最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。 作:アステカのキャスター
一年くらいのお待たせ、合宿終わって課題が全部終わったら暫く暇になるから、それまで少し待って。とりあえず、乙骨前の寄り道を書いていくぜ。では行こう。
○月○日 快晴である。
いえーい、いよいよ高一だぜ!
転生してから長かった。なんなら面倒くさかったぜ、この道のりが濃すぎてもう前が見えねえ(泣)
俺は京都校の方に所属する事になった。
理由は三つ。禪院家の繋がりを持っている今、私は京都に近い方がいいとの事。まあ、家から近い方がいいし、今の私なら家から京都校まで余裕だぜ。まあ流石に寮に住むけど。孫悟飯じゃあるまいし。
二つ目が、単純に上の命令。
特級が二人も東京に居るのはあまり頂けないらしい。五条悟が最強ならば、私の場合は万能だし。集約させると不味いと上が察したのだろう。まあ無視しても良かったが、弟子が多いのは京都校の方だし。
三つ目が、これはさっき書いたが、弟子と真依の為でもある。
最近、私は二人の全く同一の性能を持った存在と融合させる事で対極、陰と陽に天与呪縛を組み替えた。本来の力を取り戻したとはいかない。当然ながら完璧ではないが、伏黒パパの再来が出来上がり、真希に関してはあっちで独壇場だろう。
だが、真依は別だ。
特に私と同じ構築術式はそれだけの価値がある。今の使い方で腐ってしまえば、いずれ悲惨な目に遭う。価値があるならば磨かなければ自分の居場所を守る事は出来ない。だから使い方の先駆者としては私が教えた方が的確なのだ。あと、東堂が何するか分からないし。
俺の制服は白である。
特級って白服なんだな。そこまで詳しくは知らなかった。って五条さん勝手に改造してやがった。デザインにちょっと凝ったらしい。何してくれたんだあの人。
……なかなか悪くない。デリカシーがないくせに地味にセンスがあるのが腹立つ。
○月☆日 晴れ
歌姫先生が担任である。
同級生の紹介もあったが、三輪以外は見知った顔なので面白みもない。現在二年の加茂憲紀と魔女箒の西宮桃とも合流である。
早速加茂さんと戦ったが、圧勝。
術式無しで戦ってコレか。あかんな。単純に弱い。解釈が狭すぎて術式自体が上手く発揮出来ていない。まず、血液パックを使えよ。常識に捉われない事こそ強みだ。どこまで解釈を広げられるかの把握が出来てないのは致命的だ。
東堂とお互い術式無しで戦ったが、危なかった。
三発貰った。東堂の奴、
この後みんなで焼肉パーティーに行った。
○月*日 晴れ
カレーうどんを溢した。白なのに。ちくせう。
○月♪日 雨
真依の反転術式が漸く形になってきた。
入学前の半年から続けて漸く掴みかけてきた。まあ七割といったところか。
あと、三輪は術式をもたないので戦い方に工夫させるようにした。簡易的とは言え式神の使い方を教えた。
○月$日 雨
任務と呪具創りで疲れた。
特に退魔の剣が漸く完成したのだ。アレめちゃくちゃ大変だ。正の呪力を止める為に負の呪力の形を色々変えなければいけない。前は三ヶ月、今回は二ヶ月半と少しずつ早くなったが、極力創りたくない。これで三振り目だ。一つは私が持ち、二つ目は禪院家、三振り目はーー〜〜〜(疲れて寝落ち、此処で日記は途切れている)
○月%日 雨
腰めっちゃ痛え。
力尽きたとはいえちゃんとベッドで寝るべきだった。
○月◎日 晴れ
授業中に五条さんから電話がかかってきた。
力を貸してほしいとの事だ。一応二つ返事で私は東京に向かった。授業を早退し、私は東京に向かった。サボりで歌姫先生がめっちゃ怒ってたけど。
あの人外国に行くからちょっと任せてほしい案件があるらしく、聞いてみると伏黒恵に呪術を教えてほしいらしい。
おい、私最近忙しいんだぞ。
普通に緊急だと思ってサボっちまったじゃないか、歌姫先生に謝れ。
○月♡日 晴れ
うん。分かってはいたんだが、センスがいい。
玉犬は元々あるから。今の手持ちとしては脱兎、蝦蟇は調伏している。戦闘ができる鵺、大蛇はまだ習得していない。呪力操作的にその二体を調伏するのは先の話になりそうた。
だが、まだ気性が荒いな。
