最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。   作:アステカのキャスター

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一週間が経ってしまった。
マジで大学が始まった。つらたんです。毎日登校はしんどいって。とりあえず頑張って書いていきます。では行こう。


二十四

 

 

 

 

○月○日 晴れ

 

電話が来た。

五条さんと硝子さんに、声を震わせながら『人形に欲情する腐ったみかん(笑)』について聞かれた。その通りだと答えたら電話越しで大爆笑の声が聞こえた。腹筋が死亡したらしい。

 

完全に誤解であるがあながち間違いではない。

私が創る完璧な人間の模造呪骸は、人間と遜色ないから考えようによっては次世代で相伝を100%受け継げる呪骸も創れなくはないのだ。いや絶対に創らないけど。

 

確実とはいかないが、高確率で相伝を継げる子供が出来る呪骸は創れても腐ったみかんに渡すのはハッキリ言ってなんか嫌だ。

 

昨日から呼び出しの後の任務が多過ぎて(うるる)、美々子、菜々子に構ってあげられなかったので、今日は三人にめっちゃかまってあげた。具体的にはみんなでフルーツサンドを作って食べた。平和である。

 

 

 

○月☆日 雨

 

美々子がぬいぐるみが欲しいというので創ってあげた。綿を詰めて形にした簡単に出来るウサギのぬいぐるみを作ったら、菜々子も欲しいとのことで菜々子にはペンギンのぬいぐるみを作った。

 

人生二週目とは言え料理出来て家事も出来て裁縫も出来るって地味にすごくない?案外、私は女子力が高いのかもしれない。

 

それはさておき、二人が寝静まった中で私は明日、何を試そうか考えていた。

 

式神はどうだろう?

呪術師の中で術式無しでも使えるものが結界術と式神だ。ただ、とてもマイナーらしい。何故か。

 

弱いからだ。

式神の大体は紙を媒体に使うことが出来る。紙にどのような形で召喚したいかを描き、呪力を消費して顕現させる。これが基本である。

 

理由が二つ。

一つは紙に描く手間が多いのに式神自体が弱いからだ。式神をメインとして使えるのは禪院の相伝くらいだ。大体はサポ専である。労力に見合わない。

二つ、媒体が紙だから脆い。呪力で殴っただけでも消滅する可能性があり、媒体の紙が破ければ消え、二度と使えない。

 

改めて考えると禪院の相伝って凄いな。

影を媒体に十の種類それぞれに術式が刻まれている。帯電する翼を持つ鵺や、舌を自在に伸ばす蝦蟇、撹乱の脱兎、鋭い牙と爪を持つ玉犬、敵を喰らう大蛇、大量の水を吐き出す満象、そしてあらゆる事象の適応を有する最強の式神、魔虚羅。

 

あと3体はいるらしいが、式神をメインに戦えるのは十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)くらいだろう。

 

他の式神と違うのはそれぞれの式神に術式が刻まれている部分だ。死んだ式神は他の式神に引き継げるし、他の式神と組み合わせも可能。

 

現在やらなければいけない呪霊の弱体化を実現する装置の研究。その前に判断材料として術師として出来る限界を見出す事。反転術式のように負を正に変えられる存在は少ない。呪骸で唯一成功しているのは(うるる)のみ。それが式神で生み出せれるかどうか確かめる。

 

明日はそれを研究していこう。

 

 

 

○月$日 晴れ

 

式神については昔、センセーに教えてもらった。

あくまでメインとして戦う事は出来ないし、弱い代わりに生得術式を持っていない術師でも出来る。

 

あくまで、呼び出す為に必要なのは媒体と印、呪力さえあれば簡易的なものなら誰でも出来る。

 

印とそれを支える術式。

これは結界術に似ているが、想像の具象化に近い為、根本は大分違う。想像の形を術式に直すのは難しい。構築術式がある私は、その理解があるから難しいというほどではないが、人寄りにする為に細かく術式を紙に描き、式神を生み出す。

 

 

……出てきたのは幼女だった。狐耳が生えた全裸の幼女だ。

 

事案である。

正確に言うなら式神を連想しやすいのが狐だったのもあり、想像の具現として生まれたのだろう。しかも服がない全裸で召喚されていた。お巡りさん私です。慌てて式神を解除した。

 

良かった、研究所の自室でやっておいて。

イメージを具象化する。半端なイメージだと掛け合わされたみたいになると思わなかった。

 

アレが私の性癖ではないからな!断じて!!!

