シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!? 作:ボーイS
作者「すまねぇウォッカ……すまねぇ……」
↓
ウォッカ、1着でゴール!
作者「ウォッカああああぁぁぁぁ!!!」
しかし12番人気だったゴルシが2位にいた事に地味に恐怖を覚えました。しかもリプレイしたら終始ゴルシとあんまり差が変わらないままゴールですし、なんならウォッカとハナ差なのに3位とは3馬身離れてましたし……さすがゴルシやで。あと伏兵スキル、侮れん。
今回も前半ウェル(オリ)目線、後半奏さんの目線でお送りします。
何をやっているんですかあの娘たちは。
ちょっと自分の頬を引っ張ったり、軽くビンタします。痛い。
ついでに眼鏡を拭いたり目も擦ったり、深呼吸したり、色々やってからもう一度目の前の光景を見る。うん。何をやってるんですかあの娘たちは。
大事な事なので三度……あれ、二回しか言って無いですよね?まぁいいか。
何故マリアちゃんたちがここに?いや、非常に助かりましたよ?どう頑張ってももうアニメと同じ流れで奏さんが絶唱で死ぬ未来しか無かったのにそれを回避出来たんですからね。もう心から感謝しますよ。大人気なくマリアちゃんたちに抱きついて撫でてあげてからこれでもかと褒めてあげたいですよ。
でもね……。
(もっとマシな登場は無かったんですかねぇ!?)
仮面のおかげで顔は隠れている為正体は隠してはいるのでそこは良いんですがね。というよりちゃんと正体隠して奏さんを助けたんですからこれ以上はないのかもしれませんが……何故そんな登場したんですかね?
と考えていたら切歌ちゃんがピースサインを僕に向けて来ます。なるほど、これは切歌ちゃんの提案ですか。あとでお仕置きですね。
(ですがこれは
アニメでは奏さんと翼さんの二人だけだったからノイズの数の暴力に負けて最終的に奏さんが絶唱を使う事になりましたが、今はその数の暴力もマリアちゃんたちが加勢に来てくれたおかげでなんとかなっています。時間はしばしかかるでしょうがこのままならノイズの殲滅も可能でしょうね。なので僕は僕のやるべき事をするだけです。
「と言っても足場が悪すぎますがね!」
一階に続く道の階段を探すよりも今し方ビッキーがいた崩落した区画を足場に降りようとしますがそう簡単には行きませんね。完全に足場の数が足りないですよ。ロッククライミングの経験者でもなければ無理ですって!あ、ヤバい足踏み外したぁ!?近くの出っ張りいいぃぃ!!!でも今度は肩がピキッた痛みで手を離してしまいました!ふっ、終わったな。
「……地面近っ!」
落ちて死んだと思いましたがまさか足がつく位置でした。さっきまでの緊張感はなんだったのだろうか……。ってそんな事をしている場合ではありません!
僕は急いで崩れるか分からないほどボロボロなアームドギアを杖にした今にでも倒れそうな奏さんの元に駆け出します。ビッキーを守るようにノイズを警戒はしていますが、今の状態だと単体で襲って来ても命が危ないかもしれません。遠目でもそう思えるくらい奏さんの疲労は目に見えていますよ。
「天羽さん!」
「っアンタは……!」
僕の声に気がついた奏さんが振り返りますが警戒を解いていないのでしょう。折角の美人が台無しなくらい顔が強張っています。それに身体の痛みもあって小さくうめき声もあげています。これは見た目以上にダメージを負っていそうですね。
「ゼェ、ハァ……こ、これを!」
「こいつは……リンカー?けどなんでアンタが……」
「避難の途中に崩落した通路で瓦礫に挟まれたリンカーを持った研究員に託されました」
苦しい言い訳ですがパッと思いついたのはこの程度です。後から追及された時のために詳しい理由を考えなくてはいけませんがそんなのは後回しです。ここを乗り越えて生き残らねば意味がありません。
「……サンキュー。これで戦える」
あまりのタイミングの良さに奏さんは少し訝しんでいましたが意を決してリンカーを受け取ってくれました。奏さんも今はそれどころでは無いと分かっているようです。ある意味命拾いしましたよ……。
「すまねぇけどアンタはその娘を連れて避難してくれ。息も意識もあるけど血を流し過ぎてる。早く応急処置でいいから手当しねぇと!」
「分かりました。僕が責任を持って連れて行きます。なので天羽さんは風鳴さんと……あの謎の四人と共にノイズの殲滅を優先してください!」
正直マリアちゃんたちに一言言いたいけどね!ちょっとキツめの説教をしてあげたいくらいですよ。
