最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。 作:アステカのキャスター
二連勤が四連勤になった事実に泣いた。
腱鞘炎もあっておかげでだいぶ遅れてしまいました。すみませんでした。
ミミナナ編は完結です。次から日記に入ります。
今回少しシリアスかな?ではどうぞ。
ばあばが、目をあけなかった。
そのとき、わたしたちはこわくなった。ないて、たすけてとさけんだ。
ばあばはやさしかった。
パパとママがいなくなって、美々子と二人ぼっちだったわたしたちを育ててくれたのは、ばあばだった。
ばあばがいなかったら、わたしたちは生きていないかもしれない。
わたしたちはいつもいじめられていた。
わたしたちにはほかの人とちがうとくべつな力があった。ばあばは、それをだれかに言ってはダメだとわたしたちに言った。
そうしなければ、いじめられることよりひどいことになるかもしれないからと。
ばあばが、目をあけてくれない。
ゆすっても、ばあばはおきない。からだがつめたい、ふとんのなかにいるのに……
こわくなった。
こわくてだれかにたすけてほしかった。
どうすればいいか、なやんだときにおもいだした。
あの、ふしぎなおとこのこを。
あのおとこのこならばあばをたすけてくれる。そうおもって黒でんわをかけた。
すぐにいくときいたとき、ホッとした。
あのおとこのこがきてくれる。ないてるミミコをだきしめてわたしもふるえていた。
ドアをたたくおとがした。
おとこのこがきてくれた。そうおもってとびらをあけるとたくさんの大人たちだった。
手にくわやおのをもっている。
こわくてドアをしめてかぎをかけた。ぜったいにでるな。そういっていたおとこのこのことばのいみがわかった。
大人たちも、てきなのだ。
わたしたちがなきさけんでいるこえで、ばあばになにかあったことがわかって、みんながわたしたちをつめたい目でみていた。
バンバンとつよくたたかれるおとがした。
こわくて、おとこのこからもらったトランクケースをもっておしいれにかくれた。
「ナナコ……!こわい……!!」
「だいじょうぶ!あの人がきてくれるから!!」
ドアからものすごいおとがした。
ドアをこわそうとしている。美々子をだきしめながらかくれている。みつかったらどうなるかわからない。
がしゃんとおとがした。
ドアがこわれるおとがした。ろうかでギシギシとおとがきこえる。もう、ダメだとおもった。
だけど……
『もし、君たちが怖い目に遭った時は、このトランクケースを開きなさい』
そのことばをおもいだした。
おしいれのなかはくらくてみえないけど、さわってどこをはずせばいいのかをさがす。ガチャガチャとあせってあけるのにじかんがかかる。
おしいれのちかくでおとがきこえた。
手をかけられた。おしいれがひらく。それとどうじにトランクケースはひらいた。
わたしたちのめのまえがまっくらになった。
★★★★★★
私こと荒夜緋色は『幻灯の魔物《蒼鷹》』に乗って時速600キロで空の旅をしていた。正直な話、めちゃくちゃキツかったので口の中に入った。狭いけれど。空気抵抗とか尋常じゃない。なんならゴーグルが食い込むし、風が痛いと感じるレベルだった。
カッコつけて乗って進んでみたが、無理だ。
空気抵抗や風圧の力の分解も六分くらいしか使えないので口の中に入って進んでいる。エネルギー分の物資は持ってきたのでエネルギーが切れる事はないだろう。
「!……この反応」
二人が『幻灯の魔物《伽藍鳥》』を使ったのか。
村まであと数十キロの時に私が込めた呪力を感じた。幻灯の魔物は俺が込めた呪力によって発動したタイミングや位置が分かるようにマーキングしてある。
となると、何かあったな。
トランクケースを開かなければいけない状態になるほどの事があった。とは言え、室内で使ったっぽいな。その場から移動してないので、二人を咥えて守りに徹している。
「とにかく急がないとな」
スピードを限界まで上げて、空を駆け巡る。
これは戦闘用だから運ぶものではない。多少の風圧は分解を使いながら進んでいく。もうすぐ着くし出し惜しみは無しだ。
あとどうでもいい話なんだが、ペリカンの別名って伽藍鳥って言うんだぜ?