 

 

 

○月@日 晴れ

 

式神について考えたのだが、わざわざ具象化しなくてもいいんじゃないかと言う結論に辿りついた。

 

理由が二つ、式神はどうやっても感情を持たない。

あくまで刻まれた命令に忠実である。だから回避なども出来ない。操るとなれば生得術式が絡んでくる。それを考えると、自立して主を護る禪院の相伝の規格外さが身に染みて分かった。

 

もう一つがわざわざ具象化するよりも、媒体のままでいいから術式を発動出来た方が速い。式神の分身とかは面白いが、それ以外だとあまり使い道がない。

 

なので、ヒトガタの符を生み出して大量に操れる術式と、自分を通して遠隔で術式が使えるかを試してみよう。遠隔発動はメロンパンが使えていたから、私にも出来ない道理はない。

 

だが、操る術式となれば操術系統の基盤を調べ、式神にあったものを創らなければいけない。生得術式を一から構築した事はない。それも兼ねて、先ずは操術系統を調べ尽くす事から始めよう。

 

 

 

○月♪日 晴れ

 

調べる前に連絡があった。

灰原さんが重傷らしい。産土神信仰の土地神にやられ、引き継ぎを私に任された。直ぐに土地神を殺した後に灰原さんの所へ向かう。

 

纏帳(まといとばり)』は壊れてしまったが、それがあったおかげで死ななかった。とは言え、脳の一部は損傷、左腕は喰われたらしい。脳はどうしようもないが、左腕だけなら呪力の再構築で元に戻す事が出来た。

 

ただ、七海さんがドン引きしていた。

腕が再び生えた事に流石に現実を受け止めきれなかったようだ。

 

脳に関しては下手に手を出せないので残念ながら今は難しい。呪力操作の一部が上手くいかなくなってしまったようで、呪術師は引退だろう。それでも前向きに補助監督をやるつもりらしい。

 

どうにかして治してあげたいが、呪力で脳を用意するのと、再構築では訳が違う。生み出す方は願望に沿って生み出せても、再構築は構築しようとしたものを知らなければ欠陥が起きる可能性があるから、危険過ぎる。流石に命懸けになるなら出来ない。命を任されられない。

 

七海さんもかなり疲弊しているようだ。

呪術師の闇を垣間見たような事で、呪術師として在り続けるのが嫌になったようだ。困った事があったら相談に乗ると言ったが、一度この場所から離れるだろう。

 

SAN値直葬はキツいよな。

分かるわ、私なら発狂して泣き叫んでいるし。

 

 

 

○月☆日 晴れ

 

私の研究所にお客さんがやってきた。

なんとメカ丸である。原作前の邂逅早過ぎねぇ?と思いながら、(うるる)に美々子と菜々子を連れて別部屋まで行ってもらった後に、要件を聞いた。

 

どうやら、天与呪縛をどうにかしたいらしい。

この時のメカ丸。本名、与幸吉(むたこうきち)は私と同い年で既に呪術師の素養を受けているが、この肉体が忌々しいようだ。

 

つーか、上の情報が漏れてんじゃん。

情報漏洩訴えてやろうか。メカ丸が目をつけたのは完璧な人型呪骸。それを創れるなら、自分の肉体をどうにか出来る可能性があるのではないかと、全国にばら撒かれた傀儡を操り、この場所まで辿り着いたらしい。

 

まあそれなりに報酬がデカい。

傀儡操術の基盤と機械をメインにした呪骸を知れるし、スパイをする心配もなくなるし、結構報酬がいい。

 

と言う訳で、忙しいが依頼を受ける事にした。

 

 

 

○月€日 曇り

 