僕は早々と奏さんから離れてビッキーの元に駆け寄ろうとしますが、その前に立ち止まって奏さんの方に振り返ります。
「奏さん。貴女の事を思っている人は沢山います。なのでそれしか手段は無いと思っても簡単に生きるのを諦めないで下さいね」
「……善処するよ」
ほんとかなー?奏さんってビッキーと同じで達観してそうに見えて結構無茶する人ですからねぇ。曖昧な言い方は詐欺師の信じろレベルで信じられませんよ。まぁ今はこの場を任せるしかないんですがね。それにしても。
(よくこれで生きていられたな)
近寄ってビッキーの胸元を見ます。決して下心はありませんよ?というか仮に下心あったとしてもこれを見て興奮する奴は相当な変態ですよ。
血で汚れていますが何かの破片が身体に直撃したと素人でも分かるレベルで見えている肌の部分がズタズタです。多分肉も多少抉れていますね。そのせいで余計に血が流れ続けています。普通なら既に失血死かショック死していても不思議じゃないくらいの大怪我ですよこれ。むしろ生きている方が不思議ですねぇ。治療が間に合ったのは奇跡です。生き残るって分かっていても安心なんて全く出来ない。
白衣が血で汚れるなんて構わずにビッキーを抱き抱えます。正直言って運動をしていない僕からしたら腰とか既に逝きそうですがなんとか持ち上げられました。こりゃ明日筋肉痛決定ですね。
僕はそのままビッキーを抱き抱えたままマリアちゃんたちの奮闘のおかげでそちらに集中するノイズの目を盗んで会場を後にします。調整したとはいえリンカーがキチンと作用してくれるのかだけが心配でしたが、今は奏さんの生還を祈るだけです。
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「……行ったか」
ウェル博士が走り去って行くのを見送ったあたしはアームドギアでなんとか支えている今にでも倒れそうな身体を起き上がらせてノイズの群れを睨む。悔しいけどあのあたしのお面を被ったふざけた四人のおかげでなんとかノイズが会場から溢れる事態は防げている。あたしと翼だけじゃとっくに会場の外にまで被害は広がっていただろうからありがたい。ふざけた連中だけど。
(それにしても『生きるのを諦めるな』、か)
あたしのせいで大怪我させちまったあの娘にも同じ事言ったけど、言われるとまるで呪いだね。苦しくても諦めちゃいけないって思っちまう。約束したわけじゃないのに約束破るみたいだな。あの娘、変に呪縛にならなきゃいいけど。
「んじゃ、そろそろ休憩は終わりだ」
リンカーが切れたせいでギアが、いや身体が重い。正直今すぐにでもベッドにダイブして寝たいね。でも博士が新しいリンカーを持ってきてくれたおかげでまだ戦える。まだ翼の背中を守ってやれる。
「さぁ。続きを始めるぞ!」
受け取ったリンカーをあたしは躊躇なく注入する。そんでいつものように副作用の一つで身体中が破壊されるような痛みの後にギアの出力が上がって──。
「……ん?」
おかしい。
何かがおかしい。
別に何か身体に異常が出たわけじゃない。手足の感覚もあるし意識もハッキリしてる。いたって正常、だけど正常だからおかしい。
(な、なんだ?身体の痛みが無い……ギアもいつもより軽いというか動く時の違和感とかが無いっていうか……)
「──ぐあっ!?」
「ッ翼!」
しまった。自分の身体の異常に目をやりすぎて今の状況を忘れてた!
翼のうめき声が聞こえた方に目を向ければ翼が大量のノイズに翻弄されて僅かに出来た隙を偶然ノイズの体当たりが当たってバランスを崩している姿が映った。しかも最悪な事にデカいノイズの足が味方ごと翼を踏み潰そうとしている。怪しい四人もそれに気付いてるみたいだけど、アイツらもノイズの相手してて救援に行くのは難しいのはあたしでも分かる。
「翼にぃ!手ぇ出すんじゃねえええぇぇぇ!!!」
少しでもデカいノイズのバランスを崩せれば翼なら逃げれるだろうって思って足を強く踏み出して全力でアームドギアを投げる。最悪注意をこっちに向けさせれば御の字だ。そう思ってたんだけど……。
「えっ?」
あたしは自分の目の前で起きた事に一瞬理解が出来なかった。
だってよ。あたしは特にギアの力を使った技を放ったわけじゃ無かったんだ。そんな暇なかったからただ投げただけなのにさ、なんでガングニールの大技使ってやっと一体倒せるデカいノイズをただおもいっきり投げただけのアームドギアで三体も簡単に貫くんだよ?ついでに投げた時の風圧がなんかヤバい事になって地面を大きくえぐるわ余波で翼の周りにいた小さいノイズ共は粉々になるわ。何が起きてんだ?
