シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!?   作:ボーイS

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日常回だあ\( 'ω')/


三十五話 迫り来るG編の前の一時ってね

 フィーネが倒されてから一か月が経ちました。

 

 日本から特にフィーネに関する情報の提供はありませんでしたが、局長から聞いた話ではやはりアニメ通り上の方たちは結構フィーネに対して色々やっていたみたいですね。というかフィーネに良いように使われて手足となっていた人たちと、フィーネの研究成果を横取りしようとしていた人たちがいたみたいですね。

 フィーネのせいで残ったお偉いさん方の真面目でまともな人たちは比率的にもとても少なく、全体の三割程度のようですね。全体が何人いるのか知りませんが急遽辞めた人が多すぎて色々と引き継ぎが出来ておらず、後処理や代役としても四苦八苦しながら動いてかなり大変だったらしく、過労で倒れて入院した人もいたようですね。ご愁傷様です。

 結果、フィーネの手足になっていた人たちは職務放棄として軒並み解雇。研究成果を横取りしようして過激な手段を取っていた人たちは一部残りましたがその他は裁判沙汰になり、中には死刑にまでなった人がいるようです。死刑になるとかいったい何をやったんだ……。

 ちなみに、その報告を受けた真面目なお偉いさん方は自分たちの仕事が増えるという事実に阿鼻叫喚したらしいですが、自国の安寧の為にと頑張っているようです。そのせいで過労で倒れる人が続出して更に過酷な職場になっているようですがね。用事で一度顔を出しに行った局長いわく、まるでゾンビが蔓延る屋敷にでも迷い込んでしまったと思ったとのこと。いやいや、真面目な人たちのとばっちりが大きすぎません?どんだけ上は腐ってたんですかね?

 

 そんなこんなでF.I.S.の今後についてはお偉いさん方のゴタゴタが終わり次第ですね。いつになるかはわかりませんがね。まぁ、シンフォギアに関してはともかく、それ以外の聖遺物を保存、研究をしているためそんな簡単に解体はされないと思うので言うほど焦りは無いですね。局長もフィーネに関しては何も関与していないようなので解雇処分もないでしょうし、他の研究員もどちらかと言えばフィーネを毛嫌いしていたので安心していられますよ。

 

 フィーネが倒された事によって一期が無事に終わり、次は夏までにG編が来るんだと身構えていた僕なんですが、一つ重大なミスが発覚してしまいました。そのミスとはなんと!

 

「よくよく考えたらビッキーたちが今一年生なのにGX編で切歌ちゃんと調ちゃんが後輩として一年生になるのなら一年の差があるではありませんか」

 

 ええそうですよ。詳しい事は忘れてしまっていますが、確か二人はフロンティアの戦いの後一時的に拘束されて、その後リディアンにビッキーの後輩として転入になったはずでした。なら今ビッキーが一年という事を考えたらGX編の夏は来年の話となります。完全に勘違いでしたね。なんで結構肝心な事を忘れていたんだ僕は。

 

(んー。て事はG編はこの夏か秋辺りですかねぇ。あ、確かアニメではリディアンで学園祭があったはずでしたねぇ。学園祭といえば秋くらいとは思いますが……後で調べておきますか)

 

 んんー。G編始まるまであまり時間が無いと思ってかなり急ピッチで色々準備しましたが予定が狂いましたね。夏休みの初日に宿題を全て終わらせてしまったかのように時間が余ってしまいました。まぁ、一研究員である僕に休みなんてあってないようなもんですがね。というかもう休日の過ごし方なんて忘れましたよ。決められた研究じゃなくて自分の好きな聖遺物の研究が出来る日になってしまってますよ。睡眠時間?なにそれ美味しいの?

