最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。 作:アステカのキャスター
お、ひ、さ、し、ぶ、り。学業忙しいナウ。
いよいよ原作0巻の始まりが見えてきた。
○月○日 晴れ
久しぶりに研究メインである。
速度最強にゴリ押しで勝てたはいいが、その程度ではまだまだ最強になれない。因みに前回壊れたスマホはメカ丸に復元を任せた。
最強が無ければ創ればいい。よろしいですね?
という訳で、新しい呪具を創ろうと思う。まあもう具体案は出ているけどね。
待たせたな野郎共。
ついに魔眼の開発である。
……と、言いたい所なのだが、研究所がそろそろガタが来てる。九十九センセーが持っていた所有地で、実験の失敗とかもあって、意外と年季があったからな。なんか金庫に所有権の譲渡先が私の名前あったから色々管理してたが、取り壊したくはないけど、そろそろ此処も限界だ。
とりあえず魔眼の前に、工房を創ろうか。
○月◎日 晴れ
京都に一つのアパートを建てた。
アパートと言っても部屋全部をぶち抜いて、体育館並みの広さの隠れ工房を創った。物件丸々買える金があってよかった。こんだけ使っても私の所持金の10分の1も消費してない。
いやー、悪くないね。隠れ家みたいで。
荷物を色々と整理して、とりあえず工房としては妥当な広さが出来上がった。周りは森だから万が一も問題無し。
さて、魔眼を開発するとしますか
○月★日 晴れ
魔眼の種類は主に二つ考えている。
一つは万物を即死させる直死の魔眼。
二つ目が魔眼の効果を無限に増幅させる積重魔眼。
実を言うとどちらも手がかりがある。
直死の魔眼については七海さんの術式、十割呪法が手がかりとなった。七海さんの術式は対象物に強制的に弱点を作り上げる能力。弱点に当たれば鉈でも大ダメージを引き起こす。
生物、物質に弱点を作る。
突き詰めて言うならば、弱点というあり得ない線が七海さんには見えている。七三でクリティカル。弱点の部分を切れば大ダメージ。
直死の魔眼に似ていると思わないか?
万物の綻びを見ると、物体や生物の弱点となる線を見る。
綻びを崩せば死を与える、線に当たれば大ダメージ。
七海さんの術式自体がそこまで強くないとはいえ、共通する部分はある。解釈と見えているものの問題だ。弱点を作る事は逆説を言えば綻びを可視化出来るという定義になる。
まあ、手がかりだけで今の私では作れないな。
万物を見通す眼。術式に加え、六眼でも無ければ恐らく不可能な話だ。元々、根源と繋がっていると言われたものだ。世界の綻びを知るなら世界を知る眼でなければ不可能という事だ。
死を理解し、世界の異常を感じ取る感性。
私が一番近いだろうが、近いだけでそれを可視化出来るかは別問題。仮にも『虹』の魔眼は伊達じゃない。直死の魔眼は後回しだ。
○月❄︎日 晴れ
ムタ丸スマホありがとう。
○月☆日 晴れ
魔眼を作る前に魔眼殺しを作ろう。
元々、呪力を抑え込む封印術式は両面宿儺の指に付与されていた。他にも懲罰部屋。札をべったり張った部屋の呪具もそれに近い。呪力を抑え込み、術式の効果を薄める効力がある。まあ、完全に封じたり、封印出来るわけないのだが。
という訳で術式付与した魔眼殺しを五条さんに送ってみた。メールで、もし効力があったらサングラスと布タイプで頼むと言われた。
払う金額が尋常じゃなくて引いた。
ゆきちいっぱい……。
○月♪日 曇り
連絡があって意外と悪くないとの事。
魔眼殺しはどうにかなりそうだ。よかった。
近いうちに海外に行くらしく、一週間もすれば帰ってくるらしい。私は海外に行くにしても、もうちょっと先の話だ。呪具の注文が多いからそれを片付けないと無理と上層部にハッキリ言った。隈が多すぎる私を見て上層部すら引いていた。
じゃあ、改めて作ろうか魔眼を。
魔眼の手がかりは菜々子の術式だ。まあ魔眼の術式に最も近いのは禪院家の蘭太って奴の術式だが、アレは破られたフィードバックで眼が潰れかねないので却下。
菜々子の術式はレンズを通して被写体を凍結させる術式。
菜々子の術式は魔眼の術式の構造とかなり似通っている。レンズに呪力を通し、写した視界を凍結させる。カメラは時間の一瞬を焼き付けるもの。眼の構造にはレンズがあり、視神経があり、写したものを脳で把握する。構造だけならカメラと似ている。
ここで私は思いついた。
魔眼を創ればわざわざ術式を刻みカメラを使わなくても、ノータイムで束縛させられるのではないかと。
魔眼の中に魔眼を作る。
合わせ鏡で無限反響させ効果を増幅させる。これが特に難しい。何故なら本来の眼と明らかに違いすぎるからだ。此処からは改造し、構造を把握し切らなければならない。
とりあえず一つ目が完成した。
虚式空間で左眼の眼球を丁寧に外して、造った魔眼と入れ替え、視神経を反転術式で繋げる。
片目は見えないままだ。
とりあえず、失敗したな。
○月¥日 雨
レンズのズレのせいで、視界が上手く映し出せない。
難しいな。眼球の構造を知っているからこそ、何がいけなかったのか理解できない。
だとしたら、付与するべき場所か?
