表題通り。宮内れん○の口は△の形をしている。

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三角形に指をいれたい

 あなたは転生者だ。

 目を閉じて、開いてみればのんのんびよりの世界に転生して【少女/少年】になっていた。

 あなたの隣の家には、あなたと同い年の少女が住んでいる。

 名を宮内れんげという。

 その銀髪ツインテールの少女の家でいつものように遊んでいたあなたは、ふと三角形に指を入れたくなった。

 

「■■ちゃん、人差し指からはビームはでないのん」

 

 宮内れんげはやれやれと言いたげに首を横に振った。

 あなたが△の口元に差し出した人差し指は、れんげの両手に包み込まれるように折り曲げられてしまった。

 今日はあなたの負けだった。

 

 

 翌日、今度は自分の家で遊んでいたあなたは、いいことを思い付いた。

 

「いいことって何なのん?」

 

 あなたは冷蔵庫の中からハチミツを取ってきて、それを指に塗りたくってかられんげに差し出した。

 れんげは首を横に振った。

 

「分かってないんな。ハチミツはパンに付けて食べるのが通なのん」

 

 何処からともなく食パンを取り出したれんげは、あなたの指を食パンに突き刺した。

 

「もごにょ、もごのん、もごもごなんなー」

 

 口の中にパンを詰め込んでもごもごと、何を喋っているのか分からない。

 今日もあなたの負けだった。

 

 

 通学バスの待ち時間。

 暇を持て余したあなたは、いつものように人差し指をれんげに差し出した。

 れんげはあなたと同じように一本の指を立てて、あなたの人差し指をパシッと叩いた。

 

「しょうがないのんな。後攻は譲ってあげるのん」

 

 指で数字を足していくゲームが始まった。

 ターン制で指の数字を足していき、指が5本になってしまったら負けのゲームだ。

 

「これ後攻が絶対に勝つゲームなのんに……」

 

 れんげが気の毒そうな顔をあなたに向けてくる。

 あなたは負けてしまった。

 

 

 学校の休み時間。

 いつものように、あなたは人差し指を差し出した。

 

「じゃあウチから行くのん。あっち向いて、ほい!」

 

 あなたはまたもや負けてしまった。

 

 

 あなたは毎日のように勝負を挑んだ。

 晴れの日。雨の日。曇りの日。雪の日も宮内れんげと勝負をして、毎日のように黒星を増やしていった。

 

 

 ある日。

 あなたはいつものようにバス停でバスを待っていたが、宮内れんげが来なかった。

 あなたは先に学校へ行った。

 その日、宮内れんげは登校してこなかった。

 

「交通事故なんだって」

 

 あなたは病院へ走っていた。

 

「打ち所が悪かったのか、ずっと目を覚まさないみたい」

 

 

 病室のベッドで宮内れんげは静かに寝息を立てていた。

 穏やかな寝顔だった。

 

「折角来てくれたのに、ごめんよ。れんちょんにウチのお寝坊癖が移ったみたいで。ずっと起きなくて……」

 

 れんげの姉が泣いていた。れんげの家族みんなが、悲しそうに涙を流していた。

 あなたは一言だけ挨拶させて欲しいと頼んだ。

 

「……そうだね、れんちょんに何か言ってあげて」

 

 あなたはれんげの家族にお礼を言った。

 れんげのベッドまで行って、いつものように人差し指を立てようとしたが、上手く指が立てられない。

 指が震えていた。

 あなたは目を閉じて、深呼吸をした。

 れんげと毎日のように繰り広げた勝負の数々が、目蓋の裏側に流れてくる。

 色んなことがあった。しかし、まだあなたとれんげの勝負は決着が付いていない。

 こんな所では終われない。

 震えが止まった。

 あなたは△の少し手前に、人差し指をゆっくりと差し出した。

 

「……!」

 

 指先にぬるっとした感触が帰ってきて、あなたは思わず目を見開いた。

 れんげが起き上がって、小さな口であなたの指を咥えている。

 

「……にゃんぱすー」

 

 目が合った。

 △の中は、とても暖かかった。


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