シンフォギアの世界に転生し……って、こいつかよ!?   作:ボーイS

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作者はギャグ寄りの小説を書こうとしているんだ……


七話 嫌いって言われるとへこむなぁ……

 マリアちゃんセレナちゃんの手を繋ぎ、ナスターシャと共に目的の場所、もう何回目か忘れたフィーネから送られてきたレセプターチルドレンたちの集まる部屋に辿り着く。

 

「さて、では入りますよ?」

「「はい」」

 

 さっきまで遠足気分、とは言いすぎですがあまり緊張していない様だった二人も部屋の前に着いてから少し落ち着きがなく、僕の手を強く握ってくる。

 

 扉が開くとそこには何度も見た光景が広がっていた。

 既に何人かの研究員が連れてこられたレセプターチルドレンたちと接触しており、話しかけては落ち着かせていた。

 怪我の無い子と見るに耐えない姿の子というのは変わりないが、最初よりかはフィーネが連れてくる人数は減っている。それが救いかと問われれば疑問ではあるけどね。

 

(あの子はまだ助かる。あの子は治療は少し難しいか。あの子は……もう無理だな)

 

 僕は簡単に見渡す限りで治療が可能か不可能か判断してしまう。こんな考えをしてしまう自分をハンマーか何かで力一杯殴りたいけど、残念ながら近くにハンマーはないし、両手は強く握られた小さな手で塞がっていた。はは、命拾いしたな僕?

 

 最初は見ただけで治療可能かどうかなんて分からなかったし、一人一人の症状の差関係なく心を痛めていたさ。でもフィーネが何度も送ってくるからかいつの間にか一人一人に気を配る事をしなくなり、事務的になってしまっていた。多分、脳が僕の精神が壊れるのを防ぐためにそんな処置をしたのだろうけど……

 

(それを理解しちゃってるから余計に腹が立つなぁ)

 

 ウェルの無駄に良い脳が本当に恨めしく思ってしまうよ。まったく。

 まぁ、前世の僕の精神だと二回目くらいで壊れてたと思うけどね。あとナスターシャみたいな子供たちに気を配る人が沢山いてくれたのも幸いかな。

 

「マリア、セレナ。君たちはナスターシャと一緒に周りなさい。君たちの方が歳は近いから落ち着かせやすいでしょうから」

「分かったわドクター。セレナ、行きましょう」

「はい。無理をしないでくださいね、ドクター」

 

 セレナちゃんが心配げに僕を見てくる。根っからの優しい子だ。きっと僕の心が色々ごっちゃごちゃになっているのを察しているのかもしれない。

 

(そんな君だから、助けてあげられる子がいるんですよ。さて)

 

 本来はいつも通りに一人一人に声をかけて落ち着かせていくのだが、今日はそれに加えてもう一つ目的があった。それは。

 

(お、いましたね……早速問題ですかね?)

 

 部屋の端に数人の白衣を着た研究員が腰を低くしてその先にいる金髪で緑の瞳の女の子と、金髪の子の背に隠れて震えている黒い髪に赤い瞳の小さな二人の子供に向けて手を伸ばすが、金髪の子が黒髪の子を守るように手を振り回して大人たちを遠ざけようとしていた。

 

「あっちいけ!こっちにくるな!」

「こわいよぉ……」

「っ!だ、だいじょうぶ!わたしがまもるからね!」

「うん……」

 

 震える黒髪の子に健気に笑顔を見せる金髪の子だが、彼女も前から見たら可哀想なくらい震えてしまっている。知らない場所に連れてこられて大の大人数人が詰め寄って来ているのだから仕方のない事なんだけど……やっぱり辛いですねぇ。

 

「どうしたんですか?」

「あ、ウェル博士。いえ、いつものように私たちに警戒している子がいたので困っているんですよ」

「そうでしたか」

 

 話しかけた女性研究員も慣れているのだろう。少し困った、というか悲しそうな顔をみせたがそこまで悲観しているようには見えなかった。まぁ僕も今回みたいなケースは何度も見たから同じですがね。