意外と失敗続きは珍しいな。
○月■日 晴れ
原因が分からない。
魔眼の中に魔眼を作るって何ですか蒼崎先生。
○月*日 晴れ
任務多すぎる
○月¥日 曇り
明日テストだ。真依にも術式について教えないと。
○月◆日 曇り
つかれた。
最近、やる事多すぎて疲れている。
テストは一日で終わらせた。多分全部高得点。
○月●日 曇り
気晴らしに一日オフにして遊んだ。
遊び疲れたから日記は此処まで。
○月#日 晴れ
大体原因が分かった気がする。
レンズは繊細だ。直接術式を刻みつけると視神経と繋げても視界の確保は出来なくなってしまう。なので、レンズを二枚用意し、重ねる事によって、術式を刻んだレンズと普通のレンズに切り替える事が出来るようにする。
そして、完成した魔眼に呪力だけを通す。
結果、魔眼が破裂した。
うおっ、怖ええええ!?掃除するにもグロテスク過ぎて夜飯を抜いた。
○月■日 晴れ
生半可なレンズじゃ刻んだ術式に耐えられない事が分かった。超強化レンズ。これなら破裂せずに耐えられる。呪力を通しても問題無し。虚式空間でしっかりと視神経と繋ぎ合わせる。
結果、成功した。
光が眩しかった。見える。問題無く元の眼と遜色なく見えるようになった。蠅頭に魔眼を試してみた。
蠅頭の動きが止まった。
これが魔眼。蒼崎橙子の世界か。
つっても呪力の反響が酷く、頭痛が走る。
出力は抑えたので、頭痛の強さで大体分かる。これは意外と使い方が難しいな。視神経は脳と繋がっている訳だし、使い過ぎると危ないな。反転術式と併用しながらも消費が高いし。
まあ、メインで使わないからいいか。
○月☆日 晴れ
上層部から連絡が来た。
特級過呪怨霊。祈本里香に呪われた少年。乙骨憂太の討伐が言い渡された。
マジか。五条さん海外だから私が行くのか。
最近疲れているのに。呪術師はやはりクソだ。
★★★★★
私は現在、宮城県に来ていた。
どうやらロッカーを詰めた自責の念で引きこもっているらしく、ドアをノックすると隈が酷く生気のない顔で出迎えた乙骨憂太の姿がそこにあった。ドアを開けたら更に呪いの濃さに顔を顰める。
私が今まで感じた誰よりも呪いの濃さが違う。
階級が低い呪術師だと呪いを感知しただけで脚が竦むだろう。
「君が、乙骨憂太であってるね?」
「は、はい」
自信なさげの青年が応答する。
隈が酷く、奥を見ると縄が天井に吊り下がっている。自殺しようとしたのか。
「とりあえず場所を変えようか」
乙骨の腕を掴んで飛ぶ。
流石に住宅街でやり合うのは帳を下ろしても混乱を招きかねない。
「へっ?う、うわあああああああっ!!?」
乙骨の叫びと共にヌルリと出てきた巨大な腕。
断末魔のような悲鳴に誘われたかのように乙骨の背後から虚空をこじ開けて出現する特級過呪怨霊。
その呪力量は五条さんすら超える。
圧倒的に不気味、本来不可能であるはずの死者の滞留を可能とした呪いの女王が出現する。
「ゆ う た に"ふ れ る なああああああ」
祈本里香の手が触れる前に乙骨の手を離す。
ここなら丁度いい。折本里香は何があっても乙骨を死なせないなら、当然のように落下していく乙骨へ手を伸ばしていく。
「えっ、うわあああああああああっ!?」
「ゆ う たああああああああ!」
思った以上の執着。
コレに愛されてよく平気でいられるな。里香の手に支えられ、転落死は免れたようだ。此処は乙骨が住んでいたアパートから十五キロは離れた山。遮蔽物がない場所に高速移動した。
「『闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』」
此処なら被害は及ばない。
祈本里香の被害を考えても無人の場所を選び、帳を下ろした。
「やあ、改めて初めまして乙骨くん。どんな女がタイプかな?」
「えっ……いや、その」
