シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!? 作:ボーイS
ビッキーが翼さんに無視されて意気消沈した戦闘から三日が経ちました。
いやぁ、昨日は戦闘の中でビッキーを認めない翼さんがブチ切れてビッキーに殺意増し増しで刀を向けた時はビビりましたよ。カメラを拡大して少々画像は粗かったですがキレているのは丸わかりでした。
アニメだからあの仲違いというか、戦う覚悟が弱いビッキーにキレた翼さんの戦いは面白く観ていられましたが現実で起こっているとなるとハラハラドキドキがヤバくて心臓に悪いですよ。
あのシーンは確かビッキーが初陣くらいで起こった戦闘なのに既に一ヶ月経っていますからね。奏さんが生きているために起こった差異なんでしょうが、アニメと違う道を進んでいるのは確かです。なのであそこで翼さんがうっかりビッキーを殺してしまう事も、あるいはあの戦いでビッキーの戦う意思というか心がポッキリ折れてしまう可能性もありましたからね。結果は何事も無く物語通り進んで良かったですが本当に心臓に悪いですよ。
(にしても弦十郎さんは本当に人間なんですかねぇ……)
翼さんの放った天ノ逆鱗を生身の拳一つで止めるどころか粉砕した時は分かっていても自分の目を疑ってしまいましたね。訓練とはいえマリアちゃんたちの戦闘を間近で見ていたから分かります。あれを生身で止められるはずがありませんよ……しかも殲滅力よりも一撃の火力に振り割った天ノ逆鱗ですよ?いくら無印時代の翼さんだったとはいえ生身で止めるとは……人間じゃねぇ!……人間じゃなかったですわ……いや人間でしたね(遠い目) 。
ビッキーがシンフォギアを纏って結構経っていますが翼さんとの仲違いシーンも終わりました。という事は近日中に二年前にライブ事件で盗まれたネフシュタンの鎧を身に纏った、全身ピッチリとしたネフシュタンインナーを着て身体のライン丸わかりの変態と言われても言い逃れ出来ない姿のクリスちゃんが出て来ますねぇ……。
なーんて考えていたんですが。
「ふ、ふふふ……今回の僕は一味違いますよ」
今度はビッキーがシンフォギアを纏う日をうっかり間違えていた時の反省を活かして、今回はきちんと調べています。
確かあの時は未来ちゃんと一緒に流れ星を見に行く約束をしていたはずなので、気象情報や星の観測情報などの色々な情報を調査して計算した結果、日本で流れ星が観れるのはなんと!
「今日じゃねぇかあああぁぁぁ!!!」
んんデジャビュ!しかも最近!でも今回は僕は悪くないですよね!?
調べていて思ったのですが、よくよく考えたらアニメより一ヶ月も日にちがズレているのになんで流れ星が降る日はアニメと同じなんですかね?ご都合主義にもほどがありましょうよ!?
「やっば。という事はビッキーは今頃……」
急いでビッキーの様子を確認する為に日本の監視カメラに無断で侵入します。そろそろ日本では日が落ちる頃合いなので多分今の時間帯だと市街地か丁度駅地下に降りる頃だと……。
『おおおりゃあああぁぁぁ!!!』
「おっふ!?」
映し出されたカメラにめっちゃ怒ってるビッキーが映り出されて危うく椅子から転げ落ちるところでした。
(そうでした。確か未来ちゃんと流れ星見に行く約束してたのにノイズが現れて行けなくなりそうで暴走しかけてたんでしたっけね)
いつもの素人のような戦い方ではありますがいつも以上に荒々しく、まさにノイズをサーチ&デストロイ状態でカメラ越しでも威圧されてしまいますよ。うっわ、今ノイズを引きちぎりましたよ。血とか飛び出ませんが実際この目で見たら中々エグいように見えますね。これで人間のように赤い血が噴き出るものなら大惨事ですよ……。
そのまま追いかけて駅地下の監視カメラから見続けていると予定通りブドウみたいな爆弾を引っさげたノイズがビッキーを襲い、その直後追撃もせずに地上に逃げていきますがその後すぐタイミング良く現れた翼さんの蒼ノ一閃にて難なく撃破。爆弾を撒き散らすというちょっと厄介そうな性能してながらアッサリやられすぎではないですか?