「奏、後ろ!」
「ッ!」
あまりの衝撃に呆然として隙だらけになってたあたしだったけど翼の声で我に返る。そしたら今度はあたしの斜め後ろの頭上から飛行型ノイズが雨みたいに降り注いで来やがった。
「うぉぉぉりやあああぁぁぁ!!!」
直撃は防ごうと振り向きざまにアームドギアを横薙ぎに振るう。アイツら特に狙いもつけずに突撃してくるから取り敢えず初撃だけ防げればよかったんだ。
なのになんで、近くのデカい瓦礫ごと吹き飛ばすくらいの衝撃波をついでに生み出すくらいの威力があるんだよ!今のであたしの頭上にいた飛行型ノイズが綺麗にいなくなったんだが!?
「ど、どうなってるんだ?なんかパワーが制御出来ねぇくらいにギアの出力が上がってる気がするんだけど」
明らかに今までのあたしじゃない。今の芸当なんてあたしどころか翼でも出来っこない。弦十郎のダンナくらいだ。
でも特に身体に異常は感じられねぇ。むしろもっと暴れたいくらい、力が有り余ってるのが分かるくらい絶好調だ。さっきまで勝てる見込みが無いって思ってたふざけた四人とも戦える自信はあるぞ。
「奏!」
「翼か」
翼が肩で息をしながら走ってくる。ギアはボロボロだし、翼自体結構疲労してるのが顔を見れば分かるけど、無事みたいで安心する。……さっき投げたアームドギアがもう少し翼に近かったらヤバかったかもな。
「奏、今のは……?」
「さぁね。あたしにも分からない。でも今は」
翼と一緒に前を向く。あの四人が奮闘してるみたいだけど目の前にはまだまだ大量のノイズがうじゃうじゃといやがる。こりゃ骨が折れそうだ。
「いけるか、翼」
「うん。奏こそ、休んでていいのよ?」
「言ってろ!」
あたしと翼は同時にノイズの群れに向かって駆け出した。
そこからはあっという間だった。
なんでいつもより動けるようになったか知らないけど、いつも以上にノイズの殲滅スピードは速かった。なんせギアの技を使わなくてもアームドギアを適当に振るえば笑えるくらいあっさりノイズを倒せるんだからな!
あたしらが戦えるようになってあの四人も動きやすくなったのか更にノイズの殲滅スピードは上がった。悔しいけどチームワークっていう点では勝てる気がしない。一対一ならともかく、連携されたら一方的にやられちまうだろうな。味方で良かったよ。
ノイズを殲滅し終えたあたしと翼はさっそくあの四人を問い詰めようとしたけど、その頃には既に姿はなかった。万が一も無いと思うけどダンナに連絡しても繋がらないから向こうでも何かあったんだろう。あたしらだけじゃ追跡は無理。
「結局アイツらはなんだったんだろうな」
「うん……」
「?どうしたよ、翼?」
ボロボロになった折角のライブ会場の中心で翼は空を悲しそうに眺めていたから思わず話しかける。なんかとても哀愁漂うって言うのか?そんな感じで心配だ。
「……四人もいたのに私のお面、一人もしてなかった……」
「そこかよ!!!」
咄嗟に翼の頭を漫才みたいに叩いちまった。あんなに悲しそうに空を眺めてたのに理由がくだらな過ぎる!だからあたしは悪くない……よな?
奏さんは切歌ちゃんや調ちゃんよりもギアの適性が低く、旧式で粗悪レベルのリンカーでギリギリギアを纏っていた。適合率とギアを纏った時の戦闘力がイコールならウェル(オリ)の調合した奏さん専用のリンカーで適合率を安全に上げたら戦闘力上がるのでは?という考えから生まれたのが今話の奏さん。
……この考えだとマリアちゃんたちリンカー勢が適合者勢を簡単に倒せてしまいそうなんてそんな事があろうはずがございません(目逸らし)