シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!?   作:ボーイS

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G編入る前の日常回と言ったな?あれは嘘だ( 'ω')

かなり端折りますし、ウェル(オリ)博士には関係ないですしなんなら読み飛ばしても良い話ですがちょっと入れたい場面でしたので短め。


外話 フィーネ

『────もし生きて出会えれば僕の正体を明かしても良いですね。それでは』

「……切れたか」

 

 フィーネは連絡が切れた事を確認すると再度掛け直す事もせずに弦十郎から奪い取った携帯端末を放り投げる。どのみち掛け直したところで先の弦十郎との戦いで一部が壊れており、何度呼び掛けてもこちらからの声が届かず向こうからの言葉しか受け取れなかったため意味が無いのだ。

 

(それにしても、私の事だけでなくあのお方の事さえ知っているとは……何者だ?)

 

 人間の遺伝子情報内に施された「刻印」を持つ者を器とし、 未来永劫にフィーネを再誕させ続ける「リインカーネイション」と呼ばれるフィーネの作った輪廻転生システム。

 器に宿ったフィーネの魂には、人格の他これまでに得た能力、および記憶が残されているため転生を繰り返すことで肉体の枷に囚われない、無限の寿命を実現している。

 自分を止める為の嘘だと言いたいところだが、まだ誰にも話していないはずのカ・ディンギルの正体を知っているような口ぶりや遥か遠い過去から生きているとも言えるフィーネには現代で生きている者には決して知るはずのない、フィーネの想い人の名前を知っていたため簡単に嘘だと決めつける事は出来ない。それ故に今の電話の主が何者なのか気になっていた。

 

(錬金術師共の差金か?いや、仮に彼奴らが何かであのお方にたどり着いたとしてもわざわざ私を止める必要はない。止められるかはさておいてそんなまどろっこしい真似をしなくとも直接私の元に来れば良いだけの事。

 なら他の組織か何か?だが私とあのお方を繋ぐ情報は現代に残っていないはず。仮にあったとしても都合良く発見出来るとは考えられん)

 

 遥か昔の同胞がフィーネのリインカーネイションシステムと似た、又は同類のシステムを使用して当時の記憶が蘇ったという線や偶然が奇跡レベルで重なった悪戯電話という考えもあったが、どれをとっても納得のいく答えに辿りつかなかった。むしろ未来や過去が見えていると言われた方が信憑性があったとさえ思えてくるほどだ。

 

「まぁいい。何を言われようとカ・ディンギルの起動を止めぬ。私の目的はあのお方にもう一度会い、この想いを伝える事だけなのだから」

 

 迷いを振り切って程なくしてやってくるであろう装者の迎撃の準備をするためにフィーネは歩き出す。最大の難所であった弦十郎も戦闘不能になったため後はカ・ディンギル発射まで不確定要素であるシンフォギア装者を押さえておけば良い。それも完全聖遺物であるネフシュタンの鎧の力があれば容易な事であった。

 

 ──それに仮にカ・ディンギルが無事放たれても別の意味で貴女の計画は無意味ですしね。

 

 先の言葉が頭の中で再び引っかかる。

 そもそも何が無意味なのか。別の意味という事は自分のやろうとしている計画は二重の意味でやっても意味がないという事だが、その無意味とは何を指しているのだろうか。

 しかもそれが予めわかっているかのような物言いが計画を進めようとするフィーネに違和感としても残るのだった。

 

 ────────────────────

 

 

 ──────────────

 

 

 ────────

 

 

 ────

 

 

 

 フィーネの計画は抜かりがないはずだった。

 カ・ディンギルは発射されたが雪音クリスの決死の絶唱に一度は斜線をずらされたのは予想外ではあったものの、再度放てるだけのエネルギーはあったためボロボロの装者二人では止められないと思っていたからだ。

 しかし立花響の暴走によってフィーネは大きく隙を見せ、その隙を突いて風鳴翼も決死の特攻によりカ・ディンギルは致命的に破損。再び撃てるように修復するのに何年かかるか分からないレベルだった。

 計画を阻止されて怒りに震えるフィーネだったが、そこで生き残っていた立花響に奇跡が起こる。

 リディアンの生徒たちの想いのこもった歌によって立花響、風鳴翼、雪音クリスは再び立ち上がり、自身たちの纏うシンフォギアの限定されていた能力を解除された強化形態「限定解除(エクスドライブ)」を発動させたのだ。

 

 フィーネはソロモンの杖と呼ばれるノイズを召喚する事が出来る聖遺物を使って街を侵食するレベルでノイズを召喚するが、限定解除化した三人の前ではただのノイズでは歯が立たず、驚異的なスピードで殲滅していった。

 そこでフィーネが次に打った手が大量のノイズを身に纏う事で巨大な赤い竜のような姿になり、圧倒的な戦闘能力も再生能力で再び立花響たちを再び追い詰めた……はずだった。

 

 確かに立花響たち三人の装者は簡単に負ける気は無いとはいえ赤い竜の姿になる前のフィーネであれば逆に太刀打ち出来なかった可能性すらあるほど、 限定解除により戦闘能力は向上しているのは事実であった。その可能性を考慮して少々無理をしてでも確実に倒せる手を打ったつもりであったのだ。