ビッキーと翼さんの間であまりよろしく無い空気が流れる中、ここで現れるのが二年前にフィーネによって強奪されたネフシュタンの鎧を身に纏ったクリスちゃん!うん。やっぱり下乳はエロいですねぇ。うら若き女性がしていい格好じゃありませんよ!……いえ、シンフォギアの方も大概ですけどね。なんという格好をマリアちゃんたちにさせてやがるんですかフィーネは。余計に腹が立って来ましたね。
あらら。ビッキーったらあの首が長いノイズが吐く白い糸で身動きが取れなく……放送禁止ですねこれ。アニメと違い艶かしいというかなんというか、明らかに不健全なアニメの特殊プレイみたいになっているんですが。これでギアが、またはインナーが溶けるなんて事になったら満場一致でアウトですね……。そんな薄い本ありそうだ。
クリスちゃんはネフシュタンの鎧の性能を十分に使い、身動き出来ないビッキーを置いて翼さんを追い詰めていきます。二人のギア無しの基礎的な戦闘能力を比べると翼さんの方に片寄りますが、纏っている物のレベルが違うからでしょうね。身体能力の差をカバーどころか大きく抜けています。有効打どころか手足も出せていませよ。
「んー、それでもマリアちゃんかセレナちゃんなら対応出来そうな……」
実際出来るわけではありませんが、さすがに苦戦はするでしょうけど二人なら例え一対一でも十分ネフシュタンクリスちゃんと良い勝敗出来そうに見えますねぇ。
切歌ちゃんと調ちゃんも合わせた三対一での訓練が身を結んだんでしょうね。一撃の威力はともかく攻撃の密度はクリスちゃんの方が負けてますので回避は余裕でしょう。
鞭での範囲攻撃も翼さんは苦戦していますが、あの程度の速さならセレナちゃんのアームドギアである短剣が変形して蛇腹剣みたいになった形態の方が早いですよ。マリアちゃんも戦闘センスはセレナちゃんより高いので難なくクリスちゃんの懐に潜り込めそうですねぇ。なんなら調ちゃんのあのツインテール型のアームドギアの先端に馬鹿みたいにデカい鋸に変形したアレの方が脅威ですよ。避けても追撃してくるんですから。
アニメ通り奇跡的な逆転劇も無く、戦闘は翼さんは劣勢の状態で追い込まれて行きます。そして翼さんは秘策として自爆技でもある絶唱を使ってクリスちゃんは大きなダメージを受け、クリスちゃんがソロモンの杖で召喚していたノイズたちは綺麗さっぱり消えてなくなりました。
ネフシュタンの鎧が大ダメージを受けて焦ったクリスちゃんは絶唱によってほぼ戦闘不能になった翼さんを放っておいて戦線離脱。まぁ、ここでもし冷静だったらネフシュタンの鎧の回復を待って、ビッキー連れて行かれてフィーネの実験台にされていた可能性もあったのでホッとしましたがね。
その後は車で現場に急行した弦十郎さんが現れてかつてのセレナちゃんと同じ目やら耳やらから血を流す大怪我した翼さんを緊急搬送。その時一緒にいた奏さんも顔が真っ青になって目を瞑ったままの翼さんに呼びかけ続けている姿は痛々しかったですね。
ビッキーは無事救出されてますね。拘束はされていましたが目立った外傷は無さそうですので一安心。ですが意識を失っている翼さんを見てかなりショックを受けている様子。見ていて心配ですよ。
「……今回はここまでですね」
この場での戦闘は終わり、後は事後処理班の仕事ですね。もう得られるものは無いでしょう。
アニメ通りなら翼さんは無事ですし、ビッキーも色々追い込まれますが弦十郎さんとの特訓で覚醒して一気にパワーアップを果たすはず。そうなれば安心して今後の戦いを見ていられますよ。まぁ、強敵もどんどん出てきますが。
「それにしても……改めて見るとネフシュタンの鎧はかなり強力ですねぇ」