 

 それに、フィーネが倒されて一ヶ月経ってから一つ気がかりな事が出来てしまいました。

 

(フィーネは調ちゃんの中に転生しているのだろうか)

 

 いやね。アニメ通りなら多分既に調ちゃんの中にフィーネはいるんだろうけど……よくよく考えたら本来なら大半は死んでしまうであろうレセプターチルドレンの子たちは逆にほぼ全員生きてるんですよね。そしてレセプターチルドレンは元からF.I.S.への実検体提供という名の賄賂であったのと同時にフィーネ自身に何かあった時用の次の器の確保として集められた子たちです。という事は下手をしたらフィーネは調ちゃんではなく、別の子の中にいる可能性が出て来てしまったんですよ。

 こぉれはまずいですよ。アニメと同じ流れにはするつもりは無いんですが、最悪物語終盤で切歌ちゃんの絶唱して魂を攻撃する(……んでしたっけ?)イガリマの一撃から調ちゃんの魂を守る為に調ちゃんの中にいたフィーネが身代わりになる、という流れが無くなって調ちゃんの魂に直撃してしまう可能性が生まれてしまったわけです。もし切歌ちゃんが誤って調ちゃんを殺すような展開になったら狂う自信がありますよ……僕が。

 

(あー。良い事をしようとすると何処かで必ずと言って良いほど問題が出てきますねぇ。今はまだ小さな問題ですがそのうち思ってもみなかった大事件が起きたら洒落にならないですよ……)

 

 戦場になる場所や多少の時間のズレくらいなら全く問題無いんですがね。いや、何かしら立つはずのフラグが無くなる可能性はありますけどそれは置いておくとして、ビッキーたちの命に関わる可能性もあります。僕の行動一つ一つにビッキーやマリアちゃんたちの命に関わるとかふざけないでほしいですよ。割とガチ目に。

「戦姫絶唱シンフォギア」の世界の主人公は装者たち、その中でも筆頭はビッキーでしょうが。なのになんでG編の敵キャラのウェル博士である僕が地味にこの世界の命運を握っているような立ち位置にいるんですかねぇ?運命の神様にガングニールぶち込みたい気分ですよ。

 

(……取り敢えず、ネフィリム・ノヴァ撃破後の僕に出来る処理の準備は問題なし。後は僕の演技力のレベルがどれだけのものか、と言ったところですかね)

 

 アニメ通りに行けばマリアちゃんがフィーネの次の器になった演技をするはず。そのせいでG編終了まで世間からあまり良い目で見られなくなるでしょう。ですが僕の計画がうまく行けば最終的なヘイトはかなり低減されるはず。あー、でも下手にアニメと違う流れにしない方が……んんー。頭痛くなってきた。

 

(同じような事ばかり考えて先に進まなくなってきましたねぇ。G編への準備とかしていたせいで最近眠れてもいませんし……少し休憩でもしますか)

 

 本当は神獣鏡やマリアちゃんたちのシンフォギアの戦闘データの整理や休眠状態のネフィリムの経過観察の報告書とか色々やらなければならないんですが、今は休みたい気分の方が優っています。

 最近シンフォギアに関係の無い聖遺物の研究が出来なくてちょっとストレスになってるんですよね。ウェル博士の趣味だったのか、一度始めたらもうやめられない止められないで、しかも僕自身もとても楽しくなっているので趣味としては変わっていますがストレス発散には丁度良かったんですよ。それが出来ないのがツライ_(:3 」∠)_。

 

 気分転換に外の空気を吸おうと自室から出ます。廊下は特に変わった様子はなく、一部の研究員が移動するだけの僕にとっての極々普通で平和そうですね。

 

(お昼時でもあるのでこの時間だとマリアちゃんたちは戦闘訓練終わっていますかね。それか食堂かな?)

 

 時計を見れば一時を過ぎた辺りでした。時間的に今なら食堂も空いていますかね?今はとにかく甘味を欲しているので久しぶりに僕専用に作ってもらった生クリームとか果物野菜増し増しのホールケーキ並みの大きさの特大パンケーキ(パンケーキ自体は通常サイズ)を頂きますかね。甘い物は別腹だからいけるいけ……嫌な予感が急に!?

