているかもしれないと思うと僕の今までの行動が本当に正しいのか不安になって来ます。
「……いえ、セレナちゃんたちがあんなに幸せそうに笑っているんです。間違いなはずがない」
僕は自分にそういい聞かせながら神獣鏡のギアペンダントを持って局長室を後にしました
女性研究員はお笑い要素と情報提供のために出演したので別にキーキャラとかではないです。モブです( 'ω')