「ああ別に答えなくてもいいよ。私なりの挨拶だし」
ケラケラと笑うのも止め、本題に入る。
「乙骨憂太。私は君の捕縛、もしくは抹殺を命じられている」
「ぼ、僕の」
「ロッカー事件は忘れてないだろう?君を呪っている存在、祈本里香が呪術的危害を加えた。分かっているだろう?」
乙骨憂太に危害を加えるものに対しての過剰防衛。それも呪霊となれば上が野放しにするのを納得する筈もない。まあこういうスカウトは五条さんの役割なのに。
「まあ捕縛してもどうせ秘匿処刑にするつもりだとは思うが、君の処刑はどう足掻いても祈本里香が顕現してしまう。だから、折本里香と君を殺せるであろう私が引っ張り出されたのさ」
「り、里香ちゃんも…」
「ああ。ソイツはもう怨霊の枠組みにいない。下手したら国一つ滅ぼしかねない核兵器みたいなものだ。そりゃ野放しにする訳がない。ましてや制御出来ずに暴走し、他人に危害を加えるなら当然、処理するのが基本だ」
比べるなら核兵器の方がまだ優しい方だ。
物理的に祓える術師は私を含めて二人しかいない。
「ぶっちゃけ祈本里香を祓えれば私は君だけなら生かしてもいいとは思ってるけど」
「待って、駄目だ!里香ちゃん!!」
祈本里香が顕現する。
抹殺しようとする私の排除の為に祈本里香も本気を出した。
「まあ、そう簡単にはいかないか」
「ゆうたを」
殺意が頬を撫でる。
愛する人を守る為に危険を排除しようとする呪いの女王が牙を剥く。
「いじめるなあ“あ"あ"!!!」
巨大な右手が迫る。
掴まれたら一瞬でミンチにされるな。呪力で身体強化をし、右手を避ける。思った以上に破壊力が違う。呪力の総量の桁が違う。終焉の獣であるパックぐらいはあるかもしれない。
「一、二、三、四、五、六」
式神六枚による術式の遠隔起動。
様子見程度と考えていたが、この肌を刺すような呪力の濃さにその考えは消え失せた。
「呪法、氷天」
此処ら一帯が凍るほどの大寒波。
里香が乙骨を抱えて大寒波から守っている。いや、というより大して効いていない。馬鹿みたいに垂れ流されている呪力が里香を守っている。
「(死者の滞留の縛り、それは一回調べた事があったけど出来なかった。コレはどういう理屈だ?)」
私が知ってるのは精々、乙骨憂太が里香に呪いをかけて成立しているという事。細かいパラドックスは知らない。そもそも死者の滞留が出来ないのは縛りにも限度があるからだ。何かを得る代わりに何かを失う。縛りにおいて足し引きは絶対条件。死者の場合は全てを失っているからこそ縛りが不可能なのだ。
「(乙骨の呪術的能力の全譲渡で里香を自分へと縛り付ける縛りが成立した?他人の縛りはそれを望まなければいけないけど、里香がそれを承諾し、あんな存在が出来上がった?)」
彼女は乙骨憂太を愛している。
承諾は不思議な話ではない。けど……
「(馬鹿げてる)」
そんなの狂っている。
死んでほしくないという想いはみんな同じ。それは同情は出来るが、コレはない。愛で縛り付けるが故に限度がない。尽きない愛、それが無尽蔵に呪力を生み出せるという特異性まで兼ね備えている。しかも乙骨は無自覚だからタチが悪い。
「(自覚なしでこうも出鱈目な存在が出来上がるとか、どんな確率だよ)」
そんな事が出来るとするなら五条さんレベルの呪力量だけどあり得なくはないし、現に総量は五条さんを超えている。
恐らく模倣術式は乙骨の術式。そして五条悟以上の呪力を持っていた。それを里香に譲渡し、自分の所有物という縛りを里香に与えた。そして里香もそれを承諾。彼女は乙骨憂太のものとされてこうなった。正確には
呪霊が見えるのも、彼女を認識する為の縛りで最低限見える程度の呪力が無意識に里香から流れているのだろう。
「(しっかしどうするかね。里香を物理的に祓えば乙骨の術式と呪術的能力は永久に失われる。耐久戦は私の方が分が悪い)」
