最強になる必要はない。最強を創れればいいのだから。 作:アステカのキャスター
○月○日 曇天
九十九センセーに『
『
帳の高度な使い方はメロンパンが既に提示している。電波を遮ったり、他人を逃さない代わりに侵入が可能だったり、高度な結界術ならばそんな事も出来る。外部と内部どちらも侵入不可にした場合、帳の脆さは変わってくる。
この呪具には『外側から呪力がある存在を遮る代わりに呪力のない存在の出入り自由』と言う制約を課した。そして結界の広さを狭める縛りで代わりに強度を補強する。ただし、使い手が起動させる時は帳を発動させたのは内部の人間である為、当然ながら限度はある。
強度は多分準二級までなら平気だろう。
『呪力がある存在を遮る』という解釈が広すぎる為、強度の補強は大きさを縮めた事による縛りのみ。あくまで緩和に近い。だが、使い手の防御力は確実に上がるだろう。
ただし、純粋な物理攻撃には効かない。
呪力がない存在、呪力を用いらない攻撃には効果がない。例えば呪力攻撃による二次災害や伏黒パパはこの呪具の天敵だ。
これはあくまで対呪霊用の呪具。
これがあれば殉職率は今までより減らせるだろう。使い捨てでもいいから反転術式を組み込める方を創りたかったが、まだ反転術式は感覚や感性でしか表現が出来ない為、死なせないという事を前提に考えたのがこれだった。
九十九センセーはこれを見て、課題を二つ渡してきた。えっ、今課題終わったばかりなんですが?
・『纏帳』を術者のみしか使えないようにする事。
・上層部の牽制として抑止力を創る事。
まあ前半は分かるのだが後半が分からん。抑止力って何?と聞いたが、どうやらこれを知った上層部は全力で俺を取り込もうとする。それだけならまだいい。問題はこれが出回ったとしたら呪詛師、もしくは上層部の腐ったミカンが家族を人質にする可能性も出てくる訳だ。
要するに、死なせたら世界を滅ぼしかねない厄介なやつを創れと。
ふっ、元よりそのつもり。いや滅ぼさないけど最強は創るつもりだったからこの課題はロマンが広がる。
つまり、最強ですね。分かりますとも(陳宮風)
その決意をした瞬間、森が騒めき、雷が落ちた気がした。
○月★日 晴れ
ぶっちゃけ前半に関しては心当たりがあった。
九十九センセーの呪力を分解する許可を貰い、魂のエネルギーもとい生得術式の基盤に触れる。魂の共通点と相違点を見つける。
魂の全てが同じな訳がない。
けど、法則性があるのなら魂にも似通った部分があるのかもしれない。まあ、自分と九十九センセーだけでは足りないので呪術師の呪力を片っ端から分解していかなきゃ話にならないが。
いや法則性あるかな……人間は十人十色って言うし。
あと、帰ってきた事と創った呪具の祝いで回らない寿司に行った。ただ、子供の身体で目が欲しがっても身体がついていかず、大トロ二貫ぐらい食べると脂に胸焼けを起こした。
……もっと食べたかったなぁ。
○月☆日 晴れ
九十九センセーが言ってきた。
近いうちに「禪院に行くぞ」と言ってきた。「どうぞいってらっしゃい」と返したらお前も連れてくと言われた。why?
それにも理由がある。
後ろ盾として申し分ないし、呪具の取引にも丁度いいらしい。後ろ盾の代わりに呪具を格安で提供する条件を持ち掛ければ、奴等は乗ってくるはずだと。「だったら五条家の方がいいのでは?」と告げるが、現在の当主である五条悟は一応上層部の命令から少し逸脱した行為が目立つ上に、現在の頂点は五条家だ。更に力を加えたとなれば上層部が黙っていない。
呪術界を支配する力があるだけで腐ったミカンは戦力を削ぎ落とす為に、変なちょっかいを出してくるだろう。流石に今の俺では返り討ちにする程の力はない。
つっても……逆効果じゃね?
