最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。 作:アステカのキャスター
難しい。戦闘描写って難しい!!全部書くと長いので前編と後編に分けました。すみません。明日頑張るから許して!!
今回は日記式ではなく、呪い合いです。軽いギャグ要素はありません。それでもよければどうぞ!!
ぐるぐると周囲を線に繋がっているように走る赤い猫と、空を切るように狙いを定め、飛び回る蒼い大鷲。
速度は普通の人間が手に負える相手ではない。恐ろしい速度で地と天を駆け、肉を抉り喰らう二体の魔物は奴に狙いを定めて襲いかかる。
「ハッ、くだらねえ」
それを刀で的確に斬り裂く。
反射神経、動体視力、五感の全てが優れているのは知っているからこそ、これは予想通りだ。幻灯の魔物が二体いても、的確に処理されるだろう。幻灯機が壊れない限り死なないけど。
俺の攻撃の中でエネルギー砲と、火炎放射は使えない。どちらも威力を御し切れないのと、ここは天元が居る場所だ。
天元の結界は隠す事に特化している為、遮る力はそこまで強くない。その言葉を鵜呑みにするなら、エネルギー砲も火炎放射も結界を破るだけの力は存在すると言う事にもなる。
もし、この場所で使ってしまって燃え移る事があったらと考えると方向を絞っても使うのが怖すぎる為、使えない。そもそも御神体の樹木が攻撃された場合、何が起きるかわからない。
逆に、凍結は使えるがこれも問題がある。
俺が指向性を持たせ、かつギリギリまで攻撃を広げられる範囲は目の前の視界から大体三十度の角度だ。樹木に当てないように範囲と射程距離を絞って、ギリギリ抑えながら使える感じだ。そして範囲と射程距離を気にしながらでは、速すぎて狙いが定まらない。
先程も言ったが、樹木に攻撃が当たった場合、何が起こるか分からないので、氷結を放つのは最小限の力でなくてはいけない。捉えられないし、外した危険性を考えなければいけないので、満足に撃てない。対して奴は縦横無尽に脅威の身体能力で飛び回る。
「呪法『氷天』」
樹木を背に向けれる位置に奴が避ける。
その瞬間を狙って、エネルギーを変換した凍結砲を放つ。
「おっせ」
当然のように躱される。
まあ、これも予想していた。攻撃速度は奴の反射神経で躱せるとは思っていた。エネルギーを変換し、攻撃する呪術を俺は『呪法』と呼んでいる。簡単な話、エネルギーを属性変化させたものだ。
俺は三属性までを使える。それらを『氷天』『炎天』『雷天』とわかりやすく呼んでるのだが、スピードは普通の銃の半分くらい、時速四百キロと言ったところか。
そして一番速いのが『雷天』なのだが、雷の場合は指向性とではなく、電磁誘導をしなければならない。放った後の誘導が出来ないため、未完成。なんなら自分が感電したし。
夏油さんの呪霊操術。俺の幻灯の魔物。
どちらも決め手にならない上に、的確に対処される。
「烏合だな」
そう呟きながら奴は俺に襲いかかってくる。
俺の後ろから、夏油さんの呪霊操術で飼っている最硬の虹龍が奴に襲いかかるが、刀の呪具でそれを斬り裂いていく。
やはり、身体能力は半端じゃない。
動きを封殺しない限り殺すどころか攻撃すら当てられない。
「ねぇ?」
声が聞こえた。
女の声にしては不快さがある声が耳に入ってくる。その瞬間、空間は一瞬にして暗くなった。
「……!」
「荒夜君、君も攻撃をするな。奴が答えるまでな」
それは夏油が持つ仮想怨霊の一つ。
質問に答えるまでお互いに不可侵を強制する簡易領域。そして、質問の返答がない時の攻撃は不可能。第三者の介入も不可侵の強制を破れば、縛りと同じように
「わた、わタ、わたし、きれい?」
「あー、そうだな。ここはあえて」
不敵に笑いながら怨霊に告げる。
「趣味じゃねぇ」
その言葉に怨霊は血のついた糸切鋏を握りしめる。答えた事により不可視は終わり、怨霊の簡易領域は牙を剥く。伏黒甚爾の耳から血が流れ出す。糸切り鋏に斬られている。ギリギリと握りしめられた糸切り鋏に連動して周囲から見えない糸切り鋏に切り裂かれる。
「そういう感じね」
だが、それも通じない。
簡易領域内では見えない。見えるはずがないにも関わらず、巨大な糸切り鋏が四方から切り裂こうとしているのを、超人的な五感で感知し、『天逆鉾』で斬り落とす。
これが効かないのも予想範囲内、それでも一瞬だけ足を止める。ここで夏油さんが奴の背後で手を伸ばす。その様子に奴はため息をつく。
「終わりだな」
「オマエがな」
呪霊操術。
降伏した呪霊を自在に取り込める術式であり、二級以上の差があればほぼ無条件で取り込める。奴の武器庫とも呼べる纏わりついた呪霊は三級以下、それを取り込める。
だが、武器庫を押さえるよりも速く動ける甚爾の方が上だ。身体能力的に考えれば、夏油さんが負ける。武器庫を押さえてゴリ押しは悪くないが、相手が悪い。
だが、ここには俺がいる。
その瞬間を狙って、俺は太腿につけたホルスターから銃を取り出した。
「死ね」
奴が動き出すよりも早く、俺は発砲する。
この銃は弾丸の速さが黒閃によって更に加速する銃だ。時速八百キロの二.五乗。それが放たれた銃弾はどうなるか。発射された銃弾は空気抵抗の摩擦熱によって熱を帯び、赤く染まる。
「っっ!?」
奴が反応が出来なかった。
反応出来ずに僅かに見えた弾丸が通った熱の線。気が付けば纏わりつく呪霊ごと肩を撃ち抜かれていた。弾丸は貫通し燃え尽きている。
いくら身体能力が高くても、この銃から放たれる弾丸は向けられただけで致命的なのだ。弾丸は三十メートルくらいで燃え尽きるが、その威力は絶大。
しかし………
「(
反動がデカすぎる。
両手で使って呪力による身体強化をしても、その反動で腕にヒビが入るくらいの暴れん坊。本来なら中心を狙った筈なのに、位置がズレて肩を撃ち抜いている。至近距離でなければ当てるのに苦労する銃だ。
「いや、充分だ」
「っっ…!チッ!?」
その一瞬の混乱による停滞が、武器庫の呪霊を押さえるだけの隙を作った。本来なら弾かれる筈なのだが、呪霊も撃ち抜かれたせいか行動が遅れていたようだ。
「武器庫は奪った。後はゴリ押す!」
「っっ!待って!!」
その言葉を聞く前に夏油さんが大量の呪霊を呼び出す。確かに武器庫は押さえたが『天逆鉾』はまだ持っている。警戒しなければいけない中で、数による圧倒は一つの手だろう。
「チッ!」
幻灯の魔物に天内を護るように指示を出す。
武器庫が消えた今、此方が有利だと思うのは俺も理解している。だが、逆に言えば武器庫が消えた今、
落ち着け。伏黒甚爾ならどうする?
