最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。   作:アステカのキャスター

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 久しぶり。待った?


三十一

 

 

○月○日 晴れ

 

乙骨の秘匿死刑は免れ、五条さんに預けた。

京都は流石に乙骨を庇い切れないので、偶に私がそちらに行って乙骨に教える事にした。

 

それと刀についてはとりあえず了承したが、里香の呪いに耐えられる強度重視の刀となると材質の問題だろう。それに関しては少し保留にさせてもらった。

 

 

○月☆日 晴れ

 

真依も漸く反転術式を会得したのだが、どうも私と同じように構築が上手くいかない。

 

というのも私は限度こそあるが望んだものを呪力で構築する事が可能だが、真依の場合は構築するものの材質を理解していなければ使えない。それが普通だと言われた。どうも私の術式は同じ構築術式でも少し系統が違うのかもしれない。プロセスは似ているのに。そのせいか現象の構築が上手くいっていない。炎や氷は出来る様になったが、ベクトルの分解などは無理と匙を投げられた。とりあえず真依に出来る事から始めるとする。

 

 

○月♪日 曇り

 

驚愕の事実が判明した。

美々子と菜々子の二人が()()()()()()()()()

 

双子の縛りが存在する為、二人は術師としては平均程度の力しか持たなかった。というより双子は呪術師において凶兆というが正確には違う。一人が授かるべき力を二人に分けられるというのは、陰と陽の関係が存在している。

 

分かりやすく言うなら二人で完璧。

逆説的に言えば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。美々子が物質での束縛呪術、菜々子は空間に対する束縛呪術。これらは陰と陽で分かれている。

 

真依と真希も同じ。

生物の側面と呪術の側面が別方向で強化されている。一人で生まれた場合は五条さんすら超えるかもしれなかった。まあifなのでそんな事を考えても特に意味はない。

 

美々子と菜々子の場合は片方のみで領域展開を使えない。二人揃う事で初めて領域展開を可能とした。

 

しかしまあ、こればかりは私も予想外過ぎた。

入ってしまえば最後、私ですら負けてしまうのだから。

 

 

○月◆日 晴れ

 

恵が鵺と大蛇を調伏に成功。

津美紀ちゃんが作ったカレーが美味かった。

 

 

○月◇日 晴れ

 

眠い。メンテが終わらん。

乙骨の刀はとりあえず造れた。

 

 

○月$日 晴れ

 

ねる。

 

 

○月☆日 明日天気になーれ

 

ぶっ倒れた。日記はここまで。

 

 

○月♡日 空がいつから青いと錯覚していた?

 

熱があまり引かない。

真依達がお見舞いに来た。

三輪がゼリー、ムタ丸はプリン、加茂さんが水羊羹、西宮先輩はポカリと冷えピタ。真依はお粥作ってくれた。

 

あの馬鹿に関しては高田ちゃんポスターをくれた。

うん、ありがたいけどお前は論外だ。

 

 

○月★日 暑い

 

五条さんがお見舞いに来た。

暫く無理をさせてごめんねと言ってきた。乙骨についてはどうにかするから、ゆっくり身体休めなよと大人の対応をしてくれた。仕事がびっしり埋まっているせいか色々とガタ来ていたようだ。なんつー体たらくだ。センセー笑ってるぞ。

 

……いや、これ私悪くないな。

体調管理以前に呪術界が私を殺しにきてるし。

 

 

○月¥日 快晴

 

漸く体調が戻った。

暫く呪具製作は止めろと歌姫先生から言われた。暫くは休み休みで呪霊狩りに専念する事にした。

 

 

○月♡日 晴れ

 

そろそろ交流会があるの忘れてた。

私と二年生三人が参加するのに対して、あっちは乙骨と真希を含めた二年の秤金次と星綺羅羅が参加する事になった。

 

 

 ★★★★★

 

 

「い"や"ー、参っだ な"」

「うわっ、声凄」

「喋らなくていいから寝てください」

「つーかお前でも風邪は引くんだな」

「いやこれ過労ね。自己管理はしっかりしなさいよね」

 

 