禪院も『禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ず』とかそんな感じのクソならむしろ駄目な気がするんだが。
九十九センセーが言うには高校生になったら俺はもうスタートで階級が特級らしい。おい待て、聞いてねえよ。
まあ続けると特級となったら縁談がバンバン来る。なんなら年上から年下とよりどりみどりらしい。何?俺を性犯罪者にしたいの?ロリコンとかオバコンとかにしたいの?死ぬの?
だからこそ、禪院家だ。
御三家ならば上への圧力にも強い。まあ内輪揉めは多々あるけど、それよりはマシだと思う……って、おい。内輪揉めあんのかい。
因みに断り続けるのは無理らしい。
五条家の五条悟は特級で当主だからこそ、のらりくらりと縁談を躱しているが、俺の場合はそんな力はない。上からの圧力で家族を巻き込む可能性が大。
要するに、ある程度の距離を保ちながら御三家の庇護に入っていると世間に思わせればいい。禪院家で縁談があるかもしれないけど、家族を護るならそれが一番無難だと。
因みに内輪揉めとかの具体的な内容を聞いてみると、「同い年の子を縁談に出したりする事くらいだな」とアッサリした様子で言ってきた。はっ?俺の性癖センセー知ってんだろ?その上であの二人のどちらかと縁談しろと?そもそも恋愛もクソもない。
思った事はただ一言。
……呪術界の恋愛ゲーは壊れてバグが詰まったクソゲーである。マジふぁ○く。
ごめん。二言だったわ。
○月♪日 晴れ
九十九センセーが俺の家にやってきた。
両親に話があるようで、俺が身を置いている場所について話してくれた。呪霊の事も、創った呪具も、今の状況の全部を包み隠さずに話した。わざわざ蠅頭を持って呪霊が見える眼鏡で説明し、信用を得た。
両親は俺に質問してきた。
「お前自身が何をしたいか」
俺の目的は変わらなかった。最強を創る。その結果で誰かを助ける事が出来る。俺にはその才能があるからこの道を進みたいと、嘘偽りなく答えた。
両親は笑った。
なら、応援すると俺の選択を許してくれた。
ただ、両親は俺に一つだけ条件をつけた。
死ぬ理由が必ず、老衰である事。
自由に生きるのはいい。だけど、死ぬ時に自分の大切なモノを誰かに託せるまで、絶対に死ぬなと両親は俺に言った。
涙が流れて、俺は二人を抱きしめる。センセーも若干貰い泣きしているし。何はともあれだ……
……俺、転生して生まれてきた家族がここでよかった。
○月¥日 晴れ
禪院家の屋敷の前に九十九センセーと一緒に居た。いや、デカイな。ちょーっと予想の二倍くらい大きいし、入り口の門を見てみると地味に首が痛い。
門を開けると綺麗な着物を着飾ってお辞儀をする女の子が居た。どっちだこの子、真希か真依かどっちか分からない!双子ってやっぱすげえな。因みに真依の方だった。
見分けが付かないのは仕方ないよね。うん。
その後、現当主である禪院直毘人と出会った。九十九センセーは暫く話し合いしてるから遊んでこいと言って放り出された。いや、連れてきたのアンタじゃん。放り出すなよ。
……この後、俺は真希に出会ってめちゃくちゃ話した。
★★★★★
おーれはー、ほうりだされちゃったーよー。
と言う訳で庭なう。テクテクと歩いているのだが、広すぎる。なんなら庭に桜の木が生えてるし、池には鯉が泳いでいる。
そして、桜の木の上で座っている真依に似た女の子。
「だれだおまえ」
「ん?……ああ、さっきの真依って子じゃないな?」
着物を着て、上から見下ろすその女の子は自分の名前を言った。それに対して御三家に失礼のないように敬語で話す。
「わたしは真希。アンタは?」