 

 ここに来たばかりのレセプターチルドレンには大きく分けて三種類いる。細かに分けたら面倒だけどね。

 一つは大きな括りになるけど、薬や精神衛生面的に生きる気力を無くしてしまった子。

 一つは死にたくないと思いながらも僕たちにただ震えて身を縮こまらせる子。

 そしてもう一つが、マリアちゃんや金髪の子みたいに震えながらも大人である僕たちに反抗しようとする子だ。

 

(多分、三つ目の子がきっとシンフォギアに選ばれる可能性が高いんだろうけど……それは後ですね)

 

 話しかけた女性研究員にお礼を言ったあと、僕はいまだ頑張って金髪の子を説得しようとしていた男性研究員の肩に手を置いた。

 

「選手交代です」

「……すみません。お力になれず……」

 

 申し訳なさそうに男性研究員は下がる。少し強面だから余計に怖がらせてしまっていたのかもしれないがそれは言わないでおいてあげようかな。さて。

 

「こんにちは」

「っこっちにくるな!おまえみたいなうそくさいやつはキライ!」

「おうふ……」

 

 ウェルのメンタルに致命的ダメージ!こう見えて豆腐メンタルなんだから……しかも幼いとはいえ推しキャラにハッキリと嫌いと言われるのはドMじゃ無いから正直に言ってキツイっす_(:3 」∠)_

 

(この頃はまだ「デス」語じゃなかったのか)

 

 挫けそうになるけどなんとか思いとどまり、もう一度こちらを凄く警戒している金髪の子と震えている黒髪の子に目を向ける。やっぱり小さくなっても面影はあるねぇ。

 

 金髪の子はあの独特な語尾で「デス子」とか密かに囁かれる自称常識人の暁切歌。そして黒髪の子は切ちゃんLOVEで敵にはちょっとジェノサイドな思考の部分がある月読調だ。

 まだ二人とも幼いというのもあって元から子供っぽいところがあったのにさらに幼くなっちゃってるよ……だからこんな敵意剥き出し恐怖丸わかりなんだろうなぁ。仕方のない事だけど。

 

 僕はゆっくりと中腰になって切歌ちゃんに手のひらを見せて何も持ってない事を確認させながら手を伸ばす。犬か猫なら背中の毛が波打っているだろうな、という想像が出来るくらい凄く警戒しちゃってるよ……

 

「んん、少なくとも僕たちは敵じゃない。君たちに危害を加えないよ」

「うそだ!」

 

 んー何処ぞのひぐらしがないている作品に出てきそうな言葉ありがとうございます。……包丁で滅多刺しにされないよな、僕?不意をつかれたらカナーシミノー状態になる自信しかないね!

 

 それはさておき。困ったな。予想以上に警戒が強いな。切歌ちゃんの場合後ろにいる調ちゃんを守るために必死になっているんだろうけど……ここで二人初めて会うんじゃなかったっけ?もうそんな仲になっているの?会った時からラブラブとは……キリシラ好きからしたらご褒美ですな。

 

(じゃなくて。……このままじゃ二人の警戒心が増すだけか。ナスターシャ、は女性とはいえ大人だから同じ、ならマリアかセレナに二人を任せるべきですかねぇ……おや?)

 

 中腰で手を伸ばしてるけど、そろそろさっきのセレナちゃんの奇襲によって受けた腰と首の致命的なダメージが我慢の限界に来たから諦めてマリアちゃんかセレナちゃんに頼もうと考えていた。今から何年後になるか分からないけど仲良くなるのは分かっているからね。

 でも、その考えも不要になりそうだ。

 

「あ、しらべ!?」

 

 ずっと切歌ちゃんの背中に隠れていた調ちゃんがまだ少し震えながらだけど切歌ちゃんの前に出てトテトテと音が聞こえてきそうな歩き方で僕の目の前まで来た。

 

「(じーーーーー)」

「大丈夫。怖くないよ。怖くない」

 