 現にフィーネの予想通り、ネフシュタンの鎧による高い再生能力とデュランダルによる無限のエネルギーの供給によって限定解除化した装者たちの半端な攻撃なら厚い装甲で完全に遮断し、それすらも超える強力な一撃を受けても瞬時に回復する事が出来た。この時点で、装者たちが自分を打ち負かす事なぞ出来ないとフィーネは思っていた。

 

 だかしかし、まともなダメージを受けていないというのに装者たちは諦める事なくフィーネの攻撃を回避し、執拗に攻撃を繰り返して来る。いまだにその一撃がフィーネには届いてはいないが、何故かフィーネは自分が焦っている事を自覚していた。

 

 

 ────貴女はこの世界にヒーローなぞいないとでも思うでしょうが、別にヒーローは一人だけとは限りませんし、ヒーローはみんなの思いを力に変えて、とかよくありますからねぇ

 

 

 装者たちが今まで扱う事の出来なかった限定解除を発動させた時のことを思い出しながらあの謎の人物からの電話を思い出す。

 ヒーローは一人だけとは限らない。それはヒーローではなく単純に戦力が増えるという風に見れば納得いく説明だ。ここまでならフィーネも不思議には思わない。

 だがみんなの思いを力に変えて、つまり他者からの思いを文字通り自身の力に変えるなぞ、非科学的な現象をフィーネは認められなかったのだが、限定解除化しただけではあり得ないほどの苦戦に、認めたく無いと思いながらも頭の中ではそれが正解だと告げていた。なにより、自身もたった一人の愛しい人への想いの為にここまでやって来たのだ。自分の気持ちが負けているとは思わないが、思いの強さというものは認めるしかなかった。

 

 そんな一瞬とも言える僅かな思考の揺らぎが勝敗を決した。

 

 風鳴翼の強力な一撃により赤い竜の装甲を一部破壊。破壊された部分から侵入した雪音クリスが内部でミサイルを放ち、その衝撃でフィーネはデュランダルを手放してしまう。

 宙を舞うデュランダルを手にした立花響は一度は暴走しかけるが、風鳴翼と雪音クリスの支えによって正気を取り戻し、内部にエネルギーを溜めていたデュランダルの強力な一撃を赤い竜に放ち、その巨体を()()()()()()()()()()

 

 デュランダルの一撃はネフシュタンの鎧の再生能力を遥かに凌駕しており、再生不可となって崩壊していくレベルであった。その代わりに、エネルギーの溜め過ぎにより容量を超えたデュランダルも既に崩れて消えてしまったが。

 

 ネフシュタンの鎧の崩壊にともない徐々に色が消えて崩れてゆく真っ二つになって倒れた赤い竜の残骸の中心部で夕日を背にして、フィーネは倒れ伏していた。

 

「もう終わりにしましょう。了子さん」

「私はフィーネだ……」

「でも、了子さんは了子さんですから」

 

 これまでノイズを使い沢山の人間を殺めて来たフィーネは自分の死を覚悟していた。だが止めを刺すのではなく、この戦いを辞めようと、目的の為に人と繋がる事をやめて人の命を奪ったフィーネに言葉では無くとも人は繋がれると言う立花響の言葉にフィーネはあまりのお人好しさに心底呆れていながらも一つの決心をした。

 直後にギリギリのところで保っていた赤い竜の崩壊は限界に達していき、フィーネたちのいる場所にもその被害は起きる。今にでも崩れ落ちそうだった天井となっていた場所がボロボロと崩れ、落石のように降り注いで来たのだ。

 

「ッ逃げましょう、了子さん!」

「……」

「了子さん?」

 

 崩壊前のネフシュタンならともかく、既に装甲の半分以上が砕けて本来の機能がほぼ機能しなくなったネフシュタンの鎧ではこの落石に耐える事は不可能。自身も直撃したら危険だという考えもあって立花響は即刻この場所からの退避をしようとするがフィーネは動かずにどんどん落石の量が増えてゆき、シンフォギアでも助けに行くのが困難なレベルになって行く。

そんな中で、フィーネはフラフラとしながら近くの瓦礫に手をかけてゆっくりと立ち上がり、立花響に笑みを向けた。

 

「胸の歌を……信じなさい」

 

 風鳴翼や雪音クリスに引きずられながらもなお助けに向かおうとした立花響にたった一言だけ残して崩壊に呑まれて消えていったフィーネ。僅かに微笑んでいたその姿を思い出して赤い竜だった物の残骸を前に立花響は涙を流して崩れるが、事態はそう簡単に収まる事はなかった。

 

 カ・ディンギルによって一部破壊された月の欠片が破壊された際の衝撃によって最悪な事に地球に向かって落下する軌道を取ってしまっていたのだ。

 このままでは自分たちが必死になって守った物が何もかも破壊されてしまう事態を前に、立花響は涙を拭いて立ち上がり、風鳴翼と雪音クリスと共に月の破片を破壊する為に飛び立ちシンフォギアの全力によって破壊に成功。一時的に行方不明となるが、それは日本政府の処置であり命の心配は何もなく、程なくして無事日常生活に戻るのであった。




ちなみにこの世界線のフィーネとの戦いがどうなったかウェル(オリ)博士は知りません。だって本来フィーネが消えるであろうシーン付近に監視カメラが無いので観測出来ておりませんからね。フィーネが倒された、という事しか知らない状態ですね。日本政府(GEDOU)が事細かく他国にフィーネの事を説明するわけがないですしね。ふふふ。
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