シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!?   作:ボーイS

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無印編に突入。
とは言ったもののF.I.S.組は無印編に出て来ていないのであまり介入はしない……予定。

これからの展開的に局長の名前を出したらキーキャラになりそうな雰囲気なので出しません。一応はモブ枠なので。ですので文章に違和感がかなりありますが申し訳ない_(:3 」∠)_


二十二話 いざ決戦の地 日本へ!(違う)

 戦姫絶唱シンフォギアの第一話が始まる運命の日であるあのライブ会場に行くように命令されて早二週間。

 

 その間に実験場になるライブ会場の避難経路や脱出口などを今回連れて行くチームの皆さんの頭に叩き込ませました。皆ネフィリム事件の生き残りなので万が一を考えて真面目に覚えようとしていて助かりましたよ。

 密かに奏さんとガングニールのデータを元に彼女の身体に適したリンカーの作成も成功しています。まぁ、実際にはまだ使っていないので最適とは言えませんが、それでもおそらくアニメよりも負担の少ないリンカーを作る事には成功しました。これを投与すれば絶唱を使用しない限り奏さんが死ぬ事はないでしょう。使用を止められるかはさておいて。

 結局良い言い訳が思い浮かびませんでした。持参しては怪しまれるのでライブ会場にフィーネが作成したリンカーを持って来ていればどさくさに紛れて奏さんに渡す事も可能でしょうが……それかノイズが現れる可能性をフィーネに怪しまれずに提示すればいいのですがね。

 

 まぁ、つまるところ行き当たりばったりですね。

 幸い、と言っては不謹慎すぎますがフィーネがノイズを呼び出すのはほぼ確定でしょう。なので僕はいつでも奏さんの元にリンカーを渡せるように準備すれば良いのでまだ気が楽です。始まってしまえば生きた心地はしないでしょうが、その時はその時の自分に任せましょう。

 

 それはそれとして。

 

「そろそろ離してくれませんかね?」

「いーやーデース!」

「私たちも行く」

「困りましたねぇ」

 

 もうすぐ研究所の敷地内にある滑走路から日本へ向けて飛行機が飛び立つというのに切歌ちゃんと調ちゃんが僕の白衣に張り付いて離してくれません。まだ時間に余裕はあるとはいえあまり長居はよくないんですがねぇ。

 

「切歌ちゃん、調ちゃん。ドクターを困らせてはいけませんよ」

「そうよ。すぐに帰ってくるから留守番していなさい」

「貴女たちも残るんですよ」

「「えっ?」」

 

 セレナちゃんとマリアちゃんもそんな切歌ちゃんと調ちゃんを宥めようとしてくれます。その姿だけ見ればちゃんとお姉さんをやっているように見えるんですがキッチリ二人とも飛行機に乗る組に混ざっているんですよね。しかも自然に混ざれるように白衣を上に羽織ってね。自然すぎてそのままスルーするところでしたよ。

 

 奏さんの事を考えすぎてマリアちゃんたちの事をすっかり忘れていましたね。局長から話を聞いて一週間後くらいに四人に話したらさも当然というように急いで遠征の準備を始めた時は僕も焦りましたよ。

 それからというもの何かと一緒に連れて行ってもらえないかしつこいくらいにお願いされて困ったものでしたよ。切歌ちゃんなんてトイレに突撃して来たから凄く焦りました……少しずつ常識人のはずが先頭に非がつく人になりつつあって少し心配です。

 

「予定では一ヶ月もせずに帰って来るのでそれまで待っていてください。その間の事はナスターシャが「「「「嫌(デス)!!!」」」」綺麗に声がハモりましたね……」

 

 ええ……なんか凄く四人の息が合っていますよ。でも息が合いすぎてマリアちゃんとセレナちゃんの精神年齢も下がってしまっているような気がするのは気のせいですよね?特にマリアちゃん。貴女モラルに欠ける人間だと絶対ちょっかい出してくる容姿しているのにそんな幼い子供みたいな事をしないでください。亡き者にしなくてはいけない人間が増えてしまいますよ?

