シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!? 作:ボーイS
やっとギャグ回ですよ……
あのライブ事件から早くも二年経ちました。
大々的に取り上げられていたライブでの生存者のバッシングはなんと事件から半年も続き、最終的にニュースでは二万人となっていますが日本のデータベースによれば四万人という数の人間が「消息不明」となっています。しかもその中の七割くらいは既に死亡が確認されています。残りの三割の行方は今でも分かっていませんが、その中でまだ生きているのはどれくらいなのか、考えただけで吐き気がしますね。
半年もの間あのバッシングを生き抜いた人たちも中には精神が病んだままの人や大きな怪我を負った人もいるようです。もしかしたらまともな人の割合の方が少ないかもしれない。そんなレベルですよ。
調べたら弦十郎さんが頑張っていたようですね。上の人や政府にほぼ毎日のように問い合わせていたらしいですよ。まぁ、結果は芳しくなかったようですがね。
中々良い返事を貰えなかった弦十郎さんは最終手段としてツヴァイウィングの奏さんと翼さんの名声を使い、別の大きなライブでファンを説得するという少し強引な手を使って事態を収拾したようです。
ツヴァイウィングのライブで起こった事件というのもあり、最初はかなり大きな反発もあったようですが懸命に続けた結果なんとか魔女狩りじみた生存者のバッシングは減っていき、今ではなんとか落ち着いていますよ。
……まぁ、アニメと違い、というか描写が無かっただけで実はあったのか分かりませんが、全ての人間が生存者を許したわけでなく、事件から二年経った今でも燻っているようですがね。個人個人の思想が違うのでこればかりは仕方がありません。
ちなみにビッキーの安否を確認したら今も生きているようです。未来ちゃんも別の県に引っ越し、とかはしていませんね。それを知った時は心の底から安堵しましたが……まだビッキーがどのような状態か分からないんですよねぇ。グレビッキーや闇落ちビッキーだったら胃が痛いどころか胃が消失しますよ。それに未来ちゃんとも仲良しのままなのか分からないですし。
とまぁ、まだ重っ苦しい雰囲気が日本ではありますが、概ねライブの事件は終息したと言ってもいいでしょうかね。油断出来る状況ではないため完全ではありませんが。
そして今僕のいるF.I.S.では。
「セレナは援護!調、行くわよ!」
「うん!」
「後ろは任せてください!」
「三人いっぺんはズルいデスよ!?」
切歌ちゃん vs マリアちゃん、セレナちゃん、調ちゃんが行われています。
勿論イジメだとか仲違いしたわけではありませんよ?
現在、マリアちゃんたちには一対一や二対二の戦闘訓練だけでなく、二対一や三対一での訓練もしてもらっています。一対多の戦闘訓練は今後必要になる可能性がありますからねえ。そのための訓練ですよ。
やはりというか何というか、一対三での戦闘はやはり三人側の勝率が高いですね。当たり前と言えば当たり前ですが。
特に切歌ちゃんの戦績が一番悪いです。誰かとペアを組めば切歌ちゃんの突破力は強いのですが単体になると少々対応が遅れ気味なんですよ。そこをなんとか勘で補っているようなのが現状ですね。
結果は想像通り、切歌ちゃんが終始押される形となって反撃する暇も少なくなり、あっという間に勝敗が決まりました。まぁ、マリアちゃんたちは切歌ちゃんの癖を知っているので三人で対応していれば見える展開ではありましたけどね。
「大丈夫、切ちゃん?」
「あう、全然歯が立たないデス……」
「でも前回よりも私たちの攻撃に対応出来ていますよ」
「あとは戦い方ね。単体の火力だけ見たら貴女が一番あるのだから知っていれば警戒するのは当然。あとはどうやって相手の懐まで行くか、ね」
「うう……難しいデス」
セレナちゃんの言う通り、前回の同じ形式の戦闘訓練の時よりも戦闘時間は長くなりましたし善戦はしましたよ。調ちゃんの広域攻撃を回避しながらマリアちゃんとセレナちゃんのコンビネーションから目を離さずに少しは対応出来ていましたからね。十分成長していますよ。むしろ成長しすぎですね。ビッキーと翼さんとクリスちゃん、あといるかもしれない奏さんの四人ではかなり厳しいと思いますよ。キチンとした数値はありませんが、アニメと比べて見たところマリアちゃんたちの方がレベルは高そうですね。ビッキーたちの方が心配ですよこれ。
「四人ともご苦労様です」
「「「「ドクター!」」」」
四人の戦闘訓練が終わってトレーニングルームにお邪魔しましたが、四人の声が完全にハモリました。しかも結構な大きな声だったので耳が痛い。
「ドクタぁ、また負けちゃったデスよぉ……」
「ははは。仕方ありませんよ。でも頑張りましたね」
「えへへへ」