 俺が見た中で一番の重症。

 反転術式を使える荒夜は風邪を引く事の方が少ない。術式の影響で構築には多大な負荷が掛かったとしても反転術式で負荷を治せるのだが、どうやら積み重なった疲労から此処までの重症となっているようだ。

 

 よくよく考えたら呪具の作成の依頼と特級の呪霊討伐案件、更には学業まで行っている荒夜が休んでいる所を見た事が無い。

 

 

「済まないな押しかけるようになってしまって」

「お見舞いに来るだけありがたいよ。それにヒイロなら大丈夫。ただ、結構反動が酷かったってだけさ」

「お粥食べれますか?真依が作ったんですけど」

 

 

 うつらうつらと、不安定な身体を起こそうとするが、腕にも力が入らずにベッドに倒れている。西宮先輩が背中を支えて上半身を起こしたが、起こすだけでも死にそうに見える。俺も小型の人形で体温を測ってみると四十度を超えていた。

 

 

「身体痛ぇ、食え"ん"」

「凄まじい反動だなおい。呪具の依頼はやはりキツいか」

「そりゃヒイロに予約するとなると一年は必要になるし」

「そんなに作ってるんですか!?」

「まあ荒夜の場合、呪力付与だけじゃない。『纏帳』もそうだが、本人に適した呪具を構築出来るからな。支援向けもそうだが、依頼が尽きない」

 

 

 パックの一言に三輪は驚愕する。

 少なからず、呪具作成の依頼は五十を超えている上に難解な特級クラスの呪具、今は失われた平安時代の呪具の再現、なんなら『退魔の剣』や『天逆鉾(あまのさかほこ)』のレプリカまで依頼されている。

 

 そう簡単に再現出来るものでは無いが、荒夜は発想の実現性に於いては稀代の天才だ。いつか作成出来ると思わせるほどだ。実際不可能とされた俺の天与呪縛も治していたし。

 

 

「ほら、口開けなさい。この私が直々に作ったんだから」

「真依、姉に"似て"きた"な"」

「冷まさないまま突っ込むわよ」

 

 

 力が入らずに雛鳥のように口を開けるとゆっくりと蓮華にのったお粥が荒夜の口に入れられる。ポヤポヤとしている荒夜はゆっくりと咀嚼する。

 

 

「……美味い」

「そっ、よかった」

 

 

 こうして見ると少し分かりやすい。

 それに気付いた三輪が俺に耳打ちしてきた。

 

 

「あの与くん、もしかして真依って」

()()()()()()()()()。けどアイツ倍率高いぞ」

「どのくらい?」

「…………」

 

 

 俺は少し考え始めた。

 血の繋がっていない妹二人。禪院家落ちこぼれと呼ばれていた二人。二級の人造呪骸、伏黒の姉、結界術のみ最強の星漿体。

 

 強引かもしれないが、縁というのであればかなりある。本人達が明確な好意があるかは別として、真依はあるし、真希に関しても関係は悪くない。血の繋がっていない二人は家族愛だと思いたい、人造呪骸も親子との接し方だし。伏黒の姉の関係はノーコメント、俺もよく知らない。補助監督の星漿体に至っては歳離れているから逆光源氏が頭をよぎった。

 

 そしてここで特級を取り入れたい名家の縁を含めれば倍率は相当なものだ。二十倍以上はありそうだ。悩んだ挙句とりあえず答えた。

 

 

「そのうち背中を滅多刺しにされるレベル」

「!?」

 

 

 三輪はその一言に戦慄していた。

 因みに今の荒夜の女のタイプは『金髪巨乳の尻とタッパが大きい大人の女性』らしい。誰にも合っていない事に僅かに目を逸らした。

 

 

 ★★★★★

 

 

「んー、久しぶりだ。この空気も」

「いや荒夜、お前も初めてだろうが御前試合」

「誰かとガチで戦う事が少なかったからね」

 

 

 呪詛師殺しの依頼は少ない。

 荒夜に回るより五条に回る事が多いからだ。気を回してくれているのは五条自身の計らいらしいが、学生に人殺しをあまりさせたくないようにも思える。

 

