最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。   作:アステカのキャスター

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 まずは一言、申し訳ありませんでした。批判が多かったのもあり、この作品は大幅改変のリメイクになります。消した事は決していい事とはいえないでしょう。本当にすみません。一応、リクエストを貰いながら続けていた作品なので、読者の期待に添えなかった事に謝罪します。

 賛否両論で否が多かったのもあり、この小説は一時停止にしようか迷いました。しかし、励ましてくれた方々の期待を裏切るのは申し訳ないという一心もあり、この話をちゃんとしたものにしたい。やり直しで言うのはどうかと思っている人も多いかもしれません。

 原作キャラが死んだ後のご都合主義は不満があった方も多いかもしれません。一度見てくださった方は混乱するかもしれません。それでも、頑張れるだけ頑張っていきたいと思います。暖かい目で見てくれるとありがたいです。

 あと、ウルト兎さんから最強を頂きました!ありがとうございます!!!見て惚れたぜ!!

【挿絵表示】




十二

 

 夜蛾先生が研究所まで迎えに来てくれた。

 特級呪術師、九十九由基が死んだと言う事実を、荒夜はまだ受け止めきれないでいた。動揺し、目を見開いて、放心している。

 

 

「大丈夫……ではないな」

「……だって、センセーは…昨日まで」

 

 

 昨日高い寿司を食べに行って、その後バイクの後ろに乗って送ってもらった。未だに覚えている。それが翌日になって、突然死亡したなんて信じられない。

 

 

「……センセーの、死因は?」

「……それは」

「答えて……お願い」

 

 

 両親には連絡し、夜蛾先生と一緒に高専に向かう。

 身体が震えながら、今にも泣きそうな荒夜はハッキリ知りたかった。何が原因で誰に殺され、どうやって死んだのか。

 

 

「……詳しい判断は出来ないが、恐らく刺殺。五条の六眼でさえ、残穢は見つからなかった」

「……そう、ですか」

「それと、呪詛師御用達の裏サイトに九十九の懸賞金がかけられていた。三億のな」

「!………それ、受け取った人間は?」

「不明だ」

 

 

 分かるわけがないと思っていた。

 呪詛師の裏サイトは複数存在し、見つかったら消えてはまた再び別のサイトで存在したりする。

 

 でも、おかしい。原作では九十九センセーは間違いなく渋谷事変まで生きて………

 

 

「俺の……せい…か?」

 

 

 俺は最強を生み出す過程で殉職率を下げる『纏帳(まといとばり)』を創った。それは禪院によって俺の名前は隠してもらっていた。だが、九十九センセーは話が別だ。

 

 九十九センセーと禪院が関わった時点で周囲は九十九センセーがそれを生み出したものだと錯覚した。特級呪術師で研究面に秀でているセンセーだ。呪詛師からしたらそんなものが拡散されたら戦力強化にも繋がり、自分達の居場所が狭くなる。

 

 だから、裏サイトで九十九センセーに多額の懸賞金をかけて殺した。

 

 

「君のせいではない」

「……そんな訳」

「悪いのは九十九を殺した奴と懸賞金をかけた奴だ」

 

 

 確かにそうだ。けど、悪いのは自分だ。

 俺がセンセーに『纏帳(まといとばり)』を渡していなかったら……俺が一人で呪術界の圧力を上手く躱すことが出来たならセンセーは死ななかった筈だ。

 

 俺が……俺が居るから未来が変わってしまった。

 

 

「とにかく高専まで暫くかかる。少し休みなさい」

「……そう、させてもらいます」

 

 

 ただ、今は何も考えたくなかった。 

 考えれば考えるほどに、原因は自分だと自分を責めて自分を嫌いになる。俺はただ目を瞑って考えることをやめた。

 

 

 

 ★★★

 

 

 高専の解剖室にて、さしす組の三人が居た。

 六眼で傷跡を見ていたようだが、呪力のカケラすら感じ取れないらしい。解剖室の扉が開く。

 

 そこには血だらけながら、安らかに寝ているセンセーの姿があった。詳しくはわからない、見た感じは心臓部と脳幹を二撃で殺されている事だけしかわからない。

 

 昨日まで、二人で一緒に寿司を食いに行って呪霊の無い世界について語り合った筈なのに。

 

 

「………」

 

 

 チリッ、と呪力が爆ぜるようにこの場所に撒き散らされた。感情を制御出来ず、噛み締めた唇、握りしめた手に爪が食い込み血を流す。怒りが、後悔が、絶望が呪いとなって部屋を埋め尽くす程に負の感情が溢れ出す。