「お初にお目にかかります。私は荒夜緋色と申します」
「キモっ」
なんて事言いやがるこのクソガキ。
敬語を外して普段の口調に戻し、質問する。
「お前アレか。俺が縁談で紹介された人間と勘違いしてんだろ」
「……ちがうのか?」
「違ぇよ。どっかの七三が言ってたけど、呪術界はクソだからな。関わると変な気遣わなきゃいけないから来たってのに」
呪術師はクソ。労働はクソ。呪術界もクソである。だから庇護下に入って、呪具を出した後の心配をカバーするように頼んでいると思うのだが……大丈夫なのだろうか。九十九センセー、たまにうっかりだし。
「なにしに来たんだよ」
「まあ御三家の庇護下に入る程度?俺が呪術師になると上が酷くなりそうだからな。ああ縁談とかはないぞ?俺は裸エプロンが似合う女がタイプだし」
「聞いてねえよ。キモっ」
「うっせクソガキ」
どうやら相当口が悪いようだ。
アッチが中指を立てているのに対して、俺は親指を下に向ける。良い子は真似しちゃいけません。
「呪力が薄っすら。微弱に発してはいるけど祓うのには使えねえな」
「………んなこと、わたしが一番わかってる」
「天与呪縛か。初めて見た」
呪力が殆どない代わりに身体能力が高いフィジカルギフテッド。確か九十九センセーが目をつけてはいたな。一番は伏黒パパに目をつけていたらしいけど。
「……なあ、アンタしょうらい呪術師になるのか?」
「まあなるよ。ただ創る方をメインだがな」
「つくる?」
「呪霊をこの世から無くす研究をしてるセンセーがいてな。俺はその人の馬鹿みたいな夢を叶えたいと思った」
「呪霊をなくす……」
どうやら想像がつかないらしい。
そもそも、特殊な眼鏡が無ければ見えないのだ。呪霊がどんなモノかはこの当時まだ分かっていないかもしれない。
「お前は?」
「……見かえしたい。この家のやつらを。だからわたしがこの家で一番になる」
「……へぇ」
もうこの頃からそれを考えているとは思わなかった。コイツは強い人間だ。そういう奴等は嫌いじゃない。つか、この歳でここまで思わせるあたり呪術界の闇が見えるのだが。
「おいガキ」
「ガキじゃ……っぶね!なんだいきなり」
「やるよそれ」
俺は特級呪具。村正(偽:改)を真希に放り投げた。
九十九センセーにバレたら怒られるが、期待させられたお礼みたいなものだ。俺が使うより、コイツが使った方が使いこなせる気がするし。
「やってみろよ。その願いが叶うまで」
「おい、コレ呪具ってやつじゃ」
「内緒にしとけ。それ売ったら億はくだらねえぞ」
「おくっ……!?」
真希が手を離しかけた。
その呪具は偽物。まだ、本物の領域に至っていない未熟な自分が生み出した刀。まだ、未熟な子供には丁度いいだろう。
「そいつでとにかくやってみな。偽物とは言え業物。甘っちょろい戯言を実現してみろ」
真希の言ってる事は戯言だ。
力なき理想は戯言にしかならない。だが、そんな戯言は嫌いじゃない。俺は最強を創る。真希は当主になる。届かないかもしれないその願いを叶えようとする者同士だ。
だから、コイツに俺は期待する。
「……それが折れて、まだその甘っちょろい
今度こそ真打、村正を渡してやる。
そう告げて、真希に背を向けて荒夜は歩き出した。手をひらひらと振り、俺はその場から去って行く。
「おいそっち入り口じゃねーよ」
おい、空気読めよ。
このネタ、るろ剣です。
ただカッコつけたかった荒夜くんでした。
因みに性癖は『』つけ君参照。
★★★★★
活動報告にて最強募集してます。
最強じゃなくても実用的だと思ったものでも構いません。
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