本体に会うために京都に行った。

美々子と菜々子も特別に連れていった。終わったら京都巡りをするつもりらしい。とりあえず、二人には会わせると悲鳴をあげそうなので、パックに見てもらい、私は本体と会って天与呪縛について調べた。

 

伏黒パパの天与呪縛からある程度は理解している。センセーの予想は未だに分からない。神という存在が強制的に縛りを設けているのかは分からなかったが、代償のある強化が天与呪縛だ。

 

魂を構成するのは大体4つ。

身体の情報、記憶の情報、人格の情報、そして呪力の情報だ。これが大体の構成の基本だ。その中心に核が存在する。

 

伏黒パパの場合は呪力の情報がない代わりに魂に付随する身体の情報が凄まじかった。なんなら魂の核より付随した身体の情報が大きかった。オガミ婆の失敗の理由も身体の情報が核より大きかったから、魂が肉体に負けるということになったのだ。

 

与幸吉の天与呪縛は逆。

身体の情報に欠陥がある代わりに呪力の情報が凄まじい。これを下手に治そうとすれば呪術師としてはかなり弱い。本来の呪力量は三級術師以下だ。一週間の間に、どうするべきか考えた。

 

因みに京都巡りの時に八つ橋の試食が多くてご飯食べれなくなった美々子と菜々子が母さんに怒られていた。

 

 

 

○月※日 晴れ

 

とりあえず、実験をしてもらった。

傀儡操術は(うるる)やパックを操る事が出来るのか。

 

結果は無理だった。

二人は既に呪骸としては全く別の存在。生きている人間や生物に変わりはないとの事だ。つまりだ。天与呪縛のまま完璧な人間呪骸に入れても、自分の肉体を操る事が出来ない訳だ。

 

となると……考え方を変えるべきか。

 

 

 

 

○月〒日 

 

 

 

 

○月%日 晴れ

 

思い付いた。

これなら上手くいくはずだ。だがその為に必要なモノを揃えるのに時間がかかる。かなり大掛かりなプロジェクトだ。念入りに事を調べて、実行するのに一週間以上かかる。

 

ムタ丸は一ヶ月でも構わないと言ってくれた。助かる。美々子や菜々子にかまわなきゃいけない時間があるし。

 

ムタ丸……プッww。変にツボった。

 

 

 

○月☆日 晴れ

 

任務と研究との板挟みに流石に疲労がデカい。

今日は休もう。ある程度の判断材料は揃った訳だし。つーか、夏休みの宿題の自由研究が面倒くさい。いっそ完璧な人間呪骸を記してやろうか、ノーベル超えて世界が卒倒しそうだからしないけど。

 

普通にミミナナに創った人形の事を記録しておこう。

 

 

 

○月★日 晴れ

 

出来た。これなら上手く行くはず。

流石に命懸けな部分はあるが八割は成功する。さて、ムタ丸くんの所に行き、私と助手の(うるる)と一緒にムタ丸をムタ吉に変えてやろう。

 

結果、肉体を得た事に泣き叫ばれた。

まだ所々幻痛があるようだが、天与呪縛と普通の肉体の両立に成功したのである。

 

良かったね!これでむたみわのカップリングが見れるぜ!!

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 上層部から流れた噂を耳にした。

 完璧な人型呪骸を創れる人間が存在すると。

 

 俺の肉体は天与呪縛によって脆い皮膚、膝から下の肉体と右腕が存在せず、腰から下の感覚は無い。その代わりに広大な術式範囲と実力以上の呪力出力を得る事が出来る。

 

 正直、呪術を捨てて肉体を元に戻せるならそうしたい。だから俺はその完璧な人型呪骸が創れる人間について調べた。

 

 驚く事に既に呪術師であり特級持ち。

 特級呪術師の九十九の弟子であり、呪術界に革命を齎した男としてかなり有名だった。

 

 俺はすぐにその男を探した。

 研究所に辿り着き、どうにか出来ないかを聞いてみると、時間さえ有れば出来ると、依頼を引き受けてくれた。一ヵ月でなんとかしてみせると言われ、その言葉に俺は期待していた。

 

 