こんな女っぽい奴に教えを請うのかよ、と抜かしてきたので呪力無しで思いっきり殴った。仕方ねえだろ、髪は願掛けで伸ばして、子供の頃から絶えず呪力を張り巡らせているせいか、紫外線が遮られているのかもしれない。紫外線のカットで色素が大分薄くなって、肌が他の人より少し白くて、筋肉がつきにくく、中性的な顔立ちになってしまったのだし。
そのせいか、偶にナンパされる。男に。
……髪、切ろうかな。センセー。
○月☆日 雨
家入さんに久しぶりに会った。
入学祝いという事で焼肉奢ってもらった。
○月★日 晴れ
歌姫先生に近くの任務を融通してもらって埼玉付近の任務は片っ端から終わらせた後、恵から連絡があった。
津美紀が何処に行ったか知らないか、と。
まさかと思い、鯉ノ口峡谷八十八橋へ向かった。
もしかしたら、アイツがいる可能性を考え、術式で超加速して。
そこにいたのは奴ではなかった。
……原作にも載っていない、私の知らない特級呪霊だった。
★★★★★
「ギリギリセーフ、と言った方がいいのかな」
流石に長距離の瞬間移動は負担が大きい。
重力に空気抵抗を分解し、理論的に光の速度まで加速出来るが、まさか新潟から埼玉まで約十秒の高速移動は幾ら負荷を分解出来ても、平衡感覚が少し乱れる。移動中は空気も吸えないからそれなりに制限速度を決めていたが、それを大分超過した。頭が少し痛い。
帳が張られている。
非術師を通さないタイプで強度はそこそこだ。俺は関係なく通れるようだけど。森の中に居るのか、呪力感知で一般人を探せない。一つ膨大な呪力が一つ。それ以外は分からない。
「!」
かなり呪いの気配が強い。
先に祓った方がいいな。被害が増え続ける中で見つけて保護して一々助けるより、元凶を祓った方が早い。そうすれば帳も消えるはず。
「となると、あっちか」
片手にトランクケースを開け、私は瞬間移動で呪いの元凶の場所まで飛ぶ。そこに居たのは、片方の友達を抱えて怯えている伏黒津美紀と、麒麟の頭と紫の肌をした私の見た事のない呪霊だった。
★★★★★
怖い、今までそう思った事は少なからずはある。
けど、そのどれにも比べ物にならないくらいの圧倒的な恐怖が私の足を動かしていた。私は運動部ではないのに今だけは陸上部に負けないんじゃないかってくらいに走れている。友達を抱えながら、火事場の馬鹿力を発揮しているみたいだ。
「はあ、はあ、はあ!!」
友達の意識が戻らない。
私の隣にいた友達が、何が起きたかも分からずに倒れた。恐怖を与えてくる存在は遊興といって私達をワザと逃していた。黒い壁に囲まれて外には出れず、ただひたすら逃げ回っている。逃げる場所など、どこにもないのに。
「ほらほら死んじまうぞォ?」
「はあ、はあっ!!きゃっ!?」
根本に躓いて気を失っている友達と共に私は倒れた。
「っ、うっ……」
膝を擦りむいて血が流れる。
身体も泥に塗れて、身体中が痛い。勢いがあり過ぎて傷も深い。走り過ぎて気を失いそう。早く、逃げないと……!
「まッ、遊興にしては楽しめたか」
再び友達を抱えて走り出す。
痛くて動けないのを無理して走り出し、痛くてもそれ以上に怖い存在から必死に逃げ続ける。飽きられた以上、手加減などしてもくれないだろう。生かされて遊ばれていただけだ。誰か助けて、と必死に叫んでもこの黒い壁に囲まれた場所じゃ助けも呼べない。
「んじャ、もう死ね」
右手が此方に向く。
触れられたら死ぬ。本能がそれを悟って私は友達を強く抱きしめた。
–––––瞬間。
何かが私の横を通り過ぎた。それを躱したのか、私から離れて、横切った存在を見た後、視線を私から何かが出てきたその方向へと向ける。私もつられて、その方向に顔が向く。
そこに居たのは、中性的で髪が長く、黒い厚底ブーツと黒いズボン、白服に黒い帯のようなものが巻かれて何処か昔の人の服を連想させられる人がそこに現れた。
「間に合った。ギリギリと言ったところかな」
大丈夫かい? そう聞かれて私は身体の力が抜けた。まだ怖い、まだ怖いけれど、女の人、いや声色からしたら男の人の言葉に私は少しだけ安心した。私に手を翳すと傷が癒えていく。これって、五条さんみたいな呪術の力?