 

 

「っっ!!」

「おいガキ!?」

 

 

 夜蛾先生と五条はそれに反応する。

 この少年が暴走してしまうんじゃないかと思うくらいに取り乱している。その声に荒夜は呪力を制御し、落ち着かせる。

 

 

「……しばらく、一人にしてください」

「……ああ、分かった」

 

 

 夜蛾はその言葉に三人を連れて解剖室を出た。

 ふらふらと力の入らない脚でセンセーの所まで歩いていく。残穢を調べる為に五条がズラしていた布を取る。

 

 震えた手で頰に触れる。

 軽くつねる。そうすれば、いつも変に寝汚くて朝が弱いこの人の目が覚めると思っていた。

 

 

「……はは……変な顔…」

 

 

 身体はもう冷たくて、温かさを感じられない。

 冷たくなった身体は硬く、つねった頰の形が変わらない。

 

 

「……なんで………」

 

 

 幾ら揺すっても、幾ら呼びかけても、目の前にいるセンセーは目を覚まさない。力の全てが抜けたように膝は地面に落ちる。覗き込むように近づいたセンセーを見て分かった。分かってしまった。

 

 この人はもう魂が無い。

 六眼がなくとも、魔眼がなくとも分かってしまう。だって、ずっとこの人を見てきたのだから。

 

 この死体は本物だ。

 俺のセンセーは、九十九由基は死んだのだ。

 

 

「う……ああ……」

 

 

 一体どこで間違えた?

 荒夜緋色はどこで間違えた?

 

 ここは呪術廻戦の世界じゃない。()()()()()()()()()()()()()()()()()。慢心して、原作通りだからこの人は死なないと現実を楽観視していた。

 

 この世界は人が死ぬんだ。

 死んで、死んで、後悔のない死に方がないくらいに悲惨で残酷な世界だって、俺の頭なら気付けていた筈なのに……

 

 

「う、ひっぐ……なんで……!」

 

 

 あの人が笑ってるのが好きだった。

 一緒に頭を悩ませて、時には困らせては怒られて、褒めてくれた時に頭を撫でられて、祝いは盛大に高いものを食べて、笑っていたあの人の手の暖かさを今もまだ覚えている。

 

 

「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ……!!」

 

 

 もう、その暖かさも感じられない。

 子供のように泣き叫び、冷たくなった手を握り、ただ自分の愚かさを呪った。

 

 

 ★★★★★★

 

 

 死体は、高専に置いて丁重に処理されるらしい。

 あの人は曲がりなりにも特級だ。下手に死んだ情報が流出されたら、呪詛師が少なからず活発になってしまう。

 

 泣いて、涙が枯れるまで泣き叫んで、その後の事はよく覚えていない。

 

 

「………」

 

 

 そのあと、帰って眠っていた。

 重い足取りがまだ続いている。まだ、心が折れてしまっている。それでも研究所に足を運んだ。

 

 どうにかしなければ、どうにもならないと思ったから。

 

 研究所の灯りを点ける。

 九十九センセーが死んだ事を受け止め切れない。

 

 

「……俺が、聖杯と同じなら生き返らせれる……」

 

 

 そんな事を呟いてみたが、答えは出ていた。

 その答えはNOだ。恐らく、俺の力では死者蘇生など大それたものは出来ない。

 

 魂とは、母体から自然に生まれたものだ。

 故に、それは真似事で模しても決して同じではない。

 

 例えるなら、100%の果汁ジュースと人工的に生み出した果汁ジュース。味は同じでも成分が全く違うのと同じ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だが、九十九センセーそのものの魂の核は既に破壊されている。

 

 オガミ婆のように憑依は?

 いや、それも恐らく完璧にはいかないだろう。魂の情報、肉体の情報を憑依させる事は出来ても核が変質するわけじゃない。あれは推測でしかないが、魂の核のみを残して、その他の情報を書き換える術式だ。

 

 書き換えた後にその人の術式を使えるのだろうが、呪力がなくなれば本人に戻る。伏黒甚爾のような呪力がない天与呪縛は稀。九十九センセーを一時的に生き返らせる事は出来ても、呪力の消費による限界がある。今の俺でさえ、魂の核となる部分はどうしようと構築出来ない。

 

 構築術式は万能と呼べるものだろう。

 

 だが、()()()()()()。物理法則を捻じ曲げる物を創る事は出来るだろう。呪術がある世界だ。不可能を否定する事はできなくはない世界だ。

 