 

「ドクター!」

「るまんどっ!?」

 

 嫌な予感のようなものを感じましたが反応が遅れましたね。後ろを振り向く頃には死角に入り込んだ切歌ちゃんの強烈なタックルが僕の腰に直撃してしまいました。切歌ちゃん、結構細身で小柄ですがシンフォギアの訓練のために鍛えていますから見た目と違って意外と力強いんですよね。笑顔で殺人タックルレベルです。そんな切歌ちゃんのタックルは一般人が無防備に受けたら十分病院送りですよ。僕?ふふふ……無事だと思うかい?

 

「グフッ……き、切歌ちゃん?もう僕もそれなりの歳になって来ているので貴女を受け止めるのは中々難しいんですよ……」

「でも受けて止めてくれたデス!」

「うっ」

 

 うわあああぁぁぁ!!!やめてください!!!眩しすぎて浄化するうううぅぅぅ!!!なにか後光のような光が見える気がするほどすっごいニッコニコで屈託の無い純粋な笑みは僕には眩しすぎて目が焼けるうううぅぅぅ!!!んんんん可愛いですねぇ!!!(考えるのをやめた)

 よくよく考えたら切歌ちゃん、まだ中学生なんですよね。中学生の女の子ってこんなに異性にくっついて来るんですかね?前世から女子中学生どころか女性の「じ」の字も無い人生でしたので分からん……いや、良い歳のおじさんに抱きつく女子中学生って絵面がもうOUTですね。ハハハ……。

 

「切ちゃーん?いきなり走ってどうし……あ」

「調ちゃん?切歌ちゃんは見つかりました、か……」

 

 切歌ちゃんの走って来た方向から今度は調ちゃんとセレナちゃんが現れます。ですが僕に抱きつく切歌ちゃんを見て固まってしまいました。はて、別に切歌ちゃんが僕に抱きつく事なんてよくあるのに何故?

 

「もう、お昼の前にシャワーを浴びたいって言ったのは貴女でしょう……って何やってるの!」

「ふぇ?ドクターがいたから抱きついてるだけデスよ?」

 

 最後に現れたマリアちゃんは首にタオルを巻いて暑そうに手で仰ぎながら現れましたが、僕を見て顔を赤くしながら切歌ちゃんを叱ります。よく見ればマリアちゃんだけでなく、セレナちゃんや調ちゃん、切歌ちゃんもトレーニングウェアを着て汗だくでした。若干白衣が湿っぽい気がしたのは切歌ちゃんの汗を吸収したからだったんですね。なるほどなるほど。

 おそらくさっきまでシンフォギアの戦闘訓練をしていたんでしょう。そして時間も丁度お昼時となって昼食前に先にシャワーを浴びようとしたところに偶然僕が現れた、ってところでしょうかね。

 

「あー……僕は気にしていませんよ?それより、先にシャワーを浴びるのが先決なのでは?」

「えっ?」

 

 僕に言われて初めて気がついたんでしょうかね。今の四人の姿はトレーニング後と言う事で汗だくになり、身体も少し熱で火照っているのか赤みを帯びていて妙な色気が出ていますね。とても健全な青少年には見せられない状態ですよ。新たな扉が開かれてしまいますよこれは。特に調ちゃんは絵面が犯罪です。大人になっているマリアちゃんとセレナちゃんの二人でも色々危ないのに、まだ幼さの残る調ちゃんは大人のお兄さんたちとポリスメンたちが争う事になるきっかけになりそうでヤバい。切歌ちゃん?今の状況だと僕は今頃パトカーの中ですね。間違いない。

 

「「「……い」」」

「い?」

「「「いやあああああぁぁぁぁぁ!!!」」」

「ひ、で、ぶ!?」

 

 見事に腹部と胸と顔面に命中!ボクノカラダハボドボドダ!

 羞恥で顔を真っ赤にした切歌ちゃんの除く三人が一斉に首に巻いていたタオルを僕に向かって投げて来ました。

 うん。人によってはご褒美なんでしょうが…汗を吸って重くなったタオルとトレーニングで鍛えたパワーが合わさって十分人が死ねる威力になっているんですよね。球の速さだけで十分野球の名選手になれそうなスピードですよ。それが三球。緊急回避?ふ、僕にそんな運動神経あると思いますか?