「あまり、私から離れないで」
「は、はい!」
何処か五条さんを思い出させる。
この人を知らないし、安全である確証もないのに、何故か私は安心出来ていた。
★★★★★
初めて見る呪霊だ。
麒麟の頭に紫の肌、大きさは私より少し大きめか?漏瑚や花御、陀艮といった特級仮想呪霊とは別モノか?それとも呪物の受肉?いや、後者の線は薄いか。この周辺からそこまで呪力を感知出来ない。私はこの場所に
「帳の侵入者は何となく知ッてたが、お前か」
「……へえ、喋れんのか」
コイツ、特級仮想呪霊か。
見た感じ、麒麟頭だが感知出来る呪力量はかなりの物だ。帳をコイツが下ろしている。感知されないために帳を下ろしているのか。まあ、このタイプを殺せる術師は少ないだろう。一級では手に余る。
「アレ、は、何なんですか?」
「呪霊。君は伏黒君か五条さんに聞いた事はあるんじゃないか?」
「呪霊じャねえ。俺は
「呪霊のクセに知性ありとは恐れ入るな。初めて会ったタイプだ」
その言葉にカチンと来たのか、思った以上に反論してくる。
「テメェら人間は俺らを呪霊呪霊ッて言う。俺達には名前があるんだ!呪霊呪霊ッて、クソくだらねえ!テメェらもただの畜生のくせしてよォ!!」
「畜生はテメェらだろ。っと、議論しても平行線だな」
この議論に意味はない。
呪霊は呪霊、人間は人間だ。それ以上、それ以下もない。互いに呪い合うしか出来ない以上、議論しても無意味だ。
トランクケースが開くとバラバラと式神の符が展開され、右手には黒閃銃、もとい特級呪具『黒雷』を握る。正直、出し惜しみは無しだ。
「お前はここで祓う」
「やッてみろ。糞餓鬼がァ!!」
成る程、雷の恐怖は薄いと思っていたが、実在するものだ。昔はそれを天罰や、神の裁きと呼ぶ程に恐れられたものだ。飛んできた電撃を私は今まで通り分解する。
しかし……
「……っ!?」
一瞬、
何が起きたか理解できず、符を爆散させて煙を生み出し、その場から津美紀達を抱えて遠退く。痺れ、身体に帯電する電気は分解するが、ほんの一瞬とはいえ、私に術式が当たった。火傷を反転術式で回復し、考察する。
「(……そうか、電撃の場合だと呪力膜に触れてオートで虚式膜を展開する自動発動より先に術式を食らっちまうのか)」
稲妻は大体秒速約200km~10万kmと言われている。虚式膜を張っている間は問題ないが、私は五条さんのように無下限を出しっぱにするように虚式膜を貼り続ける事は出来ない。私は0.1ミリ単位の呪力膜を張って、危険が膜に触れた瞬間に虚式膜に切り替える事で、リソースの最小化、無下限のように術式の自動発動を可能としているが、それでは遅い。
とはいえ、体内の帯電の分解こそ出来たが、人間はそこまで大きい電圧に耐えれない。下手に喰らえば神経がイカれて動かなくなる。身体の電気信号のバグ、身体の血液から帯電し、器官の損傷、特に脳をやられたら致命的だ。だから負担が大きい虚式膜を張り続けなければいけない。これで長期戦になったら負けるのは私だ。
「(しかし、雷電か。相性が悪いな。今ので幻灯の魔物もイカれた)」
伏黒津美紀を守っていたが、幻灯の魔物は所詮機械から生み出された仮想式神。機械がぶっ壊れてしまえば、不死身の幻灯の魔物も形無しだ。
今まで戦った中で、伏黒甚爾に次ぐ相性最悪の存在。
これは思った以上に骨が折れそうだ。