 それでも、失ったものは戻らない。

 命に関しては、死ねば終わりだ。例外を除いて、死んでから完璧に蘇るなんてあり得ない。

 

 

「東堂とか……夏油さんとか……アンタが死んだらどうすんだよ……」

 

 

 東堂が見つけられたのは小三。

 俺の年齢と擦り合わせて推測するなら最近だろう。小三で高校生ボコっているアイツに声をかけていたはずだ。今の俺は小学二年生になり、さしす組も二年生に上がっている。

 

 次の春、星漿体が狙われる。

 夏油傑が悪堕ちしたのもこの事件があったからだ。あの後、九十九センセーは、夏油傑に会っている。

 

 

「どうすればいいんだよ……センセー……!」

 

 

 俺にアンタの代わりをやれと?

 東堂を導いて、夏油傑を救って、呪霊の無い世界を創れと?

 

 俺にそんな事が出来るのか?

 俺は九十九センセーの代わりになれるのか?

 

 

「俺は……どうしたらいいんだよ」

 

 

 苦しい。

 貴女が居ない世界を生きるのが苦しい。

 

 貴女に見せたかった世界を創る意味が分からなくなってしまった。いっそ、全て諦めたいと思ってしまうほどに辛かった。

 

 

 ★★★

 

 

 数週間が経った。

 暫くして、九十九センセーの私物が研究所に届いた。

 そう言えば、あの人外国でも研究をしていたのを思い出していた。私物にしてはかなり多い。気怠げに届けられた私物を漁る。

 

 あちらで研究していた呪術師の資料や、研究成果をまとめ上げたレポートだったり、呪具だったり、服だったり、色々なものが入っていた。

 

 それを眺めている。

 ただボーっと眺めている。研究は好きだったのに頭に入らない。

 

 だけど、そんな中である研究資料が目に入った。

 

 

「……呪霊の発生原因調査資料?」

 

 

 九十九センセーがまとめたレポートの中でも、この理論のみは分からなかった。気になって、それを読み始めた。

 

 

『人間の負の感情から形成され、生み出されるであろう呪霊。それが何故外国より日本の方が多いのか。日本の総人口は外国に比べて遥かに少ない。その理由を調査した結果である。呪術師が生まれるのが何故日本に集約しているのか、何故極端に外国人の呪術師が少ないのか』

 

 

 俺はそのレポートを読み続ける。

 

 

『一つ。土地の広さ。人間の感情や負の念は場所が広ければ形成されにくいと私は考えた。呪霊が生まれるには余程の負の感情が集まらなければ成立しない。場所にもよるが、その広さこそ呪霊の多さを日本と外国で分けるものなのではないかと推測した』

 

 

 これに関しては俺も同じ考えだ。

 土地の広さによって負の感情の形成が上手くいかず、呪霊が生まれにくい。その考えは正しい。

 

 

『そして、二つ目が()()だ。これは本当に確証の無い話になるだろうが、呪霊の多さは日本の百鬼夜行など、日本の神話や伝説から生まれたという理由が含まれるかもしれない。外国にも、伝説や神話は多々ある。それに影響されないのかまでは分からない。だが、呪霊は平安時代から既に存在していた事は確認されている。何故、それが生まれたのか。これは本当に仮説でしかない。恐怖、絶望、負の感情から生み出された呪霊は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 俺はここで読む声が止まった。

 呪霊が、格の低い存在?信仰によって強くなる事は分かる。しかし、最後のこの言葉の意味が分からなかった。

 

 

『外国の神話では悪意や負の感情は悪魔だったりする。諸説存在するが、悪魔と呪霊では格が違いすぎる。現世に現界するには、存在の枷が大きかったりする。呪霊は言ってしまえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のようなものなのかもしれない』

 

 

 理には適っているが大分ぶっ飛んだ話だった。

 確かに日本で言うところの妖怪や化け物と言ったものは怨念だったり憎悪から生まれたとかいうのは多い。

 

 

 

 

『そして、もう一つ。神様や信仰の仮説を位置付けるものとして一つだけ例がある。それは───天与呪縛だ』

 

「……天与呪縛?」

 

 

 ここで何故その言葉が出るのか理解できなかった。神様の信仰とどんな関係があるのか意味がわからなかった。

 

『他者との縛りは簡単な話じゃない。自身に課す縛りによって能力の引き上げが可能になる事は珍しい話じゃない。だが、生まれたばかりの人間に与えられた呪縛は一体何なのだろう。自分に課す事でもなく、生まれた時に勝手に呪縛されている。これがもし、生まれる前に課された呪縛なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