今は無印時代なのでギアの強さは一番弱い状態ですしビッキーたち装者もある意味一番レベルが低い時です。それでも翼さんよりも一段も二段も上の強さを誇っていますから、仮にXV編でネフシュタンの鎧を纏ったらシェム・ハとどれくらいのレベルの戦いになるんでしょうか。ああでもそこまで物語が進むと逆にギアとの親和性というか適合率というか、装者たちとの相性が更に上がってギアからの補正も上がりネフシュタンの鎧よりも強くなっていたりしますのですかね?ちょっと気になるな……。
G編から使うS2CAによって改善されますが、やはり現時点の絶唱は使用者の負担が大きいようですね。セレナちゃんもそうですがシンフォギアの適合者である翼さんでも数週間は安静にしていないといけないほどのダメージを受けるんですからね。調律して絶唱の負担を軽減させるビッキーは凄い。さすが主人公です。まぁ、今は普通のノイズにも苦戦するような初心者ですがね。
(ふむ。ネフシュタンの鎧の性能と絶唱による装者の身体への負担は今後のために要研究案件ですね。ビッキーを拘束したノイズはG編に入ったら足止めに役に立ちそうですねぇ。でもあのタイプってG編に出ましたっけ?あまりアニメと違う動きをしない方が……いやでもセレナちゃんや奏さんが生きてるから手遅れか。しかしそう考えてもあまり乖離を起こさない方が……)
んんー。ゲームのような別世界として認定されているのなら問題は……色々ありますが、本来のアニメの世界線から抜け出せていないのであればアニメと同じような流れに戻そうという歴史の修正力的なのが働いてセレナちゃんと奏さんが死んでしまう可能性はまだありますか。
何度も言いますが、闇落ちビッキーやビッキーが途中で死亡する可能性もあるような世界線は絶対嫌ですよ……。みんな幸せハッピーエンドな世界なら良いんですが、それが分かるのはまだまだ先の事のような気がしますねぇ。
「……さてさて、これからどうしたものか」
「何か困ってるの?」
「うおう!?」
今後の事を色々試行錯誤していると後ろからいきなり声をかけられて思わず声を上げて驚いてしまいます。完全に意識外からでしたので余計にビックリしましたね。
後ろを振り向けばいつの間にか僕の部屋に入って来ていた調ちゃんと思いっきり目が合います。そのまま手元に目をやればトレーの上に湯気の立つ、コップの半分くらいまで入ったコーヒーとスティックの砂糖(未開封大袋)が置いてありました。
「ごめんなさい。マリアみたいにどれくらいお砂糖が必要か分からなくて……」
「別にいいですよ。その辺りは僕の匙加減ですから」
いつもマリアちゃんかセレナちゃんが持って来てくれるので、初めて調ちゃんが持って来てくれた事が嬉しくて頭を撫でてあげます。調ちゃんは嬉しいのか少し顔を赤くしながらもなすがままにされていてとても可愛いですねぇ。
ちなみに一度だけ切歌ちゃんが持って来てくれた事があるのですが、それはもうギャグ漫画レベルの見事な転倒からの僕の顔面に熱々のコーヒーがぶっかけられるというアクシデントからマリアちゃんとセレナちゃんに持ち運び禁止をされています。少し可哀想ですがまぁ、仕方ないですね。
「……それで、何かあったの?」
「いえいえ。ちょっと日本のシンフォギア装者の戦闘を拝見していただけですよ。見ますか?」
なんだかんだで調ちゃんもマリアちゃんたちF.I.S.の装者以外知りませんからね。興味があるのでしょう。少しソワソワしていましたので少し移動して調ちゃんがパソコンの画面を見やすくしてあげます。
「うん。ありが、と、う……」
しかし、少し嬉しそうに身を乗り出して今日のビッキーたちの戦闘シーンがいくつか映し出されたパソコンを見た瞬間、調ちゃんの動きが止まります。はて、何かありましたかね?