 

「久しぶり乙骨くん」

「は、はい。お久しぶりです」

「祈本里香は制御出来るかい?」

「ぼ、ちぼちです」

 

 

 出来てねぇんだな、と呟く。

 祈本里香の制御、というよりは傷付けるものに対して折本が激昂するため制御という制御は乙骨には難しいのだろう。式神と違って祈本里香は意思が強すぎる。

 

 

「つーか大丈夫なのかお前。ぶっ倒れたって聞いたけど」

「呪具製作、特級の依頼、弟子の教育。過労とストレスで高熱出したけど、一週間はお休み貰ったからなぁ」

「……過労死すんなよ」

「優しいね真希は。大丈夫、ストレスは今日発散するから」

「言いやがったな。ブッ飛ばす」

 

 

 久しぶりの対人戦闘。

 燃えないはずがない。荒夜は曲がりなりにも最強に迫る為に最強を創ってる。五条の次に最強と名乗れる程度にはならないといけないが、その椅子取りゲームは半端じゃない。

 

 

「それと初めまして。秤先輩と星先輩」

「おう」

「綺羅羅でいいよ、特級の後輩くん」

「どうも」

 

 

 こちらは荒夜もよく知らないが二年の秤金次と星綺羅羅。どちらも男な筈だが、格好から色々と察した。色々と突っ込みたい事はあるが、荒夜は考える事をやめた。

 

 

 ★★★★★

 

 

 歌姫の激励を五条が邪魔しながらもいつも通りに交流戦が始まった。それと同時に東堂は独走していく。待てと言われて待つタイプではないので放っておいた。

 

 残った三人、加茂と西宮と荒夜の三人は独走に対して頭を悩ませながらも呪霊討伐に走っていく。今回ばかりは乙骨を殺す事を言われていない。言われたところで荒夜は無視する所存だが、加茂に関してはそうは思っていなさそうだ。

 

 

「やっぱ東堂君は独走か」

「荒夜、君は乙骨を」

「殺す事はしない。祈本里香の縛りがある以上、乙骨は楔。楔を断ち切れば止められるものは居ない。特級呪霊という枠組みすら外れてしまいますよ」

「君なら殺せるだろ」

「尻拭いさせるつもりなら私はしないと明言しておきます。やりたくもない面倒事はごめんです」

 

 

 御三家としては乙骨をよく思っていないのは事実。だが、尻拭いをするつもりはない。祈本里香は特に特級の枠組みから外れる程に強大。五条と荒夜、二人が本気を出さなければ祓う事が出来ない圧倒的な呪力量。まあ呪力量≒実力と言われたらそれは違うのだが。

 

 そんな事を考えていると、迸っていた東堂の呪力が感じられなくなった。

 

 

「……東堂の呪力が消えた」

「何?」

「大方真希にやられ──」

 

 

 虚式膜が自動で発動し、薙刀が止まる。

 そこにいたのは不意打ちを仕掛けた真希だった。

 

 

「やあ真希、早い再会だね」

「チッ」

 

 

 二人が反応出来ず、呆然としている中攻撃を繰り返す真希に虚式膜を張り続け攻撃を防ぐ荒夜。式神の符を取り出すと真希が距離を取る。

 

 

「ウチの弟子はどうした?」

「ストレートぶち込んだ。暫くは起きねえよ」

「ほんっとーにお前、伏黒甚爾に似てきたな」

 

 

 東堂には真希と単独で戦うなと言った筈なのだが、やはり無視したようだ。結果瞬殺で終わっている。呪力の無い真希には術式の効果が及ばない。真希と相性が最悪だと言っても好奇心で手を出してしまうのが東堂の悪い癖だ。

 

 

「二人は呪霊狩りに、真希は私が」

「任せる」

「了解」

 

 

 二人が散るのを確認すると右手に分解した物質のエネルギーを利用し冷気に変換する。物質などはこの世界に腐るほどある。それをエネルギーに変換し、攻撃に転じれる為、少ない呪力で規格外の攻撃を繰り出せる。