 そして今日、この日俺の肉体をどうにかしてくれるらしい。

 

 

「出来たぞー」

 

 

 めっちゃ苦労したようだ。顔がやつれていた。

 俺の人型呪骸が完成した。魂から身体の情報を読み取るのはしんどいらしく、天与呪縛のせいで、ただでさえ欠落した部分が多いのに、肉体を完璧に生み出すのは難し過ぎたと愚痴っていた。

 

 

「始めるぞ。覚悟はいいか?」

「ああ……」

 

 

 天与呪縛に縛られた身体を人型呪骸に書き換えられていく。

 

 荒夜曰く、この身体を書き換える行為は()漿()()から取ったものだ。星漿体本人からその性質についての研究に協力してもらい、肉体を書き換えるという力の再現が出来ないかどうか色々試していたようだ。

 

 星漿体について調べた結果、ある程度の事が分かった。魂が拒絶反応を起こさなければ、星漿体として機能する。つまりは天元の魂に合う肉体が星漿体と言う事だ。その同化の術式は荒夜が使える再構築の術式と似ている。

 

 流石に死体や魂のない存在では不可能。死んだ時は星漿体としては機能出来ない。生み出した所で同化は不可能。

 

 なので、そこは呪核を用いた。

 荒夜が生み出した人型呪骸の(うるる)は呪核を用いて生み出された存在。魂が無い存在だが、魂に似た擬似霊魂とでも言えばいいのか。それが存在する。

 

 魂の拒絶反応が起きないように知れた魂の情報を莫大な呪力で生み出し、限りなく近い魂のコピー、擬似霊魂を生み出せたらしい。

 

 つまり、生きた呪骸に俺の魂を入れ、肉体を書き換えた後に再構築する。天元の同化の原理を利用した肉体の書き換え。莫大な呪力は俺を縛った天与呪縛の分から肩代わりし、身体が完全に書き変わった。

 

 目を開けると、全身に力が溢れている。

 本来無かった感覚が存在し、起き上がると自分の手を何度も確認する。自分の皮膚の痛みも、腰から下の感覚もちゃんと存在する。それを確認すると、荒夜は俺に問うた。

 

 

「……おはようムタ吉くん。気分はどうだい?」

「……っ!これは…本当に最高だ……!!」

「それは良かった」

 

 

 号泣した。

 今感じている幻痛も皮膚の痛みに比べればマシだ。それから色々検査したが、五感の不具合は無し、食欲、睡眠欲、性欲もちゃんとある。睡眠薬や媚薬でそれは検証した。涙目になって尊厳が傷付いた以外は問題なかった。

 

 

「しかし、天与呪縛による範囲は失われたようだな」

「ああ、それなら問題ないよ」

「はっ?」

 

 

 俺の額に触れ、呪力を流し込まれると驚愕した。右腕と腰から下の感覚が全く無い。その事実に驚愕して叫ぶ。またあの時のようになってしまったのか、その恐怖に焦りを抱いた。

 

 

「なっ……!?何をした!?」

「落ち着いて、今から説明するから」

 

 

 再び呪力操作で額に触れると感覚が戻る。

 この男の呪力操作だけなら、他の術師と格が違う。他人の身体に触れてさえすれば、他人の身体の呪力を自分の呪力のように操作出来るらしい。

 

 

「今、私は君の身体のスイッチを切り替えた」

「スイッチ?まさかこの身体、半分が機械……!」

「そんな訳あるか」

 

 

 流石にそれは無いらしい。

 本当に機械だったらそれもそれだ。感覚がちゃんとあるのに機械と言われたらそれこそ卒倒していたかもしれない。

 

 

「一部のみ私が改良しただけだ。今の状態で傀儡操術がどれくらいの範囲か調べてくれ」

 

 

 身体の一部を改造した。

 人間の機能はそのままだ。身体の一部にあるモノを埋め込んだらしい。俺は全国に存在する傀儡を操作し始める。

 

 

「……範囲は大分小さくなったが、出力はあまり変わりはない。どう言う事だ?」

「天与呪縛は傀儡操術の範囲や呪力出力の底上げだ。まあ皮膚と腕については完全に修復したから天与呪縛が少し弱くなったが、足に関しては感覚を失う事によって天与呪縛は機能出来るようにした」