負けてしょんぼりしている切歌ちゃんの頭を撫でます。負けてはしまいましたが頑張った事には変わりありませんからね。
相性的にも遠距離技はあるとはいえ基本的には近距離型の切歌ちゃんには辛いのによく戦えている方ですよ。切歌ちゃんの援護が出来る子がいればマリアちゃんたち三人相手でも勝てる見込みはあります。
頭を撫でてあげてへんにゃりしている切歌ちゃんを見て僕も和んでいると平和な世界をぶち壊すような恐ろしい殺気が背後から感じました。
「何をやっているのかしら、ドクター?」
「グッバイ僕の人生」
おおぅ。振り向けば目を吊り上げて明らかに怒っているマリアちゃんと無表情でじ────っと見つめてくる調ちゃんとニッコリしているのに目のハイライトがお留守のセレナちゃんが僕を見ていました。特にセレナちゃん?君下手したら何人か殺っちゃった雰囲気があるんですが。「もう一人くらい……良いよね?」とかサイコパスな言葉が似合ってそうだなぁ。スッと包丁とか取り出しても違和感なさそうだ(現実逃避)。
「んん。勿論、みなさん頑張っているのは分かっていますよ。切歌ちゃんの成長もそうですが貴女たちの連携もかなりの練度になっています。もしここにネフィリムがいても今の貴女たちなら余裕を持って打ち倒せるでしょう」
「本当にそう思っていますか?」
「ええ。嘘はつきませんよ」
実際今のマリアちゃんたちのレベルならまだ生まれたばかりで殴るくらいしか攻撃方法がなかったネフィリムなら余裕で倒せるでしょうね。仮にまともなダメージを与える事が難しくとも簡単には負けないでしょう。それくらいレベルを上げすぎた感があります。現在の強さの四人がかりならGX編のオートスコアラーの誰か一体と良い戦いが出来るのではないでしょうか?
「むぅ、やっぱり勝ちたいデスよぉ!」
「でも切ちゃん。三人相手だとマリアやセレナでも勝った事無いんだよ?」
「ノイズ相手ならともかく、敵が考えて動く相手だと死角から攻められたら私でも対処が出来ないのよ?落ち込む事ないわ」
「むしろ私たちより切歌ちゃんの方が一番成長していると思いますよ?今日なんてアガートラームでは対処が難しい場面を切歌ちゃんは上手く回避していましたし」
「うう……でもぉ」
まぁ、人間何事も勝負事になれば自分が不利な条件でも勝ちたいと思うものですからねぇ。切歌ちゃんは性格的に正直な分そういった感情が抑え切れないんでしょう。そういった部分も切歌ちゃんの長所で可愛いところなんですがねぇ。
なんなら何かご褒美を用意してやる気を出させますかね。
「そうですねぇ……それならもし三対一の時に勝利出来たら僕が出来る範囲でなんでもお願い事を聞いてあげましょうか」
ライブ事件の時、マリアちゃんたちが試験的にナスターシャと共に日本へ来た時の行動なんですが、実は上からかなり色良い返事を貰いました。
正直機密中の機密のシンフォギアを世の中に曝け出してしまうという失態を起こしてしまったので下手したらマリアちゃんたちに何かペナルティを課せられると思っていましたが、局長が上の人と話し合った結果あの時の出来事は何やらプラスになる事があったらしくむしろ褒められたそうです。上の人の考えはいまいち分かりませんねぇ。
とにかく、マリアちゃんたちの活躍のおかげでマリアちゃんたちを含めたレセプターチルドレンたちも今では研究員の付き添いというのは絶対条件ですが研究所から出て外へ行く事が許されるようになりました。中には一ヶ月くらい外にいた子もいますよ。……多分研究員と子供たちの間に何も無かった。と思いたい。
なのでもし三対一の訓練で勝利出来たら外へ出て何か欲しいものでも買ってあげようと思ったのです。経費が落ちなくても僕のポケットマネーでなんでも買えますよ。
なんて、軽い気持ちでいたのが運の尽きでした。
ズンッと何故か一気に空気が重くなります。悲しくて重い雰囲気とかじゃなくて殺伐とした重い空気が。
「……ドクター。それは本当?」
「え?え、ええ。僕に出来る事なら多少難しくとも叶えてあげますよ」
「そうデスか。
あっるうぇ?なんか思ってたのと違うのですが。僕が思ってたのはお祭りに行く小学生的なイメージで切歌ちゃんは\(>▿<)/っていう感じで喜ぶと思ってたのに何かこう、画風が変わったというかなんていうか……ラブコメ画風からいきなり北斗◯拳みたいな劇画風な感じに変わったというか……。
「それは私たちにも権利はあるのかしら?」
「んー。そうですねぇ。切歌ちゃんだけだと不公平なのでマリアたちも同じく三対一の戦闘で勝ったご褒美に、ですかね」
「……聞きましたからね?言質は取りましたからね?嘘はダメですよ?」
なんだ、なんだこの綺麗な花畑を歩いていたらいつの間にか一個爆発したら全部連鎖式に爆発しそうな地雷原に足を踏み入れた気分は!?冷や汗が止まらねぇ!!!それと同時に何故か身の危険をとてつもなく感じるうううぅぅぅ!!!
