暖かな日差し。草木のそよぐ心地の良い影。水の流れる小気味の良い涼し気な音。
ピチョン、ピチョンと頬に落ちる水滴。
「………?」
そこまで認識してようやく目を覚ます。
まだ寝ぼけているのだろうか。現状を理解できていないようだ。
それも当然か。彼の記憶にあるのは自分が戦いに敗れ死んでしまった記憶なのだから。
「なんで…生きて…? しかもここは…」
記憶にある戦いに敗れた場所とは似ても似つかぬ既に滅びた都市部にいる彼は更に困惑を重ねる。
最期に戦ったのはこんなに廃れた都市部じゃなかったはず…と漏らしながら彼は立ち上がる。
「…身体が軽い…?」
記憶にあった身体とは違い、まるで若返ったかのような身体の動き。
記憶通りの身体であればすでに齢50。最盛期を過ぎた身体は衰えるばかりで日々弱っていく一方であったはずなのだ。
それが今はどうか。最盛期と変わらぬ身体能力。若くハリのある肌。輝く黒髪。
確実に若返っているのが否が応でも認識させられる。
「なにがどうなっているんだ…?」
身体が若返っていることを認識した彼は足元に何かが転がっていることに気付く。
「これは…!」
転がっていたのは自分が死を迎えるときまで装備していたレンジャー装備と衰えてきた身体でも使えるように本部から配給されたT3ストークとグラントM41であった。
何故?という疑問と困惑が更に増していく。
若返っただけでなく最期の戦いで壊れたハズの装備と武器まで完璧な状態でそこにある。
「…あぁ、クソ。考えるのは苦手なんだよちくしょう…」
色々と疑問はあるがこの場所が安全であるという保証はないなと考えついた彼は装備を着始める。
隅の方に『ストーム1』と刻まれたヘルメットを最後に装着し、彼は歩き始める。
ー が目覚める少し前 ー
「人間がいる場所はこの辺よね?」
「はい。そのはずですが…」
彼のいた場所からそれほど遠くない場所で。
腰部にまるで戦闘機から切り取ってきたようなフライトユニット、手には2連装式のミサイル発射装置を持った金色に輝く髪の美しい少女とメイド服のような洋服の胸元の露出の増えた、ショットガンを携えた茶髪の眼鏡を掛けた少女がとある信号のあった場所へ向かっていた。
少女たちが受けた信号というのは人間の生体反応である。
しかし、人間の、の前に『最後の一人である』が付くが。
そう。少女たちの目的は『最後の人間を保護し安全な場所まで導き、自分たちを指揮してもらう』ことである。
少女たち…、いや、『バイオロイド』と呼称される彼女たちは人間に造られた人間に類似した存在である。人間が戦争を経て生み出した負の産物とも言えるがその話は別の機会にしよう。
彼女たちは人間の指揮なくして本領を発揮することはできない。
人間の絶滅を進行させる要因のうちの一つであった『鉄虫』との戦いは今も続いており人間の指揮がないバイオロイドたちも徐々に数を減らしつつあった。鉄虫は減ることを知らず『AGS』と呼ばれる自律型の機械の回路に寄生し乗っ取り成長していくのだ。ついでに言うと見た目も醜悪で嫌悪感を抱く姿をしている。
そんな中でも指揮のできるバイオロイドたちの尽力もありかろうじて生きながらえているバイオロイドたち。打開策もなくこのままでは全滅を待つだけか…。と諦めかけていたとき。希望は訪れた。
そう。人間の生体反応をキャッチしたのである。
人間の反応を感知できなくなって早100年。人間の生存は絶望的であると思われていた中であったからこそ急遽人間を回収する部隊を設けることとなった…。
のだが。人間救出作戦決行の日。バイオロイドたちの集まる基地に鉄虫の襲撃があり、本来救出に向かうはずだった部隊は先程言った少女たちを除き壊滅。
その他のバイオロイドたちも戦闘に駆り出され救出に向かえるのは二人だけであったのだ。
そんな訳で人間の救出に向かっていた二人であったが。
「反応はこの先…あ!いた!」
ついに発見することに成功した。
人間の様子を見る限り確実に生きているようであるし若く健康的な姿をしている。
しかし気になる点が複数。
なぜ『100年以上前に壊滅したはずであるEDFの装備をまとっているのか』
なぜ『鉄虫と戦っているのか』
気になる点はまだまだあれど何故人間が鉄虫と戦っているのか。
少なくとも分かることはこのまま放置していては危険だということ。
それを認識した二人はお互いに顔を見合わせ人間に加勢するために駆け出した。
ここまで読んでくれましたか。感謝します。
ラストオリジンやってたら書きたくなったので書きました。
不定期投稿ですがまたみていただけたら幸いでございます。