 

 そこで俺の手は止まった。

 そうだ。天与呪縛の法則や理論は全くと言っていいほどに分かっていない。俺も分かってはいないし。

 

 だが、神様が存在するのなら、天与呪縛は神様と縛ったとでもいいたいのか?他者との縛りでは強化が出来るものじゃないとは思っていた。でも、天与呪縛の根本を調べたら、何か分かるのかもしれない。

 

 なんならあの人は既に調べ───

 

 

「…………あっ」

 

 

 そこで、俺は思い出した。

 そう言えば、原作でも九十九センセーは言っていた言葉がある。

 

 

 

 

『彼を研究したかったが、フラれてしまってね。惜しい人を亡くしたよ』

 

 

 それはつまり、九十九センセーは一度でも会っていたと言う事になる。あの人が持っていた『纏帳(まといとばり)』は壊されてはいなかった。

 

 呪力のある物質には有効だが、完全な呪力を通さない物理攻撃は通ってしまうあの術式の弱点だ。呪術によってやられたなら余程でなければ『纏帳(まといとばり)』が壊されるし、残穢が残るはずだ。なのにそれが無かった。

 

 呪力の無い存在には無効。

 そして残穢は見つからなかった。そして、それが答えだった。

 

 

「随分と……都合の良い世界だな……」

 

 

 分かってしまった。

 一体誰が九十九センセーを殺したのか。 

 

 

「もう一度、会う機会があるなんてな……」

 

 

 だったら、懸賞金をかけたのは誰だ?そこまでは分からない。纏帳の情報が流出してしまった以上、心当たりが多過ぎる。

 

 完全に推測だが確かめなければならない。

 次の星漿体の事件で必ず現れる奴がいる。殺意だけで勝てるほど弱くない存在だ。

 

 濁った眼で俺は研究室に向かう。

 

 

「……創るか」

 

 

 このままじゃ前に進めない。

 殺意を胸に、俺は本来なら創ってはいけないものに手をかけようとしていた。星漿体の事件まであと一年と一ヶ月。

 

 それまでに俺は呪霊を殺すものではなく、初めて()()()()()()を創ろうとしていた。

 

 

 ★★★★★

 

 

 暗い暗い夜の中、白髪のおかっぱの男か女か分からない人間のような姿をした存在が、薄暗い神社に座り、隣にいる男に話しかける。

 

 

「良かったのか?資金をあれだけ使って」

 

 

 隣にいる男は多額の懸賞金を払い、依頼した。

 現在の裏の活動費の半分を使ってまで、九十九を殺す依頼をした。呪術師に益を齎す人間だとしたら早い段階で殺しておいた方がいいはずだから。

 

 だが、アテが外れた。

 九十九由基ではなかった。『纏帳(まといとばり)』を創ったのは九十九ではなかった。

 

 

「『纏帳』……だったかな?これがあるだけで呪霊と人間の均衡が大きく揺らいだのは確かだ」

「あの人間の弟子でまだ幼い。早々に殺した方が」

「いや、今はまだいい」

 

 

 それは何故?と白髪のおかっぱは聞く。

 

 

「呪術師が強くなればなるほど、呪霊はそれに比例して強さを増す。手早く仕留めた方がいいと思ったが、創った人間は別だったし。私らが直々に動くにはまだ時期尚早だ。精々、出来るだけ強くしておこう。その方が強い呪霊もまた生まれる」

 

 

 五条悟が生まれた時、呪霊はその強さを増した。

 呪霊数の増加も同じ理由だ。世界には均衡のようなものがあり、呪術師が強くなればなる程、呪霊もそれに比例して強くなっていく。

 

 

「それに、私の手の届かない場所で彼を死なすにはまだ惜しいしね」  

「呪力も特級と比べたら殆ど無い人間を?」

「ああ、何故なら」

 

 

 その男は嗤いながら告げた。

 

 

「彼は私の理想に最も近い存在だからだよ」

 

 

 額に縫い目のようなものがある男は嗤いながらそう告げた。

 

 

 




 

 一度見てしまった方々は混乱すると思いますが、大幅に改変致しました。すみません。今後も続けていいのかどうかは迷ってしまいますが、出来る範囲で頑張っていきたいと思います。批判が多過ぎると心が折れてしまうので、出来る限り控えてもらえるとありがたいです。

★★★★★
活動報告にて最強募集してます。最強じゃなくても実用的だと思ったものでも構いません。
良かったら感想評価お願い致します。

すみません。明日の投稿はお休みします。
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