呪霊で姿が見えなくなった瞬間、超スピードで翻弄し姿を消すなら、狙いは天内かもしくは手数の多い夏油さんか俺を狙う。
天内に幻灯の魔物二体と呪霊達が守っている。
呪霊に重なって見えなくなる。呪力が感知出来ない上に、見失うほどのスピードで動ける奴はどう動くか、脳内で弾き出す。
「天内!!」
「えっ……?」
奴が狙うなら天内だ。
天内さえ攫って逃げた後に殺せば奴の目的は完遂する。
背後にいる天内に視線が行く。
そこには奴の姿があった。呪霊があっという間に祓われ、幻灯の魔物も一瞬にして切り裂かれた。『天逆鉾』は術式の強制解除、幻灯の魔物の本体である幻灯機が壊されていなくとも、解除されたせいで一時的に使用不能になる。
「まずっ……!」
奴が持つ『天逆鉾』が天内に向いた。
手慣れたような速さで突き刺そうとする。銃は間に合わないし、天内に当たりかねない。幻灯の魔物も一時的に使用不能。呪法も間に合わないし、巻き込んでしまう。
残された手は一つしかなかった。
「──領域展開!」
天内の下へ走りながら手を合わせ、瞬時に『創始再編式』を発動する。0.2秒で組み上げる領域展開。生得術式の具現化と術式の発動。本来二段階の工程を一つにまとめあげ、領域に閉じ込め、奴だけの肉体を分解する。
しかし……
「なんじゃこれは……!?」
「クソッ……!」
領域で囲う前に全力で跳躍し、逃げられる。
0.2秒だぞ?一体どんな反射神経すれば、領域を閉じる前に逃げる事が出来る?それに、領域展開を使ってしまった。最悪、天内を見捨ててでもチャンスを待つべきだったのに……
冷酷になりきれない自分に嫌気がさす。
動揺している天内に構っている暇はない。俺からすれば奴さえ殺せれば天内を見殺しにしても良かった筈なのに、見捨てる事なんて出来はしなかった。
どこまでも、甘い。
甘いから殺せるタイミングを失った。
だからといって、その中でも最大の力を発揮したにも関わらず通用しなかった事実に舌打ちする。
「化け物かよ……!」
単純にその一言に尽きる。
五条悟とは全く別種の最強に思わず舌を巻く。
しかも、夏油さんと一時的に領域で分離してしまった。天内を救う為とは言え、冷静な判断が出来ていなかった。
「ど、どうなって……」
「天内理子。もし、俺……私が死にかけて護る人間が居なくなったら助けてと叫べ。この子が暫くは護ってくれる」
「えっ……?」
「分かったなら返事!」
「え、あ…はい!」
幻灯の魔物を再起動させ、領域を解除して奴を探す。
夏油さんが居た場所に視線を向けると、素手で一方的に殴り続けている奴の姿があった。展開していた僅か七秒で夏油さんを一方的に殴っているなんて……
「夏油さん!!」
「逃げ──」
逃げろと言う言葉が届く前に奴の回し蹴りが夏油さんの顔面にモロに入る。殺すつもりはなかったようだが、夏油さんは完全に気を失っていた。気を失った夏油さんの次とばかりに狙いを定め、奴は俺に向かってきた。
「っっ…クソッ!!」
咄嗟に銃を構える。
領域展開後、肉体に刻まれた術式は焼き切れ一時的に使用困難になる。分解と構築の力場を張れないし、張ったところで『天逆鉾』で強制解除される。
体術は大人と子供の差だ。
接近戦は絶対に負ける、黒閃銃のタイミングを合わせて奴に当たると思ったその瞬間に発砲する。
「惜しかったな」
奴は更に体勢を低くして、それを躱す。
銃口から放たれる場所がバレて躱されてしまう。その直後、術式が使えるような感覚が戻ったがもう遅かった。
黒閃銃を撃った反動で致命的な隙を作ってしまった。体勢を立て直せず、伏黒甚爾の持つ『天逆鉾』は俺の心臓に突き刺さった。
★★★★★
活動報告にて最強募集してます。最強じゃなくても実用的だと思ったものでも構いません。
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