 

「あわわ。ドクター大丈夫デスかry」

「「貴女(切歌ちゃん)はこっち!」」

「あう」

 

 唯一心配してくれた切歌ちゃんはマリアちゃんとセレナちゃんに首根っこ掴まれて引きずられながら離れていきます。でも僕は見ていましたよ。マリアちゃんたちがタオルを投げたのを見た瞬間、常人を超えた速度でタオルの軌道上から避難したのを。なんならバトル漫画みたいに目から切歌ちゃんの動きに合わせるように光が追っている幻視もありましたよ。お馬鹿を演じる強者みたいな雰囲気でちょっとカッコいい、なんて思って油断してたら全弾ヒットしてしまいましたがね……。

 マリアちゃんたちを追って調ちゃんも走って行きますが、少し離れた場所で立ち止まると僕の方を向いて振り返りました。少し顔が赤いですがどうしたんで──

 

「……エッチ」

 

 それだけ言い残して今度こそ走り去って行きました。

 ……ああ。ふむふむ。なるほど。これがラッキースケベというやつですか。なるほどなるほど。はいはい一度落ち着いて、心を落ち着かせて、はい深呼吸。スーッ。

 

(違うでしょうがあああぁぁぁ!!!こういうのは主人公にあるべき展開でしょう!?シンフォギアの主人公は女の子のビッキーだけども!でもそれを抜きにしてもよりによって敵の、しかもウェル博士相手に起こるんですかあああぁぁぁ!!!んんん、解釈違い!!!)

 

 僕は笑顔のまま心の中で頭を掻きむしったり近くの壁にひたすら頭を叩きつけたり、地面を転げ回ったり、エクソシストもビックリな見事なブリッジをしながら大声で叫びました。現実で叫ばなかった事は誰か褒めて欲しい。多分、現実で叫んでいたら色々暴走していたと思います。そりゃもう見ていられないくらいに。口に出さない事でギリギリ押さえ込めました。伊達に十年くらいウェル博士をやって来ていませんよ。

 ダメだ……ウェル博士が主人公のラブコメ?なにそれワラエナイ。絶対裏で危ない薬作ってマリアちゃんたちを薬漬けにする非純情系同人誌の匂いしかしませんねぇ。最初から狂ったキャラだったから余計にまともなイメージが出来ませんよ。自分がウェル博士になって周りのイメージは良いでしょうが、僕自身はアニメ通りの英雄狂いのイメージしかありません。なので余計にマリアちゃんたちと仲が良いウェル博士なんて想像出来ない……いや、今の状況がその状態なんですけどね!ビッキーが主人公でラッキースケベが発動する同人誌、面白かったなぁ(現実逃避)。

 

「あの……ウェル博士?」

 

 荒れ狂う心を落ち着かせていると一人のオロオロとした男性職員に話しかけられました。遠くには他の職員もいますが何故か彼以外僕に近寄ろうとしません。何故でしょうか?

 

「ん?これはこれは。どうしたんですか?」

「あ、いえ、その……博士こそ、大丈夫なんですか?」

「はい?」

「えっと……イヴさんたちが立ち去られたあと無言のままとても良い笑顔で頭を掻きむしったりひたすら壁に頭を叩きつけたり地面を転げ回ったり、エクソシストもビックリするような見事なブリッジをしていたので……」

「────」

 

 ……うん。きっと僕は疲れているんでしょうね!昼食は無しだ!今日はもう寝ましょうか!

 

 その後妄想と現実がごっちゃになって出来ないはずのブリッジをして腰を痛めてしまった僕は医務室に向かい処置をしてもらいますが、その数十分後にシャワーを浴び終わった切ちゃんに再び奇襲タックルを食らってヤムチャってしまいました。腰だけサイボーグ手術でもするか本気で考えましたよ_(:3」z)_




ギャグ成分補給中……章の合間でしかギャグが挟めねぇ_(:3」z)_

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