「あ"あ"あ''あ"あ"あ''あ"!!」
今回は呪霊を分解が出来ない分、呪力供給が出来ない。
このままでは一向に削られるだけだ。呪具からの供給にも限度がある。ではどうするか。
「悪いけど、暫く止まってもらう」
魔眼起動。
垂れ流されている呪力で効果を守っていても無限に増幅する魔眼は折本里香を完全に束縛する。垂れ流されている呪力もそうだが、内包している呪力も馬鹿げている。出力限界まで引き上げて動きを封じる。
「っ……」
めちゃくちゃ痛い。
頭の中から串刺しにされたような痛み、発動と同時に反転術式で治していくが、それだけの出力にしなければ止められなかった。魔眼も使い所を考えないと。
「(抑え切れないか)」
このレベルを魔眼だけで抑え込むのは限度がある。
式神を多重展開。祈本里香の周囲に設置する。
「封刻術式––––災禍縛鎖」
両面宿儺の指を封じた平安の術師の封印術式。
式神を再構築し、呪力封殺の印が刻まれた鎖が折本里香に巻き付いていく。とはいえ並の術師なら封殺出来ても彼女を束縛出来る力はない。すぐに壊される。何より呪具の供給がそろそろ限界だ。
「が……あ"あ"あ"…あ"あ"あ"!!」
「里香ちゃん!?」
「さて乙骨くん。祈本里香を止めろ。じゃないと私は彼女を殺す」
「なっ……」
「十秒やる。彼女が動き出す時間だ」
極ノ番や領域展開なら消滅させる威力は出せる。
とはいえ全力出力になると流石に帳で隠せないレベルになる。生かしたままという条件の耐久戦になれば流石に敗色濃厚だ。里香を死なせたくない乙骨自身に止めてもらうしかない。止められなければ原作関係なく祓うだけだ。
「制御出来ないなら殺す。君がその子を生かしたいと思うなら人を傷付ける存在のままにしている君の怠慢だ」
「っっ」
「あと五秒」
カウントしていくと里香も凶暴性が増していく。やはり既存の呪具ではどう足掻いても封じる事が出来ない。折本里香を止められるとするならやはり乙骨しかいない。
鎖が砕けた。里香が動き出す。
それと同時に乙骨は里香の手を掴んだ。
「里香、止まって」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「––––じゃないと僕は里香を嫌いになる」
「あ"っ」
えっ、その方法?
その一言に里香の動きはピタッと止まり、乙骨に縋り付くように抱きしめながら泣き叫び始めた。
「ごめ"ん"な"さ"い"!ごめ"ん"な"さ"い"!!ゆうたああああああああっ!!!」
「止まってくれる?」
「う"ん!!」
「ありがとう里香、大好き」
里香の頭を撫でると、里香は虚空へと消えていく。
あれだけ激しく撒き散らされていた呪力が凪いだように大人しくなった。
「…………」
「…………」
沈黙が走る。
というか、何と言えばいいのか迷っている。
「…………」
「………あの、これでいいですか?」
沈黙に耐え切れず乙骨が先に切り出した。
いや……うん。まあ私が止めろとは言ったんだけど。
「……君、女たらしだね。ちょっと引くわ」
「なんでっ!?」
無自覚か君。
とんでもなくえげつない方法で里香を押さえ込んだ乙骨を見て、若干里香が不憫に思った。
※あくまでこれは僕なりの解釈です。本当かどうかは分かりません。
『乙骨憂太と祈本里香との縛り』
・祈本里香を自身の一部にする事で祈本里香の魂の滞留を可能とした。
・祈本里香は乙骨に対して知覚出来る程度の呪力の供給
・代償として自らの模倣術式、自身で呪力の生成が不可。
・術式を与えられた祈本里香は術式を受け取れる身体に変貌。それの副産物として変幻自在が可能となった。
★★★★★★★
活動報告にて最強募集してます。
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