 

「お願いしますデス!」

「ダメです」

「どうしてもダメ?」

「ダメです」

「迷惑はかけませんから!」

「ダメです」

 

 とうとうセレナちゃんまで僕の白衣を掴んで離さなくなりましたよ。年齢の割に幼く見えるというのにシンフォギアの訓練で見た目以上に鍛え上げられているのでこのままでは白衣が破れてしまいそうです。まぁ、すでに腕力で負けている僕を無理矢理押さえつけないだけの理性は残ってありますかね。無かったら……あれ、何か身の危険を感じる?

 

「ドクター……」

「貴女もですかマリア。何を言っても連れては──」

 

 マリアちゃんも参戦しそうになりますが、元から連れて行く気のない僕はそれでも否と答えようとマリアちゃんの方を向きましたが、その続きの言葉が出ませんでした。

 

「……ダメ?」

 

 マリアちゃんは何処で覚えて来たのか、着ていた服を少しだけはだけさせて上目遣いで目をウルウルさせながら僕を見上げるという、自身のモデルのような体型を遺憾無く発揮してきます。でも完全に目的を間違えている誘惑ですよね、これ。

 

「んん〜〜〜〜〜……………誰がこれを教えたのですか?」

「私です!」

「そうですかいっぺん死になさい!

 

 マリアちゃんに余計な事を教えた男性研究員の頬に右ストレートをかまします。とは言っても全然鍛えていない僕のパンチなんてさほど痛くないと思いますがね。

 

「取り敢えず海に沈められるか山に埋められるか選びなさい」

「ど、どちらも嫌です……」

「よろしい。なら山の土で身体を固めてから海に沈めます」

「それほぼ海に沈めるのと同じでは……?」

 

 ちょっと本気でお仕置きが必要か迷いますが、まぁ今は良いでしょう。帰って来てからのお楽しみです。他のメンバーもこのコントで笑っていますが中に絶対協力者がいるはずなので見つけ出したら……フフフ。

 と、ふざけてはいるもののどれだけおねだりされてもマリアちゃんを連れて行く選択肢はありません。これが僕の責任だけで済めば良いんですがね。

 

「良いですか?貴女たちは敷地内ではかなり自由に過ごせています。ですがどう取り繕うとも貴女たちはレセプターチルドレン、本当は言いたくありませんが実検体のようなものです。本来は自由なんてあり得ません。そんな貴女たちが研究所から出た、という事実が出来てしまった場合最悪局長かシンフォギア関連でチームのリーダーをやっている僕が責任を取らなくてはいけません。ただの降格なら良いですが、もしここから立ち去らねばならなくなった場合、次に来る人が貴女たちに優しくするか分からないんです」

 

 多分、局長も広くパイプを持っているのでそう簡単にクビにはならないと思いますが僕は違います。

 マリアちゃんたちシンフォギア装者を見つけ出した僕の功績は大きく、それなりの立場にはいますが、言ってしまえばそれだけです。あの手この手で僕の功績を帳消しにする事なんて可能でしょう。チームのリーダーと言いながら切り捨てられる可能性は十分にあります。

 かなり前にナスターシャに言いましたが、僕や局長がいなくなった後に来る人が優しい人間とは限りません。特に成長した今のマリアちゃんやセレナちゃんは酷い目に遭う可能性は十分にあります。考えただけで反吐が出ますね。その時は問答無用でフィーネと手を組んででもネフィリム復活させますよ。原作崩壊?そんなものよりマリアちゃんたちの方が優先順位は上に決まってるでしょ!