「はっ?」

 

 

 言っている意味が分からなかった。

 荒夜が言うには俺の身体に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。言ってしまえば天与呪縛は魂の欠損だ。その欠損を補えるモノで魂を正常にさせる。言ってしまえば足りない部分にパズルのピースを埋めたようなモノだと。

 

 

「君の魂は本来の魂と擬似霊魂で繋いでいる。それを切り離せば天与呪縛と同じ事が可能になると言う事だ。スイッチをオンにすれば動けるが、天与呪縛無しだと呪術師としては脆弱だ。スイッチを切れば、動けなくなるが天与呪縛と同じ事が出来る訳だ」

「!!!」

 

 

 呪核による擬似霊魂を本来の魂と繋げる。

 その実現が可能なおかげで下半身や腕が動くのだが、それを切り離せば、下半身は動かない代わりに天与呪縛の時と同じ事が出来る。ただし、腕、皮膚、肉体そのものを戻した為、範囲は日本全域から大分狭くなったが。体感的に多分北海道くらいの距離になった。

 

 天与呪縛はあくまで代償があるからこそ、そして代償の多さによって強い縛りが発生する。代償が少なくなったせいで術式範囲は小さくなってしまった。肉体があっても、魂がかけた状態だからこそ呪縛が発生するなら、肉体があっても魂を切り離す事でかけた状態を再現すれば、天与呪縛は失われないと考えたらしい。

 

 縛りがないと大した呪力を持っていない。三級くらいの呪力だったので、天与呪縛がないと戦力にならないらしい。俺の呪力量は大した量ではない。だから()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()

 

 ただし、呪核に必要な呪力も自己補完の範疇だから、動いている間は殆ど呪術を使用出来ない。

 

 

「どうだい?ご要望に沿った形にしたが」

「充分過ぎる。呪術師をやめて家を出る事も覚悟していたが、これなら問題なく呪術師を続けられる」

「そりゃあ良かった」

 

 

 範囲こそ以前より狭くなり、操れる呪骸も多くはないが、全長で北海道全域くらいの範囲はある。呪力出力は若干減っているが、その程度だ。それに見合った代償は覚悟していた。

 

 けど、これは充分過ぎる。

 呪術師としても人間としても存在出来る。片方を捨てなければいけないなんて事がない。

 

 

「報酬は傀儡操術と機械型呪骸についてだが、それでいいのか?充分過ぎるモノをもらったのに」

「私にとっちゃ充分な報酬さ。まあ、あとは今後手を貸してくれたら助かるかな」

「それは約束しよう」

 

 

 普段は歩く事が出来るようになった。

 太陽の光を浴びると何とも心地いい感覚に見舞われた。太陽の光が痛くない。汗をかいても肌に染みない。

 

 涙が溢れて感動の余韻に浸っていた。

 俺は、遂にまともな肉体を手にする事が出来たのだと。

 

 

 

 

 

 

 

「そういや聞き忘れた。どんな女がタイプだい?」

「……はっ?……いや、俺は……」

「判断が遅い」

「へぶっ!?」

 

 

 何故か唐突に殴られた。

 男なら即答しやがれと無理難題を言ってきた荒夜の流石の理不尽さに、流れていた涙が引っ込んだ。

 

 

 




『与幸吉の身体』
・通常時
→呪力が自己保管の範疇で呪核に回している為、呪術の使用不可。

・天与呪縛
→身体の欠損を直してしまったので範囲は北海道より少し小さくなった。本来の天与呪縛による呪力出力二割減。術式の使用中、本人の腰から下の感覚はない為、動けない。

 肉体を書き換える星漿体から参考し、性質や共通点を調べ、生きた人型呪骸と同化する事で肉体の情報を書き換え、再構築するという方法で上手くいった。因みに死んだらスイッチが入る蒼崎橙子の人形のようにはいかない。死んだ後の魂の核をどうやって条件起動で人形に入れるようにするかを現在模索中。
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