「マ〜リア〜。もう一回やりましょうDeath!」
「ええいいわよ。その代わり三人で本気で
「ごめんね切ちゃん。凄く痛いけど我慢してね?」
「死なない程度に手加減しますので安心してくださいね」
おおう!?なんかマリアがまるでランサーの兄貴みたいにカッコよく槍を片手で回してスタイリッシュに構えてる!?
調ちゃんのツインテールみたいなアームドギアの鋸も殺意増し増しで回転してますよ。何故か血塗られているように見える!?
そしてセレナちゃん?パッと見貴女が一番まともそうですが何故か笑顔で嬉々としながら相手の臓物引き摺り出しそうなサイコパス感があるのですが!!??
「良いDeathよ。でも……」
切歌ちゃんは今までみたいにあの大鎌を無闇矢鱈に回転するのではなく、ゆっくりと余裕を持って回転させて肩に担ぐポーズを取りました。
……なんだろう。このちょっとおちゃらけた雰囲気のキャラが実はえげつないくらいの、終盤に出てくるクッソ強い強キャラ感を醸し出しています。それと何故かいつもの「デス」が死を意味する「Death」に聞こえるのは気のせいですよね?
「怪我しちゃったらごめんなさいDeathね?」
なんというのでしょうか、画風が戦闘に入った時のヒ◯コー並みに濃い感じになっているのですが。なんで顔の半分が影で隠れて、その隠れた方の目が赤く怪しく光ってるんですか?これはあれですか、誰か死ぬんですかね?
なんて現実逃避気味に思考を別の方向に持って行っていたらいきなり三対一の戦闘訓練が始まりました。いや、もう訓練じゃありませんね。さっきまで本気は出していなかったのがよく分かるくらい殺意増し増しな戦闘ですよ。てか明らかにマリアちゃんたち切歌ちゃんを殺しにかかってますよ!?なんですかそのカスっても致命傷並みの殺意ある技は!?
それに対して切歌ちゃんは飛来する大量の槍やら短剣やら鋸をまるでバターを切っているかのように大鎌で難なく切り裂いていくんですが!?しかも回避力上がってませんかね!?よく見れば地味に残像残していますし!?イガリマにそんな機能無いですよ!?
(あ。ネフィリムのパンチでも壊れない(推定)と豪語していた技術班の開発した壁が障子のように穴だらけの傷だらけになっていますねぇ)
火力がバグりすぎてよくわからない事になってきていますよ。思考が考える事を放棄してきていますよ!
これをビッキーたちが相手するんですか?え、大丈夫かな。
『……ドクター。なんとかしてください』
「無理です」
別室で四人の戦闘データを取っていたメンバーの一人から無茶振りが来ましたが……うん。無理ですね。巨大ロボットのバトルに一般人が巻き込まれるかの如しの無茶振りですよそれ。
『新調してからほぼ無傷だったトレーニングルームの損傷が僅か五分で二〇%超えました。計算によればあと三〇分もあればそこから青空が見れるようになるかもですね』
「僕に死ねと?」
『ドクターが戦火の種火なので責任を取ってください(乾笑)』
通信機の向こうから他のメンバーの乾いた笑い声が聞こえてきます。中には「俺、この実験が終わったら結婚するんだ……」とか呟いている人がいるのでやめてほしいですねぇ!
結局、四人の戦闘訓練という名のバトルロワイヤルを中々止める事は出来ず、トレーニングルームの損傷が八〇%を超えた辺りで偶々マリアちゃんたちの訓練風景を見に来たナスターシャが静かにマイクに向かって「おやめなさい」と一言言った事によってマリアちゃんたちは正気を取り戻したかのようにあっさり戦いをやめました。やはりナスターシャは凄いですねぇ。まぁ、その一言が何故か凍ってしまうかと思うくらい冷えたものだったのは気のせいだと思いたい。
こうして、ナスターシャの活躍によって研究所の一角がネフィリムの再来と言えるほどの大規模な損傷が起こる前に強制的に終わらせる事が出来てトレーニングルームだけの被害に終わりました。
翌日、マリアちゃんたちはナスターシャの説教と反省文と再教育(という名の注意)で丸一日潰れてしまったのは仕方のない事でしょう。むしろ甘過ぎる罰とは思いますが……誰も怪我をしていないので今回は許します。
ちなみに、今回の損害の第一の要因が僕にあったとされて局長に酷く注意されました。
……何故?
でぇじょうぶだ。このバーサーカーマリアさんたちは本編に出てこない……はず。
次から本当の無印シンフォギア編に突入!
……なんですがF.I.S組は関係無いのでバッサリとカットする事になりそうですなぁ……