 

 

「『氷天』」

「っ、ぶね」

 

 

 流石早い。一瞬で視界から消えて後退している。

 呪力がほぼ脱却した真希のフィジカルは伏黒甚爾には及ばないが、それでも近しいものへとなっている。呪術師の身体強化の限界を超えた速さ、肉体の強度を兼ね備えている。

 

 

「まあ殺さない戦いが苦手だが、それでも単独で私に勝てると思ってるのか?」

「思ってねえよ。最強(バカ目隠し)万能(オマエ)に勝つならそれなりの呪具がねえと対抗出来ねえし」

 

 

 交流戦で等級が高すぎる呪具の持ち込みは禁止。そのため、真希に握られているのは『村正(偽:改)』ではなく薙刀の呪具。荒夜も幻灯の魔物を持ち込む事は止められたが、それでも差は歴然。真希には虚式膜を破る術を持ち合わせていない。

 

 

「だから、悪いが二対一だ」

 

 

 背後から呪力を感じ、振り返るとそこにいたのは掌印を結ぶ秤の姿が目に映る。呪力の出力から荒夜は距離を取ろうとするが、真希が行先を阻む。

 

 

「領域展開」

「!」

 

 

 飛んで逃げるにしても一秒遅く、秤の領域へと飲み込まれた。白い空間と駅の改札、そして何処からか流れるような効果演出の曲の風景に目を見開いた。

 

 

「【坐殺博徒】」

 

 

 領域の展開と同時に必中により荒夜に術式のルール*1が開示され、僅かに動きが止まる。

 必中の押し合いが早いが、情報自体は無害であり簡易領域の発動を諦め、その情報を理解する。

 

 

「な、んだこの領域……?未成年が使っていい術じゃないんじゃないか?」

「そんな規則(きまり)守ってちゃあ、人生楽しめねぇんでな」

 

 

 坐殺博徒

 239分の1の確率で当たる賭博型の領域。『私鉄純愛列車』をモチーフとして図柄が揃えば領域展開後に大当たりの恩恵を手に出来る。期待度や疑似シークエンスなどもあり、流された情報はパチスロそのもの。必中で術式の開示もある分、縛りの効果と単純な領域展開時の能力底上げも含めて秤は一級クラス。

 

 

「(坐殺…パチンコか。大当たりは差し詰め呪力の回復と制限解除か?)」

 

 

 他人にデバフをかける領域ではない。

 大当たりは秤自身にかかると考えていい。領域内を見渡せば演出が始まっている。試しに拳を振るうが、登場人物に触れられずにすり抜ける。

 

 

「(やっぱ演出の妨害は不可、だけど必殺も必中もない。術式が領域展開に付随した珍しいタイプか)」

 

 

 止める方法は領域内で秤を倒すか、こちらも領域を展開するか。必殺も必中もあまり意味がない為、簡易領域などは無駄。掌印を結ぼうとするが、その手を止める。

 

 この領域に真希が入っていない。

 つまり、領域の外に真希はいるという事。

 

 

「(真希が入ってこないって事は、領域展開後の術式が焼き切れた時を狙ってるな?)」

 

 

 荒夜の『創始再編式』は囲む場合と引っ張り出す場合の二種類の結界型を使い分けている。領域の押し合いなら確実に勝てるが、展開中に秤の領域を押し合いが発生し、その間に範囲外に逃げられる。秤が一対一で領域を展開してるのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。秤が仮にダウンしても術式の使用不可の状態で真希と戦わなければならない。外付けした生得術式では呪力の脱却した真希に対抗出来るものが少ない事は分かっている。

 

 

「(入ってこないのなら、こっちも好都合)」

 

 

 荒夜の術式は『構築術式』

 あらゆる物質、あらゆる武具を作る反面、呪力の消費が激しく作ったものを操作は出来なかった。

 

 

「(構築したものに式神操術を刻みつける)」

 

 

 九十九由基の術式。

 術式により呪具化した式神『凰輪(ガルダ)』のように自身が構築したものに対してある程度の範囲の操作を可能とする。作った呪具に対し、式神操術の基盤を押し付ける。

 