 某風の谷に住む少女が小さな生き物を宥めた時のようななるべく優しい声を調ちゃんにかける。

 調ちゃんは少し迷いながらもそっと手を伸ばして、そして僕の手の指を握った。手小さいなぁ。

 

「このひとはだいじょうぶだよ、きりかちゃん」

「……ほんとう?」

「うん」

 

 何故かもう震えていない調ちゃんが切歌ちゃんに手招きする。それを見て今度は切歌ちゃんが疑いながら恐る恐る近づいてくる。そこまで怖がられると豆腐メンタルの僕にかなりのダメージがあるけど、今はただ切歌ちゃんが近づいてくるのを待った。うん、ごめんだけどそろそろ腰がヤバい。

 

 今にでも(物理的に)砕けそうな腰の痛みに我慢していると切歌ちゃんも本当に指の第一関節くらいの先を軽く握ってくる。まだ少し怯えていたので軽く頭を撫でようと空いている手を伸ばす。腕を動かした際凄くビクッとしていたけど頭を撫で始めると安心したのか気持ちよさそうに目を細めてなすがままになった。

 

(可愛いなぁ。可愛いなぁ。可愛いなぁ!!!)

 

 これでロリコンだと言うのならばその名で呼ばれる覚悟はある。というかこの可愛さに耐えられるやつはいない!いるならそいつはホモだ(確信)。

 

「ははは。まだ少し怖いかもしれないけど、何かあれば僕を呼びなさい。すぐに駆けつけ……られたらカッコいいんだけどね、でも出来るのならすぐに駆けつけてあげるからね」

「「ほんとう?」」

「ええ。だからみんなと仲良くしてあげて下さいね?」

 

 二人を安心させるため出来るだけ笑顔を見せる。二人のあまりの可愛さにまた例の変顔になりかけたけどギリギリ耐えられた。あの顔になったら切歌ちゃんと調ちゃんどころかマリアちゃんとセレナちゃんにもドン引きされそうだからね。そうなったら立ち直れる自信は無い。

 

 二人は安心したのか更に僕にくっついてくる。気を許してくれたのはありがたいけど少し人を信じすぎな気がして心配になるけど、今はそれで良いと思って二人の好きなようにさせようかな。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やっぱり凄いなぁ」

「ふふ。そうね」

 

 新しく来た二人の女の子の頭を撫でるドクターの姿を私とマリア姉さんは少し離れた所で見ていた。

 大きな怪我をしている子を見るのは初めてじゃなかったからあまり抵抗は無かった。でもいざ慰めてあげる側に立つとその難しさがよく分かる。

 初めて会うとはいえ、歳が近い私や姉さんでもみんな警戒心が強くって一人を安心させるのに凄く時間が掛かっちゃった。

 マムたち他の研究員の皆さんは手慣れていてさっきまであった暗い雰囲気がだいぶん良くなっています。これも全てドクターが頑張ったからだと思うと私も嬉しくなります。

 

「……私も、ドクターみたいになれるかな」

 

 みんなに優しく、他の人のために必死になって頑張れるような人になりたい。みんなを笑顔に出来るような、そんな凄い人になりたい。そうなったらきっとドクターの隣にいても恥ずかしく……

 

(って私は何を考えているのですか!?)

 

 いつかドクターの隣で沢山の人を救いたい、と思っていたら何故かふと浮かんだイメージが少し違って顔が熱くなってしまいました。何故でしょうか、とても恥ずかしい……うう。

 

「どうしたのセレナ?顔が赤いわよ?」

「え!?あ、だ、大丈夫だよマリア姉さん!少し疲れただけだから!」

「そ、そう?」

 

 困惑する姉さんだけど私の頭もあまり正常じゃないみたい。さっきから顔が熱い……熱でも出たのかな?

 取り敢えず私は姉さんに心配かけないように、誤魔化すように次の子たちの元へ走った。

 

 姉さんが、少し悲しそうな顔をしているのにきづかないまま。




切ちゃんはまだ語尾にデスをつけず、調ちゃんはまだ切歌ちゃん呼び。これから仲良くなるから大丈夫だ。問題ない。
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