 なので仮に可能性は低くともマリアちゃんたちが外に出て心無いお偉いさん方の付け入る隙を与えないのが一番なのです。

 

「貴女たちがついてくる、という事はこれからのレセプターチルドレンたちの未来を左右するかもしれない。しかも悪い方に傾く可能性もあります。それでもついてくると言うのであれば止めませんよ」

「「「「…………」」」」

 

 四人とも黙ってしまいます。可哀想ですが僕も出来るのなら外の世界に連れて行きたいです。でも出来ないものは出来ないですからね。諦めてもらうしかありません。

 

「……早く帰って来てね」

「お土産がないと怒るデスからね!」

「怪我をしないように気をつけてください」

「また怪我でもしたら許さないから」

「ははは。分かっていますよ。ちゃんと」

 

 心配してくる四人に僕は安心させるために笑みを見せます。ですが残念ながら奏さんを救うために上手く立ち回ればそこまで被害は出ないでしょうがかなり無理をしなくてはいけないかもしれませんからね。マリアちゃんの説教はほぼ確定です。……また身の危険を感じるのは気のせいですよね?

 マリアちゃんたちは一応日本へ行くのは諦めたようですが離陸の時間が近づいて来ているのに離れようとしません。いや、ほんとそろそろ離してくれませんかね切歌ちゃん、調ちゃん?ずっと白衣にしがみついたまま離れないんですが。

 

 それから研究所に残る人たちの手伝いもあって切歌ちゃんと調ちゃんを引き剥がしてもらって僕は飛行機に乗ります。窓から下を見下ろせば切歌ちゃんが泣いていました。うん。一ヶ月で帰って来ますし切歌ちゃん自身確かもう中学生くらいの歳なので泣かないでほしいんですが。ちょっと精神年齢低いような……あれくらいが普通なのか?

 

 マリアちゃんたちに見送られながら飛行機が離陸します。日本に着けばもうライブの日まですぐでしょう。その日が来ればウェル博士が登場するのがもっと後だとしてもアニメに関わって来ます。なら派手に改変してやろうではありませんか。

 

(まぁ、フィーネの目をどう掻い潜るかが問題ですがね)

 

 いまだまともな言い訳を思いついておらず、見た目以上に焦り散らかして早くなっている心臓の鼓動を落ち着かせながら僕は日本へ向かった。

 

 

 

 ────────────────────

 

「……行きましたか」

「ああ。今な」

 

 ウェルが日本へ出発した頃。滑走路が見える部屋から車椅子に乗ったナスターシャと強面のF.I.S.の局長の座にいる男が空へ飛び立つ輸送機を見送っていた。

 

「しかし、ウェル君には悪い事をしてしまったな」

「ええ。ドクターは優秀ですが彼に頼り切りなのはいかがなものかと」

「ハッキリ言ってくれるよ……」

 

 本来なら立場に違いがある二人だがその間には緊張感はなく、仲の良い友人のふざけ合いに見えていた。

 二人はF.I.S.の研究員として同時期に訪れてから長い間共に研究や研究内容を競い合ったりと続けていたため互いに認め合うような仲になっており、上司からの命令に従わなくてはいけない男の唯一愚痴が吐ける相手がナスターシャであった。

 

「さて、君が私を訪ねるという事は何か用事があるのだろう?」

 

 男が真正面にいるナスターシャに近づき、身長差のため見下ろす形でナスターシャの前に立つ。男の身長は二メートルを超えているため彼を知らない者からしたら威圧感は大きいだろう。

 しかし、ナスターシャはそれをどこ吹く風かの如く向き合っていた。彼の性格を知っているからこそ出来るのだが、まず知っている者が少ない為その光景は異様に見える。

 

「あの子たち、レセプターチルドレンを外に出す事はできませんか?」

「その件は前々から言っているだろう。上が禁止している以上私の一存ではどうにもならん」

「まだ幼い子たちは無理でしょうがある程度成長した子なら目立つような事はしないと思うのですが」

「だが上は外に出せば脱走し、シンフォギアの事や研究内容を他国の諜報員に奪われると考えているようだ。脱走なんてする子たちではないと言っても話を聞く耳すら無いのだからな」

 

 実はナスターシャ以外にもウェルや他の研究員も同じくレセプターチルドレンを外に連れ出せないか相談しに来た事は多々あった。

 男自身もレセプターチルドレンたちがこんな狭い所ばかりではなく、外に連れ出したいと思ってはいるもののそう簡単に出来ないのが組織というもので、男も何度も上に打診しているがいまだ許可を得ていない。何か上手い理由があれば話は別だが。