「どうかしましたか?」
「……ドクターはこういうのが好きなの?」
「はい?」
ジト目というか、少し非難するような目で見られて益々分からなくなります。おかしいですねぇ。特に何か不自然な事はなかったはずですが……それに「好き」とは何を指すのだろうか?
不思議に思って調ちゃんの横からさっきの戦闘映像と映像から抜き取った一部の静止画が写っている画面をよく見ます。ふむ。映し出されたのは今も再生している戦闘映像を除いて四つの静止画があります。
一つ目は、液体のような白いものが身体全体にまとわりついて動けなくされているビッキー。
二つ目は、下乳と脇を主張した身体のラインがよくわかるピッチリしたネフシュタンの鎧のインナーを纏っているクリスちゃん。
三つ目は、クリスちゃんの攻撃でギアやインナーが傷つき、切り傷と共にその下の地肌が見え始めている翼さん。
四つ目は、翼さんの絶唱によってネフシュタンの鎧が大ダメージを受けて胸元の装甲や下腹部の装甲が大きく破壊され、インナーも大きく破れながら地面に倒れるクリスちゃん。
……ふむ。
「調ちゃん。これは違います」
「何が違うの?」
「とにかく違います」
「ふーん」
取り敢えず無罪だと主張します。だってこれは事故ですよ。故意ではありません。たまたま映っていたのがビッキーや翼さん、クリスちゃんのギリギリスリーアウトな映像だっただけだ!大事な部分は写っていないのでギリギリセーフなんだ!(矛盾)
真顔で違うと言う僕と真顔でジッと見つめてくる調ちゃんというよく分からない状態ですが必死に目で違うと訴えかけ続けます。調ちゃんならきっと分かってくれるはず!でも完全に調ちゃんは疑ってますねぇ!?僕は悲しい!!!
「……それじゃぁ、マリアたちに内緒にする代わりに、私のお願い聞いてくれる?」
「僕に出来る事ならなんなりと!」
何も悪い事はして無いはずなのに思わず土下座する下僕の勢いで調ちゃんに笑みを向けます。多分、今の僕の笑顔は色んな意味で眩しい笑顔でしょうね。自分で分かっていますので調ちゃん、そんなに引かないで下さい。そろそろ泣きますよ?
「それじゃ……」
少し引き気味ながら嬉しそうに何かを言おうとした調ちゃんでしたが、そこで何かを思ったのか急に黙って何か考え出します。調ちゃんはとても良い子なので悪巧みとかではない……はず。
「どうかしました?」
「ッ!う、ううん。何も……」
「そうですか。それより、お願いとは?」
「……今は内緒」
「ええぇ……」
微笑みながら人差し指を口元に持っていって小悪魔チックにウインクする調ちゃん。おかしいなぁ。調ちゃんはこんな物静かなメスガキっぽい事あんまりしなかったはずなんですがねぇ。不覚にもちょっとドキッとしてしまいました。可愛いさと少しの妖艶さを持ち合わせいて反則じゃありません?僕でなければ危ういですよ?ついでに僕も色々危ういですよ……。
調ちゃんのお願いが何なんのか気になりましたが、この直後マリアちゃん、セレナちゃん、切歌ちゃんが遅れて遊びに来てしまい結局有耶無耶になってしまいました。勘違いは解けたのだろうか。
僕は悶々としたまま調ちゃんのお願いが僕に叶えられる無理のないもので、僕が生きているうちに叶えられてあげられるものであれと祈りながら、僕は静かに切歌ちゃんの久し振りな不意打ち飛びつきを喰らって腰が死にながら気を失うのでした。
まだウェル(オリ)博士は疑心暗鬼ですが、基本的には原作通りに進みます。大幅な原作改変と過度な期待は作者が耐えられねぇ_(:3 」∠)_