★★★★★
「ハァ……ハァ……着いた」
分解を四分以上続けていたせいか、呪力がかなり消費された。なんか思ってた以上に時間がかかった。最速で若干の風の被害を分解したまではいいが、それでも普通に時間がかかった。村まで辿り着けはしたが、かなり満身創痍な気がする。かなり疲れた。
「パック、念のため起きなさい」
「ふぁ〜い」
目に見える脅威としてはパックの力が最適解だろう。威嚇程度に攻撃を放つ事も念頭に入れ、あのお婆さんの家に向かうと、そこには多くの村の住民が家を取り囲んで武器を持っていた。
「……やっぱクソだな」
「ヒロ、顔」
「分かってる。けど、やっぱりいい気はしない」
「それには同感かな」
私が呪詛師なら皆殺しにしている。
とりあえず、二人が無事か調べる必要がある。トランクケースを閉じ、蒼鷹を引っ込める。
「あっ、おい……!近寄るな!何が起きるか」
「私の顔、もう忘れたのか?」
「あっ、貴方はこの前の……!」
村長っぽい人の声が上がる。
前回、異変が何処であったのかを教えてくれた人だ。この村の呪霊を祓ったのが一週間前だ。覚えているのは当然か。
「この事態は私が預かる。異論は?」
「こんな子供に……?」
指を鳴らすと、氷柱が地面に突き刺さる。
正直な話、思った以上にイラついているのだろう。パックもそれを察して氷柱を住人の前に落としている。
威嚇程度とはいえ、そんな現象が起きる異常を排除しようとする奴等には通用する。
ハッキリと分かるように告げた。
舐めるな、と。
「子供だからって甘く見ない方がいいよ。私、その気になれば世界を壊せるんだぜ?比喩抜きで」
「ひっ……!」
「怪奇には怪奇。呪いには呪い。それが理解できないと言うなら無知を恥じるんだね」
騒つく住民を退かせ、お婆さんの家に入る。
押し入れが大破している。『幻灯の魔物《伽藍鳥》』は翼で身を丸めて、二人を咥えて部屋に閉じこもっている。
二人を守る事と最悪の場合は連れ出して逃げるコマンドを打ち込んでいたおかげだろう。
「ありがとう。二人を守ってくれて」
身を丸めている伽藍鳥を撫でた。
伽藍鳥は口を開けて、気を失っている二人を吐き出し、トランクケースに戻っていく。
「二人は……大丈夫かな。怪我も無し。緊張と恐怖で意識を失ってるだけか。パック、二人を少し見ていてあげて」
「はーい」
もう一つの部屋の障子を開ける。
お婆さんは布団の中で安らかに眠っていた。脈は既にない。残念ながら亡くなっている。
「……」
無言で手を合わせ、目を瞑る。
死因は多分老衰だろう。この人はかなりの御高齢だったから、おそらく間違いはないだろう。呪術を使用された残穢は無し。二人が原因という事はあり得ない。
「黒電話か……。あんま使った事ないんだよなぁ」
なにせ使ったのが前世のガキの頃だ。
操作方法がうろ覚えだが、どうにかしてツボミさんに連絡を入れる。ガラケーだと繋がんない。固定電話しか使えないのでとりあえずうろ覚えの手順で番号を入れ、電話をかける。
普通にかかった。
前世の記憶も、捨てたもんじゃない。まあ、前世の記憶のほぼ九割がこの世界に影響を与えているとも思うが。
「あっ、もしもしツボミさん?荒夜です。こんな時間帯で悪いんですけど、一週間前に来た村に迎えに来てもらってもいいですか?……まあ色々あって、あと老衰による死亡ってどう対処すればいいですか?一応呪術関連じゃないけど、育ててた子が呪術師の才能があるし……あっ、こっちの業界で引き取れるの?んじゃ、すみませんがそっちの人の手配もお願いします」
ツボミさんに連絡し、黒電話を元に戻す。
よくよく考えれば、呪術界も暗黙の存在に近い。呪詛師を殺してもいいし、秘匿処刑を決められる。だから死体の扱いだったり、葬儀屋だったり此方側で引き取れるとのこと。
確かにこの業界、イカれているしな。
むしろイカれなきゃやっていけないレベルのドス黒さがあるわ。
「ヒロー、二人が目を覚ましそう」
「!」
パックの声に私は二人の所に向かう。
二人とも、目を覚ましそうだ。目の所が僅かながら動いている。……あっ、目を開けた。
「大丈夫かい?」
「……っ!」
近くにあった縄が飛んできて、首に巻き付く。
分解して防ぐが、もしかして美々子は防衛本能から無意識に呪術を制御出来てる?だとしたらかなりの逸材だ。
「待った待った私は味方だ。忘れちゃったかい?」
「あっ……その、ごめんなさい」
「……怪我はない?」
「う、うん」
「だいじょうぶ…ばあばは?」
ハッキリ言うべきではないだろう。
この二人はまだ子供だ。だけど、伝えなきゃ二人は納得しないだろう。
「……天国に逝った」
「「!」」
「君たちのせいじゃないよ。あの人は永くはなかった」
仕方のない事なのだ。
人はいずれ死ぬ。不変なんてものはありはしない。不死の力を持っていても変わらないものなどないのだ。
「……ハァ」
二人の頭を軽く自分の胸に置かせる。
訳が分からないようで困惑する二人の背中を摩り、声をかけた。こういうのはガラじゃない。年下の子供を慰める事なんてあまりやった事がない。
けど、それでもこうした方がいいと思い、二人を優しく抱きしめる。