 作り出すのは水銀。液体金属でありながら圧縮によって自在に硬さを変え、近距離遠距離を対応する。型月世界でも存在していた水銀の魔術礼装。

 

 その名を『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』。攻防一体の水銀の礼装である。

 

 

(Scalp)

「うおっ!?」

 

 

 型月世界とは違うのは武具に呪力を込めれば武器はそれなりに強度を増す。水銀を圧縮したとはいえ呪力で強化された水銀は鋼鉄並みの強度と鋭利さを誇る。加減無しなら人体を容易く切断出来る。

 

 

「逃さねえよ」

 

 

 追尾、銀槍が秤を追いかける。

 近距離メインの秤にとって遠距離から攻撃され続けるのは致命的だ。呪力で強化された水銀の槍はどこまでも追い続ける。

 

 

「お前の術式、構築術式じゃねえのかよ!?」

「私の術式は多様性が売りなんだわ、ほら追加」

「うおおおっ、ぶねぇ!?」

 

 

 秤は絶叫しながら避け続ける。

 水銀の量は大体一リットル。圧縮すれば槍にもなるし盾にもなる。赤血操術のような身体強化はできないが、体外での操作性能や使い所、汎用性は相伝のそれよりかなり高い。

 

 

「(とはいえ使い勝手がいい訳じゃないな。呪力消費の燃費はいいけど、この状態じゃやはり虚式膜の展開が遅れる)」

 

 

 術式にも要領がある。生得術式と領域展延が同時に使えないのと同じ、術式の同時使用は発動が少し遅れる。水銀の操作を重きに置けば自身の虚式膜の展開が遅れる。ケイネスのように形に拘るとあまり意味はない。防御重視の攻撃は秤には通用しない。

 

 

『え……これ新百合まで停まんねえの?』

 

 

 考え込んでいると演出の方で予告が迫る。眼前で銀色の電車ドアが迫る。

 

 

「リーチだ!」

「チッ」

 

 

 起死回生の演出。

 スロットの演出は66でリーチ、内容はうっかり特快便意我慢リーチ。このまま新百合ヶ丘まで着けば大当たりのリーチアクション。演出の妨害は不可、なので荒夜は秤の水銀の槍の手を止めない。

 

 

『ボタンを押せ!』

 

 

 秤の拳と同時に改札表示が壊れていく。

 登戸が壊れると、新百合ヶ丘が表示されスロットは666の大当たりに突入する。一歩早く大当たりを引いた秤から離れると同時に領域が解けていく。

 

 

「領域が……」

音楽(ミュージック)、スタートぉ!!」

「!」

 

 

 秤から流れる曲と共に呪力が湧き上がってくる。

 ブレたと思えるほどの呪力に目の前が揺れるほどの高出力の呪力。大当たりの内容は音楽が流れる4分11秒の間、無尽蔵に呪力が流れる事、そして呪力の出力制限解除。

 

 

「っ!?」

 

 

 水銀の盾が一撃で削られた。

 二級以下の術師ならまだしも、今の秤にはこの水銀呪具では容易く削られる。その上、想定よりはるかに重い。

 

 

(Scalp)

「いっ、てぇな!!」

 

 

 溢れ出る呪力が水銀の攻撃を防いでいる。

 食器ナイフでまな板を切ろうとしているような感覚、僅かに血は出たのに傷が一瞬にして治癒されていく。

 

 

「(反転術式…!?)」

 

 

 秤は反転術式は使えない。

 だが、溢れ出る呪力に身体が壊れないように肉体は無意識に反転術式を行っている。余程の事がない限り、秤は4分11秒は不死身となる。どれだけ攻撃しようが、一撃で修復不能に追い込まなければ秤を倒す事はできない。

 

 

「よそ見してんじゃねえよ」

「チィ!」

 

 

 領域の外にいた真希の薙刀が水銀に直撃する。

 全方位防御。殻に籠るように水銀の形を変形させる荒夜に対し、真希と秤は速度で潰し始めた。剥がれていく水銀の盾、攻撃に転じても伸ばした末端から折られ、躱される。液体金属の式神化はまだ操作が慣れず仕方なく水銀を解除し、虚式膜に変更する。