 

「……見張りを一緒につかせれば良いのでは?」

「考えつかないと思うかね?」

「なら装者の精神の安定のための実験とでもいえば良いでしょう。外に連れ出して装者たちのシンフォギアの適正値に変化があるのかどうかと理由をつければ研究の一環になるのでは?」

「むっ」

 

 ナスターシャの言葉に男は一瞬言葉に詰まってしまった。

 強面で昔から小さな子供に怖がられているが、彼は子供が大好きで研究員として多額の給与を貰えば生活費以外は孤児院に寄付していた。給与の使い道が無いのはウェルと同じのようだ。強面すぎて何度か通報されかけた経験もある。

 レセプターチルドレンたちも彼からしたら保護する対象であり、特に職場に一番近い所にいるため余計に子供たちを守らねばと自分の立場が危うくなるのを顧みずにかなりの無理をしていた。

 それほど子供が好きな為にウェルと同じくまるで実験道具のように扱う事を忌避していたが故に、ナスターシャのような「実験の一環」という言い訳が思いつかなかったのだ。

 

「貴方がドクターのようにお人好しなのは知っています。ですがあの子たちの為にもう少しだけ骨を折ってくれませんか?」

「むぅ……」

 

 男は更に唸る。

 彼自体は子供たちのために苦労するのは苦では無いのだが、自分がやろうとしている事は一筋縄ではない上に下手をすれば局長の椅子を降りなくてはならなくなる。別にそこまでその椅子に拘りはないが、ウェル同様自分の立場が分かっているが為に無理をするのを恐れていた。だが。

 

(……彼があれほどの感情に耐えたのだ。ここの責任者である私も耐えねばならないか)

 

 思い出すのは三年ほど前に櫻井了子が研究所に訪問して来た時のことだった。

 神獣鏡のシンフォギア装者を探していたウェルに向かって遠回しに「替えの子供なら沢山いるからリンカーで大量に死んでも良いのではないか」と言った時の事は鮮明に覚えていた。

 あの時あと数秒遅ければウェルの隣にいた研究員が了子に手をあげていたかもしれない。子供好きな彼からしたら了子の言葉に怒りを通り越して殺意すら湧き上がらせる物だった。

 それに対し、レセプターチルドレンの子たちに親身になり、ネフィリムの暴走時に戦闘不能になったセレナを守る為に自分が重症を負ってでも守り通したウェルが子供たちを「ガキ」呼ばわりして、あたかも自分が「仕方なく」子供たちの面倒を見ているような口調になった時は信じられないモノを見た気分でいた。それはその場にいた全員が同じで、皆同じような顔をしていただろう。

 それにいつも子供たちに向けていた微笑んでいたウェルの笑みが本当に仮面でもつけているかのような貼り付けた笑みに変わった時は心底驚いていた。元から了子の笑みも不快に感じる笑みだったが、その時のウェルの笑みはそれに負けず劣らず奇妙な笑みに見えていた。

 しかし了子が去ったあとのウェルは今まで誰も見た事が無いほど怒りで歪んでいた。声をかけようにも躊躇うほどに。

 それほどまでに自分の心を押さえ込んだのだ。下手をすればあの瞬間は自分以上の殺意を抱いていたかもしれない。そんな彼の上司である自分も頑張りを見せなければ上司とは名乗れまい。

 

「……分かった。私ももう少し上手い言い訳を考える。だがあまり期待はしないでおくれよ?」

「ええ。これでもダメなら潔く諦めましょう」

 

 言葉では納得したが眼帯で片方は隠れていようとも残った片目で「絶対成功させろ」と言っているのがバレバレなナスターシャの視線に、男はため息を吐くが、昔馴染みの言葉に少し本気を出そうと思い、重い腰を持ち上げるのだった




マムと局長の間に恋愛感情は無い……私の中ではね!

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