「お婆さんが居なくなって、辛かった中でよく頑張ったな」
「……!」
「泣いていい。そういう涙は我慢しなくていい。我慢したら多分一生後悔する」
もし、あの時泣けなかったら。
「───
ずっと後悔していたと今でも思えるから。
大切な人がいなくなった悲しみに涙を流せない。それが一番辛くて、一生傷として残るくらい悲しい事だと知っているから。
二人は外に聞こえるくらいに俺の胸で泣き叫んだ。辛くて、いなくなってしまったお婆さんの事を想いながらただ泣いた。
★★★★★
泣き止んだ二人の前で私は聞いた。
お婆さんが死んだ今、聞くことではないのかもしれないが、それでも今後に関わる事だ。
「こんな事を今聞くべきではないけど、君たちはどうしたい?」
「どう……したい?」
「私は君達を保護する。この村から離れさせる事はしよう」
「!」
「ただそのあとだ。君達には二つ選択肢がある」
村から離れさせる事は出来る。
この村は腐っている。呪霊に殺されようが知った事ではないと言いたいくらいだ。
二人を助ける事は出来る。
だが、今後は?高専で生きたとしたら呪術師の道は避けられない。もしこの二人が普通の女の子として生きていく事を望んだなら……
「一つ、呪術を学び、呪霊を祓う呪術師になるか。もう一つは最低限の力だけを覚え、普通の女の子として生きていくか」
「……じゅじゅつし?」
「呪いを以って呪いを祓う人間の事さ。君たちも不思議な力がある事を自覚しているだろう?」
「「!」」
特に美々子の場合はそれが分かり易い。
視認した縄状の物質を自在に操れる術式。それを感情の発露によって行っている。
だけど、この二人が呪術師になってほしいと言うのは私の我儘だ。二人には素質があるからといって二人に生き方を強要するのは違う。ここは原作の世界でも、ここに生きている人たちは紛れもなく人間なのだ。
「死ぬ可能性もある。だから強制なんてしない」
「……わたしたちは、どうなるの?」
「まだ考えてない。高専に引き取られるか、私の家族に頼んで一緒に住むか検討はしてみる」
いや、もしかしたら天内とか引き取ってもらえるか?女の子だし、妹が出来るとなれば喜んで引き取りそうだと考えていると、菜々子が小さく呟くように答えた。
「……なる」
「ん?」
「じゅじゅつしになる」
「ミミコもその、じゅじゅつしになる」
「……危険だよ?怖い事だってある」
「けど、こんなばしょよりマシ」
「うん」
二人の目は本気だった。
呪術師になりたいと二人の口から言われた以上、何も反対することはない。
……私に出来るだろうか。
二人を助けた。あとは導く事だ。そんな事が自分に出来るかどうか不安だったが、パックが肉球を押し当て、「大丈夫だよ君なら」と言ってくれた。
「そっか……分かった」
どうせ
再び、私は黒電話を弄り始めた。
また家族会議になりそうだ。これからの二人の未来について、電話越しで話し始めた。
その後、補助監督とお婆さんの亡骸を引き取ってくれる業者の人達が迅速に対応し、二人を引き取る事も了承した。呪われているなら此方で対処いたしますと話すと喜んで了承した。
呪術師の才能があるだけだ。呪霊の被害とは全く関係ないし、なんなら呪霊を祓う力を手放した村の連中を内心で嘲笑いながら、村を出ていく。
二人を荒夜家で引き取る事にした。
両親は事情を聞くと快く引き受けてくれた。美々子と菜々子は自分の一個下、夏油さんが救うはずだった二人の未来を奪ってしまったのかもしれない。
けど、これで良かったのかもしれない。
原作だろうと、ここで生きているのだ。未来をアテにし過ぎてしまえば、誰かが死ぬかもしれない未来が訪れる事だってある。
原作とか関係ない。夏油さんが闇堕ちしないからとかそんな打算的な事は今は微塵にも思っていない。二人に生きてほしいと自分から思えているから。だから、後悔はない。
「……これで良かったかな?センセー」
ただ、虚空にそう呟いた。
未来なんて分からなくていい。目の前にいる人間を救える人間として、この世界を生きていければいい。
これが救済なんて思ってない。
目の前にいる人を救えるなら救う。
助けたいと思った自分を偽らない。
原作なんて関係なく、そう思えた事に少しだけ自分を赦せる気がした。
結局は自己満足。
救えるから救いたいと思うし、原作の流れ的に死んだ方がいいとか無視した方がいいとか、そんな甘い考えは止めた。
未来が分かろうが、分からなかろうが、自分の精一杯をやってみるだけ。それが荒夜緋色が選択した生き方だ。
だから、これは救済ではない。
自分が選択した我儘と自己満足なのだ。
まあ、なんでカッコつけているが、結果救いに変わりはないのだが……自己評価がだいぶ低い荒夜くんでした。
★★★★★
活動報告にて最強募集してます。最強じゃなくても実用的だと思ったものでも構いません。
良かったら感想評価お願い致します。
あと、エイプリルフール企画、いる?
一応活動報告に欲しい人がどんな形で書いてほしいか乗せておきます。リクエストが多ければ書きたいと思います。
ミミナナの荒夜の呼び方どうする?
-
緋色様
-
ヒロ兄(さん)
-
お兄ちゃん
-
お兄様