 

 こちらに向かう分解され、二人の拳が寸前で止まる。だが、秤の拳が止まっているはずの虚式膜の中で僅かに動いた。

 

 

「なっ……」

「オラァ!!」

 

 

 秤の拳が荒夜に突き刺さった。

 荒夜は吹き飛び、森の木々を二、三本折りながら打ちつけた。

 

 

「〜〜っ!」

 

 

 久々の痛み、殴られた頬が普通の拳より痛い。

 ヤスリがついた拳で殴られたような痕に目を見開く。呪力の質がザラつくと削られるような痛みが発生する。呪力の質が高い荒夜には真似できない呪力質。

 

 

「いってぇ……ザラついた呪力だこと…」

 

 

 反転術式で殴られた部分を癒す。

 五条悟の様にほぼ出しっぱなしに術式を展開できない荒夜は呪力膜を張ってからの虚式膜の自動展開としてるが、必中が付与されてる攻撃に対しては虚式膜が破られるのは理解していた。五条でさえそうだった。呪力から分解しても結界術を剥がすのは僅かに時間がかかるため、分解が間に合わず殴られるのは想定していたが、まさか秤が使うとは思わなかった。

 

 

「しかしまあ、領域展延が使えんのか」

「あん?展延?なんだそれ?」

「領域の必中を用いた結界術だよ。それで私を殴ったじゃん」

「あー、やり方は今思いついた。名前あんのか」

 

 

 知らないでやったのか、と呆れる。

 術式そのものが領域展開の付随してる術式は結界術が使えなければ話にならない。秤は結界術の応用で領域展延が使えるようだ。術式に中和し、必中を得る領域展延は荒夜の虚式膜を破れる。本人は即興でやったようだが。

 

 意外な天敵にフィジカルギフテッド最強の真希。二人の連携に荒夜自身も苦戦を強いられている。火力だけなら呪術師最強と自負する荒夜も殺さない戦いにおいて出来る事は半減する。

 

 

「さて……どうするかね」

 

 

 領域も術式も対策を練られた中での攻防。

 流石に二人揃うと面倒だ、と荒夜は顔を顰めていた。

 

 

 

 

*1
『登場人物』

①斎藤 雨矢:夕輝の幼馴染。地銀で絶賛横領中。

②天ノ川 小百合:夕輝の上司。昼はプロジェクトマネージャー、夜は……。

③朝霧 夢:本作のメインヒロイン。これといった特徴がない。

④加藤 空:夕輝の大学時代の同期。フリーターバンドマン。ギターとベースの見分けがつかない。

⑤清水 涼香:夕輝の会社の同期。高学歴で高慢。空の〇〇を開発中。

⑥山口 紗夜花:夕輝の妹。授業中に電子辞書と見せかけてDSをプレイしている。

⑦山口 夕輝:本作の主人公。これといった特徴がない。

 

『予告演出』

緑のシャッター<赤のシャッター<金のシャッターの3種類

・緑の保留玉<赤の保留玉<金の保留玉の3種類。

・疑似連×1<疑似連×2<疑似連×3の3パターン

不等号が大きい方向程大チャンスの確率アップ。虹色や4回目が出た場合それだけで大当たりが確定。

大当たり後の規定回数消化 70or30回転

大当たりの確率 1/239

確変突入率 約75%

『リーチアクション』

・交通系ICカードリーチ   :期待度★

・座席争奪通勤リーチ    :期待度★★

・うっかり特快便意我慢リーチ:期待度★★

・華金終電リーチ      :期待度★★★(期待度大!!)

『チャンスアップ』

・夢背景:リーチ発展時にメインヒロイン朝霧夢のスペシャルグラビア発生!??

・天ノ川カットイン:リーチ演出時に天ノ川先輩が助太刀!?

・群予告:電車以外なら大当たり確定???

 期待度が低いリーチでもチャンスアップを拾えば大当たりの可能性も…!?





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